モロー反射とは?いつからいつまで続くのか、激しいときの対処法も解説

更新日 2025年06月03日

児童精神科
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赤ちゃんには、生まれた直後から『原始反射』と呼ばれるさまざまな無意識の動きが見られます。

そのなかでも『モロー反射』は、多くの親が一度は目にする代表的な反射です。

モロー反射とは突然の音や体の揺れに驚いて、赤ちゃんが腕を広げたり抱きつくような動きをしたりする反射ですが、これは実は重要な発達のサインとなります。

この記事では、モロー反射について詳しく解説します。

モロー反射が消える時期や反射が激しいときの対処法、モロー反射によく似た疾患などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

モロー反射とは

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モロー反射とは、生まれて間もない赤ちゃんに見られる原始反射の一つで、急な音や動きなどによって引き起こされる無意識の反応です。

具体的には何かに驚いたときに腕を大きく広げ、その後すぐに抱きつくように両腕を閉じる動作をします。

この反射は、赤ちゃんの神経系が正常に発達しているかを確認する大切なサインであり、健診などでもチェックされる項目の一つです。

モロー反射は、赤ちゃんがまだ自分の意思で体をコントロールできない時期に、外部の刺激に対する自動的な防御反応とも考えられています。

なお、モロー反射が左右で非対称だったりまったく見られなかったりする場合は、神経や筋肉に異常がある可能性もあるため医師の診察が必要です。

モロー反射が見られる時期

モロー反射は、生まれた直後から見られる反射です。

出産後すぐにこの反射があるかどうかを確認することで、赤ちゃんの神経系の発達や健康状態を判断する材料になります。

反射が見られるタイミングとしては、大きな音や急な動き、体の傾きなどが起きたときです。

例えば寝かせている赤ちゃんの頭が少し落ちたように感じたときや、大きな物音がしたときに、腕をバッと開くような動きが見られたら、それがモロー反射です。

この反射は生まれたばかりの赤ちゃんにとって正常な神経反応であるため、特に心配する必要はありません。

モロー反射が消える時期

モロー反射は生後4か月までによく見られる反射で、それ以降は自然と消失します。

これは赤ちゃんの脳や神経系が発達して、自分の意思で体を動かせるようになる過程で、原始反射が不要になるためです。

反射が残っている期間が長すぎる場合や逆に早く消えすぎた場合は、神経発達の遅れや異常の可能性があるため、小児科での相談が必要です。

また反射が片側だけにしか出ない、左右差が大きいといったケースも同様に注意が必要となります。

反射が自然に見られなくなるのは、赤ちゃんの成長が順調に進んでいる証拠ともいえるでしょう。

モロー反射以外の原始反射の種類

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モロー反射のほかにも、新生児期に見られる『原始反射』は複数存在します。

これらは赤ちゃんが生まれながらにして備えている無意識の反応で、成長とともに自然に消失していくのが特徴です。

  • 自動歩行(歩行反射)
  • 哺乳反射
  • 把握反射
  • 探索反射
  • バビンスキー反射
  • 非対称性緊張性頚反射

ここでは上記6つの原始反射についてそれぞれ解説します。

自動歩行(歩行反射)

自動歩行(歩行反射)とは、赤ちゃんを両脇から支えて立たせるような姿勢をとらせ、足の裏が硬い面に触れると、足を交互に前へ出すような動きを見せる反射です。

まるで歩こうとしているかのように見えるため、『歩行反射』と呼ばれます。

この反射は生まれてすぐから見られ、生後2か月頃までに消失するのが一般的です。

ただし実際に歩行ができるわけではないため、この動きを見て早期に歩き出すと誤解しないように注意が必要です。

哺乳反射

哺乳反射は、赤ちゃんが母乳やミルクを飲むために必要な原始反射で、『吸啜(きゅうてつ)反射』とも呼ばれる反応です。

口の中や唇に触れる刺激を受けると、自然と吸いつこうとする反応が現れます。

この反射は胎児のときからすでに備わっており、生まれた直後から授乳が可能になる理由でもあります。

哺乳反射は『吸う』『飲み込む』 『呼吸する』という動作が連携しており、これらがスムーズにできることは、赤ちゃんの生命維持にとって非常に重要です。

この原始反射は生後6〜12か月頃まで見られます。

この反射が弱かったり見られなかったりする場合は、神経系の異常が疑われるため、早めに医師へ相談しましょう。

把握反射

把握反射とは、赤ちゃんの手のひらに指や物を当てると握り返す反応のことです。

足の裏を刺激すると足の指を曲げて握るような動きをする『足底把握反射』もあります。

手のひらの把握反射は生後3〜4か月頃、足底把握反射は生後9〜10か月頃まで見られます。

これは赤ちゃんが意識してつかむ動作を始める前の準備段階のようなもので、筋肉や神経系の発達を確認するための重要な手がかりとなるものです。

探索反射

探索反射は、赤ちゃんの唇に軽く触れると、その刺激のあった方向に顔を向けて探す動作のことです。

この反射は主に母乳や哺乳瓶を探すための行動で、生まれてすぐの赤ちゃんにとって重要な生命維持機能の一部です。

探索反射は生後4か月〜6か月頃までには徐々に見られなくなり、その後は意識的に母乳を飲むようになります。

バビンスキー反射

バビンスキー反射は赤ちゃんの足の裏をかかとからつま先方向に向かって指でなぞると、足の指が扇のように開き、親指が上に反り返る反応のことです。

これは赤ちゃん特有の反射で、正常な神経系の発達を示すものです。

通常、生後1〜2歳頃には自然に消失します。

バビンスキー反射が消えずに2歳以降も続いている場合は、中枢神経に異常がある可能性があるため、医師の診察が必要です。

赤ちゃんの段階では、生理的な反射として特に重要な観察項目です。

非対称性緊張性頸反射

非対称性緊張性頸反射は、赤ちゃんの頭を左右どちらかに向けたとき、その向いた側の腕と脚が伸び、反対側の腕と脚が曲がるという反射です。

この反射は新生児期から見られ、生後2〜3か月までに自然に消失するのが一般的です。

非対称性緊張性頸反射は、視覚と手の協調運動や姿勢制御の発達に関係しており、消失のタイミングが遅れると、寝返りやハイハイなどの運動発達に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、この反射の有無や消失時期は、発達を確認するうえで重要な要素となります。

モロー反射が見られない・消えないときの原因

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モロー反射が新生児期に見られない場合や、生後6か月以降も消えない場合には、脳や神経系の発達に何らかの問題がある可能性があるため注意が必要です。

一方、モロー反射が消えずに長く続く場合には、脳の発達が遅れている可能性が考えられるでしょう。

特に1歳を過ぎてもモロー反射が強く見られる場合は、脳性麻痺や発達障害などが疑われるため、早めに小児科や専門医に相談することが大切です。

赤ちゃんの反応に違和感があると感じた場合は、自己判断せず専門機関で診てもらいましょう。

モロー反射が激しいときの3つの対処法

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モロー反射が激しいときの対処法は以下の3つが挙げられます。

  • 環境を整える
  • おくるみを使う
  • 抱き方を工夫する

ここでは上記3つの対処法についてそれぞれ解説します。

環境を整える

赤ちゃんのモロー反射を和らげるには、まず環境を整えることが大切です。

強い音や急な光などは反射を引き起こしやすいため、静かで落ち着いた空間を整えましょう。

特に就寝時には、テレビの音や話し声を控え、スムーズに眠りにつける環境を作ることが大切です。

また温度や湿度も快適な範囲に保つことで、赤ちゃんの緊張が緩み、反射の頻度も減少します。

毎日の寝かしつけのルーティンを作ると、赤ちゃんが次第に落ち着きやすくなります。

おくるみを使う

モロー反射による驚きや泣き出しを防ぐ方法として、おくるみを使う方法が挙げられます。

赤ちゃんの手足が自由に動く状態だと、ちょっとした刺激でモロー反射が起きやすくなります。

おくるみでやさしく包んであげることで、手足の動きを抑え、不意な反射を防ぐことができるのです。

特に睡眠時に使用することで、途中で起きてしまう回数が減り、赤ちゃんもぐっすり眠ることができるようになります。

ただし締めすぎたり長時間包みすぎると血流を妨げる恐れがあるため、様子を見ながら適度に使用しましょう。

赤ちゃんが寝返りを始めるようになったら、安全性のためおくるみの使用は控える必要があります。

抱き方を工夫する

抱っこの仕方を工夫することで、モロー反射を起こしにくくすることができます。

例えば急に腕で持ち上げたり、角度を変えたりすると赤ちゃんが不安を感じ、反射が起こることがあります。

なるべくゆっくりとした動作で、赤ちゃんの首や背中をしっかり支えるように抱くと、反射が軽減されるでしょう。

寝かせるときも同様に、頭から体までなるべく水平に保ち、ゆっくりと下ろしてあげることが大切です。

モロー反射によく似た疾患

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モロー反射によく似た疾患として、以下が挙げられます。

  • 点頭てんかん
  • ミオクローヌス(乳児けいれん)
  • 脳性麻痺
  • 腕神経叢麻痺(わんしんけいそうまひ)
  • 筋緊張異常

ここでは上記の疾患についてそれぞれ解説します。

点頭てんかん

点頭てんかんは、生後3〜11か月頃に発症することが多い乳児期のてんかん症候群の一種です。

赤ちゃんが前ぶれもなく突然うなずくように頭をカクンと前に倒すのが特徴で、これが1日に何回も繰り返されます。

そのほかにも、手足を縮めたり伸ばしたりするような動作も見られます。

動きがモロー反射と似ており、特に月齢の浅い時期には見分けが難しいため注意が必要です。

何度も同じような動きを繰り返す、泣き方や反応がおかしいと感じた場合は、速やかに専門医の診断を受けることが大切です。

ミオクローヌス(乳児けいれん)

ミオクローヌスとは、筋肉が突然ピクッと収縮するけいれん発作のことで、赤ちゃんの場合『乳児けいれん』として現れることがあります。

モロー反射と違い、外的な刺激がなくても突然始まり、短時間で終わるのが特徴です。

全身がピクッと跳ねるように動くため、モロー反射と勘違いされることもありますが、頻度やタイミング、赤ちゃんの表情などを観察することで区別できます。

発達や意識レベルに異常が見られることもあるため、繰り返し起こるようであれば、医療機関での詳しい検査が必要です。

脳性麻痺

脳性麻痺は、出生前後の脳の損傷により、運動機能や筋緊張のコントロールが障害される病気です。

モロー反射が長期間続くまたは左右差がある場合は、この疾患の兆候である可能性があります。

例えば片方の手足だけ反応が鈍い、あるいは反射そのものが見られない場合には、脳性麻痺による神経の損傷が疑われます。

腕神経叢麻痺(わんしんけいそうまひ)

腕神経叢麻痺(わんしんけいそうまひ)は、出産時に肩や首の神経が引き伸ばされたり圧迫されたりすることで生じる麻痺の一種です。

モロー反射では、通常両腕を広げる動作が見られますが、この麻痺がある場合は一方の腕の動きが極端に弱かったり、まったく動かなかったりすることがあります。

反射が片側だけに見られない場合や、手足の動きに左右差があるときは、この疾患を疑う必要があるでしょう。

軽度であれば自然に回復することもありますが、重度の場合は神経回復が難しく、リハビリや手術が必要となるケースもあります。

筋緊張異常

筋緊張異常とは、筋肉が常に緊張している状態(緊張亢進)や反対に力が入りにくい状態(緊張低下)を指します。

モロー反射が極端に強く出る場合や逆に反応が鈍い場合筋緊張の異常が関係している可能性が高いです。

例えば筋緊張が高すぎると反射の動きが激しくなり、赤ちゃんが驚いた際の動きが大きくなることがあります。

一方で、筋肉が緩みすぎていると、反応がほとんど見られないこともあります。

こうした筋緊張の異常は脳や神経の発達にも関係していることがあるため、医師による診断が必要です。

モロー反射は赤ちゃんの発達を知る重要なサイン

モロー反射は、赤ちゃんの発達を知るうえで重要な原始反射の一つです。

赤ちゃんの中枢神経が正常に機能しているかを確認する目安にもなります。

モロー反射が見られないまたは極端に強く長引くといった場合には、神経や筋肉の異常が隠れている可能性もあるため、医療機関の受診を検討しましょう。

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