適応障害とカウンセリングによる治療の有効性について
更新日 2022年02月23日
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適応障害は特定の強いストレスで発症します
適応障害とは、特定の精神的ストレスが急性に過度にかかることにより、精神的ストレスが身体化している状態のことを指します。よくある症状としては、全く寝つけない、なぜか毎日早朝4時ころにぴったり目が覚めてしまう(早朝覚醒)、集中力が続かず仕事が全然進まない(集中力低下)、ちょっとしたことでイライラして周囲に当たってしまう、食欲が大幅に低下する、食べすぎてしまう、喉の違和感が常にある、胸のあたりのつっかえ感がとれない、などです。
症状によっては、時にはうつ病と同じような状態になることもありますが、適応障害はその原因がはっきりとしているのが特徴ですので、その原因がなくなったり、そこから離れたりすれば症状が治まっていくところが、うつ病などとの違いです。ただ、その状況が長く続くことで、症状が慢性化してうつ病に繋がってしまうこともありますので、しっかりとした対処が必要になってきます。
厚生労働省参考サイト
適応障害は怠け病ではありません
仕事中に上司からきつく叱責を受ける、といった状況はしばしばありえることかと思いますが、そうした時に過度に自分の責任として捉えすぎてしまう、自分なんて存在しないほうがましだ、とまで考えてしまう傾向のある方は要注意です。一人で抱え込みすぎ、周囲に相談できない性格の方は適応障害を発症しやすいです。適応障害は「怠け病」ではなく、むしろ責任感が強かったり非常に真面目な方だからこそ発症する病気と考えてください。
うつ病とも違います
うつ病とは、様々なストレス因により倦怠感、絶望感、無気力感が長い期間続いている状態のことを指します。快楽感情の欠如という定義をすることもあり、「楽しい」と思える瞬間が一瞬たりともない、常にベッドで寝込んでしまっている状態の時、うつ病と診断されることがあります。適応障害はあくまで「仕事」とか「学校」とか原因が1つに特定できるストレスにより体の症状が出てしまった状態のことを指します。なので、仕事から距離を置いている時は意外と普通に日常生活を遅れていたりします。うつ病はセロトニン仮設という仮設が有力ですが、様々なストレスにより脳内のセロトニンレベルが顕著に低下し、1日中、何もやる気にならないという状態のことを指します。症状として共通しているところはありますが、病態としては全然異なるものです。
一般的にその対処には、原因を取り除くこと、症状に対処すること、適応力を高めることと、大きく三つあります。
定期受診が必須です
1つ目に挙げた適応障害の症状に当てはまるかもしれないと感じたら、まずは速やかに心療内科に受診をしましょう。受診をして、「適応障害」と診断をされたら、その後は医師に支持に従って定期受診をすることが必須です。
治療期間は平均1〜6ヶ月ほど
適応障害の治療期間は一般的に1ヶ月〜6ヶ月ほどです。治療期間はもちろん早いほうが良いのですが、ストレスの強さ、我慢してきた期間、家族状況などによっても全然異なってきますので、治療期間を周りと比べないほうが良いと思います。治療中は自分の症状がどうやったら良くなるか、に集中した方が、早く回復します。
治療方法は?
適応障害の治療方法には、環境調整、薬物療法、心理療法の3つがあります。この中で一番重要なのは「環境調整」で、ストレス源となる上司がいない部署に異動をする、休職をする、などが選択肢としてあります。適応障害は「特定の強いストレス」によって発症するものですから、まずはその特定のストレスから遠ざかることが最も重要です。
適応障害の治療として薬物療法を医師からすすめられることもあります。抑肝散といった漢方や、レクサプロ、ジェイゾロフト、パキシルといった抗うつ薬、リーゼ、デパスといった抗不安薬などが代表例です。抑肝散などの漢方は副作用はかなり少なく、また依存などの危険もないため、服用してもリスクは少ないです。ただ、抗うつ薬や抗不安薬は副作用、依存性といった面で長所短所がありますから、薬に抵抗がある場合は、無理して服用しなくていいです。適応障害はうつ病とは違って、基本的に薬なしで治ります。ですので、そのあたりは担当の医師と十分相談をしてください。
カウンセリングを使うと回復が早くなる
上の話でも触れた、「心理療法」として、心理カウンセリングがあります。 心理カウンセリングでは、公認心理師や臨床心理士といった専門の資格を持った心理士が対応し、「認知行動療法」を始めとする様々な心理アプローチを行っていきます。 先程も述べたように、適応障害にかかってしまう方は、考え方に癖があることが多いです。自分のことを過度に責めてしまう性格の方は、カウンセリングを受けることで多面的に物事を見れるようになり、そのことで今後同じようなストレスに遭遇した時も、より柔軟に対処することができるようになります。
筋肉トレーニングをすると体が鍛えられるのと同じように、精神面も訓練をすることでストレスに対して柔軟に対処できる力をつけていくことができます。カウンセリングで心理士と一緒に過去の自分を振り返ることで、今後同じような場面に遭遇した時に、過度のストレスを抱え込まないようにしていきましょう。