休職期間の過ごし方

更新日 2022年11月21日

オンラインカウンセリング
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 仕事やプライベートでのストレスで精神面が限界に達してしまい、心療内科を受診したら、医師から休職するように指示されたとします。 

休職を指示されたはいいけど、この休職期間をどのように過ごしたら良いか分からないといったお声を良く聞きます。ここでは、「うつ病」や「適応障害」といった病気をとりあげ、休職中をどのように過ごしたら良いのか、過ごし方のヒントになることをあげていきます。

うつ病、適応障害の症状を知る

まず、「うつ病」・「適応障害」とは、どのような症状なのかをご説明します。
病気の症状を知ることで、この症状は病気から起きているのだなと分かると、不安に振り回されなくなりますので、それぞれの病気の特性について知っていくことは、とても意味があることです。


<うつ病>

※厚生労働省HP引用

厚生労働省の統計によりますと、100人にのうち約6人が罹患する病気と統計で明らかになって います。
うつの三大症状として、「抑うつ」・「不安」・「意欲低下」という症状が出ます。何もやる気 が起きず、不安に苛まれ自責の念の強くなり、とても辛い状況です。
また、うつ病の発症原因としては、セロトニン仮説などがありますが、厳密な機序が分かってい るわけではありません。脳の感情や意欲を司る部位に何らかの不調が生じている可能性や、スト レス以外の楽しい嬉しいライフイベント(結婚、進学、就職等)で生じることもあります。

<身体症状>

  • 食欲がない
  • 性欲がない
  • 眠れない、過度に寝てしまう
  • 体がだるい、疲れやすい
  • 頭痛や肩こり
  • 動悸
  • 胃の不快感、便秘や下痢
  • めまい
  • 口が渇く

<精神症状>

  • 無関心
  • 意欲低下
  • いらいら感
  • 気分の落ち込み
  • 喜んだり楽しんだりが出来ない
  • 悲観的に考える
  • 集中力の低下(仕事)

このように、うつ病は、精神・身体症状を抱えながら、無理をして社会生活を送りますと、どん どん自分を追い込んでしまうことになってしまいます。周囲の励ましも時として負担になります ので、あたたかく見守り、ご本人はまずは休養することが第一です。

適応障害について

適応障害とは、短期間で強いストレスがかかることで、身体に異常を来してしまう症状のことを指します。通常、ストレスの原因は特定できます。


<精神症状>

  • 不安
  • 抑うつ
  • 無気力
  • 思考・集中力の低下
  • 悲壮感、焦り、神経過敏など
※こうした精神症状から、頭が真っ白になり業務中に思考が停止してしまうこともあります。

<身体症状>

  • 倦怠感
  • 不眠
  • 食欲不振
  • 動悸
  • 過呼吸
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腹痛

病状が回復すると、これらの精神、身体症状は次第に和らいでいきますが、まれに慢性化するこ ともあります。症状を慢性化させないためにも、適応障害も、基本的にはゆっくり休養すること が大切です。
また、うつ病と適応障害の違いは、症状の程度にあります。「適応障害」はストレスの原因に なっていることから離れると比較的症状が落ち着きますが、一方「うつ病」はストレスから離れ ても、中々改善しません。従って、うつ病はより医療的ケアが必要となるのです。

休職期間の段階

休職中は、これらの症状を理解し、精神・身体症状が慢性化しないように、休職期間の段階に合わせて生活していくのがいいでしょう。

また、勤務している方は会社に傷病手当金について、自分は該当するか?いつから振り込まれるのか?といったことも事前に確認しておきましょう。

そして、会社と予めの連絡方法を決めておくと良いでしょう。
恐らく決まった期間に(二週間に一度、一か月に一度)、もしくは受診したタイミングで連絡をしてほしいという会社や、会社の規定もあるかと思いま すので、誰に、どのタイミングで、電話,対面,メールといった連絡手段を、事前に明確に決めておきましょう。

そして、会社へ連絡した際、特に上司と話さないといけない場合は、緊張も手伝いご自身の状態、状況を良く伝えがちですが、ありのままの現在の状態、状況を伝えましょう。
本サイトのこちらのブログ記事でも、「休職から復職に至るステップ」が紹介されていますので、併せてご覧になって下さい。


・休養期

休職直後の期間がこれに当てはまります。 前述のように「うつ病」や「適応障害」は心身ともに辛い症状がありますので、休職直後は、充分な休養をとり、体調の回復を優先させましょう。 ベッドの上でずっと寝てしまっている、という状態でも全く問題有りません。この時期はやるべきことをしない期間にしましょう。 個人差はありますが、休職後2週間ほどはこの「休養期」を経験することになります。


・リハビリ期

休息により心身が休まり、回復の兆しがみえてきたら、少しずつ活動量を増やしていきましょう。
季節の景色をみながら、散歩するというのもいいですね。お一人で出かけるのが心細い場合は、ご家族について行ってもらうのも良いでしょう。具体的には、カフェでお茶する、図書館に行ってみるといった事は気軽に取り組みやすいでしょう。


・調整期

ここは以前の生活のように、生活のリズムを調整する時期になります。適度な運動をし、睡眠リズムを整えるようにしましょう。
復職を検討している方は、保健スタッフ等に業務量・業務時間の調整を相談する時期にもなります。会社に産業医がいる場合は産業医にも、ご自分の心身の状態を相談しましょう。

この一連の時期は焦ってしまいがちなので、頑張りすぎないことと、無理をしないことが大切です。
大切な決断はこの時期におこなわず、結論を急ぎすぎないということも、無理しないコツです。

また、一連のこの時期を過ごす上で、定期的な受診とカウンセリングが有効です。休職中は早く仕事に戻らないと、とか、焦りから、急いで自己判断をしてしまいがちです。主治医のアドバイスを受けながら、お薬を服用している方は容量を服用し定期的な受診をすることで、一人では気持ちがいきづまってしまいがちな時期を、他者の力や知恵をもらいながら過ごしていきましょう。

日常生活でおこなえるセルフケア[身体編]

日常生活でおこなえるセルフケアをご紹介していきます。

・睡眠をととのえる
決まった時間に起床し、明るい光を浴びましょう。太陽の光を浴びると、網膜が光を感知し、セロトニンが分泌されやすくなります。セロトニンは睡眠の質を良くするメラトニンを生み出すので、睡眠の質も良くなります。

・身体機能の維持
筋力は、あまり動かずにいると、容易に落ちてしまうので、日常生活の隙間に、気軽に出来るストレッチ動画を使ったヨガなどの運動を、無理なく取り入れていきましょう。

日常生活でおこなえるセルフケア[こころ編]

・ネガティブは思考をコントロールする作業
不安なこと、辛かったこと等をノートに書き出し、自分の気持ちを外在化することで、自分の気持ちを客観的に把握できるようになり、頭の中でネガティブな思いがぐるぐると回ることを防げます。

また、ストレッチ、軽い運動をおこなう→身体を動かすことで、意識がすっきりします。身体を動かすことによって、動かすことに集中し、気持ちから一旦離れることができます。それから、身体を動かすことで、やる気が出てくるといった科学的根拠もあります。

・深い呼吸で「いま・ここ」に意識を向ける
深い呼吸(まず、口をすぼめて糸を吐くように力強く、次に鼻から吸う、これを3から5分繰り返す)をおこなうことで、ネガティブな思いから離れ、気持ちも落ち着きます。更に、深い呼吸は自律神経をととのえる作用もあるので、深呼吸は手軽に出来て、効果絶大です。

最後に、逆説的に考えますと、病気をとおして、自分と向き合い、自分を知り、自分という存在はこの世に一人しかいない、かけがえのない存在という事を知ることになるでしょう。自分を優しく労わること、そんな当たり前のことが今後の生きていく力になります。 お一人でどうにかしようと思わず、主治医、心理士に定期的に相談しながら、無理をしないように生活していきましょう。