適応障害の復職で同じ職場に戻りたくない場合の対処法や休職中の注意点を紹介
更新日 2025年03月11日
適応障害
適応障害で休職した場合、元の職場で再び働くことがつらい・しんどいと感じるケースは多く、なかには退職を選択する人もいます。
同じ職場に復帰することを無理に選択すると、心身に大きな負担がかかるほか、適応障害が再発するリスクも懸念されるため、復職については慎重に検討することが大切です。
では、適応障害の治療から復職までの期間には具体的にどのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。
この記事では、適応障害を発症したあと同じ職場に戻りたくない場合の注意点や対処法、休職中の過ごし方などを紹介します。
適応障害から復職するのが怖いと感じている人や、同じ職場に復帰する以外の対処法を知りたい人は参考にしてください。
適応障害は同じ職場に復職したくないと感じるケースが多い

適応障害の休職期間は復職のことで頭がいっぱいになりがちですが、同じ職場に戻ることに抵抗がある人は少なくありません。
適応障害は環境や人間関係のストレスが原因で現れる症状であるため、休職後に同じ職場に戻りたくないと感じるのは自然なことです。
人によっては、職場に対して身体が拒否反応を示すことで頭痛や腹痛などの体調不良を伴う場合があります。
これらの症状の再発や職場に対して再びストレスを感じることが不安になったり、他人の目が気になったりすることで復職をためらうケースが多いです。
治療したとしても、一度でも嫌だ・合わないと感じた職場に戻ることに不安があるのは無理もありません。
ケースによっては同じ職場に復帰してその後円満に働ける場合もありますが、自分とよく相談して転職や退職を選択することも大切です。
適応障害で同じ職場に戻りたくないと感じる理由

適応障害から復職するケースでは、以下の理由から同じ職場に戻るのが嫌だと感じる可能性があります。
久しぶりの仕事がうまくできる自信がない
休職後に同じ職場に復帰すると、同じ業務内容や条件でうまく働けるか不安になるケースがあります。
単純に、久しぶりに働くことで手順や仕様を忘れてしまっている可能性もありますが、緊張からミスを繰り返してしまう場合もあります。
適応障害になりやすい人は責任感が強く、自分の仕事を完璧にこなしたいタイプの人が多いため、できないことでよりストレスを感じる可能性が高いです。
職場の人からの視線が気になる
休職明けに同じ職場に復帰することで、上司や同僚からどのような目で見られるのか不安になると、戻りたくないと感じる原因になります。
復職してからの職場には、必ずしも理解のある人のみがいるとはかぎりません。
また周囲の人が優しく接してくれても、「気を遣われている」「迷惑をかけてしまった」と思うことで再びストレスを感じる可能性があります。
適応障害の休職期間ではストレスに対する耐性や対処法を身につける必要がありますが、元々考えすぎる傾向がある人は復職後にこのような問題に悩まされやすいです。
症状が繰り返すかもしれない不安
適応障害は再発のリスクが高いため、復職後に症状が再び現れたり、悪化したりするのが不安になるケースは少なくありません。
同じ職場で働く人の理解が得られたからといって、症状が繰り返さないとは言い切れないため、ストレスの原因からは変わらず距離を置くことが推奨されます。
復職前に医師とよく相談し、ストレスへ対処するトレーニングをしっかり行うことで再発防止に努めることが大切です。
仕事中心の生活に適応できるか心配
復職すると生活リズムが大きく異なる可能性があるため、仕事中心の生活に適応できるか不安になる可能性があります。
早寝早起きを習慣づけたのに復職初日から夜勤をしたり、不眠が原因で昼夜逆転の生活をしていたのに早朝出勤のシフトを担当したりすると、心身に負担がかかります。
復職前には、シフトの調整や時短勤務など、勤務時間の配慮が可能か相談することが大切です。
適応障害で休職してから復職するまでの流れ

適応障害で休職したら、医師と相談しながら以下のステップを踏むことで復職につなげましょう。
心と身体を十分に休ませる
適応障害と診断されたら、まずはストレスの原因となる人間関係や環境から離れ、心と身体を十分に休ませましょう。
臨床心理士や公認心理師などによるカウンセリングの支援を受けながら、症状の改善を目指します。
個人差はありますが、適応障害の場合、ストレスの原因を生活から取り除くことで約6ヶ月が経過する前には症状が改善するケースが多いです。
この期間で最も大切なのは自身の回復を最優先に考えることであるため、復職を焦らず休息することに専念しましょう。
復職後のストレスへの対処法を習得する
適応障害を乗り越えるためには、ストレスに対する適応力を養うことが大切です。
現在起こっている問題とどのような症状が現れているかを整理したり、ストレスを感じる場面での思考や行動パターンを把握したりすることで、ストレス耐性の獲得を目指します。
カウンセラーと話し合いながら解決策を模索していくため、客観的な意見が聞けるほか、孤独感や不安を軽減し冷静な状態で自分を見つめ直すことが可能です。
復職に向けて生活リズムや体調を整える
復職前には、休職中に不規則になった生活リズムを改善し、体調を少しでも良い状態に整える期間が必要です。
適応障害の休職期間中は心身を休めることが第一優先であるため、昼夜逆転したり睡眠習慣が乱れたりしている人もいるでしょう。
また食事の時間がバラバラになっているケースも多いため、復職に向けて規則正しい生活習慣を取り戻すことが大切です。
生活リズムを整えるためには、起床・就寝時間や食事時間、外出時間などを記録しましょう。
自身の生活リズムを管理するとともに、職場から提出を要求された際にも役立ちます。
適応障害で休職中の注意点

適応障害の休職中は、以下の点に注意して過ごしましょう。
自分の心身のことを一番に考える
休職中は、自分の体調を回復させることを一番に考えましょう。
「会社に迷惑をかけている」「仕事をしないと収入が心配」と不安になるかもしれませんが、焦ることで回復が遅れたり、症状が悪化したりする可能性があります。
どうしても気持ちが暗くなり、何もする気力が起きないという場合は、時間を気にせず眠りたいだけ眠ることも有効です。
休職中にも関わらずどうしても仕事のことを考えてしまう場合は、無意識に忘れられるように集中できる趣味を見つけましょう。
また、身体を休めるだけが回復につながるとはかぎりません。
忙しくて行けていなかった遠方への外出や実家への帰省、気晴らしに少し運動することなどもリフレッシュにつながります。
ただし、大規模な旅行は体調不良時の対応が遅れたり、逆に疲労を溜めたりするケースがあるため注意が必要です。
精神科や心療内科からの指示に従う
適応障害で休職している期間中は、受診した医療機関で出された指示を守るようにしましょう。
休職中の過ごし方について、医師からアドバイスがあるケースがあります。
好きなことをして過ごすことは大切ですが、家で過ごす・家族と過ごすなどの具体的な指示がある場合はそれに従うことが重要です。
また、休職中は定期的にカウンセリングを受けながら経過を観察する必要があります。
自分では改善に向かっているつもりでも、再発のリスクが高い状態にある可能性があるため、医師の指示があるまでは油断しないことが賢明です。
もし指示に不満があったり、カウンセラーと合わないと感じた場合は、セカンドオピニオンとして他の医療機関を受診する選択もあります。
復職を焦らない
適応障害の治療期間中は、とにかく焦らずゆっくり病気と向き合うことが大切です。
仕事を休んでいるという事実に罪悪感を覚えるのは当然のことですが、復職に対する焦りは不安や恐怖心を煽り、適応障害の改善を遅らせる危険があります。
責任感が強い人ほどまわりに迷惑をかけることに対して罪悪感を感じ、復職を急ぐ傾向がありますが、休職が長引くほど自分を責めてしまう可能性が高いです。
仕事のことを考えないことは難しいかもしれませんが、楽しいと思えることやリラックスできることを優先してゆったりと過ごしましょう。
適応障害の復職で同じ職場に戻りたくない場合の対処法

適応障害の休職から復帰する場合に、同じ職場に戻りたくない場合の対処法を紹介します。
休職期間を延ばす
まだ復職するのが不安と感じる場合や、体調が万全ではないと思う場合は復職を急がず、休職期間を延ばすことを検討しましょう。
心身の回復が不十分だと再発のリスクが高くなり、復職することで同じ拒否反応を示すおそれがあります。
また治療を受けても症状が改善しない際は、何か他の原因が隠れている可能性があり、その場合は別の改善方法の模索が必要になります。
復職は医師が可能と判断した場合に許可が下りるため、自己判断で無理に復帰しないことが大切です。
すぐに回復しない自分を責めず、ゆっくり復職を目指しましょう。
部署異動や人員配置の変更を申し出る
仕事内容や人間関係で適応障害を発症した場合は、復職するにあたって部署異動や人員配置の変更を申し出ることで環境を変える必要があるケースが多いです。
復職後にストレスの原因から離れられる環境が整っていない場合、医師から復職の許可が下りない可能性があります。
部署異動や人員配置をしたうえで同じ職場に復帰することのメリットは、会社の特色を知った状態で働くことで一から新しいことを覚える負担がないことです。
適応障害を発症した時と同じ文化の会社の元で働くため、再発のリスクは少なからずありますが、全く同じ環境の部署に復帰するよりも賢明です。
しかし上司からのハラスメントが原因だったり、会社の理解がなかったりするケースでは、部署異動や人員配置の希望に同意してもらえない可能性があります。
その場合は、リワークプログラムやリワークセンターを利用して会社とのやり取りを仲介してもらいましょう。
転職・退職する
職場の環境や人員配置の変更ができない場合や、同じ職場にはどうしても戻りたくないと思う場合は、転職や退職を検討しましょう。
適応障害の原因となった職場に復帰するということは、さまざまな不安がどうしても解消されない状態であることが多いです。
無理に同じ職場に戻っても、時間が経過した後に再び休職する結果になってしまっては本末転倒です。
医師とよく相談して自分に合った方法で社会復帰を目指しましょう。
適応障害から復職する人が同じ職場にいる場合

適応障害から復職する人が同じ職場にいる場合、会社側や他の労働者には以下の配慮が求められます。
休職者からの配置転換希望を受け入れる
休職者からの配置転換希望がある場合、契約上可能なケースでは受け入れることが定められています。
労働安全衛生法では、労働者が働く環境に関して、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するように努めることが義務付けられています。
契約上で業務の種類や内容が限定されている場合は難しいケースもありますが、それ以外のケースで配置転換の希望を拒否すると安全配慮義務違反になる可能性があるため注意しましょう。
職場環境やサポート体制を整える
休職者の復帰に向けて、働きやすい職場環境やサポート体制を整えることが大切です。
他の労働者の配慮によって復職後にストレスが少ない環境で働けることで、適応障害の再発防止につながります。
また復職者の仕事を他の人が手助けしたり、小休憩をはさめるように取り計らったりするなど、協力と理解のある環境であれば負担も軽減します。
相談窓口を設置し、いつでも悩みを打ち明けられる工夫をするのも有効です。
まとめ
適応障害の人が同じ職場に復帰する場合の注意点や、復職が難しい場合の対処法を紹介しました。
症状の再発を防止するためには、本人の事前準備も重要ですが、職場の人の協力によって働きやすい環境を整えてあげることも必要です。
同じ職場に戻ることに抵抗がある場合は、無理をせず転職を検討することも視野に入れましょう。
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