傷病手当金について

更新日 2021年04月03日 |

カテゴリ: オンラインカウンセリング
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 病気やけがなど色々な心身の不調で、仕事を休んでゆっくりと療養したい。でも、有給休暇は残っていないし、休むと収入が途絶えてしまうので生活が不安だという方も多いのではないでしょうか。医師からしばらく休むようにと言われても、生活のことを考えて迷ってしまうこともあるかと思います。 

そんな時に使える制度として、傷病手当金というがあるのをご存知でしょうか。名前だけは聞いたことがあるけれど、詳しくは知らないとか、全く聞いたことがない方もいらっしゃるかと思います。今回は、この傷病手当金について解説をしましょう。 

傷病手当金は健康保険の制度ですが、似た名前で「傷病手当」と言うのがあります。これは雇用保険の制度なので、間違えないようにしましょう。なんかややこしいですね。 

では初めに、傷病手当金とはどんなものなのでしょうか。 

傷病手当金について

簡単に説明すると、病気やけけがでしばらく仕事を休まなければならない時、会社からの給与がなくなってしまったり、減ってしまったりした場合、休んだ日数に応じて健康保険から手当が支給されるというものです。不安で休めないとか、休んでいる時の生活維持が大変だという方々にとっては、とても助かる制度です。 

一例として、全国健康保険協会のサイトを紹介しておきます。 

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3170/sbb31710/1950-271/ 

では、使える条件や内容など、もう少し詳しく解説しましょう。 

まず、どんな時に使えるのかという事です。 

勤務先で健康保険に加入している人が、仕事以外の原因で、連続する3日を含んで4日以上休んだ時に、その期間中給与が支払われない場合に支給されます。仕事が原因の場合や通勤途中のけがなどは、労災になるので対象外です。また、有給休暇を使って休んだ場合は、給与が支払われていることになるので、これも対象ではありません。 

傷病手当金の支給額について

1日当たりの支給額は、標準報酬月額を月の日数30で割った額の2/3です。これが4日目以降休んだ日数に応じて支給されます。勤務期間が1年に満たない方は、金額に上限があるので、それぞれの健康保険窓口に確認してみてください。 

この制度の利用は、休んでいる間の給与が支払われないことが条件ですが、もし支払われていたとしてもその額が傷病手当金の金額より少なければ、その差額が支給されます。これは給与だけでなく、障害年金や老齢年金、出産手当金などを支給されている場合も同じで、その支給額との差額が支給されます。 

傷病手当金は非課税ですので、所得税や住民税の対象ではありません。ただし、住民税は前の年の所得が対象になっていますので、住民税額に反映されるのは、傷病手当金を受け取った翌年6月以降の納付分です。間違えないように注意してください。 

傷病手当金を利用できる期間は?

この傷病手当金を受け取れる期間は、同一の傷病について最長16か月ですが、これは最大の支給日数ではなく、途中の出勤も含めた支給期間です。例えば、1年休んで、その後2ヶ月出勤し、再度休んだ場合は、残り4ヶ月までは支給されますが、その後は休みが続いていても支給されなくなってしまいます。 

加入している健康保険によっては、16か月経過後も延長して支給を受けられる付加金制度が利用できる場合もあります。それぞれの勤務先や健康保険組合などに確認してみて下さい。 

退職しても傷病手当金を受けることができる? 

傷病手当金は、会社に勤めている間だけでなく、条件が満たされれば、退職後も引き続き支給を受けることができるのです。例えば、もう同じ会社に戻るつもりがない場合や、休みを続けながらの在職はしたくない時などは有効ですね。 

この場合の条件とは、まず、健康保険に加入している期間が1年以上あることです。この期間というのは、勤めていた期間ではなく加入している期間なので、入社していても健康保険に加入していなかった期間がある場合などは、念のため加入期間を確認してください。 

次の条件としては、退職時に既に傷病手当金の支給を受けているか、受けられる条件を満たしていることが必要です。 

ここで注意していただきたいことは、退職日が休みになっていないと、退職後の利用はできなくなってしまうのです。例えば、ずっと休んでいて退職が決まり、退職日に職場への挨拶や片付け、最後の事務処理などで会社に行くこともあるかも知れません。この場合でも、くれぐれもその日が勤務日とか出勤扱いにならない様に、しっかりと会社に伝えておきましょう。 

退職後に仕事に就いた場合は、16か月経過していなくても、その時点で終了してしまいますので、再度仕事に就けなくなっても受け取ることはできません。 

傷病手当金の申請方法について

まず、通院している医療機関の主治医の先生に、傷病手当金を申請したいと相談しましょう。また、ご自分が申請できる条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。 

これは、ここでの説明でもある程度分かると思いますが、加入している健康保険のサイトなどでも詳しく確認できると思います。不明な時は、とにかく勤務先に相談してみましょう。 

申請に際しては、勤務先の人事や総務部門などに申請したい旨を伝えて、申請用紙を受け取ってください。健康保険組合などによって書式は異なりますが、勤務先が給与や出勤状況などを記入するもの、医療機関で傷病名や診療日などを記入するもの、被保険者であるご自分が、傷病名や他の受給などの有無、振込先などを記入するものなど、複数の記入用紙がセットになっていますので、これらを準備して申請をします。医療機関記入用のものは、主治医の先生に記入してもらいましょう。 

医療機関で記入してもらうには費用がかかりますが、一般の診断書とは違って保険が適用できるので基本は300円です。経費的には安心ですね。 

これらの書類がそろったら、勤務先に提出。後は健康保険組合などでの確認や処理を経て、指定した口座に振り込まれるのを待つだけです。 

この申請のタイミングなのですが、特に決まりはありませんが一般的には月1回のペースで申請されています。勤務先の出勤管理なども月1回だと思いますので、例えばそれぞれの職場の出勤計算締め日直後のタイミングなどが、記入してもらいやすいと思います。 

2回目以降も、同じ書類を提出することになりますが、退職後の期間に対しての申請では、勤務先が記入するものはなくなり、本人記入分と医療機関記入分を、基本的には本人から直接健康保険の窓口に提出するようになります。 

また、退職後に雇用保険の基本手当(一般的に、失業保険とも呼ばれています)の申請をすると、傷病手当金を継続して利用するつもりであっても、打ち切りになってしまいますので注意しましょう。 

なぜならば、傷病手当金は仕事ができない状態に対して支給されるものですが、雇用保険の基本手当は、すぐにでも働ける方に対して、仕事が決まるまでの間に支給されるものなので、両方支給されるということはないのです。 

とは言え、退職して傷病手当金の支給を受けながら療養するときに、その期限も気になるし、ご自身の快復の時期も気になることと思います。このような場合には、雇用保険の延長申請をすることにより、元々1年の受給の期限を延ばすことができます。詳しくは、下記の厚労省のサイト(Q12,Q15)で確認してください。 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html 

最後に参考情報です。 

この傷病手当金は企業の健康保険の制度なので、国民健康保険では使えませんでした。ただし、今は特例として、会社勤務で国民健康保険に加入している方が、新型コロナウイルス感染症に感染したり、感染の可能性があって休んだ場合に限って、同様の傷病手当金が利用できるようになっています。 

傷病手当金は、病気やけがで休んでいる期間に、ご本人やご家族の方々の生活を支えるためのものです。休みが必要な場合は、ぜひこの制度を有効に活用して、しっかりと療養して心身の快復を待ち、安心した気持ちで復職や次の就職に備えていきましょう。