強迫性障害の原因は?なぜなるのか・発症のきっかけ・なりやすい人を解説

投稿日 2025年03月10日

最終更新日 2026年09月13日

強迫性障害
強迫性障害の原因は?なぜなるのか・発症のきっかけ・なりやすい人を解説

強迫性障害とは、自分の意思に反して不快な考えが繰り返し浮かんだり(強迫観念)、それを打ち消すために同じ行動を繰り返したりする(強迫行為)精神疾患です。

強迫性障害の明確な原因は、まだ完全には解明されていません。

現在は、遺伝的要因、脳機能、認知・行動の特徴、ストレスなどが複雑に関係して発症すると考えられています。

この記事では、強迫性障害がなぜ起こるのか、発症のきっかけや性格との関係について解説します。

あわせて、強迫性障害(OCD)と併存しやすい自閉スペクトラム症(ASD)やチック症との違いについても紹介します。

強迫性障害とは

強迫性障害とは、自分の意思に反して考えが頭に浮かんで離れなくなる『強迫観念』や、それによって生まれた不安を取り払うために同じ行動を何度も繰り返す『強迫行為』がみられる精神疾患です。

例えば強迫観念によって何度も手を洗ったり、鍵をかけたか何度も確認したりといった行動を起こすもので、日常生活に支障をきたす状態になります。

強迫性障害の原因は一つに特定されておらず、遺伝的要因や脳機能、認知・行動の特徴、ストレスなど、複数の要因が関係すると考えられています。

強迫症状が続くと日常生活や仕事、人間関係への支障が大きくなり、抑うつ症状などを伴うこともありますので、注意が必要です。

強迫性障害はなぜ起こる?原因は一つではない

強迫性障害がなぜ起こるのかについて、明確な原因はまだ十分に解明されていません。

現在は、遺伝的な体質、脳内の情報処理に関わる機能、物事の受け止め方や行動の学習、ストレスなど、複数の要因が関係して発症すると考えられています。

特定の性格や育て方、本人の意志の弱さだけで発症する病気ではありません。

また、ストレスの強い出来事をきっかけに症状が現れたり悪化したりすることはありますが、ストレスだけで発症を説明できるわけでもありません。

ここでは、強迫性障害との関連が研究されている主な要因について解説します。

遺伝的要因

家族研究では、強迫性障害(OCD)は血縁関係の近い家族ほど発症リスクが高いことが報告されています。

また、双生児研究では、強迫性障害(OCD)の発症しやすさに対する遺伝的要因の寄与は約50%と推定されています。

ここでいう遺伝率は、集団内でみられる発症しやすさの違いに遺伝的要因がどの程度関係するかを示す推定値であり、個人の発症確率を表すものではありません。

ただし、遺伝だけで発症が決まるわけではなく、遺伝的要因と個人ごとに異なる環境要因などが複雑に関係すると考えられています。

参考:Mataix-Cols D, Fernández de la Cruz L, Beucke JC, et al. Heritability of Clinically Diagnosed Obsessive-Compulsive Disorder Among Twins. JAMA Psychiatry. 2024;81(6):631–632. doi:10.1001/jamapsychiatry.2024.0299

Blanco-Vieira T, Radua J, Marcelino L, Bloch M, Mataix-Cols D, do Rosário MC. The genetic epidemiology of obsessive-compulsive disorder: a systematic review and meta-analysis. Transl Psychiatry. 2023;13:230. doi:10.1038/s41398-023-02433-2

脳機能との関係

脳画像研究では、強迫性障害(OCD)のある人とない人を比較したとき、眼窩前頭皮質や前部帯状皮質などの皮質領域、線条体、視床を結ぶ神経回路(皮質―線条体―視床―皮質回路:CSTC回路)の構造や活動、機能的結合に違いがみられることが報告されています。

ただし、特定の脳部位の異常だけで強迫性障害(OCD)が発症すると説明できるわけではなく、複数の神経回路が関係すると考えられています。

参考:Picó-Pérez M, Moreira PS, Ferreira VM, et al. Modality-specific overlaps in brain structure and function in obsessive-compulsive disorder: multimodal meta-analysis of case-control MRI studies. Neurosci Biobehav Rev. 2020;112:83–94. doi:10.1016/j.neubiorev.2020.01.033

認知・行動の特徴

強迫性障害では、浮かんだ考えを過度に危険なものと受け止めたり、「完全に確かめなければならない」「考えただけでも責任がある」と感じたりすることがあります。

不安を軽減するために確認や洗浄などを行うと、一時的には安心できます。

しかし、その安心によって強迫行為が繰り返されやすくなり、強迫観念と強迫行為の悪循環が維持されることがあります。

こうした認知・行動の特徴は、本人の性格や意志の弱さを意味するものではありません。

ストレスや生活上の変化

進学、就職、転職、結婚、妊娠・出産、人間関係の問題、過労などをきっかけに、OCDの症状が現れたり悪化したりすることがあります。

ただし、ストレスは必ずしもOCDの直接的な原因ではありません。

もともとの生物学的・心理的な脆弱性と重なり、発症や悪化のきっかけになるものと考えられます。

子どもの急激な強迫症状と感染症の関係

一部の子どもでは、強迫症状や摂食制限などの神経精神症状が数日以内に急激に出現する状態が報告されており、PANS(小児急性発症神経精神症候群)と呼ばれています。

そのうち、溶血性レンサ球菌感染との時間的な関連が想定される病態概念がPANDASです。

ただし、PANS・PANDASには診断を確定できる特異的な検査がなく、感染症と強迫症状の因果関係や治療法についても、十分に確立されていない点があります。

すべての小児OCDが感染症によって起こるわけではなく、通常のOCD、チック症、シデナム舞踏病、自己免疫性脳炎などとの鑑別が必要です。

子供の強迫性障害については下記の記事で詳しく解説しています。

▶︎ 子供の強迫性障害の原因と特徴|家族の接し方と早期発見が鍵

強迫性障害と併存しやすい精神疾患

強迫性障害では、ほかの精神疾患や発達上の特性が併存することがあります。

また、OCDの強迫行為と似た反復行動がみられる疾患もあるため、それぞれの行動がどのような理由で起きているのかを整理することが重要です。

これらの疾患がOCDの直接的な原因になるわけではありません。

ただし、症状が併存することで生活への支障が大きくなったり、治療方針に影響したりするため、診察では両方の可能性を評価します。

自閉スペクトラム症(ASD)との関係

自閉スペクトラム症(ASD)では、特定の行動や手順へのこだわり、同じ動作の繰り返しなどがみられることがあります。

一方、強迫性障害(OCD)では、強迫観念によって生じる不安や不快感を軽減したり、恐れている出来事を防いだりするために強迫行為を繰り返します。

自閉スペクトラム症(ASD)の反復行動は、本人にとって心地よい、安心できる、興味に沿っている場合があります。

強迫性障害(OCD)の強迫行為は、本人もやめたいと感じながら、不安に駆られて行っていることが多い点が一つの違いです。ただし、自閉スペクトラム症(ASD)と強迫性障害(OCD)が併存する場合もあり、実際には明確に区別しにくいケースもあります。

チック症との関係

チック症は、まばたき、顔をしかめる、首を振る、咳払い、声を出すなどの運動や発声が繰り返される疾患です。

動作の前に「ムズムズする」「その動きをしないと落ち着かない」といった前駆衝動がみられることがあります。

強迫性障害(OCD)の強迫行為は、一般に「確認しなければ事故が起きるかもしれない」などの強迫観念や不安を和らげる目的で行われます。

これに対して、チックは前駆衝動や身体的な違和感を解消するために行われることが多く、強迫性障害(OCD)とは異なる症状です。

ただし、チック症と強迫性障害(OCD)は併存することがあり、特に小児期に発症した強迫性障害(OCD)ではチック症を伴うケースがあります。

チック関連OCDでは、「ちょうどよい感覚になるまで繰り返す」といった症状がみられることもあります。

強迫性障害ではどのような症状が現れる?

強迫性障害では、自分の意思に反して不安な考えやイメージが繰り返し浮かぶ「強迫観念」と、その不安を和らげたり、恐れている出来事を防いだりするために行う「強迫行為」がみられます。

強迫行為をすると一時的に不安が和らぐことがあります。

しかし、その経験によって「この行動をしなければ危険かもしれない」という感覚が強まり、強迫観念と強迫行為が繰り返されやすくなります。

代表的な症状には、次のようなものがあります。

症状

主な特徴

不潔恐怖・洗浄強迫

汚染や感染を恐れ、手洗い、入浴、洗濯、消毒などを繰り返す

参考:「不潔恐怖・洗浄強迫とは?」

確認強迫

戸締まりや火の元、仕事上のミスなどを何度も確認する

加害恐怖

誰かを傷つけたのではないか、事故を起こしたのではないかと不安になる

対称性・正確性へのこだわり

物の位置や左右のバランスが整うまで、並べ直しや動作を繰り返す

儀式行為

決められた回数や順序で行動しなければ、悪いことが起こるように感じる

メンタルチェッキング

記憶や過去の出来事を頭の中で繰り返し確認する

保証の要求

「大丈夫だよね」と家族などに繰り返し確認し、安心を得ようとする

症状の内容や重症度には個人差があり、複数の症状が同時にみられることもあります。

また、強迫行為が目立たず、頭の中で確認や打ち消しを繰り返している場合もあります。

強迫性障害の症状、診断基準、治療法については、「強迫性障害とは?症状・原因・治療法を解説」で詳しく紹介しています。

強迫性障害の症状が気になるときの対応

強迫性障害の症状は、単に「気にしないようにする」「考えないようにする」と意識するだけで、簡単になくなるものではありません。

強迫観念を無理に追い払おうとすると、かえってその考えに注意が向き、不安が強くなることもあります。

また、不安を解消するために確認や洗浄を繰り返すと、一時的には安心できても「不安になったら強迫行為をしなければならない」という感覚が強まりやすくなります。

「1回の確認を完璧に行う」「声に出して確認する」「写真を撮って残す」といった方法も、新たな確認行為につながることがあるため注意が必要です。

大切なのは完全な安心を得ようとするのではなく、不安や疑念が多少残っていても確認や洗浄を繰り返さず日常生活へ戻ることです。

強迫性障害の詳しい治療法や自分でできる対処については、「強迫性障害とは?症状・原因・治療法を解説」で紹介しています。

強迫性障害の原因は一つではありません

強迫性障害の原因は、現在も完全には解明されていません。

遺伝的要因や脳機能、認知・行動の特徴などが複雑に関係し、ストレスや生活上の変化が症状の出現・悪化のきっかけになることがあると考えられています。

一方で、特定の性格や育て方、本人の意志の弱さだけが原因となる病気ではありません。

強迫観念や確認・洗浄などによって日常生活に支障が出ている場合は、一人で解決しようとせず、精神科や心療内科などの専門機関へ相談することが大切です。

かもみーるでは、医師によるオンライン診療や公認心理師によるオンラインカウンセリングを行っています。

「強迫性障害なのではないか」「心療内科を受診すべきか悩んでいる」といったお悩みを持つ方は、ぜひ当院までご相談ください。

この記事のテーマを相談できる医師

よくあるご質問

強迫性障害は性格が原因で発症しますか?

特定の性格だけが原因で強迫性障害を発症するわけではありません。 責任感が強い、完璧を求めやすい、心配しやすいといった傾向が症状の現れ方に関係することはありますが、そのような性格の人が必ず強迫性障害になるわけではありません。 強迫性障害には、遺伝的要因や脳機能、認知・行動の特徴、環境要因などが複雑に関係すると考えられています。 本人の性格や意志の弱さだけに原因を求めないことが大切です。

強迫性障害は遺伝しますか?

強迫性障害そのものが、親から子へ必ず遺伝するわけではありません。 家族研究や双生児研究からは、強迫性障害の発症しやすさに一定の遺伝的要因が関係することが示されています。 ただし、遺伝的要因があっても発症しない人も多く、環境要因なども関係します。 家族に強迫性障害の人がいるというだけで、本人や子どもが必ず発症すると考える必要はありません。

ストレスをきっかけに強迫性障害を発症することはありますか?

進学や就職、転職、妊娠・出産、人間関係の問題、過労などのストレスをきっかけに、強迫症状が現れたり悪化したりすることはあります。 ただし、ストレスだけが強迫性障害の直接的な原因になるとは限りません。 もともとの生物学的・心理的な脆弱性など、複数の要因が重なって症状が現れると考えられています。 強迫観念や確認・洗浄などによって日常生活に支障が生じている場合は、原因を自分だけで判断せず、精神科や心療内科へ相談しましょう。

この記事の監修者

赤堀 将太郎

医療法人社団弘愛会理事長

赤堀 将太郎

こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。

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