自律神経は呼吸や心拍、体温などをコントロールする重要な神経で、ストレスや生活習慣の乱れなどによってバランスを崩すことがあります。
バランスが乱れると頭痛やめまい、胃腸の不調、不安感など、全身にさまざまな症状が現れやすくなります。
症状の出方は人それぞれですが、症状が長引く場合や原因が分からない不調が続くときは注意が必要です。
この記事では、自律神経失調症の症状について詳しく解説します。
自律神経失調症の原因や放置するリスク、受診目安などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
自律神経失調症とは

自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れることで体や心にさまざまな不調が現れる状態をいいます。
自律神経は自分の意思とは関係なく、呼吸や心拍、体温調節、消化などを自動的にコントロールしている重要な神経です。
この自律神経は『交感神経』と『副交感神経』の2つから成り立っています。
交感神経は活動しているときや緊張しているときに働き、心拍数を上げたり血圧を高くしたりして体を動かす準備を整えます。
一方、副交感神経は、休んでいるときやリラックスしているときに働き、体を休めるモードに切り替えるものです。
健康な状態ではこの2つの神経が上手く切り替わり、心身のバランスを保っています。
しかし、ストレスや睡眠不足、生活リズムの乱れ、ホルモンバランスの変化などが重なると、この切り替えが上手くいかなくなります。
その結果、だるさ、頭痛、めまい、動悸、のどの違和感、便秘や下痢、手足のしびれなど、原因が特定しにくい体調不良が続くようになるのです。
自律神経失調症の原因

自律神経失調症の原因として、以下の3つが挙げられます。
- ストレス
- 不規則な生活
- ホルモンバランスの乱れ
ここでは上記3つの原因についてそれぞれ解説します。
ストレス
ストレスは自律神経失調症の大きな原因の一つです。
人間関係や仕事のプレッシャー、家庭内の問題などの精神的ストレスに加え、気温、騒音、過労、睡眠不足といった身体的ストレスも関係します。
こうしたストレスが続くと、脳が疲労し、自律神経のバランスを取る働きが上手くいかなくなります。
交感神経が優位な状態が長く続くと、副交感神経の働きが弱まり、体を休めることができなくなってしまうのです。
結果として、頭痛やめまい、動悸、胃の不調などの体調不良が現れやすくなります。
不規則な生活
夜更かしや睡眠不足、偏った食生活、運動不足といった不規則な生活も、自律神経を乱す大きな原因になります。
人の体には体内時計があり、朝に活動し夜に休むというリズムが保たれていることで、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行われます。
しかし、夜遅くまでスマホを見たり、朝食を抜いたりする生活を続けると、このリズムが崩れて常に体が緊張した状態になってしまうのです。
また、食事内容も重要です。栄養が偏ると脳や神経の働きが低下し、ストレスへの耐性も弱まります。
自律神経の働きを整えるためには、生活リズムを整え、規則正しい睡眠や食事をとることが大切です。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れも、自律神経失調症を引き起こす原因の一つです。
特に女性は、月経周期や妊娠、更年期などで女性ホルモンの分泌量が大きく変化するため、自律神経にも影響しやすいといわれています。
女性ホルモンであるエストロゲンは、自律神経の働きをサポートする役割を持っており、その分泌が減ると自律神経失調症の症状が現れやすくなります。
女性ホルモンの変動は自然に起こることですが、適切な生活習慣やストレス管理を心がけることで症状を和らげることが可能です。
自律神経失調症の主な症状

自律神経失調症は、体のさまざまな部分に症状が現れるのが特徴です。
自律神経は全身の臓器をコントロールしているため、乱れると体のあちこちに不調が出やすくなります。
症状の現れ方は人によって異なり、複数の症状が同時に出ることもあります。
特に代表的な症状は、体のだるさや頭痛、動悸、胃の不快感、気分の落ち込みなどです。
ここでは自律神経失調症の主な症状について解説します。
全身症状
自律神経失調症で起こる全身症状は以下の通りです。
- だるさ
- 疲れやすい
- めまい
- 立ちくらみ
- 多汗
- 寝汗
- ほてり
- 肥満や痩せ
- 冷え性
交感神経が強く働きすぎると体が常に緊張して疲れが抜けにくくなり、副交感神経が優位な状態が続くと体がだるく動きづらくなることがあります。
そのため、しっかり休んでも疲れが取れなくなることがあるのです。
消化器系の症状
胃腸の働きも自律神経によってコントロールされているため、バランスが崩れると以下のようにさまざまな不調が現れます。
- 胃痛
- 吐き気
- 食欲不振
- 腹部の張り
- 便秘や下痢
食事内容や食べる時間が不規則な生活も症状を悪化させる原因になります。
胃腸の不調が長く続くと体全体の疲労感も強まるため、バランスの良い食事と十分な休息を心がけることが大切です。
循環器系の症状
自律神経の乱れは、心臓や血管にも影響を及ぼします。
自律神経の乱れにより起こる循環器系の症状は以下の通りです。
- 動悸
- 息切れ
- 胸の圧迫感
- 手足の指の色が青白くなる
自律神経失調症では、安静にしているのに心臓がドキドキしたり、急に胸が締め付けられるように感じたりすることもあります。
これらの症状は心臓病と区別がつきにくいため、不安に感じる人も少なくありません。
検査をしても異常が見つからない場合、自律神経のバランスが原因となっていることが多いです。
呼吸器系の症状
自律神経が乱れると、呼吸にも影響が出ます。
呼吸器系の主な症状は以下の通りです。
- 息苦しさ
- 呼吸が速くなる
- のどが詰まる感じ
- 咳が出る
特にストレスや緊張を感じたときに呼吸が速くなる『過換気症候群』のような状態になる人もいます。
本来、呼吸は自律神経によって自動的にコントロールされていますが、ストレスが強いと交感神経が優位になり、呼吸が浅く速くなることがあるのです。
精神症状
自律神経失調症では、体の不調だけでなく心の症状も現れます。
- 不安感
- 焦り
- イライラ
- 憂うつ感
- やる気の低下
気分の浮き沈みが激しくなったり、普段楽しめていたことに興味を持てなくなったりすることもあります。
長く続くとうつ病や不安障害に発展することもあるため、「気のせい」と考えず、早めに医療機関に相談することが大切です。
自律神経失調症を放置するとどうなる?

自律神経失調症は、軽い体調不良から始まることが多いため、「そのうち治るだろう」と放置してしまう人も少なくありません。
しかし、適切なケアをしないまま放っておくと、心身にさまざまな悪影響が現れ、日常生活にも支障をきたすようになります。
自律神経失調症を放置するリスクは以下の通りです。
- 症状が悪化する恐れがある
- 免疫力が低下して感染症にかかりやすくなる
- 社会生活に影響が出る
ここでは、自律神経失調症を放置した場合に起こり得る主な影響について解説します。
症状が悪化する恐れがある
自律神経失調症を放置すると、症状の悪化が進む可能性があります。
最初は軽い倦怠感や頭痛などの体調不良でも、改善しないまま我慢を続けていると、次第に体が動かないほどの疲労感や慢性的な不眠に悩まされることがあるのです。
こうした状態が続くと集中力や判断力が低下し、仕事や家事、学業に支障をきたすようになります。
原因であるストレスや生活習慣の乱れを見直さない限り、悪循環に陥る恐れがあります。
また、長期間にわたって体調不良や不安感が続くと、精神面への負担も大きくなるため注意が必要です。
体の不調が続くことでうつ病や不安障害、パニック障害などを引き起こすこともあります。
気分の落ち込みや意欲の低下、突然の動悸、息苦しさなどが続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
免疫力が低下して感染症にかかりやすくなる
自律神経が乱れることで免疫力が低下するリスクもあります。
ストレスや睡眠不足が続くと体の防御機能が弱まり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるのです。
免疫機能の低下が長引くと、自己免疫疾患(自己免疫機能が自分の組織を攻撃してしまう病気)を引き起こすリスクが高まる可能性もあります。
社会生活に影響が出る恐れがある
自律神経失調症を放置すると、社会生活にも大きな影響が出ることがあります。
- 仕事や勉強の効率が落ちる
- 遅刻や欠勤が増える
- 重要な判断が難しくなる
- 家事や育児に手が回らなくなる
- 人間関係が悪化する
こうした状況が重なると、自己肯定感の低下や孤立感が強まり、さらに症状が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
自律神経失調症の受診目安

以下の身体面・精神面の症状のうち、いくつか当てはまる場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
身体面に現れる症状 | 精神面に現れる症状 |
|
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特に、「仕事や学業に集中できない」「家事をこなすのがつらい」「外出や人付き合いを避けるようになった」など、日常生活に影響が出ている場合は要注意です。
自律神経の乱れは一時的な疲労とは異なり、休んでもなかなか回復しないのが特徴です。
「そのうち治るだろう」と我慢していると、症状が慢性化する恐れがあります。
症状が悪化してしまう前に、早めに医療機関を受診しましょう。
自律神経失調症は何科を受診すべき?
自律神経失調症の疑いがある場合は、心療内科または精神科を受診しましょう。
心療内科は主にストレスなどの心理的要因により身体に不調が現れている場合に適しており、精神科は精神症状が強く現れている場合に適しています。
どちらを選ぶか迷うときは、まず心療内科を受診するのがおすすめです。
身体面の検査と並行して心の状態も丁寧に診察してもらえるため、原因を早期に見つけやすくなります。
また、かかりつけ医がいる場合は、最初に相談して紹介状をもらうのも良いでしょう。
自律神経失調症の治療方法

自律神経失調症の治療方法は以下の通りです。
- 生活習慣の改善
- 薬物療法
- 精神療法
ここでは上記3つの治療方法についてそれぞれ解説します。
生活習慣の改善
自律神経失調症の治療の基本は、生活習慣の見直しです。
不規則な生活や慢性的なストレスは、自律神経のバランスを乱す大きな要因となります。
まずは「十分な睡眠」「バランスのとれた食事」「適度な運動」の3つを意識することが大切です。
睡眠は脳の疲れを取る効果的な方法で、寝不足が続くと交感神経が優位になりやすくなります。
また、栄養の偏りも自律神経に影響するため、1日3食バランスの良い食事を意識しましょう。
運動はウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で続けることが大切です。
軽い運動でも血流が良くなり、副交感神経が働きやすくなります。
さらに音楽を聴いたり、趣味を楽しんだりするなど、自分なりのストレス解消法を見つけるのも効果的です。
薬物療法
薬物療法は、つらい症状を和らげることを目的とした対症療法です。
自律神経失調症は人によって症状が異なるため、体の状態や悩みに合わせて薬が処方されます。
例えば、頭痛や体の痛みが強い場合は鎮痛薬、胃腸の不調がある場合は整腸剤、不眠が続く場合は睡眠薬が処方されることが多いです。
また、精神的な不安が強い場合には、抗不安薬や自律神経調整薬が処方されることもあります。
ただし、薬はあくまで一時的に症状を緩和するためのものです。
医師の指導のもと、生活改善や精神療法と併用しながら、徐々に薬の量を減らしながら根本的な治療を目指すのが理想となります。
精神療法
精神療法は、ストレスや不安といった心の問題にアプローチする治療法です。
代表的な治療法には『認知行動療法』『自律訓練法』『漸進的筋弛緩法』などがあります。
治療方法 | 治療内容 |
認知行動療法 | ストレスや不安を感じるときの考え方の癖を見つけ、それを現実的で前向きな思考に修正していく治療方法 |
自律訓練法 | 自己暗示を繰り返し、自己を制御する治療方法 |
漸進的筋弛緩法 | 筋肉の緊張と弛緩を繰り返し、身体をリラックス状態に導く治療方法 |
精神療法は、医師や心理士のサポートのもと、自分のペースで無理なく取り組むことが大切です。
体調不良が続く場合は医療機関を受診しましょう
自律神経失調症は、誰にでも起こり得る身近な不調ですが、放置すると症状が悪化したり、うつ病や不安障害などを併発したりすることもあります。
生活習慣の見直しやストレスケアで改善することもありますが、自力で解決しようとすると、回復までに時間がかかるケースも少なくありません。
倦怠感や頭痛、息苦しさ、気分の落ち込みなどが続く場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
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