子どもの癇癪とは?発達障害との関係性や対処法について解説

更新日 2025年06月03日

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子どもの癇癪(かんしゃく)は、多くの親が一度は経験する育児の悩みの一つです。

突然泣き叫んだり、物に当たったりする姿を目の当たりにし、戸惑いや不安を感じる方も多いでしょう。

特に幼児期は感情のコントロールがまだ未熟で、自分の気持ちをうまく伝えられないことが原因で癇癪を起こすことがあります。

この記事では、子どもの癇癪について詳しく解説します。

年齢別の癇癪の特徴や原因、発達障害との関係性、癇癪を起こしたときの具体的な対処法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

子どもの癇癪(かんしゃく)とは

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子どもの癇癪(かんしゃく)とは、感情のコントロールがうまくできずに突然泣いたり怒ったりする行動のことを指します。

癇癪の原因はさまざまで、自分の思い通りにならなかったり、言葉で気持ちをうまく伝えられなかったりすることがきっかけになります。

例えば遊びをやめたくないときや欲しい物を買ってもらえなかったときなどに起こりやすく、地面に寝転がって泣いたり、大声で叫んだり、物を投げたりすることもあります。

癇癪は一時的なものであり、子どもが成長する過程でよく見られる現象です。

しかし親や周囲の大人がどのように対応するかによって、癇癪の頻度や激しさに影響を与えることもあります。

また、まれに発達障害や感情面の課題が背景にある場合もあるため、極端に癇癪が多かったり、年齢に比べて行動が目立つ場合は専門家に相談することも大切です。

基本的には子どもの気持ちを受け止め、安心させながら適切な表現方法を教えることが、癇癪の改善につながります。

年齢別によく見られる癇癪の特徴・原因

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年齢別によく見られる癇癪の特徴をまとめると以下の通りです。

年齢癇癪の特徴
乳児期(0歳~1歳)泣くことで不快や欲求を伝える。空腹、眠気、不快感など基本的な欲求が主な原因。
1歳~2歳自我の芽生えによる「自分でやりたい」が強まる。言葉で表現できず癇癪につながりやすい。
2歳~3歳『イヤイヤ期』のピーク。欲求と現実のギャップに怒りや不満が爆発しやすい時期。
幼児期(4歳~5歳)言葉は増えるが感情コントロールは未熟。不公平感や人間関係のトラブルで癇癪を起こす。
児童期(小学生)ストレスやプレッシャーが主な原因。発達障害などの背景がある場合もあり、社会的影響が大きい。
大人ストレスや感情調整の難しさが原因。怒鳴る・無視するなど、周囲との関係悪化につながりやすい。

ここでは上記の年齢別にそれぞれ解説します。

乳児期(0歳~1歳)に見られる癇癪

乳児期に見られる癇癪のような行動は、実際には癇癪とは少し異なり、主に基本的な欲求や不快感を表す手段として泣くことがほとんどです。

例えばお腹が空いたときや眠たいとき、オムツが汚れているときなど、自分の状態をうまく伝える手段が泣くことしかないため、頻繁に泣き叫ぶことがあります。

また大きな音や急な環境の変化に敏感な子どもは、強い不安や驚きから激しく泣くこともあります。

乳児期の癇癪は、情緒的な発達がまだ未熟であり、自然な反応として現れるものです。

この時期は泣いている原因を見つけ、安心させてあげることが大切です。

1歳~2歳に見られる癇癪

1歳を過ぎると、少しずつ自我が芽生え始めます。

しかし言葉による自己表現はまだ不十分なため、思い通りにいかないことに対して癇癪を起こすようになります。

例えばおもちゃを取られた、思ったように遊べなかった、お菓子をもらえなかったなど、些細なことでも大声で泣きわめいたり、地面に寝そべったりすることがあるのです。

この時期は子どもが何を求めているのかを理解し、共感する姿勢を持ちながら、危険な行動や望ましくない振る舞いには一貫性を持って対応することが大切です。

2歳~3歳に見られる癇癪

2歳から3歳はいわゆる『イヤイヤ期』のピークです。

この時期の子どもは、自分の意思を強く持つようになりますが、それをうまく言葉で表現できないもどかしさから癇癪を起こしやすくなります。

「自分でやりたい」「今すぐやりたい」という欲求が強く、親が止めたり違う提案をすると感情が爆発することもあります。

また、社会的ルールをまだ理解していないため、「やりたくないことを強制される」と感じると反発が強くなることも少なくありません。

幼児期(4歳~5歳)に見られる癇癪

4歳〜5歳になると、言葉や感情のコントロールは徐々に発達しますが、それでもまだ未熟な部分が残っています。

この時期の癇癪は、主に『不公平感』や 『他者との比較』など、より複雑な感情が原因になることがあります。

例えば「どうしてお兄ちゃんだけお菓子をもらったの?」といった理由で泣いたり怒ったりすることがあるでしょう。

また、友達とのトラブルや遊びの中で思い通りにならないことに腹を立てることもあります。

癇癪のあとで「どうして怒ったのか」「どうすればよかったか」を一緒に考えることで、少しずつ感情をコントロールする力が育っていきます。

児童期(小学生)に見られる癇癪

小学生になると、言語能力も社会性も大きく発達しますが、それでも強いストレスやプレッシャー、抑えきれない怒りなどが癇癪として現れることがあります。

特に勉強へのプレッシャーや友人関係の悩み、家庭での不安など、内面の葛藤が積み重なることで爆発的に感情をぶつけてしまうことがあるでしょう。

また発達障害や感情調整の難しさを抱える子どもでは、些細なきっかけで激しく怒ったり泣いたりすることも見られます。

この時期は表面的な行動だけでなく、その背景にある気持ちやストレス要因を理解し、安心できる環境づくりを意識することが大切です。

大人の癇癪

癇癪は子どもだけのものと思われがちですが、大人でも感情のコントロールが苦手な人には見られます。

大人の癇癪は、怒鳴る・物に当たる・不機嫌な態度を長時間続けるなど、より社会的に問題となりやすい行動として現れます。

原因としては、ストレスの蓄積、自己肯定感の低さ、過去のトラウマ、人間関係の不安定さなどです。

感情をうまく整理できずに爆発することで、周囲との関係悪化を招くケースも少なくありません。

子どものころに感情のコントロールや表現方法を学べなかったことが背景にある場合もあり、必要に応じて心理カウンセリングなどの専門的な支援が必要です。

癇癪と発達障害の違い

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癇癪は、発達の過程で多くの子どもに見られる自然な行動です。

例えば思い通りにならない状況や、気持ちをうまく伝えられないときに一時的に起こる感情の爆発です。

一方、発達障害による癇癪は、頻度が極端に多かったり年齢相応とは思えない激しさが見られたりすることがあります。

また癇癪の背景に『感覚過敏』『こだわりの強さ』などの特性がある場合、単なる癇癪とは性質が異なると考えられます。

つまり癇癪そのものは発達障害とは異なるものですが、発達障害の特性によって癇癪が起こりやすくなるケースもあるため、行動の背景にある原因を丁寧に見極めることが大切です。

癇癪に関係する発達障害の特徴

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癇癪に関係する発達障害の特徴として、以下の4つが挙げられます。

  • こだわりが強い
  • コミュニケーションが苦手
  • 衝動性が高い
  • 言葉の発達が遅れている

ここでは上記4つの特徴についてそれぞれ解説します。

こだわりが強い

発達障害、特にASD(自閉スペクトラム症)の特性として、『こだわりの強さ』があります。

これは日常のルーティンや物事の順序などに強い固執がある状態です。

例えば毎日同じ道を通らないと不安になる、決まったお皿でないと食事を拒否するなどが典型的なものです。

こうしたこだわりが阻害されると、本人にとっては大きなストレスとなり、癇癪という形で爆発することがあります。

大人には理解しづらいポイントに強く反応するため、「わがまま」と誤解されやすい点も特徴です。

無理にこだわりを壊さず、少しずつ柔軟性を育てる支援が必要となります。

コミュニケーションが苦手

発達障害のある子どもは、言葉や表情、身振りなどを使ったコミュニケーションが苦手なことがあります。

自分の気持ちをうまく言葉で伝えられないことで、フラストレーションが溜まり、結果的に癇癪として感情が爆発することがあるのです。

特に、相手の言葉の意図が理解しづらかったり、冗談や比喩が通じなかったりすることで混乱が生じやすくなります。

このようなコミュニケーションの難しさは、周囲とのすれ違いを生み、さらにストレスを高める要因にもなります。

日常のやりとりで安心感を持たせたり、視覚的なサポートを活用したりすることで、少しずつ表現力や理解力の向上を支えることが大切です。

衝動性が高い

衝動性の高さは、ADHD(注意欠如・多動症)によく見られる特性の一つです。

自分の感情や行動をコントロールする力が弱いため、イライラしたり不満を感じたりしたときに即座に大声を出したり、物に当たったりするなどの癇癪が生じやすくなります。

また「今やりたい」「我慢できない」という強い欲求に突き動かされるため、注意されたり制限されたりした際にも強い反発が現れやすい傾向があります。

衝動性による癇癪は周囲とのトラブルにつながることもあるため、日頃からルールや見通しを持たせたり、肯定的な行動を褒めたりすることで衝動の抑制を促すことが大切です。

言葉の発達が遅れている

言葉の発達が遅れている子どもは、自分の気持ちや要望をうまく言葉で伝えられないことから、癇癪を起こしやすくなります。

特に伝えたいことがあるのにうまく通じない、相手の言葉が理解できないといった場面では、強いストレスを感じやすくなります。

このような状況では、周囲が「どうして癇癪を起こすのか分からない」と感じてしまい、対応に困ることも少なくありません。

言葉の発達に合わせたサポートを続けることで、癇癪の頻度や強度も徐々に軽減していく可能性があります。

子どもが癇癪を起こしたときの対処法

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子どもが癇癪を起こしたときの対処法は以下の3つです。

  • 子どもの安全を確保する
  • 落ち着くのを待つ
  • 落ち着いたらしっかり褒める

ここでは上記3つの対処法についてそれぞれ解説します。

子どもの安全を確保する

癇癪の最中は、子どもが自分や周囲に危険を及ぼすこともあるため、まずは安全の確保が最優先です。

例えば周囲に割れ物や鋭利な物がある場合は素早く取り除き、床に寝転がって暴れる子には頭をぶつけないようクッションなどを用意するのも有効です。

また公共の場であれば、落ち着ける場所に移動させる配慮も必要となります。

無理に押さえつけたり怒鳴ったりすると、逆にパニックが悪化することがあるため、あくまでも落ち着いた態度で見守ることが大切です。

落ち着くのを待つ

癇癪の最中に言葉で諭しても、子どもにはほとんど届きません。

感情が高ぶっている状態では、話しかけること自体が逆効果になることもあります。

そのため、子どもが自分で落ち着くのを待つ姿勢が大切です。

無理に泣き止ませようとせず、「そばにいるよ」「大丈夫だよ」といった安心できる言葉をかけながら、一定の距離を保って見守りましょう。

少しずつ気持ちが収まり、自分から泣き止む兆しが見えたら、そっと寄り添ってサポートに切り替えるのが理想です。

落ち着いたらしっかり褒める

癇癪がおさまったら、子どもが自分で気持ちを切り替えることができた点や落ち着こうとした努力をしっかり認め、褒めてあげましょう。

例えば「最後にちゃんと自分で泣き止めてえらかったね」「気持ちを伝えてくれてありがとう」といった声かけが効果的です。

こうした関わりによって、子どもは「感情を出しても否定されない」「落ち着けば褒めてもらえる」という安心感を得られます。

子どもの癇癪は落ち着いて対応することが大切

子どもの癇癪は、成長過程の一部として自然に起こる行動です。

発達障害が関係している場合には、こだわりの強さや衝動性、コミュニケーションの難しさが癇癪につながることもあります。

癇癪が起きた際には、まず安全を確保し、感情が落ち着くのを待ったうえで、適切なタイミングで褒めるようにしましょう。

子どもの癇癪がひどい場合は、心療内科などの専門的な医療機関への相談も検討してみてください。

かもみーる』では、医師や有資格の心理士によるオンライン診療・オンラインカウンセリングサービスを提供しています。

子どもの癇癪で悩んでいる方は、ぜひ気軽にご相談ください。

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