うつ病は治る?治らない原因や治療中の注意点について解説

更新日 2025年03月11日

うつ病
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うつ病は気分の落ち込みや倦怠感などの症状が現れる気分障害の一つです。

うつ病に悩んでいる方の中には「うつ病はきちんと治るの?」「いつまでも症状が治らない」といった不安を抱えている方も少なくないでしょう。

結論から言うと適切な治療を受ければうつ病は改善が期待できる病気ですが、回復までに時間がかかります。

この記事では、うつ病が治らないときの原因について詳しく解説します。

うつ病の治療方法や治療経過・期間、治療中に注意すべきポイントなどをまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

うつ病は治すことができる病気!うつ病の治療法

うつ病は治すことができる病気!うつ病の治療法

うつ病の治療方法は主に以下の4つです。

• 休養・環境調整
• 薬物療法
• 精神療法
• その他の治療方法

ここでは上記4つの治療方法についてそれぞれ解説します。

休養・環境調整

うつ病の治療で最も大切になるのが、休養・環境調整です。

十分に体と心を休ませることが大切になるため、ストレスを極力受けないように環境を調整しましょう。

例えば社会人であれば、一時的に休暇をもらう、残業時間を短縮してもらう、職場での配置転換をしてもらうなどが挙げられます。

うつ病を発症する方にはまじめな性格の方が多いため、仕事を休むことに対する不安や焦りを感じてしまうこともあるかもしれませんが、休養中は治療に専念しましょう。

薬物療法

うつ病では、症状を抑えるために薬物療法による治療が行われます。

抗うつ薬が処方されることが多く、主に以下の3種類が使われています。

• SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
• SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
• NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

これらの抗うつ薬は脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンに作用し、抗うつ効果を発揮します。

効果が出るまでの期間には個人差がありますが、1〜2週間程度で効果を実感し始める方が多いです。

また抗うつ薬のほかにも、医師の判断によって抗不安薬や睡眠導入薬、気分安定薬、非定型抗精神病薬などが処方される場合もあります。

いずれの薬も副作用のリスクがあるため、必ず医師の指示に従って用法・用量を守って服用しましょう。

精神療法

精神療法は、十分な休養と薬物療法と組み合わせることで、うつ病の症状の改善をサポートする治療方法です。

原因となっているストレスに対する対処法を学ぶことにより、根本的な原因を治療します。

精神療法にはさまざまな種類がありますが、代表的な治療方法は以下の2つです。

• 認知行動療法:物事の捉え方や考え方の癖を改善する治療方法
• 対人関係療法:うつ病の原因となっている対人関係問題を解消する方法

上記のような精神療法によってストレス対処法を習得することで、うつ病の再発リスクを低減することにもつながります。

その他の治療方法

その他の治療方法として、以下のようなものが挙げられます。

• 運動療法:ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行う方法
• 高照度光療法:非常に明るい光を網膜に照射する治療方法
• 修正型電気けいれん療法(m-ECT):脳を電気的に刺激することで発作を誘発し、精神的または感情的障害を改善する治療方法
• TMS治療(経頭蓋磁気刺激法):脳に繰り返し磁気刺激を与えることで、脳の働きを正常化させる治療方法

うつ病の治療経過と期間の目安

うつ病の治療経過と期間の目安

うつ病の治療経過には以下の3つのステップがあります。

• 急性期
• 回復期
• 再発予防期

うつ病は症状に波があり、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら改善していく病気です。

そのため一時的に症状が改善されたとしても、自己判断で治療を中止しないことが大切になります。ここでは各治療段階の特徴についてみてみましょう。

急性期

急性期は気分の落ち込みや意欲低下といったうつ病の症状が最も強く出ている時期です。

休養・環境調整と薬物療法により、少しずつ症状の改善を目指します。

治療期間は1~3か月程度が目安ですが、薬の効果には個人差があるため、人によっては半年以上かかる場合もあります。

この時期はストレスの原因から離れ、心身ともにゆっくりと休むことが大切です。

回復期

回復期は徐々に症状が改善し、自然にやる気がで始める時期で、治療開始から4~6か月以上の時期に該当します。

この時期は調子の良いときと悪いときが交互に訪れるため、調子の良いときに自己判断で治療を中止しないよう注意が必要です。

また仕事の休暇を取っている場合も、すぐに復帰を考えるのではなく、医師や家族、上司と相談しながら話を進めることが大切になります。

焦って行動するとまた症状が再発してしまう可能性もあるため、焦らず無理のない過ごし方をしましょう。

再発予防期

再発予防期は症状が安定する時期で、治療開始から1~2年ほどの時期を指します。

症状が落ち着くため職場に復帰する方も多いですが、うつ病は再発しやすい病気のため油断は禁物です。

この時期も薬の服用を継続しながら、様子を見て過ごすようにしてください。

薬の服用を急にやめてしまうと、めまいやふらつき、吐き気といった症状が出やすくなります。

また再発の原因となる要因をなるべく遠ざけ、ストレスを抱え込まないようにしましょう。

うつ病が治らない原因

うつ病が治らない原因

うつ病は適切な治療によって治る病気ですが、「なかなか良くならない」と悩む方も少なくありません。

うつ病が治らない原因として、以下のようなものが挙げられます。

• 休養が不十分
• 薬を正しく服用できていない
• 身体的・心理的要因が改善されていない
• 病院があっていない
• うつ病ではない可能性がある

ここでは上記5つの原因についてそれぞれ解説します。

休養が不十分

うつ病の治療の基本となるのが休養ですが、その期間や仕方が不十分だと症状が改善されないことがあります。

うつ病を発症する患者さんはまじめで責任感の強い性格の方が多いため、仕事で休養を取っても「迷惑をかけているのではないか」「早く復帰しないといけない」といった不安や焦りを感じてしまう場合が多いです。

このように不安や焦りを感じてうつ病の完治を待たずに仕事に復帰してしまうと、症状が改善されなかったり再発してしまったりすることがあります。

うつ病を治すためには、休養を十分にとることが大切です。

薬を正しく服用できていない

うつ病の治療では薬が処方されますが、薬が正しく服用できていないと効果をきちんと実感できません。

医師の指示通りの用量・用法で服用していれば問題ありませんが、患者さんが勝手に服用量を変えたり服用期間を短縮したりすると、うつ病がなかなか改善されない場合があるのです。

たとえ症状が改善されてきたとしても、自己判断で薬を飲むのをやめるのではなく、医師と相談しながら治療を継続することが大切です。

身体的・心理的要因が改善されていない

うつ病が治らない原因として、身体的・心理的要因が改善されていないことが挙げられます。

うつ病の発症には以下のようにさまざまな要因があります。

• アルコールの常用
• 慢性疾患の影響
• 脳の老化
• 周囲の人に対する不信感
• 孤独感
• 居場所がない

上記のような身体的・心理的要因がうつ病の発症原因になっている場合、これらの原因を改善することが大切です。

身体的・心理的要因が改善されない場合、いくら薬で症状が緩和されても再発のリスクが残ってしまいます。

病院があっていない

うつ病が治らない原因として、病院があっていないことが挙げられます。

うつ病は病院によって治療方針が異なるのはもちろん、医師や看護師との相性もあります。

医師の態度や治療方針に対し疑問やストレスを抱く場合は、ほかの病院の受診を検討してみましょう。

自分に合った病院で治療を受けることが、うつ病の治療に重要なポイントとなります。

うつ病ではない可能性がある

気分が落ち込んだり倦怠感があるとうつ病の可能性がありますが、実はほかの病気でもこのような症状が現れることがあります。

例えば躁状態とうつ状態が交互に現れる『双極性障害』や幻覚や妄想などさまざまな症状が現れる『統合失調症』などです。

ほかにも甲状腺機能低下症や糖尿病、肝臓の病気、がんなどの病気の可能性も考えられます。

うつ病治療中に注意すること

うつ病治療中に注意すること

うつ病治療中に注意することとして、以下の4つのポイントが挙げられます。

• 薬は適切な用量を十分な期間服用し続ける
• うつの残遺症状を残さない
• 焦らず治療を続ける
• 治療中に重大な決断をしない

ここでは上記4つのポイントについてそれぞれ解説します。

薬は適切な用量を十分な期間服用し続ける

うつ病の治療中に処方される薬は、医師の指示に従って適切な用量を十分な期間服用し続けることが大切です。

症状がある間はもちろんのこと、症状が落ち着いてくる回復期や再発予防期も服用し続けましょう。

自己判断により服用を中止すると、抑うつ症状が再発したりめまいやふらつきといった症状が現れたりすることがあります。

症状が完全になくなったあとも6〜12か月は薬の服用を継続することが推奨されているため、医師と相談しながら治療を継続しましょう。

うつの残遺症状を残さない

うつ病を治療するにあたって大切になるのが、うつの残遺症状を残さないということです。

残遺症状とは、病気はほぼ回復しているものの、残ってしまっている症状のことです。

例えば気分が落ち込む症状は治っても、コミュニケーションの問題が残っている場合、うつ病の再発リスクが高くなります。

残遺症状がパニック障害や抗不安障害といったほかの病気につながることもあり、さらにそれが原因でうつ病が重症化することもあるため注意が必要です。

焦らず治療を続ける

うつ病の治療で大切になるのが、焦らず治療を続けることです。

特に休職する際には「職場の人に迷惑をかけているのではないか」「早く社会復帰しないといけない」といった不安や焦りを感じてしまう人もいます。

しかしこのような不安や焦りは治療の妨げになったり再発リスクを高めたりする原因になってしまいます。

休職中は焦らず治療に専念するようにしましょう。

治療中に重大な決断をしない

うつ病の治療中には重大な決断をしないことが大切です。

うつ病の回復期になると、症状が良くなったり悪くなったりするようになり、思考力や判断力も低下します。

そのような状態で重大な決断をしてしまうと、後々後悔する恐れがあるだけでなく、それが原因でさらにうつ病を悪化させる場合もあります。

治療中の重大な決断は控え、症状が改善して正常な判断ができる状態になるのを待ちましょう。

うつ病治療を成功させるためのセルフケア

うつ病治療を成功させるためのセルフケア

うつ病治療を成功させるためのセルフケアとして、以下の4つが挙げられます。

• 健康的な生活習慣を身につける
• 日光を浴びる
• 適度に運動する習慣を身につける
• 必要に応じてカウンセリングを受ける

ここでは上記4つのセルフケア方法についてそれぞれ解説します。

健康的な生活習慣を身につける

うつ病を治すためには、健康的な生活習慣を身につけることが大切です。

寝る時間や起きる時間が不規則になってしまうと、生活リズムが乱れ、睡眠の質が低下してしまう恐れがあります。

睡眠の質の低下はメンタル不調の原因となるため、まずは健康的な生活習慣を身につけることが大切です。

十分な睡眠時間を確保するだけでなく、質の良い睡眠をとり、栄養バランスの整った食事を摂ることも重要になります。

自分の生活習慣を見直し、健康的な生活を送るように心がけましょう。

日光を浴びる

うつ病はセロトニンやノルアドレナリンという神経伝達物質の減少により起こるものです。

日光を浴びることでこれらの神経伝達物質の分泌量を高められるため、積極的に日光を浴びる習慣を身につけましょう。

後述する運動習慣を身につけるためにも、ウォーキングやジョギングを行うのもおすすめです。

適度に運動する習慣を身につける

適度に運動することでストレスを解消する効果が期待できます。

息が上がらない程度の有酸素運動を行うのが理想とされるため、1日数分からでもウォーキングやジョギングといった軽い運動を取り入れてみましょう。

必要に応じてカウンセリングを受ける

うつ病治療を成功させるためには、必要に応じてカウンセリングを受けることが大切です。

自分自身の考え方や物事の捉え方の癖がうつ病発症の原因となっている場合があります。

このような考え方の癖は自分一人で治すのは難しいため、専門家による認知行動療法やカウンセリングを受けるのがおすすめです。

自分に合った病院できちんとうつ病治療を受けることが大切

うつ病は適切な治療を継続することできちんと治る病気です。

しかし休養が不十分だったり薬を正しく服用できていなかったりすると、きちんと効果を実感できない場合があります。

うつ病治療を開始する際は、医師や職場の人に相談して十分な休養を取り、治療に専念しましょう。

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臨床心理士や公認心理士を中心とした有資格者のみが在籍しており、医師によるオンライン診療も行っているため、うつ病の症状にお悩みの方はぜひ気軽にご相談ください。

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