発達障害かも？どうすればいい？困りごとや適切な対応を紹介

発達障害はその特性によって日常生活や仕事に支障をきたしやすく、困りごとも多いため、「発達障害かもしれないけれど、どうすればいいのかわからない」とお悩みの方も多いことでしょう。

発達障害はそれらしい症状があったとしても、実際はそうでないケースもめずらしくありません。きちんと専門家に相談し、必要に応じて適切な支援や治療を受けることが大切です。

この記事では、発達障害の特性と日常生活における困りごと、発達障害が疑われる場合に取るべき適切な対応について詳しく解説します。

発達障害による困難や悩みを軽減する日常生活の工夫も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

発達障害の特性と日常生活における困りごと

ひと口に発達障害といっても複数の種類があり、それぞれに特性が異なります。

また、複数の障害が併存している人も多く、障害の程度や生活環境、年齢などによっても違った症状が現れるため、どうすればよいのかを知る前に、一般的な特性を知っておくことが大切です。

ここでは、発達障害の種類別の特性と日常生活における困りごとについて紹介します。

自閉スペクトラム症（ASD）

自閉スペクトラム症（ASD）とは、高機能自閉症やアスペルガー症候群などのさまざまな診断を含む発達障害です。

主に社会性・コミュニケーション・想像力の3つの質に偏りがあり、それぞれ以下のような特徴がみられます。

自閉スペクトラム症（ASD）の特性に決まった形はありませんが、突然、相手の外見について言及したり、初対面の人に多くの質問をしたりするなど、相手の気持ちを読み取るのが苦手な場合が多いです。

本人には悪気がないため、なぜ怒られているのか、なぜ嫌われているのかが理解できないことがあります。

また、見たままを話したり思ったことを行動に移したりするため、表面的には理解しているように見えても、実際には内容を十分に理解できていない場合があります。

自分の興味があることや好きなパターンの行動に強いこだわりがあり、自分のルールを守りたい・人にも守ってほしいという気持ちも強いです。

新しい場所や初対面の人に対する緊張や不安が強く、不測の事態や急な予定変更に臨機応変な対応ができず混乱してしまうこともあるでしょう。

注意欠如多動性障害（ADHD）

注意欠如多動性障害（ADHD）とは、不注意・多動性・衝動性などの特性があり、日常生活に支障をきたすことも多い発達障害で、具体的には以下のような症状があります。

注意欠如多動性障害（ADHD）は、育て方やしつけの問題、本人の努力が足りないと思われることも多いですが、生まれつきの脳の機能障害が原因であることがわかってきました。

上記の症状の偏り方によって、「不注意優勢型」「多動・衝動優勢型」「混合型」の3つのタイプにわけられます。

生まれ持った脳の特性が生活環境などによって強く出ると、日常生活の中で困りごとが増えてきます。

不注意優勢型は授業や仕事に集中できずうっかりミスをしてしまったり、課題や仕事を予定通りに進められなかったり、約束や予定を忘れたり忘れ物をしたりすることが多いでしょう。

また、じっとしているのが苦手な多動・衝動優勢型は、行動にも考えにも落ち着きがなく、突然浮かんだアイデアを衝動的に行動に移すことがあります。

授業や仕事中に手足をそわそわ動かす・貧乏ゆすりをする・席に座っていられない・順番を待てないこともあるでしょう。

症状の現れ方は人によって異なりますが、ADHDのほとんどが、不注意と多動・衝動の両方の症状を併せ持つ混合型だといわれています。

学習障害（LD）

学習障害（LD）とは、知的障害や視覚・聴覚、教育環境に問題がないにもかかわらず、読み・書き・計算などの学習の遅れがみられる発達障害の一種です。

主に以下の3つのタイプがあり、1つのみを発症することもあれば、他の症状を併発することもあります。

学習障害（LD）は国語や算数の学習を始めてから発見されることが多く、小学校入学前に気づかれないケースも多いです。

本格的な学習が始まると、ひらがなや漢字、数字を読めない、覚えられないことが精神的なストレスにつながり、不登校や引きこもり、うつなどの二次障害を引き起こす恐れもあります。

なお、学習障害（LD）は自閉スペクトラム症（ASD）や注意欠如多動性障害（ADHD）も併発していることがあります。

特に大人になって学習障害（LD）が疑われる場合は、何らかの発達障害や精神疾患を抱えているケースも多いため、正確な診断を受けることが大切です。

チック症

チック症とは、まばたきや咳払い、首振り、奇声など突然の素早い動きや音声が、本人の意思に関係なく繰り返し出てしまう症状です。

発音や言語に特徴がある「音声チック」と顔や手足が動く「運動チック」にわけられ、さらにその動作の持続時間によって以下の2種類に分類されます。

チック症は自閉スペクトラム症（ASD）や注意欠如多動性障害（ADHD）、不安障害などの傾向がある子どもに合併しやすいといわれています。

脳機能の発達の偏りによってみられると考えられていて、一般的には成長とともに自然消失することが多いです。

育て方や環境が直接の原因ではないとされていますが、ストレスや不安を感じる環境に置かれると、症状が悪化・長期化する可能性があります。

無意識に素早い動きや音声が出てしまうことで、人から避けられたり授業や仕事の妨げになったりなど、社会生活に支障をきたすこともあるでしょう。

吃音

吃音とは、話す際に音や音節、言葉が途切れたり繰り返したり引き延ばされたりする発達障害や発達に関連する障害の一種です。

以下のように「発達性吃音」と「獲得性吃音」の2つに分類されます。

話し始めの言葉に詰まる・言葉がすらすら出てこないことが多いため、周囲から指摘されたりからかわれたりすることも多く、人前で話すことに抵抗があり、日常生活や学校生活に支障をきたしてしまいます。

吃音自体は決してめずらしい障害ではありません。ほとんどが幼児期に発症し、自然に治る場合もあれば大人になっても症状が続いている場合もあります。

発達障害かも？と思ったときに取るべき適切な対応

発達障害は、その特性から生活や仕事で困難や生きづらさを感じることが多く、抑うつ状態になったり突発的なパニック状態に陥ったりする恐れがあります。

困りごとを少しでもなくし、スムーズに社会生活を送るためにも、発達障害が疑われる場合に取るべき適切な対応を知っておきましょう。

子どもの場合

日頃の生活の様子からだけでなく、子どもの発達障害に気づくタイミングとして、1歳半検診や3歳児検診などの乳幼児検診、保育園や幼稚園、小学校の教員からの指摘などがあります。

保護者の方が気づいたり、子どもと接する周囲の人に指摘されたりして発達障害の疑いを持つようになったら、以下の機関に相談してみるのがおすすめです。

• 発達障害者支援センター
• 児童発達支援センター
• 精神保健福祉センター
• 保健所・保健センター
• 子育て支援センター
• 児童相談所
• 小児科・児童精神科・小児精神科・発達外来などの医療機関

発達障害は症状や困りごとが人によって異なります。

周囲から「困った子」「自分勝手な子」「わがままな子」などと誤解されやすいため、子どもが困っていると感じたら、インターネットでお住まいの地域の相談・支援先を検索し、すぐに相談して適切な支援を受けられる状況を作りましょう。

なお、医学的な診断を行えるのは医療機関のみです。上記の診療科以外にも、大学病院や総合病院などで診断を受けられます。

医師の診断を受けることで発達障害の特性を知り、正しいアプローチができるだけでなく、公的なサポートを受けたり、学校に配慮を依頼したりしやすくなるでしょう。

医師の診断書が必要な場合もありますが、診断がなくても利用できる支援や福祉サービスはあります。受診するか悩む場合は医療機関以外の専門機関に相談し、必要に応じて診断を受けるのもひとつの方法です。

大人の場合

発達障害は大人になってから顕在化することも多く、生活や仕事で困難を抱える場面が増えるケースもあります。

ストレスを感じる状態が長く続くと、うつや不安障害などの精神疾患を発症するリスクが高まってしまうため、「もしかしたら自分は発達障害かも」と思ったら以下の相談・支援先に相談し、早めに対処することが大切です。

• 発達障害者支援センター
• 精神科や心療内科などの医療機関

仕事についての相談を受け付けている窓口は、発達障害者支援センターの他に障害者就労・生活支援センターや就労移行支援事業所、地域若者サポートステーション、ハローワーク、地域障害者職業センターなどがあります。

医師の診断を受けていなくても相談できる窓口もあるため、発達障害の傾向によって仕事で困りごとがある場合は相談してみるとよいでしょう。

医師の診断を受け、精神障害者保健福祉手帳によるサービスや自立支援医療制度などを利用したい場合は、精神科や心療内科などに相談するのがおすすめです。

診断を受けることで自分の努力で対応できる部分と特性による部分を見極めたり、周囲の人に自分の特性を正しく理解してもらったり、特性に合わせた業務内容や環境に整えたりすることができ、日常生活を過ごしやすくなる可能性もあります。

発達障害による困難や悩みを軽減する日常生活の工夫

発達障害の特性は日常生活に支障をきたすケースも多く、困難を感じる場面もありますが、少しの工夫で過ごしやすくなる可能性があります。

大人は自分のやりやすいように工夫するのがよいですが、子どもの発達障害の場合は家族や周囲の人がサポートしてあげましょう。

ここでは、発達障害による困難や悩みを軽減する日常生活の工夫を紹介します。

忘れ物やなくしものが多い場合

発達障害の特性を持っていると、忘れ物やなくしものが多く、生活面や仕事面で弊害が出てしまいがちです。

例えば、鍵や傘、携帯電話などを自宅に忘れたり、出先で置き忘れたりすることがあります。

そのような場合は、物の置き場所を決める・外出時の持ち物をセットにする・移動中の物の持ち方を決めるといった工夫がおすすめです。

朝起きてから家を出るまでのルーティーンをチェックする表を作るのもよいでしょう。

対人関係が苦手な場合

コミュニケーションや対人関係が苦手な場合は、できるだけ気の合う友人や知人と過ごす時間を作るのがおすすめです。

例えば、同じ趣味や悩みを持つ人が集まる同好会やサークルなどに参加すると、治療的な効果が得られる可能性があるといわれています。

障害や病気を抱える人同士で支え合ったり、相談し合ったりするピアサポートに参加するのもひとつの方法です。

スケジュールやタスク管理が苦手な場合

スケジュールやタスク管理が苦手な場合は、やるべきことを細かく分解して、それぞれに締切日を設け、計画的にこなしたり手帳やカレンダーアプリ、アラームなどを活用したりするのがよいでしょう。

一つひとつのスケジュールやタスクの時間や場所、目的などの情報をすべて書き出してToDoリストを作り、目につくところに貼っておくのもおすすめです。

仕事のスケジュールであれば、上司や同僚と共有しておくと、他の人のチェックが入って予定通りに進めやすくなります。

学習障害（LD）がある場合は、スマホやパソコンを使って読み書きや計算の負担を減らすのも有効です。

感覚が敏感な場合

感覚が敏感な場合は、特定の刺激を避ける工夫が必要です。

例えば、聴覚が敏感な人は耳栓やイヤーマフを、視覚が敏感な人はサングラスや帽子、遮光カーテンを活用してみましょう。

味覚が敏感な子どもには、無理に食べさせようとせず、一緒に料理を作ったり料理ごとにお皿をわけたりするのもおすすめです。

発達障害かも？と思ったら専門家に相談することが大切

「発達障害かも？」と思っても、どこに相談すればよいのかわからない場合は、地域の専門機関や医療機関に相談するのがおすすめです。

専門機関や医療機関では、相談を聞いたうえで適切な支援や治療が受けられるよう、アドバイスや福祉制度などの紹介をしてくれます。

自分らしい快適な日常生活が送れるよう、専門家に相談しながら上手に発達障害と付き合っていきましょう。

『かもみーる』は、医師監修のオンラインカウンセリングサービスを提供しています。

医師のほか、臨床心理士や公認心理士を中心とした有資格者が、発達障害に関する相談も受け付けています。発達障害が疑われ、どうすればいいのかわからない方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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