投稿日 2025年02月05日
最終更新日 2026年10月20日
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最終更新日 2026年10月20日

ADHDやASD、LDなどの発達障害を患っている方、診断されたお子さんがいる方のなかには、 薬物療法に不安を感じる方も少なくありません。
そんなときに、「TMS治療が発達障害に効果があるようだ」という噂を聞くと、 薬物療法以外の方法に興味をもつのではないでしょうか。
実際のところ、TMS治療が発達障害自体に効果があることはまだ解明されていません。 ただし、ADHDに伴ううつ症状に効果があるとされています。
この記事では、発達障害について、TMS治療が発達障害にどう影響するか、 エビデンスや薬物療法について詳しく紹介します。
ご自身やお子さんの発達障害にお悩みの方、TMS治療に興味がある方は、ぜひご覧ください。

発達障害にはADHD、ASD、LDがあり、それぞれ特性が異なります。 まずは、発達障害の種類を紹介します。
ADHDは、不注意・衝動性・多動性の3つの特性をもつ発達障害です。 3つのうち1つが際立つケースもあれば、混合型と呼ばれ複数が現れる場合もあり、 個人によって症状の特性は異なります。
ADHDについては、ADHD(注意欠如・多動症)とは?発達障害との関係や特徴、対応法を解説で詳しく解説しています。
集中力や注意力が散漫になると、学校では大勢で行う授業への参加が難しくなったり、 職場では次に何をすれば良いかわからなくなったりと、学業や仕事への支障をきたす状態です。
症状として、うつ病、不安症、双極性障害などを併発するケースもあり、 他の発達障害であるASDやLDとの合併症も見られます。
また、多くは12歳以前に出現する症状ですが、幼少期に見られる特性と区別が難しく、 診断が遅れてしまうことも少なくありません。
以下は、文部科学省が定める発達障害の定義です。
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
参考:文部科学省
ASDは、対人コミュニケーションの障害・社会性の障害・強いこだわりの3つが特性として現れるのが特徴です。
3歳頃から診断を受ける方が多く、視線を合わせない、1人遊びをする、 名前を呼んでも振り返らないなどの特徴があります。
一方的に言いたいことだけをしゃべったり、身振り手振りのコミュニケーションが苦手だったりと、 対人関係で特徴が見られます。
また、特定の刺激や活動に強いこだわりが見られる方が多く、 いつもと道順が違う、順番が違うなどとパニックを起こしてしまうことも。
対人関係で思い悩み不登校や行き渋り、抑うつ状態などの二次障害を引き起こすケースもあります。
ASDは、アメリカ精神医学会による「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)」に基づいた問診、 心理検査、スクリーニングテストなどを併用して行われます。
以下は、アメリカ精神医学会による診断基準です。
1.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥がある
2.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上ある (情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、 感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さなど)
3.発達早期から1と2の症状が存在している
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されている
5.これらの障害が、知的発達症(知的能力障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されない
参考:ASD(自閉スペクトラム症)とは?子どもの特徴・症状・診断・治療を解説
LDとは、読書障害(ディスレクシア)・書字障害(ディスグラフィア)・算数障害(ディスカリキュア)と呼ばれる3つの特性がある発達障害です。
LDについては、学習障害(限局性学習症・SLD)とは?大人・子どもの特徴や診断テスト・治療を解説でも詳しく解説しています。
読み書きや計算などに学習の遅れが発生するのが特徴で、単体で現れたり、混合して現れたりします。
授業についていけない、宿題ができないなど、小学校に進学してから周りとの差に気づくケースが多いです。
LDと診断されても、文章の構成が得意な方もいれば、算数が得意な方もいて症状の現れ方には個人差があります。
LDは、文部科学省により以下のように定義されています。
学習障害とは、基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、 聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に 著しい困難を示す、様々な障害を指すものである。
学習障害は、その背景として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、 その障害に起因する学習上の特異な困難は、主として学齢期に顕在化するが、 学齢期を過ぎるまで明らかにならないこともある。
学習障害は、視覚障害、聴覚障害、精神薄弱(注)、情緒障害などの状態や、 家庭、学校、地域社会などの環境的な要因が直接の原因となるものではないが、 そうした状態や要因とともに生じる可能性はある。また、行動の自己調整、 対人関係などにおける問題が学習障害に伴う形で現れることもある。
参考:文部科学省

発達障害に対してTMS治療が効果的であるかは、各国で研究が行われていますが限定的な効果しか得られていないのが現状です。 まだ研究は初期段階となるため、参考程度にとどめてください。
ここからは、発達障害へのTMS治療について紹介します。
TMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)は、頭部に設置したコイルから磁気刺激を与え、脳内に微弱な電流を誘導することで、神経活動を調節する治療法です。
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、主にうつ病に対する治療として用いられており、日本でも一定の条件を満たす成人のうつ病患者に対して保険適用されています。
一方、ADHDやASDなどの発達障害に対する有効性については研究段階であり、うつ病と同じように治療効果が確立しているわけではありません。
ADHDでは、注意機能や行動の抑制に関わる前頭前野などの脳領域の働きに特徴があることが知られています。
そのため、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)によって神経活動を調節し、不注意や多動性・衝動性などの症状を改善できるか研究が進められています。
2024年に発表された6件のランダム化比較試験、計169名を対象としたメタ解析では、rTMSによるADHD症状全体の改善について、偽刺激群との有意差は認められませんでした。
一方、右前頭前野への刺激では、症状の改善が示唆されています。
また、2025年のメタ解析では、不注意や多動性・衝動性に対する改善効果が報告されています。
ただし、研究によって刺激部位や刺激条件、対象者が異なり、長期的な有効性についても十分なデータがありません。
そのため、現時点でTMS治療はADHDの標準治療として確立されておらず、研究段階の治療法と位置づけられます。
参考:
自閉スペクトラム症(ASD)に対しても、TMS治療によって社会的コミュニケーションや反復的な行動、認知機能などが改善するか研究が行われています。
一部の小規模な研究では、反復的な行動や社会的認知機能などの改善が報告されています。
しかし、研究ごとに刺激部位や治療条件、評価方法が異なり、研究規模も限られています。また、長期的な有効性や安全性についても十分な検証が必要です。
そのため、現時点ではASDの中核症状に対するTMS治療の有効性は確立しておらず、標準的な治療法として推奨できる段階にはありません。
参考:TMS治療はASDに効果的?期待できる効果やメカニズムを解説

TMS治療が発達障害に効果があると報告されている論文もありますが、 日本ではまだ研究発表も少なく、臨床事例も少ないことからクリニックや医師によって見解が異なるのが現状です。
ここからは、発達障害へのTMS治療の注意点を紹介します。
大人の方で発達障害と診断され、TMS治療を検討している方も少なくありませんが、 日本国内でのTMS治療は重度のうつ病の場合に保険適用となり、それ以外は自由診療です。
臨床効果の事例が少ないことから、回復が期待できない可能性も考えなければいけません。
ただし、ADHDにおけるうつ症状を発症している場合は、TMS治療が有効である可能性が高く、 副次的な症状が落ち着くことでご本人が楽になるケースは十分に考えられます。
発達障害へのTMS治療は、医師とよく相談のうえで判断する必要があります。
小児・思春期のADHDやASDに対してもTMS治療の研究が行われていますが、成人と比較して研究数が限られており、長期的な有効性や安全性については十分に明らかになっていません。
TMS治療では、頭痛や頭皮の不快感などが生じる場合があり、まれですがけいれん発作などの重大な有害事象にも注意が必要です。
そのため、小児の発達障害に対してTMS治療を一般的な治療法として推奨することはできません。
まずは発達特性に応じた環境調整や心理社会的支援、必要に応じた薬物療法など、効果と安全性が検討されている治療・支援を優先することが重要です。

発達障害への治療は、症状に合わせた薬物療法が行われる場合もあります。 ただし、注意点もあるためリスクも把握しておきましょう。
コンサータは、服用後数時間以内から効果が現れることがある長時間作用型のメチルフェニデート製剤です。
主な副作用には、食欲減退、不眠、頭痛、腹痛などがあります。また、成長期の子どもでは体重や身長の推移を確認することも重要です。
中枢神経刺激薬であるため、乱用や不適切な使用には注意が必要ですが、すべての患者さんに定期的な休薬が推奨されるわけではありません。
休薬や用量の変更については、症状や副作用などを考慮し、主治医と相談して判断します。
ストラテラは、ADHDの治療に用いられる非中枢神経刺激薬です。
主成分はアトモキセチンで、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用をもち、前頭前野でのノルアドレナリンとドパミンの濃度を上げて過集中への視野を広げる効果が期待できます。
依存性がなく、24時間効果が持続しますが効果の発現が緩やかで、1〜2週間程度で実感でき、 6〜8週間で安定するのが特徴です。
主な副作用として、悪心、食欲減退、傾眠、頭痛、口渇などが挙げられます。 特に悪心は高頻度で報告されているため注意が必要です。
コンサータと異なる点として、依存性や乱用のリスクが低く、不眠や食欲低下などの副作用が少ない傾向にあります。
1日1回または2回に分けて服用します。効果の発現が緩やかですが、途中でやめずに継続的に服用することが重要です。
インチュニブは、ADHDの治療に用いられる非中枢神経刺激薬です。 主成分のグアンファシンは、α2Aアドレナリン受容体作動薬であり、前頭前野の神経伝達を改善することで効果を発揮します。
インチュニブの特徴として、依存性がなく、24時間効果が持続することが挙げられます。 効果の発現は比較的早く、1〜2週間程度で効果が現れ始めます。
主な副作用には、傾眠、血圧低下、頭痛、口渇、めまいなどがあります。特に傾眠は高頻度で報告されています。血圧低下や徐脈も注意が必要な副作用です。
インチュニブは1日1回の服用で、通常は朝に服用します。急な中断は血圧上昇や頻脈につながる可能性があるため、 減量は徐々に行う必要があります。
インチュニブは中枢神経刺激薬と比べて、不眠や食欲低下などの副作用が少ない傾向にあります。 また、依存性や乱用のリスクが低いため、長期的な使用が可能です。
リスパダールは、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられる非定型抗精神病薬です。
主成分のリスペリドンは、ドパミンD2受容体とセロトニン5-HT2A受容体を遮断することで効果を発揮します。
リスパダールの特徴として、陽性症状(幻覚、妄想など)だけでなく、陰性症状(意欲低下、感情鈍麻など)にも 効果があることが挙げられます。効果の発現は比較的早く、1〜2週間程度で効果が現れ始めます。
主な副作用には、錐体外路症状(アカシジア、パーキンソン症状など)、高プロラクチン血症、体重増加、眠気などがあります。特にアカシジアや不眠症は高頻度で報告されています。
リスパダールは1日1回または2回に分けて服用します。 錐体外路症状や高プロラクチン血症などの副作用に注意が必要ですが、 第一世代抗精神病薬と比べてこれらの副作用は少ない傾向にあります。
リスパダールは統合失調症の再発予防にも効果があり、長期的な使用が可能です。 ただし、長期使用による体重増加や代謝異常には注意が必要です。
ADHDのある方は、うつ病などの精神疾患を併存することがあります。
TMS治療はうつ病に対して有効性が認められている治療法ですが、ADHDそのものの症状を改善する効果については、現在も研究が進められている段階です。
そのため、ADHDとうつ病を併存している場合には、うつ病の症状や治療歴などを評価し、TMS治療の適応を検討することがあります。
ただし、TMS治療によってうつ病の症状が改善したとしても、ADHDの不注意や多動性・衝動性などの中核症状まで改善するとは限りません。
ADHDに対しては、必要に応じて薬物療法や心理社会的支援、生活環境の調整などを組み合わせることが重要です。
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ADHDに対するTMS治療については、不注意や多動性・衝動性の改善を報告した研究があります。しかし、研究規模が小さく、刺激部位や治療条件も異なるため、有効性は十分に確立していません。現時点では、ADHDに対する標準的な治療法としては推奨されていません。
ASDに対するTMS治療についても、反復的な行動や社会的コミュニケーションなどの改善を検討した研究が行われています。一部の研究では症状の改善が報告されていますが、研究規模が小さく、長期的な有効性や安全性についても十分なデータがありません。そのため、現時点ではASDの中核症状に対する標準的な治療法としては推奨されていません。
日本では、ADHDやASDの中核症状に対するTMS治療は保険適用されていません。一方、一定の条件を満たす成人のうつ病に対しては、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法が保険適用されています。ADHDやASDにうつ病を併存している場合でも、保険適用の可否は、うつ病の診断や治療歴などに基づいて判断されます。
この記事の監修者
医療法人社団弘愛会理事長
赤堀 将太郎こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。
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