不安障害とその対処法について
更新日 2021年04月03日
オンラインカウンセリング日本人には、心配性の方が多いといわれています。
心配性は、言い換えれば計画性が高いということ。
「〇〇だったらどうしよう」など先を見据えて対策をするのは、決して悪いことではありません。
しかしあまりにも不安が強いと、眠れない、集中できないなど日常生活に支障が出ることがあります。人によっては、電車に乗れない、仕事でもミスを頻発するなど社会生活にまで影響が及ぶことも……。
友人に相談してみても、「気にしすぎだよ」なんて一蹴されてしまうことは少なくありません。今の日本では、大きなストレスを抱えている方に対して「病院に行ったら?」と精神科や心療内科をすすめることはほとんどないのです。
あなたのその症状、もしかしたら「不安障害」かもしれません。
不安障害とは精神疾患の一種。「不安」にまつわる疾患には様々なものがありますが、それらを総称したものが「不安障害」です。
はっきりした原因があっても、あるいはご自身で原因がわからなかったとしても、心身ともに強い不安に支配されているなら、専門機関を受診しましょう。
不安障害とは?
不安障害とは、自分が強く苦しむほどの不安に襲われる疾患を指します。
人が生きていくうえで、「学習」と「対策」は必須です。危険を回避しながら生き延びるために、不安は注意喚起の信号として大事な役目を果たします。
つまり、不安を感じるのはとても自然なこと。不安という信号のおかげで、私たちは大きなトラブルを回避しながら適切に行動を選択できているのです。
しかしこの危険信号があまりにも過度になると、心身ともに影響を及ぼすように。
ただの信号に留まらず、自分が苦しむほどの強い感情が渦を巻くようなら、不安障害を疑ったほうが良いかもしれません。
不安障害にかかると、精神症状はもちろんですが、人によっては身体にも影響することがあります。
以下の症状に心当たりがあるかどうか、一度チェックしてみてください。
<精神症状>
・常に心配でたまらない
・集中力がなくなった
・疲れが取れない
・気分が落ち込む
・よく眠れない
・イライラする
<身体症状>
・顔色が悪くなる
・冷汗が出る
・脈が速くなる
・呼吸が速くなる
・動悸がする
・口が渇く
・体が震える
・めまい
・胃痛
・下痢
・吐き気
・胃のけいれん
・胃もたれ
・意識が飛ぶように感じる
・筋肉の緊張や痛みがある
・しびれやうずくような痛みがある
自分でも制御ができないほどに大きな不安が頭を支配していると、その感情のために行動や生活が変化してきます。たとえば不安が強すぎて次の行動を起こせなかったり、何も考えられなくなってしまったり……。
悪化すると、日常生活はもちろん、仕事などの社会生活、友人や家族との関係などを自ら断絶するケースは少なくありません。
ご自身も苦しみますが、周囲も同じように苦しむことになるので、もしなにかの「不安」に襲われているなら、早めに医師・心理士のアドバイスをもらうようにしましょう。
不安障害の発症率は?
私たちの日常に、悩みはつきものです。
その悩みを真正面から受け止めすぎてしまうと、心を病んで不安障害を発症することは少なくありません。
厚生労働省が市民を対象に行った調査によると、日本における不安障害の発症率は9.2%。10人のうち1人は不安障害を経験することがわかりました。
詳しい内訳は、以下の通りです。
・恐怖症全体:5%
・特定の恐怖症:3.4%
・全般性不安障害:1.8%
・PTSD:1.4%
・パニック障害:0.8%
一方アメリカでは、不安障害の生涯有病率は20人に1人といわれていましたが、毎年の調査でその数は増加の傾向をたどり、今では10人に3人は経験するほどに。
不安障害は決して特別な疾患ではなく、私たちは常に隣り合わせの状態にあるといえるでしょう。
参考サイト:
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_panic.html
不安障害とはどういう症状が出るの?
不安障害とはいくつもの疾患の総称であり、主に以下のものがまとめて「不安障害」と呼ばれます。
では、不安障害に分類される症状について見ていきましょう。
あなたには、当てはまる症状はありますか?
パニック障害
死にそうなほどの恐怖に襲われる、パニック障害。
動悸、めまい、息苦しさ、胸苦しさなど、身体症状がともなうことがほとんどです。突発性であることに加え、程度も重篤なことが多いので、救急車を呼ぶケースも目立ちます。
しかし病院に着くころには発作はおさまっていることが多く、検査をしても「異常なし」と診断されます。そのまま帰宅しますが、数日後にはまったく同じ発作が出ることも……。
なにが恐怖の原因になるのか、はっきりしないケースもあるのが厄介なところ。きっかけや原因もなく、いつ、どこで発作につながるのかも予期できないタイプの発作を「予期しない発作」といい、一方で特定の状況・モノに反応するタイプの発作を「状況依存性発作」といいます。
参考サイト:
強迫性障害
「過度に」「何度も」がポイントになるのが、強迫性障害。
たとえば、戸締りをしても不安で何度も家に戻り確認してしまう、手を洗っても汚れている気がして何度も何度も洗ってしまう、など必要以上に同じ行動を繰り返すのが特徴です。
しかし「潔癖症」「こだわりが強い」など性格の問題として片付けられてしまうことが多く、医療機関の受診にまで考えが及ばないケースが目立ちます。
戸締りやガス栓などの確認行為をはじめ、自分で決めたルールに必要以上に縛られている、特定の数字に過剰にこだわるなど、自分自身への強要はもちろん、他人に対してアルコール消毒を強要するなど自分以外を巻き込むケースも……。
強迫行為でエネルギーを浪費するだけではなく、人間関係に支障をきたす原因にもなるので注意が必要です。
参考サイト:
恐怖症
特定の状況・モノに対して強い恐怖を抱く疾患です。
たとえば高所恐怖症、閉所恐怖症、先端恐怖症など、人によって恐怖の対象は様々。学術用語になっているだけでも、200種類以上の恐怖症が存在するといわれています。
発症すると、動悸、発汗、心拍数増加、血圧上昇などの身体症状が基本となりますが、人によっては呼吸困難、失神など重篤な症状になることも少なくありません。
「恐怖」は、自分自身の命を守るための大事なサインです。程度の大小こそあれ、なにかを怖く感じるのは私たちにとって自然なことといえるでしょう。
しかしその度合いがあまりにも強いと、恐怖や不安が過剰になります。そしてその対象を避けようとして、「逃げる」「アルコールに依存する」など回避行動を取るように。その結果、日常生活に支障が出たり、他の疾患を合併することも多いといわれています。
参考サイト:
急性ストレス障害
急性ストレス障害は、数日から4週間程度で自然におさまっていく疾患です。
トラウマになるほどショッキングな経験をすると、その体験に関することを避ける傾向が続きます。しかし悪夢として夢に現れたり、目覚めていてもその出来事がフラッシュバックするなど、避けたくても無意識に脳が繰り返してしまうことも。
その結果、神経が高ぶった状態で日々を過ごすことになり、不安、苦痛、不眠などをはじめ、人によっては感情や感覚のマヒ、記憶障害につながることもあります。
ほとんどの場合は4週間程度で自然に治癒しますが、それ以上に症状が継続するようだと外傷後ストレス障害を疑う必要があるでしょう。
外傷後ストレス障害
一般的に「PTSD」の名称で浸透しているのが、外傷後ストレス障害。
原因がしっかりあるのが特徴で、事故や災害による急性のものと、日常的な被虐待など慢性のものに分けられます。前者は、先の項目でご紹介したとおり数日から4週間で自然におさまりますが、それでも治癒しない場合に「外傷後ストレス障害」へと移行します。
悪夢を見たり、フラッシュバックするなど強いストレス状態が続き、うつ病を合併することもあるので注意が必要です。
参考サイト:
全般性不安障害
まだ起こるともわからないことに対して過剰に不安を抱く疾患が、全般性不安症障害です。
「もし交通事故にあったらどうしよう」「隕石が落ちてきたらどうしよう」「戦争が起きたらどうしよう」など漠然とした不安をいつまでも持ち続け、過剰に心配します。
不安を感じる範囲はとても広く、日常生活のあらゆることが不安要素に。
そのため全般性不安障害を発症すると、常にそわそわしていて落ち着かず、集中力低下や不眠など日常生活が困難になります。
大きなストレスと共に生活しているにも関わらず、周囲からは「心配性」「神経質」の言葉で片づけられてしまうことが少なくありません。パニック障害やうつ病などを併発することもあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
参考サイト:
不安障害の起きる原因、メカニズムは?
不安障害は、明確なきっかけがあることも、原因から数年が経ったあとに発症することも、あるいは原因が不明なこともあります。
心の傷と複雑に絡み合って発症する、不安障害。
不安障害の起きる原因やメカニズムを知り、心の症状を少しずつ紐解いていきましょう。
不安障害にどのように対処したらいいのか?
不安障害を抱える方は、ご自身が「不安障害」と認識していないことがほとんどです。
意を決して友人に打ち明けても、「気にしすぎだよ」「疲れてるんじゃない?」など一蹴されて終わってしまうことも。
不安障害は、対処が必要な疾患です。
大きなストレスを抱えきれず、日常生活に支障をきたす方は少なくありません。
まずはご自身の疾患について理解して、適切に治療をすすめていきましょう。
治療の方法
治療の方法としては、薬物療法を用いた医療的な介入と、認知行動療法を中心とした心理療法的な介入とがあります。
薬物療法
薬物療法で用いられるのは、全般性不安障害、パニック障害に対してはリーゼ、ワイパックス、ソラナックスといった抗不安薬になります。
強迫性障害の場合は、デプロメール、ルボックスといったSSRIと呼ばれる薬がよく使われます。これらの薬はうつ病などに一般的に用いられるジェイゾロフトやレクサプロと作用機序で似ているところはありますが、特に強迫性症状に対して効果的と言われています。
心理療法
心理療法で効果的なのは、認知行動療法です。認知行動療法では不安症状やパニック症状といった症状そのものを、より客観的にとらえていくことにより、不必要な不安や恐怖を抱かなくてすむようにしていきます。そういった考え方のフレームワークを提供するのが臨床心理士・公認心理師といった専門資格をもった心理士の役目なのです。
かもみーるは、オンラインによるカウンセリングサービスを行っています。
従来の精神科や心療内科は、予約制を設けていることがほとんどで、医師を頼りたいときに頼れないのがデメリットでした。
しかしオンラインなら、必要なときにすぐにつながることができます。
経験豊富な医師が、あなたの悩みにそっと寄り添い、症状の緩和に向けて適切な治療を提供します。
カウンセリング初心者の方も、ご安心ください。
かもみーるでは、カウンセリングのオンライン化により、どなたでもお気軽に利用しやすいシステムを整えました。
心の病は、一人で抱え込むべきものではありません。
経験豊富な医師と共に、二人三脚で歩んでいきましょう。