おしゃべりが止まらないのは大人の発達障害?特性や対処法を紹介
更新日 2025年06月04日
発達障害
「おしゃべりが止まらないのは発達障害?」「一方的に話して相手を困らせてしまう」「大人でも発達障害と診断されることはあるの?」などのお悩みがある方は少なくありません。
おしゃべりが止まらないのは、発達障害のある方にみられる特性の一つです。
もちろん、そうでない場合もありますが、発達障害によって話が長くなってしまったり、失言をしてしまったりしている場合もあります。
この記事では、おしゃべりが止まらない原因として考えられる発達障害の種類と、注意欠如多動性障害(ADHD)の特性、対処法を紹介します。
発達障害であることを理解し、適切なサポートを受けることでお悩みが解消できる可能性もあるため、ぜひ参考にしてみてください。
おしゃべりが止まらない原因として考えられる発達障害

周りの空気が読めず、失言してしまったりおしゃべりに夢中になって仕事が終わらなかったりなど、周囲の人だけでなく自分自身も困ってしまった経験はありませんか?
そのような場合、もしかしたら注意欠如多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)といった発達障害が潜んでいる可能性があります。
ここでは、おしゃべりが止まらない原因として考えられる発達障害について紹介します。
注意欠如多動性障害(ADHD)
注意欠如多動性障害(ADHD)とは、「多動性」「衝動性」「不注意」の3つの特性がある発達障害です。
特性の出方によって大きく「多動・衝動優位型」「不注意優勢型」「混合型」の3タイプにわけられます。
多動性・衝動性による特性には、過度なおしゃべりや不用意な発言、目的のない動き、不安定な感情などがあります。
子どものころから教室をうろうろ歩き回るといった行動があれば、早期に気づかれる可能性が高いです。
しかし、成長とともに目に見える症状は治ってくることが多く、大人になって日常生活に支障をきたすまで気づかないこともあります。
注意欠如多動性障害(ADHD)の方は、ワーキングメモリー(作業記憶)が低く自分が話した内容を覚えていられないことで長々と話を続けてしまったり、脳内多動(頭の中で考えが止まらず、次々に思考が浮かぶ状態)によってき思いついた話を止めどなくしてしまうのが特徴です。
自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD)とは、コミュニケーションや対人関係に困難があり、独特の強いこだわりや特定のものだけに興味を持つといった特性がある発達障害です。
ひと口に自閉スペクトラム症(ASD)といっても、自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群なども含まれています。
独自のこだわりがあり、人とのコミュニケーションが苦手なことから、会話が噛み合わなかったり、周囲の人の話を聞けなかったりなど、学校や会社で適切に振る舞えない場合も多いです。
子どものころから症状があったとしても、社会に出るまでそれほど不便を感じることがなく、大人になってから困難に気づき、診断を受けるケースが増えています。
自閉スペクトラム症(ASD)の方は、物事を全体として把握したり、状況を理解したりする力が弱いことから、周囲の人がどのように思っているかを顔色や受け答えなどから読むのが苦手です。
相手の立場に立って物事を考えられず、適切なタイミングで話を切り上げられないため、必要以上に長く話してしまうことがあります。
大人の注意欠如多動性障害(ADHD)でよくみられる特性

自閉スペクトラム症(ASD)の方も、話が長くなったり切り上げられなかったりなど、話し方のお悩みを抱えることが多いですが、発達障害の中でおしゃべりの傾向が強いのは注意欠如多動性障害(ADHD)です。
ここでは、大人の注意欠如多動性障害(ADHD)でよくみられる特性について詳しく紹介します。
おしゃべりが止まらない
職場の同僚や友達に話しかけて、長時間おしゃべりに付き合わせてしまったことはありませんか?
注意欠如多動性障害(ADHD)の方は、頭の中にアイデアや話題が次々と浮かんできます。
さらに思いついたことをすぐ言葉にする・一度始めたことに集中しすぎて周りが見えにくくなる特性によって、おしゃべりが止まらない状況が起こりやすいです。
また、会話の中で気になる内容があればとっさに質問したり話題を変えたりすることもあるため本筋から遠ざかってしまい、相手から「話が噛み合わない」「何を言いたいのかわからない」と言われてしまうこともあります。
じっとしていられない
注意欠如多動性障害(ADHD)に多い特性のひとつが、じっとしていられないことです。
じっとしていられない・落ち着きのない行動は、子どもの注意欠如多動性障害(ADHD)に多い行動ですが、多動性の傾向が強いと大人になっても貧乏ゆすりなどの行動に現れることがあります。
多動性に衝動性の特性も加わると、静かにじっと仕事に取り組むことが難しく、落ち着かない気分になったり、勢いよく行動したくなったりします。
状況によっては、座っていられず席を立ってしまうこともあるでしょう。
思いつきで行動する
思いつきで行動するのも、注意欠如多動性障害(ADHD)の特性のひとつです。
目の前にあるものを我慢しにくく、欲求を抑えることが難しいため、衝動的に買い物をしたりギャンブルにのめり込んだりして、依存に陥ってしまうこともあるでしょう。
買い物やギャンブルをするためにはお金が必要ですが、注意欠如多動性障害(ADHD)の方は、金銭の管理が得意ではありません。
長期間依存が続くと、借金などの金銭トラブルに発展することもあります。
感情がたかぶりやすい
注意欠如多動性障害(ADHD)の方の中には、怒りや悲しみ、不安などのネガティブな感情のコントロールが苦手で、感情がたかぶりやすい人もいます。
どの特性が強いかは人によって異なりますが、特に多動性や衝動性が強い場合は、感情のコントロールが難しく、些細なきっかけで感情的に反応してしまうこともあるでしょう。
また、悲しみや不安などの感情が記憶に残りやすく、怒りを感じたときにカッとなって衝動的な行動を起こしやすいことも特性の一つです。
友達やパートナーに対して衝動的に怒りをぶつけてしまうことで、関係が長続きせずに悩んでしまうケースも少なくありません。
集中力が続かない
注意欠如多動性障害(ADHD)の方は集中力が続かない・集中することが苦手といった特性により、仕事をしようとしてもなかなかやる気が起こらなかったり、気づいたら別のことをしていたりといった状況に陥りやすいです。
注意欠如多動性障害(ADHD)の場合は、判断や抑制を司る部分の機能が低下していて、行動や思考のブレーキが効きにくい状態になっている可能性があります。
「ブレーキが効きにくい状態」とは衝動性のことで、何かをしていても思いついたらすぐに別のことをしてしまったり、他のものに意識を持って行かれたりして、集中することが難しくなってしまいます。
また、情報を記憶や整理をする「ワーキングメモリー」の機能が弱く、別の情報が入ってくると最初に何をしていたかを忘れてしまうこともあるでしょう。
忘れ物・探し物が多い
忘れ物や探し物が多い傾向があるのも、注意欠如多動性障害(ADHD)の特性です。
例えば、仕事の重要書類を受け取ったのを忘れてしまった、置き場所をメモしたのにメモ自体を忘れたりなくしたりしてしまう、出かける時間なのに家の鍵が見つからないなど、忘れ物やなくしものが多く、探しても見つからないことが多いでしょう。
注意欠如多動性障害(ADHD)の特性の中でも日常生活への影響が大きく、困ってしまいますが、大人になると不注意の特性が目立ちやすく、頻繁に忘れ物や探し物をしてしまいます。
スケジュールやタスク管理が苦手
注意欠如多動性障害(ADHD)の方は、スケジュールやタスク管理が苦手です。
物事を整理して優先順位をつけるのが難しく、ひとつの物事に集中しすぎて他の物事を行う時間がなくなってしまうこともあります。
また、スケジュールやタスクの存在を忘れることや集合場所にたどり着けず、仕事や友達との約束で時間に間に合わなかったり、ギリギリになってしまったりすることも多いでしょう。
夜寝る前に何かの作業に没頭して夜更かしをして、朝寝坊してしまうケースもあるため、時間の管理ができていない人だと思われてしまい、職場で肩身の狭い思いをすることも少なくありません。
大人の注意欠如多動性障害(ADHD)の対処法

注意欠如多動性障害(ADHD)は、生まれつき脳の発達が通常と異なることで起こるため、根本的な完治は難しいのが現状です。
しかし、適切に対処することで、日常生活の困りごとや生きづらさを軽減できる可能性があります。
ここでは、大人の注意欠如多動性障害(ADHD)の対処法を紹介します。
自分の特性を理解する
大人の注意欠如多動性障害(ADHD)も、子どもと同じように不注意・多動性・衝動性の特性がみられますが、症状の現れ方が異なることもめずらしくありません。
社会人になってから症状に気づいた場合、人間関係に影響したり、精神的な負担が生じたりする可能性もあるため、自分の特性を理解することが大切です。
具体的には、好きなことや得意なことは何か、苦手なことは何か、周囲の人からどのようなことで注意されるかといった点を考えてみましょう。
日常生活の具体的な対策を考える
自分の特性を理解したら、日常生活の具体的な対策を考えていきます。苦手なことへの具体的な対策を講じれば、生活の中で感じる負担を軽減できるかもしれません。
以下のように、一つひとつの困りごとに対して、それぞれ決まりを作ってみましょう。
忘れ物が多い | 持ち物リスト・出かけるまでのルーティーン表を作る |
なくしものが多い | 決まった置き場所を作る・移動中の物の持ち方を決める |
期限を守れない | やるべきことを細分化してそれぞれに締切日を設ける・カレンダーやリマインダー機能を活用する |
計画的に行動できない | 時間や場所、目的などの情報をすべて書き出したToDoリスト(やることリスト)を作って優先順位をつける |
すべての困りごとに対して対策をするのは大変かもしれませんが、無理のない範囲で自分に合った方法を取り入れてみてください。
相談・支援先を見つけて環境を整える
日常生活の中で自分で行う対策の他に、専門の相談窓口や医療機関へ相談し、生活しやすい環境を整えることが大切です。
全国の発達障害者支援センターでは、発達障害による困りごとの相談やサポートなど、総合的な支援が受けられます。
保険・医療・福祉・教育・労働などの各分野の関係機関と連携して、発達障害のある人の幅広い相談を受け付けているため、とりあえず相談してみたい方や医療機関の受診を迷っている方におすすめです。
発達障害の診断は、精神科もしくは心療内科、子どもの場合は小児科などの医療機関で行われています。
症状が強く日常生活に支障をきたしている場合は、専門の医療機関を受診して診断を受け、必要に応じて治療を受けましょう。
医療機関での注意欠如多動性障害(ADHD)の治療法

自分でできる対処法や専門の窓口に相談しても改善がみられない場合は、医療機関で適切な治療を受けるのもひとつの方法です。
ここでは、医療機関での注意欠如多動性障害(ADHD)の治療法について紹介します。
医療機関での治療の流れ
精神科もしくは心療内科では、問診やカウンセリング、心理検査、脳波の測定や画像検査などを必要に応じて行い、注意欠如多動性障害(ADHD)かどうかを診断し、治療方針を立てます。
医療機関で受けられる代表的な治療は、心理教育や認知行動療法といった心理療法、薬物療法などです。
診断後に適切な方法で治療を行いますが、医療機関での治療と併せて環境調整や家族支援を行うことが重要になります。
なお、受診の際は子どものころの様子や仕事・生活に関する情報が必要です。幼少期の生活態度がわかるようなものや、生活する中での困りごとなどに応えられるようにしておきましょう。
大人の注意欠如多動性障害(ADHD)に対する具体的な治療方法
心理教育では、医師や臨床心理士などによるカウンセリングを行い、症状を軽減していきます。
認知行動療法では、自分の考え方や行動の偏りを把握し、自分の認知や行動パターンを整えていくため、日常生活でのストレスや困りごとが軽減されていくでしょう。
ただしこれらの心理療法は受けられる医療機関が限られています。事前に問い合わせのうえ、受診するようにしましょう。
薬物療法では、ストラテラ、コンサータ、インチュニブの3種類の薬の中から、症状に合ったものを服用しますが、それぞれ眠気や吐き気などの副作用がみられる可能性もあります。
医師の診断を受けたうえでよく相談し、処方された場合にのみ服用することが大切です。
医療機関を受診するか悩んでいる場合は、オンラインで受けられるカウンセリングを利用することから始めてみるとよいでしょう。
特性を理解すれば止まらないおしゃべりに対処できる
発達障害でおしゃべりが止まらない可能性があるのは、注意欠如多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)です。
特に注意欠如多動性障害(ADHD)は、多動性・衝動性によって過度なおしゃべりや不用意な発言が多く、相手に不快な思いをさせてしまうこともあるため、早めに対処しましょう。
『かもみーる』は、医師監修のオンラインカウンセリングサービスを提供しています。
医師のほか、臨床心理士や公認心理士を中心とした有資格者が、発達障害に関する相談も受け付けています。
おしゃべりが止まらず、日常生活に支障をきたしている方、しゃべりすぎてしまうのをどうにかしたいとお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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