うつ病の倦怠感の対処法は?症状が続くときの原因も解説
更新日 2025年03月11日
うつ病
うつ病は気分が深く落ち込んだ状態が長期間続く病気で、精神的な症状だけでなく、身体的な症状が現れることもあります。
身体的な症状にもさまざまなものがありますが、中でも悩む方が多いのが疲労感や倦怠感です。
この記事では、うつ病の倦怠感の対処方法について解説します。
倦怠感を感じる原因や倦怠感が治らない要因などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
うつ病とは?主な症状は抑うつ気分や倦怠感など

うつ病にはさまざまな症状がありますが、主な症状として以下が挙げられます。
• 抑うつ気分
• 興味・関心の減退
• 思考障害
• 睡眠障害
• 疲労感・倦怠感
• 自律神経の乱れ
• 食欲の変化
• 身体の痛み
ここでは上記8つの症状についてそれぞれ解説します。
抑うつ気分
うつ病の主な症状は抑うつ気分です。
「気分が沈む」「気分が滅入る」などの気持ちが落ち込んだ状態が長期間続くのがこの病気の特徴です。
抑うつ気分では喜びや楽しみといった感情を感じられなくなり、興味や関心が失われていきます。
さらにそれだけでなく、悲しさや寂しさ、孤独感、無力感といったネガティブな感情を抱きやすくなります。
興味・関心の減退
うつ病になると気分が沈んだ状態が続き、以前まで好きだったものや趣味に対しても興味や関心が失われてしまいます。
「やる気が起こらない」「何もやりたくない」と感じる方も少なくありません。
友達との遊びや趣味に対する興味・関心が失われるだけでなく、テレビを見たり入浴したりといった日常の事柄に対してもやる気が起きなくなる場合もあります。
思考障害
うつ病では思考障害が起こることがあります。
これは思考の働きが鈍くなり、「頭が働かない」「集中できない」「物事の決断ができない」といった自覚症状が現れるものです。
うつ病の発症によって思考が抑制され、以前はスムーズに考えられていた物事に対しても、考えがまとまらなかったり考えが浮かんでこなかったりすることがあります。
また思考障害には悲観的思考も含まれます。
悲観的思考は悲観的な考えばかり浮かんでしまったり、すぐに自分を責めてしまったりする考え方です。
些細な物事に対しても過剰に心配してしまうようになり、すぐに悪い方へと考えが進んでしまうことがあるのです。
このような悲観的思考はうつ病が進行するにつれて徐々に重くなっていき、最終的には希死念慮へと発展してしまう場合もあります。
睡眠障害
うつ病の患者さんのほとんどが悩まされているのが睡眠障害です。
睡眠障害には過眠と不眠がありますが、うつ病では不眠に悩む人が多い傾向があります。
うつ病の不眠では以下のような症状が現れます。
• 入眠障害:寝つきが悪く、入眠に時間がかかってしまう
• 中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまう
• 早朝覚醒:早朝に目が覚めてしまう
• 熟眠障害:眠りが浅くなってしまう
上記のような睡眠障害により、日中に強い眠気を感じたり倦怠感を感じたりすることがあります。
疲労感・倦怠感
うつ病の身体的な症状の中でも、睡眠障害に次いで多くみられるのが疲労感・倦怠感です。
以前と同じ仕事でも体力が必要だと感じるようになったり、洗顔や着替えといった日常動作でも疲れやすくなったりする症状です。
「なんとなく身体がだるい」「ちょっとしたことでも疲れやすくなった」と感じる方が多くみられます。
疲労感や倦怠感は身体的な症状になるため、うつ病を疑わず内科を受診する方もいます。
自律神経の乱れ
うつ病になると自律神経が乱れ、さまざまな症状を引き起こすことがあります。
• 動悸
• 息苦しさ
• 口の渇き
• めまい
• 胃の不快感
• 便秘など
うつ病の主な原因はストレスですが、過度なストレスは自律神経の動きを悪化させ、上記のような症状を引き起こします。
食欲の変化
うつ病の主な症状として、食欲の変化が挙げられます。
食欲がなくなったり食欲が増加したりする症状で、うつ病患者の大半は食欲の減退を感じています。
食事に対する興味が失われ、無理をして食べても美味しいと感じられなくなってしまうのです。
また逆にうつ病で食欲が増えてしまう方もいますが、甘いお菓子や炭水化物といった特定の食べ物に対する食欲が増加する特徴があります。
食欲が増えてしまう方の場合、過食によって罪悪感や自己嫌悪に陥り、自己肯定感の低下によってさらにうつ病が悪化することもあるため注意が必要です。
身体の痛み
うつ病になると頭痛や首・肩の凝り、背中の痛みなど、身体のさまざまな部分に痛みを感じることがあります。
これは痛みを抑える働きを持つ神経伝達細胞の量が減少することで起こると考えられています。
ただし身体の痛みはうつ病だけでなくほかの病気にもみられる症状のため、早めに医療機関を受診して正確な診断を受ける必要があるでしょう。
倦怠感の主な原因

うつ病以外でも倦怠感を感じることがありますが、その主な原因としては以下のようなものが挙げられます。
• 肉体疲労
• 精神的ストレス
• 生活習慣の乱れ
• 貧血
• 低気圧
• 病気
ここでは上記6つの原因についてそれぞれ解説します。
肉体疲労
倦怠感の主な原因の一つとして、肉体疲労が挙げられます。
仕事や運動などで身体を酷使し、なおかつ十分な休養が取れない状態が続くと、徐々に疲労が積み重なっていきます。
その結果、慢性疲労という状態になり、倦怠感だけでなく、食欲不振や体重減少などの症状が現れる場合もあるため注意が必要です。
肉体疲労がたまりやすい環境にいる場合、意識的に十分な休養を取ることが大切です。
精神的ストレス
精神的ストレスも倦怠感の原因の一つです。
人間の身体は交感神経と副交感神経がバランスを保つことで、心身ともに健康的な状態を保っています。
しかし精神的ストレスを受けると交感神経が優位になり、自律神経が乱れてしまいます。
これによって疲労感や倦怠感、頭痛、肩こり、動悸、めまいといったさまざまな自律神経失調症状が現れることがあるのです。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは倦怠感の原因となることがあります。
例えば栄養バランスの偏った食事ばかり摂取していると、身体活動を行う上で必要となるエネルギーが不足し、倦怠感につながることがあるのです。
さらにそれだけでなく、胃腸の機能や免疫力、身体機能の低下などにもつながります。
貧血
貧血になると倦怠感が生じることがあります。
貧血は全身に酸素を運ぶ赤血球やヘモグロビンが不足してしまうことで起こる症状です。
貧血には鉄欠乏性貧血や巨赤芽救性貧血、再生不良性貧血などいくつかの種類がありますが、一般的に貧血といわれるものは『鉄欠乏性貧血』を指す場合が多いです。
鉄欠乏性貧血は、主に偏った食生活や無理なダイエットなどによって鉄分が不足してしまうもので、以下のような症状が現れます。
• 動悸
• 疲労感・倦怠感
• 頭痛
• めまい
• 味覚障害など
上記のように健康を害するさまざまな症状が現れるため、鉄分が不足気味な方は注意が必要です。
低気圧
倦怠感の原因の一つとして、低気圧が挙げられます。
これは低気圧不調と呼ばれるもので、気圧変化によって体内の水分バランスが乱れることで起こる症状です。
主な症状として、以下のようなものがあります。
• 倦怠感
• 気分の落ち込み
• 頭痛
• むくみ
• めまいなど
体内の水分バランスが乱れて血管拡張や自律神経の乱れなどが起こることにより、上記のような体調不良を引き起こすことがあります。
雨の日や季節の変わり目に体調を崩しがちな方は、低気圧不調の可能性があるでしょう。
病気
うつ病以外の病気でも、症状の一つとして、倦怠感が現れることがあります。
• 急性肝炎
• 糖尿病
• 睡眠時無呼吸症候群
• 腎不全
• 更年期障害
なかには症状が進行すると命にかかわる病気に発展するものもあるため、どうしても倦怠感が取れない場合は、早めに医師に相談しましょう。
うつ病による倦怠感で動けないときの対処方法

うつ病による倦怠感でつらいときの対処方法は以下の通りです。
• 十分な休息をとる
• 良質な睡眠をとる
• 適度に運動する
• 栄養バランスの整った食事を摂る
• 医療機関を受診する
ここでは上記5つの対処方法についてそれぞれ解説します。
十分な休息をとる
うつ病による疲労感・倦怠感を感じたら、十分な休息を取ることが大切です。
肉体的・身体的ストレスを感じるものから距離を置き、心身ともに十分に休みましょう。
休息の中でも睡眠は特に基本的なもので、良質な睡眠をとることで身体と心の両方を休ませられます。
疲労感や倦怠感を感じているときに無理に活動すると効率が悪くなるだけでなく、さらに疲労が積み重なり、症状が悪化する恐れがあります。
疲労感・倦怠感があるときは無理せず休みましょう。
良質な睡眠をとる
倦怠感を解消するためには、良質な睡眠をとることが効果的です。
良質な睡眠をとることによって、体内の代謝が促進され、自律神経のバランスが保たれる効果があります。
良質な睡眠をとるポイントは以下の通りです。
• 規則正しい生活を送る
• 早寝早起きを基本とする
• 朝起床後に太陽の光を浴びる
• 睡眠環境を整える
• 寝る2~3時間前に入浴を済ませる
• 適度に運動する
上記のポイントを意識することで、睡眠の質を高めやすくなります。
また睡眠の質を高めるためには規則正しい生活も重要になるため、3食きちんと食事をとる、栄養バランスの整った食事にする、適度に運動するなども心がけましょう。
適度に運動する
疲労感や倦怠感を和らげるためには、適度に運動することが大切です。
適度に運動することで血流が促進され、体内のエネルギー循環が改善されます。
ただし激しい運動は逆に疲労の原因となるため、心地良い程度の適度な有酸素運動を取り入れてみましょう。
ウォーキングやヨガなどの運動は比較的取り組みやすいため、ぜひ今日から試してみてください。
栄養バランスの整った食事を摂る
疲労感や倦怠感を解消するためには、栄養バランスの整った食事を摂ることが大切です。
栄養バランスの整った食事をとることで身体に必要な栄養素を補充し、エネルギー不足による疲労感・倦怠感を解消できます。
うつ病患者さんの場合は、ビタミンやミネラル、必須アミノ酸、脂肪酸などを意識的に摂るとよいでしょう。
ただしこれらの栄養素も偏ってしまうと良くないため、必ず栄養バランスを重視して食事メニューを考えてみてください。
医療機関を受診する
十分な休息や良質な睡眠、適度な運動、栄養バランスの整った食事を意識しても改善されない場合は、医療機関を受診しましょう。
疲労感や倦怠感はうつ病だけでなく、ほかの病気が原因となっている場合もあります。
症状を放置したまま過ごすと隠れている病気が悪化してしまう恐れがあるため、倦怠感が長引いている場合はなるべく早めに医療機関を受診することをおすすめします。
医療機関受診後もうつ病による倦怠感が治らない原因

医療機関受診後もうつ病による倦怠感が治らない原因として、以下の4つが考えられます。
• 休養が不十分
• 自己判断で薬を中断している
• 病院との相性が良くない
• うつ病ではない
ここでは上記4つの原因についてそれぞれ解説します。
休養が不十分
うつ病治療の基本は休養ですが、その休養が不十分だと疲労感や倦怠感といった症状が改善されないことがあります。
うつ病を発症する方の中には責任感が強い方が多いため、仕事を休むことに対し罪悪感や焦りを感じてしまったり、上手く休めなかったりする場合があります。
きちんと症状が良くなっていないのに仕事に復帰してしまうと、多少症状が改善されていても、再び悪化してしまう原因になるのです。
医師や上司、家族と相談し、十分に休養を取るようにしましょう。
自己判断で薬を中断している
うつ病治療では抗うつ剤が処方されますが、患者さんの自己判断で薬を中断してしまうことがあります。
うつ病は治療過程で気分が良くなったり悪くなったりすることがあり、一時的に気分が明るくなったことで薬を中断してしまう場合があるのです。
しかし薬を中断してしまうとうつ病の治療期間が長引いたり再発したりするだけでなく、倦怠感や吐き気といった副作用が生じる恐れもあります。
薬の服用期間は必ず医師の指示に従いましょう。
病院との相性が良くない
うつ病の症状がなかなか改善されない原因として、病院との相性が良くないことが挙げられます。
例えば医師・スタッフの対応や治療方針が患者さんに合っていない場合、治療期間が長引いてしまうことがあるのです。
うつ病の治療を受ける際は、カウンセリングの雰囲気や口コミなどをチェックし、安心できる医療機関を選ぶことをおすすめします。
うつ病ではない
症状に倦怠感が現れる病気はうつ病だけではありません。
うつ病と誤診されやすい病気としては双極性障害や統合失調症、更年期障害などが挙げられます。
上記の病気はうつ病に似た症状が現れますが、それぞれ効果的な治療方法が異なるため注意が必要です。
倦怠感が取れないときは早めに医療機関に相談を
うつ病は精神的な症状だけでなく、身体的な症状として倦怠感が現れることがあります。
うつ病による倦怠感でつらい場合は、十分な休息や良質な睡眠をとる、適度に運動する、栄養バランスの整った食事をとるなど、健康的な生活習慣を身につけることが大切です。
倦怠感が取れない場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
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必要に応じて診断書を発行することも可能なため、うつ病の症状でお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
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