うつ病と耳鳴りの関係は?心と身体のつながりや対策を解説
更新日 2025年06月26日
うつ病
うつ病と耳鳴りは一見関係がないように思えるかもしれませんが、実際に同時に発症したり、互いに影響し合ったりするケースがあります。
うつ病の身体症状のひとつとして耳鳴りが現れることもあれば、耳鳴りが長期化して不安や抑うつ状態を招くこともあるため、心当たりがあれば注意が必要です。
耳鳴りは日常生活や睡眠、仕事などに支障をきたしやすい症状です。
もし、「この耳鳴りは少しおかしいかも」と思ったら、うつ病を含めた原因を考えると、異常があった際、早期の治療に役立ちます。
この記事では、うつ病と耳鳴りの関係や主な原因、治療法、困った時に相談できる窓口などについて紹介します。
うつ病と耳鳴りの関係性

うつ病と耳鳴りは、場合によっては深く関わっていることがあります。
ここでは、うつ病に伴う耳鳴りの特徴や悪化の仕組み、精神的な負担、うつ病の他症状と耳鳴りが同時に現れるケースについて紹介します。
うつ病が原因の身体症状としての耳鳴り
うつ病は自律神経のバランスに影響を及ぼしやすく、その結果、身体症状として耳鳴りを起こす場合があります。
自律神経の乱れによって、耳の神経にも影響が波及し、耳鳴りが生じやすくなるためです。
実際に、精神的なストレスや強い不安を抱えると耳鳴りを感じる人もいます。
また、耳鳴りを訴える患者さんの中には、うつ病や不安障害などを抱えているケースも少なくありません。
特に、強いストレスや気分の落ち込みが続くと、耳鳴りをはじめとする身体症状が表面化しやすくなります。
耳鳴りは気になりやすく、日常生活の質を下げる恐れがあります。
精神的な負担を増やす悪循環を招く可能性もあるため、心当たりのある人は受診をおすすめします。
耳鳴りがうつ病を悪化させる仕組み
耳鳴りが続くと、寝つきが悪くなったり熟睡できなかったりなどの睡眠障害を起こしやすくなり、うつ病の症状を悪化させる恐れがあります。
また、睡眠障害のほか、以下のような悪影響も懸念される症状です。
- 耳鳴りそのものが慢性的なストレスになる
- 気分の落ち込み
- イライラ、不安感が強まる など
このほか、耳鳴りに意識が集中してしまうことでリラックスできなくなり、ストレス耐性も下がりかねません。
ストレスが蓄積すると自律神経の乱れが進み、さらに耳鳴りやうつ症状が悪化するケースもあるため、「耳鳴り程度なら我慢しなきゃ」と考えず、心療内科で相談してください。
耳鳴りに悩む人が抱える心理的負担
耳鳴りが続くことで「このまま治らないのでは」という強い不安や、他人に理解されにくい孤独感が生まれやすくなるケースもあります。
また、耳鳴りを我慢し続けることでストレスがたまり、気分の落ち込みやイライラが強くなることも多いです。
このような心理的負担が積み重なると、社会生活や家庭生活に影響が出る恐れもあるため、早めの受診と治療は欠かせません。
しかし、うつ病は患者さん自身が誰にも相談できずに悩みを抱え込むことも多く、治療のスタートが遅れることもあるため、周囲の観察や理解、支援も大切です。
耳鳴りとうつ症状が同時に現れるケースも
耳鳴りと抑うつ症状が同時に現れるケースは少なくありません。
例えば、ストレスや生活環境の変化などが引き金となり、耳鳴りとうつ病が同時に発症することがあります。
このような場合、耳鳴りだけではなく気分の落ち込みや意欲低下、不安感も強くなりやすいです。
複数の症状が重なることで日常生活への影響が大きくなり、生活に悪影響が出る恐れもあります。
また、慢性的な耳鳴りが続くと、精神的な安定を損ないやすく、結果としてうつ症状が長引いてしまいかねません。
生活の質や心身の健康を守るためにも、耳鳴りに気付いたら早めの受診を検討してください。
耳鳴りとうつ症状で受診するべき診療科は?

うつ病が関係すると考えられる耳鳴りの悩みが続く場合、心療内科と耳鼻咽喉科の両科を受診します。
耳鼻咽喉科で「身体的な異常が見つからない」、または「精神的ストレスやうつ、不安などのメンタル状態が強く影響している可能性がある」と判断された場合には、心療内科や精神科へ紹介される流れが多いです。
また、先にうつ病の治療をしている場合、心療内科から耳鼻咽喉科へ行くケースもあります。
複数の診療科が連携して診ることで、耳鳴りの原因が身体的なものか、あるいは心理的な要素が大きいのかを多方面から評価できるため、治療の幅も広がります。
特に、うつ病が原因の耳鳴りが長期化し、生活の質が低下している場合は、耳鼻科と心療内科・精神科など複数の専門家の意見を聞きながら治療方針を決めることも少なくありません。
ひとつの診療科による診断や治療に行き詰まりを感じているのであれば、複数科の受診も検討してください。
耳鳴りの主な原因とメカニズム

耳鳴りにはさまざまな原因があり、年齢や体質、生活習慣、ストレスなどが関係しています。
ここでは、耳鳴りの定義や分類、加齢や聴力低下、ストレスや自律神経、薬剤や生活習慣による影響などについて紹介します。
耳鳴りの定義や分類
耳鳴りとは、外部から音がしていないにもかかわらず自分だけに聞こえる音を指し、「自覚的耳鳴り」と「他覚的耳鳴り」に分類されます。
自覚的耳鳴りは本人だけが感じるもので、耳の異常やストレスなど、多くの原因が考えられます。
一方、他覚的耳鳴りは医師など第三者が聴診器などを用いて診察し、音として確認できるもので、血管の異常や筋肉の痙攣などが原因であることが多いです。
耳鳴りは高齢者だけでなく、若い世代でもストレスや睡眠不足が続くと感じやすくなります。
特に自覚的耳鳴りは原因が多様であり、加齢や騒音環境、疾患、精神的な影響などが重なり合うことも珍しくありません。
加齢や聴力低下による耳鳴り
加齢や疾患などによる聴力の低下も、耳鳴りに関係していることがあります。
年齢を重ねることによる内耳の細胞の減少は、聴力が低下する原因です。
その結果、脳が聞こえにくい部分を補おうとする働きによって、脳が活動する音そのものが耳鳴りとなって聞こえるようになります。
難聴が進行すると耳鳴りも強く感じる傾向があり、日常生活に支障が出るケースも少なくありません。
また、高齢者だけでなく、若い人でも聴力が低下すると耳鳴りが起こることがあります。
代表例として突発性難聴やメニエール病があり、うつ病だけではなく、それぞれの疾患に心当たりのある人は、耳鳴りが気になる時には受診したほうがよいでしょう。
ストレス・自律神経と耳鳴りの関係
ストレスや自律神経の乱れは耳鳴りで起きた際に注目される原因のひとつです。
強いストレスを受けると交感神経が過剰に働き、血流や神経のバランスが崩れやすくなります。
これにより、耳周辺の血流が悪くなり、耳鳴りを感じやすくなるという仕組みです。
また、不安や精神的な緊張が続くと耳鳴りが強く感じられる場合があり、夜間や静かな場所で特に気になることもあります。
自律神経の乱れは、生活リズムの乱れや慢性的な疲労、睡眠不足によっても引き起こされます。
耳鳴りがストレスを増幅させ、さらに自律神経が乱れるという悪循環に陥ることもあるため、ストレスや自律神経のケアは積極的に行いましょう。
薬剤や生活習慣による耳鳴りも
耳鳴りが気になる場合、服薬している薬や生活習慣についても考えてみましょう。
例えば、以下のような特定の薬を服用している場合、耳鳴りがすることがあります。
- アミノグリコシド系の抗生物質
- 利尿剤
- 抗がん剤 など
また、日常的な生活習慣が関わるケースもあり、特に以下のようなことに心当たりがある場合は注意が必要です。
- 騒音環境での生活
- 長時間のイヤフォン使用
- 睡眠不足
- 過度の飲酒
- カフェイン摂取 など
このようなことも耳鳴りのリスクを高めます。
薬が関わる耳鳴りについては、服用中の薬について医師に相談することも重要です。
耳鳴りの検査方法や治療方法

耳鳴りとうつ病が関係している場合、両方の症状に適切な治療を行う必要があります。
ここでは、耳鳴りが出た時の検査や診断方法、治療方法、日常生活の工夫などについて紹介します。
耳鳴りの検査と診断の方法とは
耳鳴りの診察は耳鼻咽喉科で行われ、問診による症状の確認からスタートします。
主な確認事項は以下になるため、「いつから」「どのような状態か」など、説明できるようにしておくと検査をスムーズに進めやすいでしょう。
- 発生時期
- 音の大きさ
- 片耳か両耳か
- 難聴やめまいの有無 など
その後、音の聞こえを調べる標準純音聴力検査、耳鳴りの大きさを調べる耳鳴検査など、複数の検査が続きますが、必要に応じてX線やCT、MRI検査なども行われることがあります。
このような検査を通して、耳鳴りがどの部位由来か、中耳・内耳・神経・脳などの異常の有無を総合的に判断します。
薬物療法
耳鳴りの症状が確認され、原因疾患がある場合には、疾患に対応する薬が処方されます。
例えば、急性中耳炎など中耳疾患が原因の時には炎症を抑制する薬を、メニエール病や突発性難聴が関与している場合は血流改善薬やステロイド投与が一般的です。
また、耳鳴りによる不安や睡眠障害には、抗不安薬のようにストレスを軽減させる薬などが用いられるケースもあります。
薬物療法は医師の判断で症状に合わせて組み合わせられ、副作用や相互作用に注意しながら進められます。
うつ病と関係している耳鳴りの場合、心療内科と耳鼻咽喉科との連携で治療が進められることも多いです。
カウンセリングや心理療法
耳鳴りの苦痛は、音そのものよりも「不安」「イライラ」「落ち込み」などの精神的な反応で強くなることも多いです。
専門家によるカウンセリングや認知行動療法(CBT)、耳鳴り再訓練療法(TRT)のような心理療法は、このような気持ちを和らげるために役立ちます。
それぞれの治療では以下のような効果が期待できます。
治療法 | 概要 |
---|---|
カウンセリング | 耳鳴りによる不安や悩みについて専門家と話し合い、気持ちの整理や前向きな対応を目指す心理的サポート。 |
認知行動療法(CBT) | 耳鳴りへの否定的な考えや不安を整理し、気にしすぎない状態を目指す心理療法。 |
耳鳴り再訓練療法(TRT) | 環境音やホワイトノイズなどを流し、耳鳴りに慣れていく訓練とカウンセリングを組み合わせた心理療法。 |
カウンセリングや心理療法は、専門家の支援を受けながら継続することで、耳鳴りによる精神的な負担を軽減しやすくなります。
日常生活の工夫とセルフケア
耳鳴りやうつの症状を和らげるためには、日常生活でのセルフケアもおすすめです。
以下のようなセルフケアをできる範囲で取り入れてみましょう。
セルフケアの工夫 | 内容 |
---|---|
音楽を活用する | 静かな環境では耳鳴りが目立ちやすいため、寝室で環境音や音楽を流す。 日中はBGMを活用。 |
耳を守る | 耳栓やイヤーマフを使用。 |
耳鳴りへの不安を和らげる | 医師の説明を聞き、「耳鳴りで聴力が悪化することはない」と理解する。 |
生活リズム・運動習慣の見直し | 規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動で血行促進や内耳の代謝をサポート。 |
ストレスをためない | 十分な休息や睡眠、リラクゼーションを取り入れる。 |
刺激物を控える | カフェイン・アルコール・ニコチンは摂り過ぎに注意。塩分過多も注意。 |
このようなセルフケアは、すぐに効果が出にくいこともありますが、心療内科や耳鼻咽喉科での治療を並行して取り入れながら積み重ねていきましょう。
耳鳴りは我慢せずに相談がおすすめ
耳鳴りとうつ症状は互いに影響し合いやすく、日常生活や心身の健康に負担をかけることが多いです。
耳鼻咽喉科や心療内科など、適切な診療科での受診や検査で原因を特定し、治療していくことをおすすめします。
医療機関での治療のほか、セルフケアや日常の工夫も取り入れていきましょう。
地道な積み重ねで、耳鳴りや心の状態が気になりすぎない生活へ近付くでしょう。
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