コロナ禍とメンタルヘルス

更新日 2021年04月03日

オンラインカウンセリング
blog_image

 まだまだ寒さの厳しい毎日ですが、周囲に目をやると、白や紅の梅の花も咲き始めていて、少しだけ春の予感を感じます。とはいえ、まだまだ続くコロナ禍、もう1年になるのですね。みなさんは、どんな思いで日々を過ごしているでしょうか。 

今まで、ただでさえ多くのストレスに包まれた毎日で、そのなかで仕事や日常生活など一生懸命頑張ってきたと思うのですが、新型コロナで更に日々のストレスは増え、イライラしたり、不安に包まれたりしているのではないでしょうか。 

おまけに、行動も縮小してストレス発散も思うようにできず、悶々とした状態でいることと思います。手洗いやマスクの煩雑さ、三密を避ける制約の多い生活で、もううんざりだという方も多いですね。親しい人たちとも会えない、楽しい飲み会もできない、たまには友達とカラオケで思いっきり歌ってみたいとか、我慢していることも多いかと思います。 

また、こんな事態でも仕事に行かなければならないので、通勤電車の不安や辛さを感じるとか、在宅勤務が続き、家族と一日中一緒にいてストレスを感じてしまう方もいることでしょう。以前よりも、ちょっとしたことでイライラしてしまうという話も聞きます。 

もちろん、医療関連に従事されている方々の、ご苦労とご努力は大変なものだと思います。 

とはいえ、どんなに頑張ってもすぐに解決できることではないし、しばらくはこの窮屈な生活を受け入れながら、できることなら、そこから新しいライフスタイルを見つけていきたいですね。 

今回は、そんなことを意識しながら、ストレスやメンタルヘルスについて考えてみましょう。 

ストレスの元と言うのは以前からいっぱいありましたが、このコロナ禍で、そのストレスの元がとても増えてきているのは事実ですね。ストレスにどう対処するか、ストレスからくる心身への影響をどうやって防ぐか。ここでは、まずは一人ひとりが自分の範囲でできるセルフケアが、大事になります。 

では、セルフケアとはどういうものなのでしょか。 

例えば、職場に関していえば、セルフケア、ラインケア、事業場内スタッフによるケア、事業場外の資源によるケアと、4つのケアがうたわれています。このように、メンタルヘルスのケアは、自分だけでできるものでもなく、人や機関などの色々な資源を有効活用しながら実現できていくものなのです。 

参考までに厚生労働省のサイトを紹介します。

 

とはいっても、新型コロナによるストレスは、多くが自分か自分を取り巻く身近なところで対処していかなければならないと言えますね。ですから、このセルフケアがとても大事になってきます。 

セルフケアには、大きく3つのステップがあり、まず1番目が、ストレスやメンタルヘルス全般に対する理解です。 

次に2番目として、自分の状態への気づきです。ストレスを感じていることを、早めにキャッチすることですね。 

3番目としては、適切な対処です。この対処には自分でできることもありますが、周囲の人に相談してみるとか、状況によっては、医師の診察やカウンセリングを受けたりして、とにかく自分だけで対処しようとしないことが大事です。 

では、これらを順を追って説明しましょう。 

まず1番目の、ストレスなどの理解について。 

ストレスの元に出合うと、それに適応しようと心身が反応して、ある程度は対処しながら抵抗力も生まれ、とりあえず普通に生活はできるのです。でも、それが過度になったり長期間続いたりすると、抵抗力も弱まり、耐えられない状況になって心身にダメージが表れてきます。ですから、自分では問題なく対処できているつもりでも、少しずつ負担が増えていることに気づくことが大切です。 

また、人生の中で遭遇するショッキングで大きな出来事だけでなく、些細であっても日常的に続く小さな苛立ちなども、ストレス状態を引き起こしていきます。コロナ禍というのは、まさにこの大きな出来事と、日々の多くの苛立ちの両方ですから、いつまでも自分だけで抵抗し続けられるものではありません。 

2番目は、このようなストレスの仕組みを理解した上で、日々の自分の状態に目を向けておくこと、すなわち気づくことです。 

最近ちょっとしたことでイライラしたり、攻撃的になったりしているとか、寝られない、食欲がないし食べても美味しさを感じないなど。また、なんとなく落ち込んでやる気が出ない、そわそわして焦っている感じ、娯楽番組を観ても楽しめない。仕事や勉強がはかどらない、集中できない。朝起きられない、疲れやすい。肩こり、頭痛。物事を悲観的にとらえてしまう。色々なことが億劫になってくる。など、きりがありませんね。 

職場でストレスチェックをやった方も多いかと思いますが、色々なチェックシートもあります。でも大事なことは、どんな内容であっても、今までと違う自分を感じたら要注意です。自分自身でキャッチする“生の感覚”を大事にすることですね。 

実はちょっと気持ちが疲れているんだけれど、このくらい気にしてなんかいられないとか、自分はこの程度は平気で乗り越えられるという、ちょっとした自信が、早い段階の気づきを見逃してしてしまうこともあります。 

マイナスイメージの自分を認めることは嫌かもしれませんが、ちょっと弱くなりかけている自分に、素直に気づいてあげましょう。 

今は世界中が大変な状況に置かれているのですから、今まで何でもなかったことにストレスやイライラを感じたとしても、多くの方が感じている仕方のないことだと思ってみましょう。 

たとえば、仲の良い家族であっても、お互い自分の時間や空間が守れず、24時間一緒にいれば、うっとうしく思えてストレスが溜まってもおかしなことではありません。ですから、イライラする自分をそのまま認めてあげることも大事です。 

では、3番目の対処です。 

ストレス反応への対処で大事なのは、自分でできることとできないことをしっかりと切り分けて、できることにのみ注力することです。できないこととしては、例えば自分にきつく当たる人を何とかしようと考えたり、人や環境をコントロールしようとすることは、できないことである場合が多く、余計ストレスが大きくなってしまいます。そして、このコロナ禍自体に関わることを解決しようとするのは、ほとんどが、できないことに当てはまると思います。 

できないことからはきっぱりと手を引いて、できることに気持ちを向けていきましょう。 

まず一人で抱え込まず、気軽に周囲に人の助けを借りること。そして、自分できついとか無理だなって感じていることを、自分で素直に認めてあげることです。 

また、気持ちの切り替えをはっきりと行う事。例えば、テレワークばかりになっていると、どこまでが仕事なのか、自分の時間との境目が無くなってしまうこともありますね。自分でしっかりと線引きをして気持ちを切り替えることが大切です。 

切り替えという意味では、ライフスタイルの見直しも有効です。生活リズムだけでなく、一日の中にリラックスできる時間をきちんと作っておくことです。 

仕事・休息と自分の自由な時間・運動・食事・睡眠をバランスよく組み立ててみましょう。在宅時間の長い生活が続く場合は、YouTubeを観ながらラジオ体操やエクササイズをやったり、人の少ない場所で、外の空気を吸いながらの散歩などもとても有効ですよ。 

それでも、自分一人ではちょっときついなと感じたり、窮屈な考え方にとらわれている時などは、気軽にカウンセリングを受けてみることをお勧めします。気持ちがいっぱいになっている時に、話してみるだけで楽になることもありますし、話を聴いてもらいながら、自分の固定的な考え方に気づき、違うものの見方ができたり、多面的に物事の価値を感じたりできるようになります。 

ストレスによる心身の不調に対処するだけでなく、ストレスをきっかけに、今まで気づかなかった新しい自分を発見できれば、そこから今まで以上に自分を活かせる人生が広がって行くことでしょう。 

ぜひこのようなセルフケアを身に付けて、ご自分の中で工夫をしたり、周囲を頼ったり、ときにはカウンセリングなども利用して、長丁場になりそうなWithコロナの毎日が、皆さんなりのより良い日々に繋がっていくことをお祈りしています。