適応障害とカウンセリング

更新日 2021年04月03日 |

カテゴリ: オンラインカウンセリング
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適応障害とは?

 適応障害とは、ストレスが過度にかかることにより、身体が対処しきれなくなり、眠れない、集中力が続かない、ちょっとしたことでイライラしてしまう、といった症状が出ている状態のことを指します。 

症状によっては、時にはうつ病と同じような状態になることもありますが、適応障害はその原因がはっきりとしているのが特徴ですので、その原因がなくなったり、そこから離れたりすれば症状が治まっていくところが、うつ病などとの違いです。ただ、その状況が長く続くことで、症状が慢性化してうつ病に繋がってしまうこともありますので、しっかりとした対処が必要になってきます。 

厚生労働省参考サイト

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_adjustment.html 

適応障害への対処法

では一例として、職場でのストレスで適応障害に陥ってしまった場合を考えてみましょう。 

例えば、先輩や上司、特定の人からきつく当たられて、苦しくなり出社できなくなってしまう。仕事の内容が合わず、不得意な作業をやらなくてはいけないので苦痛になっている。仕事量が多い、仕事内容が負担、完璧にやろうとしてとことんやっても仕事が終わらない、相談できる相手がいない、一人で抱え込んでしまう、職場の環境や雰囲気が悪いなど、色々なことが考えられます。 

では、この様な状況に対して、どんな対応方法があるのでしょうか。 

一般的にその対処には、原因を取り除くこと、症状に対処すること、適応力を高めることと、大きく三つあります。 

原因を取り除くこと

まず、原因を取り除くことですが、これは環境調整といって、その人が適応できていない環境そのものを変えたり、そこから離れたりすることです。この環境と言うのは、仕事の場面で言うと、職場の雰囲気であったり、特定の人の問題、仕事内容や量、勤務シフト、職場の体制などいろいろありますね。 

例えば、きつく当たる上司に対して会社が指導をするとか配置換えを行うことなどもあるし、物理的な環境改善、仕事量の見直し、上司や先輩など周囲のサポートが受けられるような体制見直しなども重要です。でも、これは当事者である本人だけでできることではありませんから、理解のある上司や人事労務担当者、産業医、保健スタッフ、時には産業カウンセラーなどが協力しながら進めていくことが必要です。 

症状に対処すること

二番目の、症状に対処する事としては、医療機関での治療として、直接表れている気分や行動面での症状に応じた薬の服用があります。ゆっくり休養することは大切ですが、快復を待つその間であっても、このように症状を抑えていくことが必要ですね。 

そして、適応障害への対応でとても有効なのが、三番目の、適応力を高めることです。 

適応力を高めること

これは、問題となっている環境への接し方や、辛さの原因になっている出来事などへの関わり方を見直していくということです。 

しばらく休んで快復したとしても、環境も本人も以前のままだと、職場に戻ってまた同じことが繰り返されてしまいます。もちろん、原因となっている環境に問題があるとすれば改善していくべきではありますが、できることの範囲は限られます。また、環境が改善されたとしても、異動になったり、仕事以外の別のシーンでも、将来的に適応できない環境に出くわしてしまうことも考えられます。さらに、徐々に年齢が上がってくると、仕事だけでなく、家庭や社会全体からも、周囲からの期待が大きくなり、責任なども重くなってきて、更に負荷が増えていくこともあります。ですから、色々な環境の変化に対する適応力を高めていくことが大事なのです。 

一般的には、ストレスマネジメントと言われるような、ストレスをできるだけ溜めないとか、うまく処理したり発散したりする方法があります。これは、適応障害の場合にももちろん有効ですが、皆さん日頃からやっていることですよね。とは言え、苦しい状態に陥ってしまうと、普段は何気なくできていることが、ほとんどできなくなってしまうのです。 

そんなときにカウンセリングを通じて、適応できないその環境に対して、ストレスを感じにくくしていくことが有効なのです。 

カウンセリングという解決策

では、カウンセリングでは、どのようにして適応力を高めていくのでしょうか。 

単にストレスを感じにくくするというと、鍛えて耐性を上げるような印象があって、強くなっていかなければならないと考えてしまうかもしれません。 

でも、自分は弱いからダメで、だからもっと強くならなければなどと考えると、ただでさえ適応障害で苦しんでいる時に、自己否定感がどんどん強くなってしまい、もっと苦しくなってしまいますよね。 

ここでは、弱いとか強いという考えではなく、一人ひとりの出来事に対する感じ方の癖、考え方の癖を、色々な環境や変化に適応していける様に修正していくのだと考えて下さい。 

この感じ方ですが、これは、それ自体が一人ひとりの個性の表われで、背景には、その人のそれまでの人生がある訳です。 

例えば、過去の体験からくる特定のことへのとらわれや、こだわりの場合もあります。また、体験に基づかない場合でも、頭の中で色々と考えたり、考えが巡ってしまった結果、固定的な考えになってしまっている場合もありますね。 

こんな時、カウンセリングを通じて、長年の人生の中で培われてしまった固定的なものの見方を和らげたり、物事の捉え方の偏りに気づいていくと、そこから自然に修正ができていくのです。 

たとえば、ある特定の人からのきつい言動があって苦しんでいる時に、その出来事に対する固定的なとらえ方に気づき、別の見方をしてみることなどは、自分の中の対応力を上げていくことに繋がるのです。 

具体的には、認知行動療法や論理療法を用いたカウンセリングでは、原因とみている環境そのものよりも、その環境や出来事を自分の中でどうとらえるかが、苦しみの元になっているという観点で考えるのです。ですから、不快な出来事に対して、それまでとは異なる視点や価値観で受け止めてみたり、少しずつ新たな体験をしながら捉え方を変えていったりして、考え方の癖を修正していきます。 

その結果、「相変わらず環境はストレスフルだけれど、それを受け取る自分の考え方をちょっと修正してみたら、同じことに出くわしても、以前とは違った見方ができて、随分楽になってきた」などということになってくるのです。 

また、森田療法を用いたカウンセリングでは、上記のような固定的なとらえ方の修正だけでなく、不快な出来事を単なる事実としてとらえ、その時の自分の感情をあるがままに受け止めることで、それによるダメージを増大させず、さらに自分の中で起きている気持ちの悪循環と、行動の悪循環を軽減していくことができます。これは、適応障害に対してだけでなく、普段の生活シーンの中でも活用できる考え方です。 

このような考え方の修正だけでなく、環境や出来事に対する行動そのものを変えていくのも有効です。このためには、アサーショントレーニングなどで、その場でのコミュニケーションを改善したり、SST(ソーシャルスキルトレーニング)や応用行動分析に基づいたカウンセリングで、行動そのものを変化させていく方法などもあります。 

ストレスが生まれる場面での行動を変えることによって、周囲との関係が変わり、結果的にストレスを感じる出来事そのものが軽減していくのです。言い換えると、本人のその場の対応の仕方を変えることで、その場での問題が起きにくくなるという事です。

この様に、カウンセリングで活用する心理療法も様々ですが、どれが良いとかではなく、皆さんが置かれている状況や症状、そして皆さんの個性によって、どんな進め方が有効かを考えていきます。 

また、仕事の負荷という部分では、仕事への取り組み方や仕事と自分の向き合い方なども大きな要素になっていますが、このことに関しては、また別の機会にお伝えさせて頂こうと思います。 

職場での適応障害では、一生懸命仕事をしようとする気持ちがあればあるほど、苦しくなって身動きができなくなることが多く見られます。 

ここで説明したなかでも、特にカウンセリングを有効に活用していくことで、一生懸命頑張ろうとしていた皆さん一人ひとりの個性や特長が、様々なシーンで今まで以上に発揮できるようになって、生き生きとした人生を送っていけるようになることを願っています。