PMSの主な症状は?原因と対策方法について解説
更新日 2025年07月08日
PMS
PMS(月経前症候群)は、生理の数日前から心身に現れるさまざまな不調のことです。
イライラや落ち込みなどの精神的症状に加え、頭痛やむくみ、便秘などの身体的なトラブルも起こりやすくなります。
症状の出方や程度には個人差がありますが、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。
この記事では、PMSの主な症状について解説します。
それぞれの症状の原因と対策方法をまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
PMSの症状はいつから現れる?

PMS(月経前症候群)の症状は、一般的に月経前の3日〜10日間に現れることが多いです。
PMSは『排卵期を過ぎて月経が起こるまでの時期』に起こる症状のため、月経が来ると治まるケースが多く見られます。
排卵後から月経が始まるまでの期間に症状が集中して現れるのがPMSの特徴です。
またPMSの症状が現れるタイミングには個人差があり、主に以下の4つのパターンに分かれます。
- 月経1週間前から月経開始まで
- 排卵日から月経開始まで
- 排卵前後に一度症状が出て治まった後、症状が再び現れる
- 排卵日から月経終了まで
症状が軽い人は月経が始まるとすぐに治まりますが、重い場合は月経中まで長引くこともあります。
PMSの症状が強く日常生活に支障をきたすようであれば、我慢せず医療機関を受診することが大切です。
PMSの代表的な身体的症状の原因と対策方法

PMSの代表的な身体的症状には以下が挙げられます。
- 頭痛
- むくみ
- めまい・動悸
- 不眠
- 眠くなる
- 肌荒れ・ニキビ・湿疹
- だるさ・疲れ
- 吐き気
- お腹が張る
- 便秘
ここでは上記の症状の原因と対策方法についてそれぞれ解説します。
頭痛
PMSの時期に起こる頭痛は、ホルモンバランスの変化が主な原因とされています。
エストロゲンの分泌量が低下することで、脳内の血管に影響が生じ、片頭痛が起こりやすくなるのです。
月経前になるとズキズキと脈打つような痛みや、片側の頭に強い痛みを感じることがあり、症状が強いと吐き気や視覚異常を伴うケースも見られます。
自分でできる対策としては、チーズやアルコールなど血管を拡張させやすい食べ物を控えるのが有効です。
市販の鎮痛薬で対応できるケースもありますが、薬が効かない場合や視覚異常を伴う頭痛がある場合には、別の疾患の可能性もあるため専門の医療機関に相談しましょう。
むくみ
PMSの症状で起こるむくみは、体内に水分が溜まりやすくなることが原因とされています。
これは黄体ホルモンの影響により、体が水分を保持しやすくなるためです。
その結果、顔がむくんで見えたり、靴がきつく感じたり、体が重だるくなったりすることがあります。
また、むくみが強いとしびれや足のつりなどを感じる人もいます。
対策としては、まず塩分を控えめにすることが大切です。
また、水分の排出を助けるハーブティーやサプリメントを活用するのも良いでしょう。
症状がつらい場合は漢方薬や低用量ピル、利尿剤などで改善されることもあるため、一度医師に相談してみましょう。
めまい・動悸
PMSでは、ふわふわとした感覚や突然の動悸を感じる方も少なくありません。
これはホルモンバランスの変動により自律神経の働きが乱れやすくなるためと考えられています。
また内耳の水分バランスが崩れた結果、平衡感覚が鈍くなってめまいが生じるとも言われています。
ストレスや過労、睡眠不足などが重なると、さらに症状が悪化しやすくなるため注意が必要です。
自分の月経周期を把握し、めまいや動悸が起きやすい時期には予定を詰め込みすぎないように心がけましょう。
症状が頻繁に出る場合や日常生活に支障をきたす場合には、貧血やメニエール病など他の疾患の可能性もあるため、早めに医療機関での診察を受けることをおすすめします。
不眠
PMSでは、寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたりといった不眠の症状が現れることがあります。
これはエストロゲンとプロゲステロンの急激な変動が、睡眠や情緒に関わる脳内物質(セロトニンやγアミノ酪酸(GABA)など)に影響を与えることが関係していると考えられています。
しかしこれはあくまでも有力な説といったところで、まだ正確な原因についてはわかっていません。
また黄体期には血糖値の変動も大きくなり、それが眠りの質に影響を与えることもあります。
このような不眠症状の対策としては、睡眠前の過ごし方を工夫することが重要です。
カフェインの摂取やスマートフォンの使用を控え、アロマやハーブティーで心を落ち着けましょう。
毎日同じ時間に就寝・起床する習慣をつけるのも効果的です。
慢性的に不眠が続く場合は、医師に相談し適切な治療を受けましょう。
眠くなる
PMSの時期に強い眠気を感じるのは、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響によるものとされています。
プロゲステロンには体温を上げ、眠気を誘う作用があるため、月経前は日中でも眠気を感じやすくなるのです。
これにより朝起きられない、仕事中に集中できないなどの影響が出ることもあります。
月経前の時期には無理をせず、予定を詰めすぎないことが大切です。
特に車の運転や集中力を要する作業はなるべく避け、休息を優先しましょう。
どうしても日常生活に支障が出るようであれば、医療機関で相談し、専門的な治療を受けるのも選択肢の一つです。
肌荒れ・ニキビ・湿疹
月経前になると、肌荒れやニキビが急に目立つようになることがあります。
特に顎まわりに吹き出物ができたり、皮脂が過剰に分泌されてテカリや毛穴の詰まりが気になったりする方も多いでしょう。
こうした肌トラブルの原因には、エストロゲンの分泌低下が関係しています。
エストロゲンは肌の調子を整える働きを持っており、分泌量が減少すると、相対的に皮脂分泌を促す黄体ホルモンが優位になります。
そのため、肌が荒れやすくなるのです。
対策としては、まず肌を清潔に保つことが大切です。
ただし洗顔のしすぎやゴシゴシこするケアは逆効果になることもあるため、やさしく丁寧なスキンケアを心がけましょう。
また、低用量ピルの使用でホルモンバランスを安定させる方法もあります。
肌トラブルを繰り返す場合は、皮膚科や婦人科での相談をおすすめします。
だるさ・疲れ
月経前になると、何をするにも気力が出ず、だるさや疲れを訴える女性も多くいます。
睡眠をしっかりとっても疲れが抜けない、ちょっとしたことでイライラするといった症状もPMSによるものです。
これはホルモンバランスの変化によって、セロトニンやγアミノ酪酸(GABA)といった神経伝達物質の働きが乱れることが一因と考えられています。
さらにビタミン不足やカルシウム不足、血糖値の変動なども疲労感を強める要因となります。
だるさや疲れを改善するためには、日頃から規則正しい生活を心がけ、月経前には無理をせず予定を減らしてゆとりある過ごし方を意識することが大切です。
症状がつらい場合には低用量ピルや漢方薬、抗うつ薬などによる治療が有効なケースもあるため、医療機関への相談も検討してみてください。
吐き気
PMSの症状として吐き気が現れることもあります。
食欲があっても食べられない、食事の匂いで気持ち悪くなるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
原因は黄体ホルモンの影響によるものです。
このホルモンが消化器官の動きを鈍らせたり、腸の水分バランスを乱したりすることが関係していると考えられています。
吐き気があるときは無理に食べようとせず、胃に優しい食事を少量ずつ摂るようにしましょう。
学校や仕事に行けないほど吐き気が強い場合は、医師の診察を受けて吐き気止めや漢方薬、低用量ピルなどを処方してもらいましょう。
お腹が張る
月経前になると「お腹がパンパンに張る」「ウエスト周りがきつい」と感じる人も少なくありません。
原因ははっきりしていませんが、月経前に分泌量が増える黄体ホルモンの働きが関係しているとされています。
ウエストを締め付ける服を避け、ストレッチや軽い運動で腸の働きを助ける対策方法が有効です。
サプリメントや漢方薬、低用量ピルなどで症状が改善される場合もあります。
日常生活に影響を与えるほど症状が強い場合は、医師に相談してみましょう。
便秘
PMSでは便秘がちになることがあります。
黄体ホルモンの作用で腸の動きが鈍くなったり、腸の粘膜に水分が溜まりやすくなったりすることが主な原因です。
これにより腸内の便の移動が遅くなり、便秘につながります。
また便秘は肌荒れや気分の落ち込みとも関係し、PMS症状を悪化させる要因にもなります。
便秘対策としては、食物繊維を積極的に摂取し、腸内環境を整えることが大切です。
水分も十分に摂り、毎日決まった時間にトイレに行くなど排便リズムを整えましょう。
症状が強い場合には、漢方薬や整腸剤なども有効です。
慢性的に便秘が続く場合や市販薬に頼らざるを得ないような場合は、早めに医師に相談しましょう。
PMSの代表的な精神的症状の原因と対策方法

PMSの代表的な精神的症状には以下のようなものがあります。
- イライラ
- 情緒不安定
- うつ症状
- 不安感
- 無気力
ここでは上記5つの症状の原因と対策方法についてそれぞれ解説します。
イライラ
PMSの代表的な精神的症状として、多くの人が経験するのがイライラです。
普段なら気にならない些細なことに腹が立ったり、家族や同僚にきつく当たってしまったり、自分の感情をうまくコントロールできなくなることがあります。
その結果、自己嫌悪に陥ったり後悔の気持ちに苦しんだりすることも少なくありません。
このイライラの原因には、ホルモンバランスの変化が深く関係しています。
特に黄体期に分泌されるエストロゲンやプロゲステロンの急激な増減が、セロトニンやγアミノ酪酸といった神経伝達物質に影響し、感情の起伏を激しくしてしまうのです。
またビタミンやカルシウムなどの栄養素が不足することで、神経の働きが乱れやすくなるとも考えられています。
対策としては、月経周期を記録して自分の傾向を把握し、イライラしやすい時期には予定を減らして無理をしないことが大切です。
リラックスできる時間をつくり、アロマや温かいハーブティーで気分を整えましょう。
症状がつらい場合はピルや漢方薬、精神安定剤などの治療を検討するのもおすすめです。
情緒不安定
PMSで見られる情緒不安定は、感情の浮き沈みが激しくなるのが特徴です。
些細なことで急に泣きたくなったり、怒りの感情が抑えられなくなったり、感情が自分でもコントロールできなくなることがあります。
時には理由もなく落ち込んだり、逆に過剰にテンションが上がったりするなど、まるでジェットコースターのような感情の変化を感じる人もいます。
この症状の主な原因は、イライラする症状と同様に女性ホルモンの変化です。
気分転換になる趣味を取り入れたり、リラックスできる音楽やアロマを活用したりして、心の安定を図りましょう。
栄養面では、ビタミンB6、カルシウム、マグネシウムの摂取を意識してみてください。
つらい場合は婦人科などで相談し、低用量ピルや抗不安薬、漢方薬、抗うつ薬による治療も検討してみましょう。
うつ症状
月経前になると気持ちが落ち込み、何もかもが嫌になったり、涙もろくなったり、時には「生きているのがつらい」と感じることさえあります。
こうした状態は『PMDD(月経前不快気分障害)』と診断されることもあり、日常生活に大きな影響を及ぼすため注意が必要です。
このうつ症状も、ホルモンバランスの変動により、脳内のセロトニンやγアミノ酪酸(GABA)の働きが乱れることで起こるとされています。
またビタミンやミネラルの不足、血糖値の急激な変化も症状の悪化に関係するといわれています。
月経前に気分が落ち込む傾向がある場合は、あらかじめ予定を減らして無理をしない工夫をしましょう。
また軽い運動や日光を浴びることで気分転換を図るのも効果的です。
症状が深刻な場合は、婦人科や精神科で適切な治療を受けることをおすすめします。
不安感
月経前になると、原因のない不安に襲われたり、ちょっとしたことでパニックに近い状態になることがあります。
例えば「何か悪いことが起きるのではないか」「自分は何か重大なミスをしているのでは」といった強迫的な不安を感じるケースがあるのです。
こうした不安感も、ホルモンバランスの影響で自律神経が乱れることによって引き起こされると考えられています。
対策としては、ヨガや深呼吸、瞑想などで気持ちを落ち着ける習慣を取り入れるのが効果的です。
また血糖値の急激な変動を防ぐため、糖分の摂りすぎには注意し、バランスのよい食事を意識しましょう。
つらいと感じたら、ピルや抗不安薬などでの治療も可能です。
無気力
PMSでは、「やる気が出ない」「何もしたくない」といった無気力な状態に陥ることがあります。
判断力や集中力が低下し、家事や仕事、人付き合いさえも億劫に感じてしまうことも少なくありません。
無気力の原因もまた、ホルモンバランスの影響による神経伝達物質の乱れが関係しています。
さらに月経前の体調不良が精神面にも影響し、何もしたくないという感情につながることもあります。
対策としては、無理にやる気を出そうとせず、自分を責めないことが大切です。
月経前にはタスクを減らし、休息や趣味に時間を使うようにしましょう。
糖質の摂取を控える、リラックスできる習慣をつけるなども効果的です。
症状が長期間続く場合はPMDDなどの可能性もあるため、早めに医療機関へ相談してみてください。
PMSの身体的・精神的症状にお悩みの方は医療機関の受診を検討しましょう
PMSの症状は、ホルモンバランスの変化により心と体の両面に影響を及ぼします。
毎月の不調に悩まされている方は、自分の症状や周期を記録し、対策を立てることが大切です。
食生活や生活習慣の見直しが有効ですが、つらい場合は医療機関に相談することで、さらに症状を軽減できる可能性があります。
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