子供の爪噛み癖の原因は?治すための対処法について解説

更新日 2025年06月03日

児童精神科
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子供が無意識に爪を噛む姿を見て、「やめさせたいけどどうすればいいのかわからない」と悩む保護者は少なくありません。

爪噛みは一見すると些細な癖に思えるかもしれませんが、放置することで身体や心に悪影響を及ぼす可能性もあります。

この記事では、子供の爪噛み癖の原因について詳しく解説します。

子供の爪噛み癖を放置するリスクや、やめさせるための具体的な対処法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

子供の爪噛みの原因

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子供が爪を噛む行為には、さまざまな心理的・性格的背景があります。

日常生活の中で感じているストレスや不安、退屈といった感情が関係していることが多いです。

爪噛みは無意識のうちに行われることが多く、周囲の大人が気づいたときにはすでに習慣化しているケースも珍しくありません。

子供の爪噛みの主な原因として、以下の3つが挙げられます。

  • ストレス・緊張・不安からくるもの
  • 几帳面な性格からくるもの
  • 退屈しのぎからの癖

ここでは上記3つの原因についてそれぞれ解説します。

ストレス・緊張・不安からくるもの

子供の爪噛みの原因として最も多いのが、ストレスや不安、緊張といった心理的な要素です。

例えば幼稚園や学校での人間関係、習い事のプレッシャー、家庭内での兄弟との関係など、子供なりに抱える悩みやストレスは少なくありません。

こうした感情を自分の中でうまく処理できないと、無意識のうちに手元に意識が集中し、爪を噛むことで安心感を得ようとする行動につながります。

特に環境の変化があったときや、叱られた直後、緊張する場面に直面した際に爪を噛む傾向が強く見られます。

このような場合、まずは子供が抱える不安の原因を見極め、安心できる環境を整えることが大切です。

必要であれば、カウンセリングなどの専門的な支援を検討するのも一つの方法です。

几帳面な性格からくるもの

几帳面な性格の子供は、爪の小さな欠けやささくれが気になり、無意識にそれを整えようとして噛んでしまうことがあります。

このタイプの子供は身だしなみや持ち物の整理にもこだわりが強く、細かい部分にまで目が行き届く傾向があります。

そのため、ほんの少しの不完全さにも敏感に反応し、自分で修正しようとする行動が癖となって現れるのです。

また完璧を求めすぎる傾向もあり、精神的に緊張状態が続いてしまうことで爪噛みが助長されることもあります。

このような場合は、爪切りや保湿ケアなど、爪の健康を保つための習慣を一緒に身につけると良いでしょう。

また「完璧でなくても大丈夫」という安心感を伝えることが、過度なこだわりを和らげる助けになります。

退屈しのぎからの癖

子供は退屈を感じると、手持ち無沙汰を解消するために無意識に爪を噛んでしまうことがあります。

例えばテレビを見ているときや勉強中、待ち時間など、何もすることがなく暇を感じる場面で癖が出やすくなります。

このような爪噛みは、特定の感情に起因するものではなく、単に『癖』として習慣化されているケースが多いです。

一度癖になると、本人も気づかないうちに繰り返してしまい、やめるのが難しくなります。

このような場合は、手遊びグッズやストレスボールなど代替行動を与えるのも効果的です。

また時間を区切って一緒に遊んだり、集中できる遊びや学びの時間を用意することで、無意識の癖を予防することができます。

癖を叱るのではなく、環境を工夫して自然と行動を減らすようにしましょう。

子供の爪噛み癖を放置するリスク

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子供の爪噛みは、一見すると些細な癖に思えるかもしれませんが、放置してしまうと身体面・健康面の両方にさまざまな悪影響を及ぼすおそれがあります。

子供の爪噛み癖を放置するリスクは以下の4つです。

  • 爪や指から出血する
  • 雑菌の侵入によって感染症や病気にかかる
  • 爪や指が変形してしまう
  • 歯並びや噛み合わせに異常が出る

ここでは上記4つのリスクについてそれぞれ解説します。

爪や指から出血する

爪を何度も噛むことで、皮膚や甘皮部分が傷つき、出血を繰り返すようになります

特に爪の縁は皮膚が薄く敏感なため、少しの刺激でも裂けたり、出血したりしやすい部位です。

子供は痛みを感じていても無意識に繰り返してしまうことが多く、気づかないうちに悪化していることもあります。

傷ができるとその部位を気にしてさらに触ってしまい、傷口の回復が遅れるという悪循環に陥ることもあります。

ひどい場合には肉芽が形成されたり、腫れや赤みが続いたりすることもあり、皮膚科での処置が必要になることもあるため注意が必要です。

こうした事態を避けるためにも、爪噛み癖が見られた時点で早めに対処することが大切です。

雑菌の侵入によって感染症や病気にかかる

爪の周囲は雑菌が繁殖しやすい場所です。

噛むことで小さな傷ができ、そこからばい菌が侵入すると、腫れや膿を伴う感染症を引き起こす危険性があります。

悪化すると皮膚科での切開や抗生物質の処方が必要になることもあり、子供にとって大きなストレスになります。

また指先を口に入れることで風邪や胃腸炎、インフルエンザなど、口から入る感染症のリスクが高まる点にも注意が必要です。

子供は免疫力が不安定なため、ちょっとした感染が重症化する恐れもあります。

衛生面の観点からも爪噛みは早急に対策すべき行動といえるでしょう。

爪や指が変形してしまう

爪噛みを長期間続けていると、爪そのものの形や指先の骨の成長に影響を与えることがあります。

爪が削れて根元が傷つくことで、爪先が丸く尖ったり爪が正常に成長しなくなったりすることがあるのです。

爪や指の変形は元に戻らないケースもあるため、注意が必要です。指先の明らかな変形は、本人のコンプレックスになってしまう可能性もあります。

日頃から注意深く観察し、必要に応じて医師に相談しましょう。

歯並びや噛み合わせに異常が出る

爪を頻繁に噛むことで、口の中にも悪影響が及びます。

特に乳歯から永久歯への生え変わり時期に爪噛みが習慣化していると、出っ歯(上顎前突)や受け口(反対咬合)、前歯がかみ合わない(開咬)などの異常が出る原因となります。

また噛み合わせが悪くなることで、食べ物をうまく噛めない、発音が不明瞭になる、あごの成長に偏りが出るなどの問題も引き起こしかねません。

歯列矯正が必要になるケースもあり、精神的・経済的な負担も大きくなります。

日々の習慣が将来に大きな影響を与えることを考えると、子供の頃の小さな癖でも見逃さず、早めに改善する取り組みがとても大切です。

子供の爪噛みは叱ると逆効果になることもある

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子供が爪を噛んでいるのを見て、思わず「やめなさい」と強く叱ってしまうことは多いかもしれません。

しかし爪噛みは無意識のうちに行われていることが多い行動であり、感情の不安定さやストレスを和らげるための手段でもあります。

そこで叱られてしまうと、子供は恥ずかしさや罪悪感を覚えたり、かえってストレスが増してしまうことがあります。

その結果、爪噛みがさらに悪化したり隠れてこっそり噛むようになったりと、問題の本質が見えづらくなってしまうのです。

大切なのはなぜ爪を噛むのかという原因に目を向けて、子供の気持ちに寄り添うことです。

叱るのではなく、安心できる環境を整え、優しく声をかけながら少しずつ癖を改善していくようにしましょう。

子供の爪噛みをやめさせるための対処法

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子供の爪噛みをやめさせるには、「噛んではダメ」と強制するだけではよくありません。

大切なのは子供がなぜ爪を噛んでしまうのかという原因に目を向け、それに合わせた対応を取ることです。

子供の爪噛みをやめさせるための対処法として、以下の7つが挙げられます。

  • 常に爪を短く切っておく
  • 爪を噛みそうになったら別の行動を促す
  • 別の習慣に置き換える
  • リラックスできる環境を作る
  • 爪噛み防止専用のマニキュアを塗る
  • ハンドクリームを塗る
  • ひどい場合はかかりつけ医に相談する

ここでは上記7つの対処法についてそれぞれ解説します。

常に爪を短く切っておく

子供の爪噛みをやめさせる方法の基本として、常に爪を短く切っておくことが挙げられます。

長く伸びた爪は噛みやすく、ささくれや欠けなどのきっかけが生まれやすいため、無意識のうちに口へ手が伸びてしまいます。

爪を定期的に短く整えて噛む対象そのものを減らすことで、爪噛みの予防につながるでしょう。

また爪の手入れを親子で一緒に行うことは、子供の衛生意識や自己管理の力を育む機会にもなります。

爪切りのあとに保湿ケアをしたり、可愛いネイルシールを貼るなど、楽しい時間にすることで「手を大切にする気持ち」が自然と芽生えやすくなるでしょう。

注意点としては、深爪にならないよう適度な長さを保つことと、ささくれを見つけたらすぐにケアすることです。

こうした小さな積み重ねが、爪噛みの習慣改善につながります。

爪を噛みそうになったら別の行動を促す

子供が爪を噛もうとしたときには、すぐに注意するのではなく、そっと別の行動に誘導するのが効果的です。

例えば「このおもちゃで一緒に遊ぼう」などと声をかけて、自然な流れで手の動きを変えることで、爪を噛むきっかけを減らすことができます。

大切なのは否定するのではなく、気をそらす方法で行動を切り替えることです。

繰り返すうちに、子供自身も「噛みたくなったら別のことをする」というパターンを覚えていきます。

また絵を描く、折り紙を折る、粘土遊びをするなど、手を使う遊びを増やすのも効果的です。

このように代替行動を用意しておくことで、無理なく癖を減らしていくことができます。

別の習慣に置き換える

爪噛みをやめさせるには、代わりとなる「ポジティブな習慣」に置き換える方法が効果的です。

例えばストレスが原因の場合は、深呼吸やぬいぐるみを握るなどのリラックス行動を日常に取り入れることで、気持ちを落ち着ける別の手段を教えてあげることができます。

また手遊びグッズやストレスボールを使わせるのも一つの方法です。

几帳面な性格で爪の状態が気になる子供には、爪や手のケアに意識を向けさせて「手を大切にする」意識に変えることも効果的です。

習慣の置き換えには時間がかかりますが、子供が自分で選んで実践できるようサポートしながら、焦らず取り組んでいきましょう。

リラックスできる環境を作る

子供の爪噛みの多くは、ストレスや不安、緊張などの心理的要因からくるものです。

特に環境の変化や家庭内のトラブル、学校での人間関係などが背景にあることも少なくありません。

そうした場合は、まず子供がリラックスできる環境を整えることが大切です。

ゆったりとした時間を一緒に過ごしたり、話を聞いてあげたりするだけでも、子供の心は安定しやすくなります。

またぬくもりのある照明、落ち着いた音楽、アロマなどを取り入れて、安心感のある空間づくりをするのも一つの方法です。

爪噛み防止専用のマニキュアを塗る

爪噛みの対策として、爪噛み防止専用のマニキュアを使う方法も効果的です。

苦味によって爪を口に入れたときに不快感を覚え、自然と爪噛みを避けるようになります。

特に、習慣として爪を噛んでいる場合や無意識に行っている子供に対しては、行動を抑制する手段として有効です。

ただし子供によっては苦味に慣れてしまったり、無理にやめさせようとしてストレスが増すこともあるため、無理なく取り入れるのがポイントです。

また使用前には必ず成分を確認し、アレルギーの有無や肌に合うかどうかもチェックしておきましょう。

ハンドクリームを塗る

ハンドクリームをこまめに塗ることも、爪噛み予防に効果があります。

特に乾燥やささくれがきっかけで爪を噛む子供には、保湿ケアが非常に有効です。

ハンドクリームは市販の子供用や低刺激のものを選び、寝る前や外出後などに習慣として取り入れるとよいでしょう。

また香り付きのものを使えば、リラックス効果や気分転換にもつながります。

さらに親子で一緒にハンドケアを行うことで、手を大切にする意識を育てられるでしょう。

ひどい場合はかかりつけ医に相談する

爪噛みが長期間続いたり出血や炎症を繰り返すほど悪化している場合には、無理に家庭内だけで対処しようとせず、かかりつけ医に相談することが大切です。

特に爪の変形や指の腫れ、痛みを訴えるような状態であれば、早めの受診が必要となります。

また心理的な要因が強いと感じる場合には、心療内科で相談するのも一つの方法です。

子供の爪噛みは爪の形や歯並びへの悪影響があるため早めの対策を

子供の爪噛みは、ストレスや不安、性格的な傾向など、さまざまな要因から生まれる行動です。

放置すれば、爪や指の変形、感染症、歯並びへの悪影響といったリスクを招くおそれがあります。

爪噛みをやめさせるには、叱るのではなく、子供に寄り添った対応を行うことが大切です。

爪噛みがなかなかやめられない場合や心理的な要因が強い場合は、必要に応じてかかりつけ医に相談し、無理なく改善を目指しましょう。

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