更年期障害で起こる頭痛の原因は?症状の特徴や対処法について解説
更新日 2025年07月09日
更年期障害
更年期に差しかかると、さまざまな不調が現れるようになりますが、その中でも頭痛に悩まされる方は少なくありません。
片頭痛のようにズキズキと脈打つ痛みや、頭全体を締め付けられるような緊張型頭痛など、痛みのタイプや原因は人それぞれです。
ホルモンバランスの変化による自律神経の乱れや、日々のストレス、生活習慣の影響などが複雑に絡み合い、症状が長引くこともあります。
この記事では、更年期障害で起こる頭痛の原因や症状について解説します。
具体的な対処法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
更年期障害で起こる頭痛の症状と原因

更年期障害の症状の一つとして現れる頭痛には、主に以下のような種類があります。
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 混合型頭痛
- 薬剤誘発性頭痛
- 二次性頭痛
ここでは上記5つの頭痛の症状と原因について解説します。
片頭痛
片頭痛は、ズキズキと脈打つような強い痛みが頭の片側に現れる頭痛です。
症状の特徴は以下の通りです。
- 頭の片側のみ脈打つような強い痛みが生じる
- 日常的な動作で症状が悪化する
- 発作中に悪心や吐き気、嘔吐などを伴うことがある
- 光や音に過敏になる
- 視覚症状や感覚症状が現れることがある
更年期の女性では、女性ホルモンの減少が引き金となり片頭痛が悪化するケースが少なくありません。
特に閉経前はホルモンの変動が激しく、月経周期に関係して片頭痛が頻発する方も多いです。
片頭痛は光や音などの刺激に過敏になることが多く、吐き気や視覚異常(閃光や視野欠損)を伴う場合もあります。
また体を動かすと痛みが悪化するため、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
ストレス、睡眠不足、空腹、アルコール、特定の食品なども誘因となるため、これらを避ける生活習慣の見直しが求められます。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭部全体を締め付けられるような圧迫感が特徴です。
片頭痛のように脈打つ痛みや吐き気は伴わず、痛みは鈍く持続的で、肩こりや首こりを併発することが多いです。
緊張型頭痛には以下のような特徴があります。
- 頭部全体が締め付けられるように痛む
- 肩こりや首こりを併発することが多い
- 吐き気を伴うことはない
- 日常動作によって症状が悪化することがない
更年期の女性は自律神経の乱れに加え、精神的なストレスや筋肉の緊張も重なり、このタイプの頭痛が起こりやすくなります。
デスクワークやスマートフォンの操作などで長時間同じ姿勢をとることも原因の一つです。
その他、肥満や運動不足、喫煙なども発症の危険因子とされています。
混合型頭痛
混合型頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛の両方の特徴を併せ持つタイプです。
更年期の女性においては、ホルモンの不安定さによる片頭痛と、ストレスや肩こりからくる緊張型頭痛が同時に現れることも少なくありません。
このタイプの頭痛は症状や発作の出方がその都度異なるのが特徴で、痛みの強さや部位、時間帯によって変動する場合があります。
例えば光や音に敏感になるときもあれば、筋肉の緊張による鈍痛が続くときもあります。
そのため、自分の頭痛の傾向を記録しておくことが大切です。
どのような場面で頭痛が強くなるのかを把握することで、医師に適切な治療を提案してもらいやすくなります。
薬剤誘発性頭痛
薬剤誘発性頭痛は、市販の鎮痛薬や処方薬を頻繁に使用し続けた結果として生じる頭痛です。
特に更年期の女性は、片頭痛や緊張型頭痛に悩まされ、日常的に鎮痛薬を使用しているケースが多く見られます。
しかし鎮痛薬を習慣的に服用していると、痛みに対する感受性が高まり、薬が効きにくくなるばかりか、薬の使用が新たな頭痛を引き起こす悪循環に陥る可能性があります。
鎮痛薬の服用を辞めるだけで頭痛が改善されるケースも多いため、医師に相談の上で薬の服用量や頻度を調整しましょう。
二次性頭痛
二次性頭痛とは、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎といった重篤な疾患が原因で起こる頭痛のことを指します。
更年期の女性はエストロゲンの減少により動脈瘤のリスクが上昇すると考えられており、くも膜下出血を引き起こす原因となるケースもあるようです。
突然起こる激しい頭痛、麻痺やしびれ、吐き気、視力障害などの症状を伴う場合は、ただの更年期症状と決めつけず、すぐに医療機関を受診することが大切です。
また頭痛が日に日に悪化する、今までにない強さや種類の頭痛を感じるといった場合も、脳腫瘍などの病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。
自己判断せず、適切な検査を受けることで、早期発見・早期治療につなげましょう。
更年期障害で頭痛が起こる理由

更年期障害で頭痛が起こる理由として、以下の3つが挙げられます。
- 女性ホルモンの減少
- ストレスによる影響
- 病気による影響
ここでは上記3つの理由についてそれぞれ解説します。
女性ホルモンの減少
更年期障害で起こる頭痛の主な原因の一つが、卵巣機能の低下により分泌が不安定になる女性ホルモン(特にエストロゲン)の減少です。
エストロゲンは脳の神経伝達物質であるセロトニンの働きと深く関わっており、血管の拡張や収縮をスムーズに調整する役割も担っています。
更年期に入るとエストロゲンの分泌量が急激に低下し、そのバランスが大きく崩れることで血管の拡張が異常に起こり、頭痛を引き起こすとされているのです。
特に片頭痛はこの血管の反応と関係が深く、もともと月経前後に頭痛が出やすかった人は、更年期に入るとその頻度や重さが悪化する傾向があります。
こうした変化は閉経前の数年間に特に強く現れるため、ホルモン補充療法などの選択肢も含めて医師に相談してみましょう。
ストレスによる影響
更年期はホルモンの変化に加えて、ライフスタイルや環境の変化が重なりやすい時期でもあります。
仕事や家庭での責任、子どもの独立や親の介護といった新たなストレス源が増えることで、精神的な緊張が蓄積しやすくなるのです。
このような慢性的なストレスは自律神経のバランスを乱し、身体的な緊張を引き起こすことで緊張型頭痛を誘発します。
緊張型頭痛は頭全体が締め付けられるような鈍い痛みを感じるのが特徴で、肩や首のこり、眼精疲労なども伴うことが多いです。
ストレスによる頭痛は、無理をせずにリラックスする時間を持つこと、軽い運動やストレッチを取り入れること、入浴などで血流を促すことが改善につながります。
日常生活の中でストレスを意識的にコントロールすることで、頭痛を軽減しやすくなるでしょう。
▶ストレスと頭痛の関係│原因と対策・こころの病気(精神疾患)との関係
病気による影響
更年期に頭痛が起こる背景には、女性ホルモンの変動やストレスだけでなく、思わぬ病気が隠れていることもあります。
具体的には脳腫瘍やくも膜下出血、髄膜炎、睡眠時無呼吸症候群などが原因となるケースがあります。
特に「今までにない激しい痛みが現れた」「急に頭痛に悩まされるようになった」「手足のしびれや吐き気、視覚異常を伴う」などの症状が見られる場合は注意が必要です。
更年期と重なる年代はこれらの疾患のリスクも高まり始めるため、安易に更年期のせいと決めつけるのは危険です。
異変を感じたら放置せず、医療機関の受診を検討しましょう。
画像検査や血液検査などで原因を明確にすることで、必要な治療につなげられます。
更年期障害で起こる頭痛の対処法

更年期障害で起こる頭痛の対処法として、以下が挙げられます。
- 片頭痛は痛みの感じる場所を冷やす
- 緊張型頭痛は体を温める
- アルコールやカフェインの摂取を控える
- 睡眠時間を十分に確保する
- 適度に運動する
- 市販薬・サプリメント
- 漢方薬
- ホルモン補充療法
- プラセンタ
ここでは上記9つの対処法についてそれぞれ解説します。
片頭痛は痛みの感じる場所を冷やす
片頭痛は血管が拡張し神経を刺激することによって発生するため、痛みの感じる場所を冷やすことで血管を収縮させ、症状を和らげられます。
冷却ジェルや保冷剤、濡らしたタオルなどを痛みのあるこめかみや後頭部に当てるとよいでしょう。
冷たすぎると逆効果になることもあるため、心地よいと感じる程度にとどめるのがポイントです。
また光や音に対して過敏になることが多いため、部屋を暗くし、なるべく静かな環境で横になるのがおすすめです。
片頭痛を繰り返す場合は、生活リズムの見直しも含めて根本的な対策を検討しましょう。
緊張型頭痛は体を温める
緊張型頭痛は首や肩、頭の筋肉が緊張し血流が滞ることによって生じるため、体を温めて筋肉をほぐすのが効果的です。
蒸しタオルや温熱シートを首まわりや後頭部に当てるだけでも、血流が促され痛みが和らぐ可能性があります。
また、湯船にゆっくり浸かるのもおすすめです。
38〜40度程度のぬるめのお湯に10〜15分浸かることで、全身の緊張がほぐれ、リラックス効果も得られます。
頭痛が出やすいと感じる日には、就寝前にストレッチを取り入れるのも良いでしょう。
姿勢の悪さや長時間同じ体勢を続けることも頭痛の原因になるため、デスクワークが多い方は1時間に1回程度体を動かす習慣を心がけてみてください。
アルコールやカフェインの摂取を控える
更年期に起こる頭痛の引き金として、アルコールやカフェインの摂取が挙げられます。
特に片頭痛を持つ方は、アルコールによる血管拡張作用が痛みを誘発する場合があります。
お酒を飲んだあとに頭痛が起きやすいと感じたことがある方は、アルコールをなるべく控えるようにしましょう。
また、カフェインについても同様に注意が必要です。
頭痛を予防するためにも、一度嗜好品の摂取習慣を見直してみましょう。
睡眠時間を十分に確保する
更年期の頭痛を予防・緩和するためには、睡眠時間を十分に確保することが大切です。
睡眠不足は自律神経のバランスを乱す原因となり、片頭痛や緊張型頭痛を引き起こす要因になります。
逆に寝すぎてしまうのも体内リズムを崩し、頭痛を悪化させることがあるため、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きる『規則正しい睡眠リズム』を保つのが理想です。
また、更年期にはホルモンバランスの乱れにより不眠や浅い眠りが続くこともあります。
寝る直前までスマートフォンを見ない、夕方以降のカフェイン摂取を控える、寝室の温度や明るさを整えるなど、眠りの質を上げる工夫も大切です。
睡眠の質が改善されると、頭痛だけでなくイライラや気分の落ち込みといった他の更年期症状の緩和にもつながります。
適度に運動する
運動は更年期の頭痛予防に効果的です。
特に緊張型頭痛は血流の滞りや筋肉のこわばりが原因となることが多いため、日常的に体を動かすことで肩こりや首の張りが和らぎ、頭痛も軽減しやすくなります。
ウォーキングやストレッチ、ヨガ、軽い筋トレなど、体に負担の少ない運動でも効果が期待できます。
可能であれば毎日30分程度、無理のない範囲で身体を動かす習慣をつけましょう。
外に出て自然に触れる時間を作るだけでも気分転換になり、自律神経の安定につながります。
自分に合った運動方法を見つけ、無理なく続けることが大切です。
市販薬・サプリメント
軽度の頭痛であれば、市販の鎮痛薬を服用して症状を緩和できます。
ただし使用頻度が高いと薬剤誘発性頭痛を引き起こす恐れもあるため、用法用量は必ず守り、痛みが出たときだけ使用するようにしましょう。
また片頭痛に対しては、マグネシウムやビタミンB2などの栄養素が効果的とされており、これらのサプリメントを取り入れることで発作の頻度や重症度が軽減する可能性があります。
ただし効果には個人差があるため、体調や症状に応じて医師に相談のうえで使い分けることが大切です。
漢方薬
漢方薬は体質や症状に応じて処方される自然由来の治療方法で、更年期の頭痛対策におすすめです。
具体的には以下のような種類があります。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう) | 吐き気を伴う頭痛に有効で、冷えを感じやすい体質に適している |
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | 貧血やめまい、肩こりなどを起こしやすい方に適している |
加味逍遙散(かみしょうようさん) | イライラや不安などの精神的な不調を伴う方、肩こりや便秘になりやすい方に適している |
漢方は西洋薬に比べて副作用が少なく、ホルモン補充療法に抵抗のある方や体質的に合わない方にも適している点がメリットです。
医師や薬剤師と相談して、自分に合った処方を見つけることが望ましいでしょう。
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、更年期に伴って急激に減少するエストロゲンを補うことで、さまざまな不調を改善する治療方法です。
頭痛のほか、ホットフラッシュや不眠、イライラ、関節の痛みなどにも効果があるとされています。
ただし片頭痛をもともと持っている方は、ホルモンの変動によって症状が悪化するリスクもあるため注意が必要です。
プラセンタ
プラセンタは更年期による頭痛のほか、ホットフラッシュ、不眠、イライラ、肌荒れ、肩こりなどの改善にも効果が期待できるケースがあります。
注射による投与が一般的で、週1〜2回の頻度で通院することで効果を実感する方が多いです。
比較的副作用が少ないとされていますが、アレルギー体質の方や妊娠中の使用には注意が必要となります。
興味のある方は、まず医師に相談してみてください。
更年期障害の頭痛は痛みに合った対処が大切
更年期の頭痛はホルモンの変動やストレス、生活習慣の乱れなど、複数の原因によって引き起こされます。
片頭痛の場合は痛みの感じる場所を冷やし、緊張型頭痛の場合は体を温めることで痛みが和らぐことがあります。
痛みの種類によって対処法が異なるため、自分に合った対処法を取り入れてみましょう。
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