投稿日 2025年03月11日
最終更新日 2026年10月20日
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最終更新日 2026年10月20日

脳波検査は脳の表面に生じる微弱な電気活動である脳波を測定する検査で、さまざまな病気の診断に用いられています。
では脳波を測定することで具体的にどのようなことがわかるのでしょうか。
この記事では脳波からわかることについて詳しく解説します。
脳波検査の目的や脳波検査の具体的な方法、正常な脳波と異常な脳波の違いなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

脳波検査とは、脳の神経細胞が働くときに出る微弱な電気活動を測定する検査です。
この微弱な電気活動を測定することでリアルタイムに脳の活動を捉えられます。
脳波には周波数ごとに4つの種類があります。
病気によっては特定の脳波パターンが現れることもあるため、脳波検査を行うことで診断に役立てられます。
具体的にはてんかんや意識障害、睡眠障害、局所性脳障害などの診断に用いられている検査です。

脳波からわかることとして、以下の7つが挙げられます。
ここでは上記7つについてそれぞれ解説します。
脳波検査をすることで、脳波の年齢的な変化を捉えられます。
人間の電気活動は脳の神経細胞の発達によって異なり、乳児・幼児・小児・成人など年齢によって異なる脳波が記録されます。
脳波検査では、それぞれの年齢に応じた正しい脳波になっているかを確認します。
脳波は意識障害の客観的評価にも用いられています。
意識は脳幹にある網様体賦活系と大脳の相互作用によって保たれていますが、意識障害がある場合、この相互作用が低下してしまう特徴があります。
網様体賦活系と大脳の相互作用が低下すると、徐波(周波数の低い波)が現れるのです。
この徐波が頭のどの部分に現れるか、全体に現れているのか、一部にのみ現れているのかといったことを観察することで、神経細胞のダメージを評価することが可能です。
脳波検査で特定の脳波パターンがみられる場合、意識障害の疑いがあると診断できます。
また意識障害があるときに現れる脳波は、原因や神経細胞の損傷部位により異なります。
陰性波は波形が下向き(谷型)に現れること、陽性波は波形が上向き(山型)に現れることです。
脳波検査では、睡眠中の脳の電気活動を記録し、眠りの深さや睡眠段階の変化を調べることができます。
ただし、一般的な短時間の脳波検査だけで、睡眠障害の有無や原因をすべて判断できるわけではありません。
現在の標準的な睡眠段階の分類では、睡眠をノンレム睡眠(N1・N2・N3)とレム睡眠(R)の4段階に分けます。
各段階では、脳波に加えて眼球運動や筋活動にも特徴的な変化が現れます。
睡眠段階 | 脳波などの主な特徴 |
N1(入眠期) | 後頭部優位のα活動が減少し、低振幅の混合周波数活動が目立つ。 |
N2(浅いノンレム睡眠) | 睡眠紡錘波やK複合が出現する。 |
N3(深いノンレム睡眠) | 高振幅の徐波(徐波活動)が優位になる。 |
レム睡眠(R) | 低振幅の混合周波数活動がみられ、急速眼球運動と顎筋緊張の低下を伴う。 |
睡眠時無呼吸症候群や睡眠中の異常行動などを詳しく調べる場合には、脳波・眼球運動・筋電図に加えて呼吸、血中酸素飽和度、心電図などを同時に記録する睡眠ポリグラフ検査(PSG)が用いられます。
PSGでは睡眠段階だけでなく、無呼吸・低呼吸や覚醒反応なども評価できます。
一方、ナルコレプシーなどが疑われる場合には、夜間PSGに続いて反復睡眠潜時検査(MSLT)を実施することがあります。
また、睡眠中はてんかん性放電が現れやすくなることがあり、てんかんの評価を目的とした睡眠時脳波検査が有用な場合もあります。
検査の種類は、疑われる病気や症状に応じて選択します。
参考文献:AASM:The AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events
関連記事:脳波の種類と睡眠中の脳波の特徴
てんかんは、脳の神経細胞の過剰な電気的活動によって、てんかん発作を繰り返し起こす病気です。
ただし、一定の再発リスクが高い単回の非誘発性発作などでも、てんかんと診断される場合があります。
脳波検査では、てんかんに関連する「てんかん性放電」が認められることがあります。
代表的なてんかん性放電には、以下のような波形があります。
脳波所見 | 主な特徴 |
棘波(spike) | 持続時間が20〜70ミリ秒程度の鋭い波形 |
鋭波(sharp wave) | 持続時間が70〜200ミリ秒程度の鋭い波形 |
棘徐波複合 | 棘波に徐波が続く波形で、欠神てんかんなどで見られることがある |
例えば、定型欠神発作では、約3Hzの全般性棘徐波が認められることがあります。
また、焦点てんかんでは、脳の一部に限局した棘波や鋭波などが見られる場合があります。
こうした脳波所見は、てんかんの診断や発作型・てんかん症候群の分類に役立ちます。
ただし、てんかん性放電が認められたからといって、必ずしもてんかんと診断されるわけではありません。
てんかんのない方にも、てんかん性放電が見られることがあるためです。
一方、てんかんのある方でも、通常の脳波検査で異常が認められない場合があります。
てんかん性放電は常に出現するとは限らず、検査中に記録されないこともあるためです。
そのため、てんかんの診断では、発作時の症状や経過、脳波所見などを総合的に評価することが重要です。
必要に応じて、睡眠時脳波検査や長時間ビデオ脳波モニタリングなどを行うこともあります。
参考
1. Fisher et al.(2014):ILAEによるてんかんの実用的臨床定義
脳波検査では、局所性脳障害の有無を調べることが可能です。
脳波検査で一部の部位にのみ徐波が現れた場合、その領域の脳機能に何らかの異常が生じている可能性を表します。
具体的には以下のような例があります。
ただし局所性障害の場合は脳波検査のみで診断するのではなく、画像診断の結果と見比べながら、整合性を確認するために用いられることが多いです。
脳波を計測することで、脳死判定が可能です。
脳波検査は脳死判定の重要な要素の一つですが、脳死判定には他の検査や条件も必要です。
脳死判定をする際は、通常の脳波検査の5倍の感度で脳波を計測し、脳波が検出されるかどうかを確認します。
注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)では、脳波の特徴や神経活動の違いについて研究が進められています。
例えば、脳波の周波数成分や脳領域間の活動の関連性などを解析する定量的脳波検査(QEEG)を用いて、発達障害の特徴を調べる研究が行われています。
しかし、現時点では通常の脳波検査やQEEGだけでADHDやASDを診断することはできず、標準的な診断検査としては推奨されていません。
ADHDやASDの診断では、発達歴や症状の経過、日常生活への影響などを総合的に評価することが重要です。
一方、てんかん発作が疑われる場合や、発達の退行など神経学的な問題が考えられる場合には、脳波検査が必要になることがあります。
また、脳波解析を用いた精神疾患の分類や予測についても研究が進められていますが、研究段階の技術と一般診療で確立された診断方法は区別する必要があります。

脳波検査が具体的にどのように行われるのか、基本的な流れや検査方法について解説します。
検査を行う施設によって具体的な流れは異なりますが、基本的には以下のような流れとなります。
検査時間は30分〜1時間程度ですが、検査内容によって個人差があります。
また頭皮に電極を装着しますが、痛みを感じることはほとんどありません。
脳波検査中、患者さんには目を開けたり閉じたりする指示が出されます。
これは目の開閉による脳波の変化を観察するためです。
通常、目を閉じてリラックスしている状態では、後頭部にアルファ波と呼ばれる8〜13Hzの波が出現します。
目を開けるとアルファ波が減少する『αブロッキング』と呼ばれる現象が起きますが、これは正常な脳の反応です。
α波の異常がみられる場合は、必要に応じて回数を増やしたり延長したりする場合があります。
光刺激は、患者さんの目の前で一定のリズムで点滅する光を提示し、その際の脳波の変化を観察する方法です。
この刺激により、脳波上に光駆動反応と呼ばれる同期した波が出現します。
この光駆動反応は健常者でも観察される生理的な反応であり、明らかな左右差がなければ問題がなく、慣れや眠気などで目立たなくなるものです。
しかしてんかん患者の場合、光刺激により異常な脳波活動が誘発されることがあります。
光刺激の周波数や強度を変化させることで、てんかん発作を評価することが可能です。
過呼吸賦活は、一定時間、深く速い呼吸を繰り返すことで、脳波の変化を観察する検査です。
通常は3分間程度行われ、てんかん性放電などの異常波形が現れやすくなるかを確認します。
過呼吸によって血液中の二酸化炭素濃度が低下すると、脳血管が収縮して脳血流が減少するなどの変化が生じ、脳波に徐波が現れることがあります。
ただし、過呼吸によって徐波が現れること自体は、必ずしも異常を意味するわけではありません。
また、過呼吸賦活は、欠神発作(けっしんほっさ)に関連する脳波異常を誘発するうえで有用な検査です。
欠神発作は、突然意識が途切れたようになり、数秒から十数秒程度、呼びかけに反応しなくなることなどを特徴とする発作です。
主に小児期に見られ、発作中には約3Hzの全般性棘徐波が認められることがあります。
過呼吸によって欠神発作や関連するてんかん性放電が誘発される場合があるため、脳波検査では過呼吸中の脳波だけでなく、意識や反応の変化も観察することが重要です。
ただし、心肺疾患などの状態によっては過呼吸賦活を実施しない場合もあり、検査の適応は医師が判断します。
参考:ILAE:典型欠神発作(Typical Absence Seizure)の臨床・脳波所見
睡眠中の脳波は、覚醒時とは異なる特徴的な波形が現れます。
脳波検査では、被験者に自然な睡眠をとってもらい、その間の脳波を記録することで、睡眠段階や睡眠障害の評価を行います。
特にてんかん患者では睡眠中に異常な脳波活動が出現しやすいため、睡眠脳波の記録は診断に有用です。
また、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害の評価にも睡眠脳波は重要な役割を果たします。
場合によっては、特定の薬剤を投与して脳波の変化を観察する薬剤負荷検査が行われることがあります。
これはてんかんの焦点部位の特定や、脳の興奮性の評価を目的としたものです。
例えばバルビツール酸系薬剤やベンゾジアゼピン系薬剤を投与し、脳波の変化を観察することで、脳の機能を評価できます。
またこのほかにも、必要に応じて眠くなる薬や緊張を和らげる薬を使用する場合もあります。

脳波を観察することで、病気の診断に役立ちます。
ここでは正常な脳波と異常な脳波の違いについて解説します。
正常な脳波は、個人の年齢、覚醒状態、活動状況によってそれぞれ異なる特徴が現れます。
主な脳波の種類とそれぞれの特徴は以下の通りです。
脳波の種類 | 特徴 |
|---|---|
β(ベータ)波 | 14〜30Hzの周波数帯域で、覚醒時に精神的・身体的活動を行っている際に前頭部を中心に出現します。緊張や興奮、集中している状態で増加する傾向があります。 |
α(アルファ)波 | 8〜13Hzの周波数帯域を持ち、安静時に目を閉じてリラックスしている状態で、主に後頭部に出現します。目を開けたり、注意を集中させると減少するのが特徴です。 |
θ(シータ)波 | 4~7Hzの周波数帯域で、浅い睡眠時やリラックスした状態で出現します。成人の覚醒時には少なく、子供や若年者では比較的多く見られます。 |
δ(デルタ)波 | 4Hz未満の周波数帯域で、深い睡眠時に多く出現します。覚醒時にデルタ波が顕著に現れる場合は、脳の機能低下や障害を示唆することがあります。 |
これらの脳波の出現パターンや分布は、年齢や個人差、そしてその時の状態によって変化します。
異常な脳波は、脳の機能障害や疾患の存在を示唆するもので、具体的には以下のようなものが挙げられます。
このほか、脳波を観察することで脳炎や器質性脳障害、意識障害などの診断にも役立ちます。
脳波からわかることとして、脳波の年齢的な変化、意識障害、睡眠障害、てんかん、局所性脳障害、脳死判定、発達障害の診断補助などが挙げられます。
脳波検査単体で病気の診断を行うことはできなくても、ほかの検査と組み合わせることでより確実な診断に役立てることが可能です。
脳波解析による疾患予測については、下記の論文も参考になります。
脳波検査は、脳の電気活動を時間的に詳しく記録できる検査であり、てんかん性放電や意識障害に伴う脳活動の変化などを調べる際に役立ちます。
しかし、脳波検査だけですべての脳の病気や精神疾患を診断できるわけではありません。
例えば、脳波検査でてんかん性放電が認められた場合でも、その所見だけでてんかんと確定診断することはできません。
反対に、通常の脳波検査が正常でも、てんかんを否定できない場合があります。
発作の症状や経過、必要に応じた長時間ビデオ脳波検査などを組み合わせて判断します。
また、脳波に局所的な徐波が現れた場合には脳機能の異常が示唆されることがありますが、脳腫瘍や脳梗塞などの病変の種類や範囲を脳波だけで特定することはできません。
構造的な病変の評価にはMRIやCTなどの画像検査が重要です。
ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)、うつ病などについても、通常の脳波検査や定量的脳波解析(QEEG)だけで診断を確定することはできません。
これらの疾患と脳波の特徴との関連は研究されていますが、現時点ではADHD・ASDの標準的な診断検査として確立していません。
診断では発達歴、症状、生活への影響などを総合的に評価します。
調べたいこと | 脳波検査の役割と限界 |
てんかん | てんかん性放電の確認や発作型の評価を補助するが、正常脳波でも否定できない。 |
意識障害 | 脳機能の変化や非けいれん性てんかん重積状態の評価に有用。原因の確定には別の検査も必要。 |
睡眠障害 | PSGの一部として睡眠段階を評価する。通常の短時間脳波だけでは診断できないことが多い。 |
脳梗塞・脳腫瘍 | 局所性徐波などが参考になることはあるが、病変の診断には画像検査が重要。 |
ADHD・ASD | 脳波・QEEGのみでは診断できず、通常の診断に必須ではない。 |
うつ病 | 脳波だけで診断を確定したり重症度を判断したりすることはできない。 |
このように、脳波検査の結果は「異常があるかどうか」だけでなく、どのような症状があり、何を調べる目的で検査を行ったかによって意味が異なります。
検査結果は専門医が診察所見や他の検査と合わせて解釈することが大切です。
参考文献:NICE:Epilepsies in children, young people and adults(NG217) / AAP:Identification, Evaluation, and Management of Children With Autism Spectrum Disorder
かもみーるでは、発達障害(ADHD・ASDなど)の診療において、発達歴や症状の特徴、日常生活への影響などを総合的に評価しています。
また、脳波の特徴を数値的に解析する定量的脳波検査(QEEG)も実施しています。
ただし、QEEGは発達障害の診断方法として確立された検査ではなく、検査結果だけでADHDやASDを診断することはできません。
発達障害の可能性が気になる方や、日常生活で困りごとを抱えている方は、お気軽に当院までご相談ください。
いいえ。脳波検査で通常と異なる波形が見られても、必ずしも病気があるとは限りません。 脳波は年齢や覚醒状態、睡眠、服用している薬などによって変化します。また、病気がなくても、てんかん性放電に似た波形などが見られる場合があります。 そのため、脳波の異常だけで判断せず、症状や診察所見などと合わせて評価することが重要です。
はい。てんかんのある方でも、通常の脳波検査では異常が確認できない場合があります。 てんかん性放電は常に現れるわけではないため、必要に応じて睡眠時脳波検査や長時間ビデオ脳波モニタリングなどを行うことがあります。 診断では、発作時の症状や経過なども含めて総合的に評価します。
通常の脳波検査や定量的脳波検査(QEEG)だけで、ADHDやASDを診断することはできません。 発達障害と脳波の特徴との関連は研究されていますが、現時点では標準的な診断検査として確立されていません。 ADHDやASDの診断では、発達歴や行動の特徴、日常生活への影響などを総合的に評価します。
この記事の監修者
医療法人社団弘愛会理事長
赤堀 将太郎こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。
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