不安障害で寝れないときはどうする?夜の不安・不眠・眠気の原因と対策を解説

更新日 2025年08月01日

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「眠りたいのに、頭が冴えて眠れない」「布団に入ると不安が押し寄せてくる」という悩みを持つ方は少なくありません。

不安障害は、心が不安定になるだけでなく睡眠にも大きな影響を与えることがあり、その原因には脳や神経の仕組みが関係しています。

この記事では、不安障害と睡眠の関係をわかりやすく解説し、夜の不安や不眠、日中の眠気への具体的な対策を紹介します。

病院に行かずにできるセルフケア方法も紹介しているため、夜に不安で眠れない方はぜひ参考にしてください。

不安障害と睡眠の関係

不安障害は心だけでなく身体の状態にも大きく影響を及ぼします

そのなかでも、眠れない、眠りが浅いなどの睡眠の問題は、日中の集中力や気力の低下が起こり、生活全体に支障が出る可能性もあります。

ここでは、不安障害がどのような病気なのか、なぜ睡眠に影響を与えるのかについて詳しく解説します。

不安障害とは?

不安障害とは、不安という感情が過剰に強くなり、日常生活に支障をきたす心の病気です。

不安症とも呼ばれ、精神的・身体的にさまざまな症状を引き起こします。

不安障害には以下のようないくつかの種類があり、それぞれに特徴的な症状があります。

種類

症状と特徴

全般性社会不安障害

理由がはっきりしない漠然と不安が長期間続く。過剰な心配により落ち着きを失い、疲れやすくなる・集中できないなどの症状が出る

社会不安障害

人前で話す、人と接するといった社会的な場面に強い不安を感じる。動悸・手の震え・顔の紅潮などの身体症状も伴う

パニック障害

突然の強い不安と恐怖(パニック発作)に襲われ、動悸・息切れ・吐き気・胸痛などの症状が現れる。発作の再発に対する予期不安によって生活が制限される場合もある

恐怖症・その他

高所や閉所、特定の動物など、特定の対象に対して強い恐怖を感じる。強迫性障害やPTSDなども不安障害に含まれる

不安障害は、精神面だけでなく、身体にも影響を与えるのが特徴です。

睡眠に影響する不安障害のメカニズム

不安障害のある方の中には、なかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める、眠りが浅いといった睡眠の問題を抱えている方も少なくありません。

特に就寝前は、静かな環境で不安感が強まりやすく、脳が興奮状態になってしまうことで、入眠が妨げられます。

不安障害での睡眠の問題では、主に以下のような症状が現れることがあります。

全般性不安障害

就寝中も不安が頭から離れず、入眠困難や浅い眠りが続く傾向

パニック障害

夜間に発作が起こる場合がある。予期不安によって睡眠に恐怖を感じることもある

社会不安障害

翌日に人前に話す予定があると強い緊張を感じる。眠れなくなるケースも

睡眠と不安は密接していて、悪循環に陥ることもあります。

不安と睡眠不足の悪循環は、以下のようなかたちで起こりやすいです。

  • 不安が脳を興奮状態にして眠れなくなる
  • 睡眠不足により脳の感情コントロール力が低下
  • さらに不安を感じやすくなる
  • 夜になるとまた眠れなくなる

この悪循環には脳の偏桃体という部位が関わっています。

偏桃体は恐怖や不安を処理する場所で、睡眠不足によってその活動が過剰になりやすくなり、不安障害の症状をより強める可能性があります。

不安障害は睡眠の質や時間に大きな影響を及ぼし、心身ともに疲弊させてしまいます。

睡眠トラブルが続く場合は、早めの対処や専門医の相談が重要です。

不安障害で眠いのに寝れない理由とは?

眠いのに布団に入ると眠れなくなったり、疲れているのに布団に入ると頭が冴えてしまうといった症状は不安障害でよく見られます。

不安が強くなると、脳や神経が休まらず、心身のスイッチがオフに切り替わりにくくなります。

さらに、夜の静けさや暗さが不安感を高めてしまうこともあり、身体は疲れているのに眠れない状態になってしまうのです。

ここでは、不安障害の方が眠いのに眠れない理由を、脳と自律神経の仕組み、そして夜特有の心理的な作用から解説します。

身体は疲れているのに脳が休まらないため

身体は疲れているのに、布団に入ってもなぜか眠れないという経験を持つ方は少なくありません。

この状態には、脳と自律神経のはたらきが大きく関わっています。

通常、夜になると副交感神経が優位になり、心身はリラックスモードに切り替わります。

しかし、不安障害があると、心配事や緊張感によって交感神経が働き続け、脳が休息に入る準備ができないのです。

結果として、身体は疲れているのに脳だけが覚醒したままの状態が続き、眠いのに眠れないという状況になります。

また、夜は日中と比べて外部からの刺激が少なくなるため、思考が内側に向きやすくなります。

昼間は気にしなかったような悩みや過去の失敗、将来への不安などを考え出してしまい、ますます眠りづらくなるという場合もあります。

布団に入ると不安になるのはなぜ?

昼間は何も感じないのに夜になると心がざわざわする、布団に入ると急に不安や焦りが出てくるといった経験は、不安障害を持つ方以外でも起こることです。

特に感受性が高い方や日中過度な緊張やストレスを感じている方は、夜になって頭の中に意識が集中しやすくなることで、不安や後悔が浮かびやすくなる傾向があります。

日中は脳内のセロトニン(気分を安定させる物質)が多く分泌され、夜はメラトニン(眠気を促すホルモン)が増えていきます。

しかし、不安を感じやすい人はセロトニンの分泌が少なく、夜に気分の落ち込みや漠然とした不安感が強まりやすくなる傾向があります。

さらに、夜はスマホや会話といった外部の情報が少なくなる時間で、脳がフリーな状態になることで過去の失敗や未来の不安を考えてしまいがちです。

この時、脳は実際に起こっている不安と想像上の不安を区別せず心拍が上がる・緊張状態になるなどの症状が現れる傾向が強まります。

こうした状態は予期不安と呼ばれ、不安障害の症状のひとつです。

昼間の眠気と不安障害の関係

不安障害の症状では、夜間の不眠だけでなく、日中の強い眠気や集中力の低下も挙げられます。

ここでは、睡眠不足が与える影響と、不安障害がもたらす日中の眠気・ぼーっとする理由について詳しく解説します。

睡眠不足による眠気

日中に強い眠気を感じる原因のひとつは、慢性的な睡眠不足です。

睡眠には、心身の疲労回復や自律神経のバランスを整える役割がありますが、必要な睡眠時間が確保できない状態が続くと以下のような症状が起こります。

  • 集中力の低下
  • ミスの増加
  • 感情の不安定

このような症状により、日常生活にさまざまな支障をきたす可能性があります。

特に、不安障害のある方は夜間に寝付けない、眠りが浅い、途中で目が覚めるといった睡眠の質の低下が起こりやすく、十分な休息がとれない場合があります。

その結果、たとえ布団に入っている時間が長くても、脳や体が回復せず、翌日の日中に眠気を強く感じやすくなるのです。

不安障害が原因で日中もぼーっとする理由

不安障害があると、日中も脳が緊張や警戒モードのままになり、心が常に張り詰めたような状態になります。

この状態が長く続くと、脳のエネルギー消耗が激しくなり、結果的にぼーっとしたり、頭が働かなくなったりする症状が出やすいです。

また、抗不安薬や睡眠導入剤を服用している場合、副作用として眠気が現れることもあります。

特に、薬の種類や体質によっては、朝まで眠気が残る残存効果が生じ、仕事中や家事の途中でも眠気に襲われることもあるかもしれません。

車の運転や危険を伴う作業を行う方は、服用のタイミングや薬の種類について医師とよく相談することが大切です。

不安障害による夜の不眠・眠気に対する治療法

不安障害による不眠や眠気には、症状の背景を見極めたうえで適切な治療を行うことが重要です。

ここでは、病院での治療の中心となる認知行動療法と薬物療法について紹介します。

認知行動療法

認知行動療法とは、不安や不眠の背景にある思考パターンや行動習慣を見直す治療法です。

不安や不眠につながる思考の癖や誤った前提を認識し、現実的な思考に修正していくことで、根本的な改善を目指します。

不眠に対する認知行動療法は、毎日の睡眠を記録し、刺激制御法や睡眠制御法などの技法を合わせて睡眠の質の改善を図ります。

薬に頼らず、根本から改善を目指せることが認知行動療法の大きなメリットです。

効果が出るまでに時間はかかりますが、継続的に取り組むことで長期的な改善が期待できます。

抗不安薬・睡眠導入剤

症状が強い場合や、生活に大きな支障が出ている場合は、薬物療法が有効になることもあります。

不安障害で眠れない時に使われる薬は一般的に抗不安薬や睡眠導入剤などです。

抗不安薬は、緊張・不安・イライラといった心理的な高ぶりを鎮める作用があり、即効性があるため、一時的な症状を抑えるために使われます。

一方で、眠気や注意力の低下といった副作用もあるため、処方された用法用量を守り、運転や危険作業などは控える必要があります。

睡眠導入剤は入眠を助けたり、夜中の覚醒を減らす目的で使用されます。いくつかの種類がありますが、いずれも一時的な補助として使うことが推奨されます。

抗不安薬や睡眠導入剤には依存性があるため、自己判断での服用や中断は避け、必ず医師の指導のもとで使用してください。

自宅でできる不安・不眠のセルフケア

夜になると不安が増し、眠ろうとしても眠れない時は、自分でできる対処法を試すことをおすすめします。

特別な場所や道具は必要なく、今日から実践することができます。

リラックス呼吸法

不安による緊張をほぐし、眠りにつきやすくするのに有効といわれるのは腹式呼吸です。

呼吸に意識を向けることで無駄なことを考えなくなり、自律神経のバランスを整える効果があります。

腹式呼吸のやり方は以下のとおりです。

  1. 仰向けに寝て、肩の力を抜いてリラックスする
  2. 口からゆっくりと息を吐き、お腹をへこませる
  3. お腹を膨らませるイメージで鼻から息を吸う

吸う時間の倍程度の長さを意識してゆっくりと息を吐き出す

この呼吸を3~5分ほど続けると、副交感神経が優位になります。

眠れない時には無理に寝ようと思うほど目が冴えてしまうため、無理に眠ろうとせず落ち着くことに意識を切り替えることが大切です。

生活習慣の見直し

眠りやすい身体と心を作るには、日常生活のリズムを整えることが大切です。

特に重要だと言われているのが起床時間と入眠時間を毎日同じにすることで、このことにより体内時計が安定し自然な眠気が訪れやすくなります。

日中の運動も効果的で、ウォーキングやストレッチ・ヨガなどの軽めの運動を取り入れることで、心身が適度に疲れて夜の眠気が引き出されます。

食生活に関しては、カフェインやアルコールの摂取には注意が必要です。

午後以降は緑茶・コーヒー・エナジードリンクなど覚醒作用のある飲み物は避けましょう。

寝る前に不安になるのを和らげる習慣づくり

夜になると不安や考え事が頭を占めてしまう方も少なくありません。

そんな時は夜を不安にさせないよう、以下の準備を日中から整えておきましょう。

  • スマホやパソコンの使用は就寝1時間前にやめる
  • 心が落ち着く音楽やアロマを取り入れる
  • ストレスを感じた出来事はメモ帳などに書き出して頭の外に出す

また、気持ちが過敏になりやすい方は刺激の少ない本を読むのも有効です。興味を引きすぎるジャンルではなく、ゆったりとした気持ちで読めるものを選びましょう。

眠れない夜の過ごし方

どれほど工夫しても眠れない夜はあるかもしれません。そんな時は無理に寝ようとするのではなく、一度ベッドから離れることも大切です。

例えば、以下のような行動を試してみましょう。

  • 暗く静かな別の部屋で軽くストレッチをしたり本を読む
  • 白湯を一杯飲んで気持ちを落ち着ける
  • 自分に「眠れなくても大丈夫」と許可を出す

これらの行動を行い、ベッド=眠れない場所という思い込みを植えつけないようにすることが大切です。

不安障害の睡眠トラブルは自分を責めずに専門医も頼ろう

不安障害は心だけでなく身体にも影響を与え、睡眠トラブルを引き起こしやすい疾患です。

不安が高まる夜には脳が過剰に覚醒し、眠気があっても眠れないという悪循環に陥ることもあります。

生活習慣の見直しやリラックス法などのセルフケアを取り入れて、眠れない自分を責めずに過ごすことが大切です。

それでも不眠や不安が続く場合には、専門医による治療を検討してみましょう。

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