適応障害になりやすい人の特徴│性格や環境、顔つきなどを解説!予防法&治療法も
更新日 2024年12月12日
適応障害
「最近イライラしやすくなった気がする」
「集中できなくなって仕事の効率が低下した、ミスが増えた」
「眠れない、吐き気や動悸がする」
こんな症状でお悩みの場合、もしかしたら適応障害のサインかもしれません。
適応障害は、ストレスが原因で心や身体にさまざまな症状が現れる病気です。
ストレスは誰しも感じるものですが、同じストレスがある場合でも、性格や環境によって適応障害のなりやすさには違いがあります。
この記事では、適応障害になりやすい人の性格や特徴、環境要因、そして適応障害のサインや予防法、治療法などについて詳しく解説します。
ストレスとの上手な向き合い方を知ることが、適応障害の改善につながります。「適応障害かもしれない」と不安に感じている方はぜひ記事をチェックしてみてください。
近年、適応障害と診断される人が増えている

適応障害と診断される人の数は、近年増加傾向にあります。
この背景には、現代社会の環境が厳しくなり、ストレスが増加したことが考えられます。
近年、非正規雇用の拡大や新型コロナウイルスの影響による失業、オーバーワーク、働き方の変化、所得の減少、共働きの増加など、一人ひとりにかかる負担が増えました。
また、メンタルヘルスへの関心が高まり、適応障害に対する認知度が上がったことも理由の一つです。
これまでは単なる「気分の落ち込み」「性格の問題」と片付けられていた症状が、適切に診断されるようになったのです。
適応障害とは?

適応障害とは、特定のストレス(仕事や人間関係、学校、病気、恋愛など)が原因となって、心や身体にさまざまな不調が現れる病気です。
何か嫌なことや悲しいことがあったときに落ち込むのは正常な反応ですが、本人にとって耐え難いほどのストレスがかかり、日常生活や仕事に支障が出るような症状が起こるのが適応障害です。
うつ病と似ている面も多く見られますが、適応障害はストレスで悪化し、ストレスから離れると改善する傾向にあります。
ストレスと密接に関係しており、例えば転職や引っ越しなどの環境の変化、人間関係のトラブル、失恋や家族の死といった喪失体験などが適応障害の引き金となることがあります。
適応障害の代表的な症状
適応障害の症状は多岐にわたり、人によって現れ方が異なります。代表的な症状としては気分の落ち込みや不安、イライラや意欲低下、不眠などです。
このような症状に加え、「頭が働かず仕事でミスが増える」「無断遅刻・欠勤をする」「過度の飲酒」「暴飲暴食」「人間関係のトラブルへの発展」「無謀な運転」など、行動面に問題が起こることもあります。
適応障害になりやすい人の性格や特徴

適応障害は誰でもなる可能性がありますが、適応障害になりやすい人もいます。これは、性格や考え方、ストレスへの対処など(内部要因)が人それぞれ異なるためです。
適応障害になりやすい人には、以下のような特徴があります。
- ストレスに対処するのが苦手
- 責任感が強く真面目
- 心配性・繊細で傷つきやすい
- 几帳面で完璧主義なところがある
- 他人の目や評価が気になる
- 人の頼みを断れない・自分よりも他人を優先する
ストレスに対処するのが苦手
同じストレスがある場合でも適応障害になる人とならない人がいますが、これは「ストレスへの耐性」や「ストレスの対処能力」に違いがあるためです。
ストレスを感じやすく、うまく対処することが難しいと、適応障害につながることがあります。
責任感が強く真面目
責任感が強く真面目な性格の人は、与えられた仕事や役割に対して真剣に取り組むあまり、自分を追い込んでしまうことがあります。
他人の期待に応えようと無理をする、自分の限界を超えても頑張り続けるなど、ストレスが大きくなりがちです。
心配性・繊細で傷つきやすい
心配性で繊細な性格の人は些細な出来事にも敏感に反応し、ネガティブな感情を抱きやすい傾向があります。
自己評価が低く自信が持てないケースも多く、ストレスを感じやすいです。
几帳面で完璧主義なところがある
几帳面で完璧主義な傾向がある人も、適応障害になりやすいと言われています。
完璧主義な人は細部にこだわり、完璧を求めます。失敗を許容できず、些細なミスも許せなくなり、心にゆとりがなくなってしまうのです。
他人の目や評価が気になる
他人の目や評価を過度に気にする人も、適応障害のリスクが高くなります。
常に周囲の反応を気にしたり、批判を極端に恐れて顔色を窺ったりすることは、それだけで大きなストレスです。
人の頼みを断れない・自分よりも他人を優先する
自己主張が苦手、「No」と言うことに罪悪感を感じるなど、人の頼みを断れず、自分よりも他人を優先してしまう人も、適応障害になりやすい傾向があります。
期待に応えようとするあまり自分の限界を超えて他人のために尽くし、結果的に心身の健康を損なってしまうことがあるためです。
適応障害になりやすい環境

適応障害の発症には、性格や特徴だけでなく、環境(外部要因)が大きく影響します。
環境面のストレスにはさまざまな原因が考えられますが、代表的なものが下記です。
- 職場の業務負担や人間関係のストレス
- プライベートの悩みや孤独
- 病気や災害の影響
職場の業務負担や人間関係のストレス
現代社会において、以下のような仕事関連のストレスは適応障害の主な原因の一つです。
- 過度な業務量
- 長時間労働
- パワーハラスメント(パワハラ)
- 職場の人間関係のトラブル
- 突然の配置転換や職務内容の変更
- 昇進や出世による責任の変化
- 多忙で休む時間がない など
「新しい部署に馴染めない」「上司からの叱責がつらい」といった理由だけでなく、昇進や出世など喜ばしいことでも責任の重さがプレッシャーとなり症状が現れることもあります。
最初は軽い症状であったとしても、悪化してしまう可能性があるため注意しましょう。
プライベートの悩みや孤独
職場に限らず、プライベートのさまざまな人間関係のストレスが適応障害のきっかけとなることがあります。特に、家族、友人、恋人との関係など、身近な人間関係の問題は大きな影響を与えます。
- パートナーとの不仲
- 親子関係の悩み
- 育児や教育の悩み
- いじめや仲間外れ
- 失恋、離婚
- 引っ越しによる環境変化
- 周囲から孤立している など
これらの問題に直面した際、適切なサポートを受けられる環境にあるかどうかが、適応障害の発症リスクに影響します。
病気や災害の影響
重大な病気や自然災害などの予期せぬ出来事も、適応障害の引き金となることがあります。突然の病気やケガ、生活環境の激変は、大きなストレスです。
事故やテロなどのトラウマが適応障害のきっかけとなることもあります。
もしかして適応障害?自己診断チェックリスト

以下は、適応障害の自己診断チェックリストです。気になる症状がある場合は、一度チェックしてみましょう。
- 常に緊張や焦燥感を感じている
- 不安な気持ちが強い
- 憂鬱な気持ちがある
- 食欲がない、食事が味気なく感じる
- 2週間以内に2kg以上の体重の増減がある
- 寝付きが悪い
- 寝ても途中で目が覚めてしまう
- 十分に休んでも疲れが取れない、疲れやすい
- 勝手に涙が出る
- 物事に興味が沸かなくなった
- 自分を責めてしまう
- 吐き気やめまい、頭痛がある
- 息苦しさ、胸の圧迫感、動悸などがある
- 過呼吸になることがある
- 喉の異物感や口周りや手足のしびれなどがある
- 「死にたい」「消えたい」と思うことがある
上記の項目にあてはまる数が多いほど、注意が必要です。一人で抱え込もうとせず、医師やカウンセラーなど専門家を頼りましょう。
適応障害の予防法

適応障害になりやすい人の特徴にあてはまる場合は、自分の性格や特性について理解し、予防対策をしておくのがおすすめです。
- オンとオフの切り替えを意識する
- ストレスに対処する
- 生活リズムを整える
- 無理せず早めに医師やカウンセラーに相談する
オンとオフの切り替えを意識する
オンとオフの切り替えができていないと、常にストレスにさらされ続けることになってしまいます。
オフのときは自分の趣味や気晴らしなどができる時間を作り、リフレッシュすることが大切です。
最近はリモートワークが浸透したことで、仕事のオンとオフの切り替えが難しくなっているといわれています。上手に切り替えられるよう、工夫してみましょう。
ストレスに対処する
適応障害はストレスによって悪化するため、以下のような方法でストレスに対処しましょう。
- ストレスの原因から離れる
- ストレスを溜めない工夫をする
- 自分のキャパシティを理解し、無理をしないようにする
- こまめなストレス発散をする
忙しい方の場合、すぐにまとまった時間を取れないことも少なくないため、5分程度でできる簡単なことから始めてみるのがおすすめです。
生活リズムを整える
ストレスに対処するためには、生活リズムを整え、規則正しい生活を送ることも大切です。
生活リズムが乱れたり、睡眠不足が続いたりすると、不調につながります。十分な睡眠と栄養を取り、適度な運動を取り入れて生活リズムを整えましょう。
無理せず早めに医師やカウンセラーに相談する
適応障害は、ストレスが自分の許容範囲を超えたときに起こる病気です。
つまり、「すでに我慢の限界を超えている状態」のため、無理を続ければ悪化したり、うつ病に発展したりしてしまう可能性があります。
適応障害の発症や悪化を防ぐためにも、無理はせず気になる症状があれば早めに医師やカウンセラーに相談しましょう。
適応障害の治療法

適応障害と診断された場合、クリニックでは以下の3つの方法で治療を進めていきます。
- 環境調整(ストレスの原因を減らす)
- 薬物療法
- 心理療法(認知行動療法など)
まずは、外側からかかるストレスを減らす「環境調整」です。例えば、仕事がストレスになっているのであれば業務量や長時間労働などの改善、部署異動、退職や転職、休職などがあります。
自分で調整できることもあれば難しいこともあるため、その際は医師によって診断書を作成してもらいましょう。
「薬物療法」では抗うつ薬や抗不安薬、漢方薬が用いられますが、適応障害はうつ病とは異なり、基本的に薬を飲まなくても治療できます。薬を使うことに抵抗がある場合は医師と十分相談しましょう。
そして、適応障害に有効な治療法に「心理療法(認知行動療法など)」があります。
適応障害の方は、考え方に癖があることが多く、それがストレスの感じやすさに影響しています。認知行動療法によって物事を捉える目線を変えたり広げたりすることで、ストレス耐性を高めることが可能です。
適応障害についてのよくある質問

ここでは、適応障害についてのよくある質問についてご紹介します。
Q:適応障害になると顔つきが変わる?
適応障害によって、顔つきに変化が出ることもあります。
例えば、無表情になる、ぼんやりしている、顔色が悪く見える、疲れて見える、余裕がなさそうに見えるなどです。
Q:明るい人でも適応障害の可能性はある?
明るい人や元気に見える人でも、適応障害である可能性があります。
適応障害の症状は多彩で、個人差も大きいものです。 人前では明るく元気に振る舞っていても、内面では強いストレスや不安を抱えているかもしれません。
また、適応障害はストレスから離れると元気になる場合があり、これによって明るく見えている可能性があります。
Q:頭が働かないのは適応障害のせい?
適応障害の症状の一つとして、思考力や集中力の低下が挙げられます。つまり、「頭が働かない」と感じるのは適応障害が原因である可能性があるでしょう。
十分休んでも頭が働かない場合や、集中できないことが何日も続くようであれば、何らかの病気の可能性が考えられるため早めに専門家に相談することが大切です。
早めの対処で適応障害の悪化を防ぐことが大切
適応障害は、ストレスが原因となり心身にさまざまな症状が起こる病気です。仕事や日常生活に支障が出るケースも多く、悪化すればうつ病に進行してしまうこともあります。
悪化させないためにも、早めに適切な対策を取りましょう。
「もしかしたら適応障害かも?」と不安を抱えている方は、『かもみーる』のオンライン診療・オンラインカウンセリングがおすすめです。
オンラインなので、忙しい方も気になる悩みや不安をいつでもどこでも相談できます。適応障害を専門とする医師を選択することも可能です。
少しでも気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
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