投稿日 2025年09月09日
最終更新日 2026年09月23日
投稿日 2025年09月09日
最終更新日 2026年09月23日

双極性障害は、気分が極端に高まる躁状態と、深く落ち込むうつ状態を繰り返す精神疾患です。
「双極性障害は一生治らないのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、実際には治療の継続により完治に近い状態まで症状が改善できます。
双極性障害では、症状が落ち着き安定した生活を維持できる『寛解』を目指すのが治療の基本方針です。
この記事では、双極性障害の特徴や治療方法について詳しく解説します。
寛解までの期間の目安や再発を防ぐセルフケア方法、向き合い方のポイントなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

双極性障害は、『完治』というよりも『寛解』を目指す病気です。
寛解とは、症状が安定し、日常生活に大きな支障がない状態を指します。
完全寛解は症状がまったくない状態が一定期間続くこと、不完全寛解は軽い症状が残っていても生活が安定している状態をいいます。
適切な薬物療法や心理療法、生活習慣の調整を続けることで、以前とほぼ変わらない生活を送れる方も少なくありません。
一方で、双極性障害は再発しやすい特徴があります。
治療を自己判断で中止したり、強いストレスにさらされたりすると、再び躁状態やうつ状態が現れることがあるため注意が必要です。
糖尿病や高血圧などの慢性疾患と同じように、治療と自己管理を継続すれば、安定した生活を維持することは可能です。
双極性障害が寛解に至るまでの期間は、人によって大きく異なります。
症状の重さ、発症から治療開始までの時間、治療内容、生活環境、ストレス要因の有無など、さまざまな要素が関わるため、「〇か月で寛解」といった明確な基準はありません。
大切なのは、自分の症状が悪化するきっかけを把握し、事前に回避や軽減の対策を取ることです。
例えば仕事や家庭での大きなイベント、睡眠不足、季節の変わり目などが引き金になる人もいます。
そのため、症状が落ち着いた後も定期的な通院と治療を続けることが重要です。

双極性障害は、かつて『躁うつ病』と呼ばれていた精神疾患で、気分が極端に高ぶる『躁状態(または軽躁状態)』と、著しく落ち込む『うつ状態』を繰り返す特徴があります。
うつ病と同じく『気分障害』に分類されますが、うつ病が気分の落ち込みだけを示すのに対し、双極性障害は正反対の気分の波が起こる点が大きな違いです。
症状が出ていない期間は比較的安定して過ごせますが、再発を繰り返すことが多く、治療と予防が重要な病気です。
WHOの国際疾病分類ICD-11では、『障害』という言葉の誤解を避けるため『双極症』という日本語訳が採用される予定となっています。
ここでは双極性障害の主な症状と分類についてみてみましょう。
双極性障害は、活動性や気分が異常に高まる躁状態と、意欲や興味が低下するうつ状態を周期的に繰り返す病気です。
躁状態 |
|
軽躁状態 |
|
うつ状態 |
など |
躁状態では、睡眠がほとんど不要になったり、次々とアイデアが浮かんで止まらなくなったり、浪費や無謀な行動に走ったりすることもあります。
軽躁状態でも同様の傾向が見られますが、社会的な問題は比較的少ない場合が多いです。
一方、うつ状態では、何をしても楽しく感じられない、極端な疲労感、自分には価値がないという思い込み、食欲や睡眠の異常などが出ます。
多くの場合、うつ状態の期間の方が長く、躁状態の自覚が乏しいため、初診時にはうつ病と誤診されるケースもあります。
双極性障害は、躁状態の程度により2つのタイプに分かれます。
双極Ⅰ型障害は、生活や仕事に重大な支障をきたすほど強い躁状態が出現し、時に入院が必要な場合もあるタイプです。
多くはうつ状態も伴い、躁状態が一度でもあればⅠ型と診断されます。
双極Ⅱ型障害は、躁状態より軽い軽躁状態とうつ状態を繰り返すタイプです。
軽躁状態は一見調子が良く見えるため、本人や周囲が病気と気づかないことも多いですが、Ⅱ型はうつ状態の再発率が高く、長期的には生活への影響が大きいとされています。
どちらの型も早期治療と再発予防が欠かせず、薬物療法と生活管理を組み合わせた継続的なケアが必要です。
双極性障害とうつ病の大きな違いは、躁状態(または軽躁状態)の有無です。
うつ病は、長期的な気分の落ち込みや意欲の低下、不眠などのうつ症状のみが現れますが、双極性障害ではうつ症状に加えて躁または軽躁状態が周期的に起こります。
治療法にも違いがあり、うつ病では抗うつ薬が主に使われるのに対し、双極性障害では気分安定薬や抗精神病薬が中心です。
抗うつ薬単独では躁転(うつ状態から急に躁状態になること)の危険があるため注意が必要です。
誤診や不適切な治療を防ぐためには、診断の際に、現在だけでなく過去の気分変化や行動パターンも含めて医師に詳しく伝えることが重要になります。
▶うつ病と双極性障害(躁うつ病)の違いは?症状・原因・治療法とセルフチェックリスト

双極性障害の治療は、薬物療法を基本に、病気への理解を深める心理教育や生活上の支援を組み合わせて行います。
現在の症状を和らげることに加え、再発を防ぎ、仕事や家庭生活を安定して続けられるようにすることが目標です。
躁状態・うつ状態・症状が落ち着いた維持期では治療方針が異なり、過去の経過や薬の効果、副作用、本人の希望も踏まえて選択します。
主に気分安定薬と非定型抗精神病薬を用います。ただし、同じ薬が躁状態とうつ状態、再発予防のすべてに同じように効くわけではありません。治療の目的に合わせて薬を選び、必要に応じて組み合わせます。
病期 | 治療の目的 | 薬の選び方と注意点 |
躁状態・軽躁状態 | 過剰な活動や興奮を落ち着かせる | リチウムやバルプロ酸、アリピプラゾールなどが選択肢です。軽躁状態では、重さや生活への影響、現在の処方も確認して調整します。 |
うつ状態 | 落ち込みや意欲低下を改善する | ルラシドン、クエチアピン徐放製剤、オランザピンなどが選択肢です。うつ病と同じ薬の選び方になるとは限りません。 |
維持期 | 躁・うつの再発を予防する | 急性期に有効だった薬や過去の再発パターンを踏まえて検討します。ラモトリギンなどが用いられ、リチウムなどを継続する場合もあります。 |
※表は代表例です。国内の承認適応は薬剤・製剤・病期によって異なります。ガイドラインで提案される維持療法には、リチウムなどの適応外使用も含まれます。ラモトリギンの国内適応は気分エピソードの再発・再燃抑制で、急性期の躁・うつ症状への有効性・安全性は確立していません。
抗うつ薬は、躁状態への移行や気分の不安定化に注意が必要です。
特に双極Ⅰ型では抗うつ薬だけの治療を避け、併用を検討する場合も、過去の躁転や躁・うつ症状の混在などを踏まえて慎重に判断します。
治療中は、症状だけでなく副作用や検査結果も確認します。
リチウムでは血中濃度、腎機能、甲状腺機能などの確認が必要です。
抗精神病薬では眠気、体重・血糖の変化、落ち着かなさなどにも注意します。
副作用の種類や程度は薬によって異なるため、気になる変化を主治医に伝えましょう。
ラモトリギンは重い皮膚障害を防ぐため、定められた方法で少量から増量します。
服用中に発疹、発熱、口内のただれなどが出た場合は、次の診察を待たず、直ちに医療機関へ連絡してください。
症状が落ち着いても、自己判断で薬を減らしたり中断したりすると再発につながることがあります。
一方で、同じ薬・同じ量をずっと続けると決まっているわけではありません。
効果と副作用、これまでの再発歴を確認しながら、継続する薬や量を主治医と相談します。
妊娠を希望する場合も、あらかじめ医師に相談をしてください。
心理療法は薬物療法を補完し、再発予防や生活の質向上を目指す治療方法です。
中でも代表的なのは『心理教育』で、病気の特徴や薬の必要性、副作用、再発の初期サインについて患者さんと家族が理解を深めます。
再発の兆候を早期に察知できれば、重症化を防ぐことが可能です。
そのほかにも、以下のような治療方法があります。
認知行動療法 | 否定的な思考パターンを修正し、現実的で前向きな考え方を身につける |
家族療法 | 家族が病気を理解し、適切なサポートを行えるよう支援する |
対人関係療法 | 対人関係の問題を解決し、良好な人間関係を回復して症状の再発を防ぐ |
社会リズム療法 | 自分の生活リズムを記録し、社会リズムが不規則になりやすい場面を客観的に理解・修正できるようにする |
また、睡眠不足や徹夜は躁状態の引き金になるため、規則正しい睡眠・食事・運動習慣を整えることを目的とした生活習慣指導が行われることもあります。
電気けいれん療法(ECT)は、薬物療法で十分な改善が得られない場合や、重いうつ状態で早い改善が必要な場合などに検討されます。
自殺の危険が高い、食事や水分が取れないといった状況では、入院も含めて速やかな対応が必要です。
重い躁状態で選択されることもあります。すべての患者さんに行う治療ではなく、重症度や身体の状態を踏まえて判断します。
一般に、全身麻酔と筋弛緩薬を用いる修正型ECTを行います。
頭部に短時間の電気刺激を与え、治療的な発作を誘発する方法です。
比較的早い改善が期待できる一方、頭痛、一時的な混乱、記憶への影響などがあり、記憶の問題が長く残る場合もあります。
効果とリスクを説明したうえで実施し、改善後も再発を防ぐ治療を続けます。

双極性障害は完治が難しい病気で再発リスクもあるため、長期的な自己管理が重要です。
再発を防ぐための具体的なセルフケア方法は以下の通りです。
ここでは上記5つのセルフケア方法についてそれぞれ解説します。
双極性障害の再発を防ぐためには、再発のサインを知っておくことが大切です。
躁状態では睡眠時間が短くなっても元気に活動できる、おしゃべりが増える、イライラしやすくなるといった変化が見られます。
うつ状態の兆候としては、疲れやすくなる、集中力が低下する、睡眠リズムが乱れるなどがあります。
自分の再発パターンを把握するために、日々の気分や体調を日記やアプリで記録しておくと便利です。
また、家族や信頼できる友人にサインを共有しておくと、自分では気づきにくい変化を指摘してもらえる可能性が高まります。
うつ状態で無理な活動をすると、かえって症状が悪化してしまいます。
気力や集中力が低下し、普段できることが困難になるため、「頑張らなければ」と自分を追い込むのは避けましょう。
代わりに、静かに過ごせる環境を整え、睡眠と休養を優先することが大切です。
日中に短時間の散歩や軽いストレッチを取り入れると気分転換になりますが、疲れを感じたらすぐ休むようにしましょう。
焦らずに回復を待つ姿勢を心がけることで、心身への負担を抑えられます。
双極性障害の再発を防ぐためには、医師の指示通りに薬を飲むことが大切です。
症状が安定していても、自己判断で中断すると、高い確率で再発してしまいます。
副作用や服薬に不安を感じる場合は、必ず医師に相談し、必要に応じて薬の種類や量を調整してもらいましょう。
双極性障害の薬は効果が出るまでに時間がかかることがあり、途中でやめてしまうと治療の効果が失われます。
薬は毎日同じ時間に服用するなど、習慣化して忘れにくくする工夫を取り入れるのもおすすめです。
ストレスは症状悪化の引き金になるため、ストレス管理を徹底することが重要です。
深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れるほか、趣味やリフレッシュできる時間を持つのも効果的です。
自分の限界を知り、過剰な予定や負担を抱え込まないようにしましょう。
また、職場や家庭などでストレスの原因が明確な場合は、業務の調整や環境改善も検討してみてください。
生活リズムの乱れは、躁状態やうつ状態を招く大きな要因となります。
毎日同じ時間に起床・就寝すること、朝に日光を浴びて体内時計を整えること、適度な運動やバランスの取れた食事を続けることが大切です。
特に睡眠不足は躁転のきっかけとなるため、徹夜や極端な夜更かしは避けましょう。
カフェインやアルコールの過剰摂取も睡眠の質を下げるため、なるべく控えるのが望ましいです。

双極性障害と診断されると、最初は驚きや不安、戸惑いといった感情が湧くのは自然なことです。
しかし、病気を否定し続けると治療の開始や継続が遅れ、再発リスクが高まります。
まずは自分が双極性障害であることを受け入れ、治療に前向きに取り組む姿勢を持つことが大切です。
症状の波を上手に管理すれば、充実した生活を送ることは十分に可能です。
そのために自己理解を深め、家族や周囲の協力を得ながら、安定した生活リズムと治療継続を意識して過ごしましょう。
また、家族やパートナーには症状の特徴や行動の変化について事前に説明し、理解を得ておくことも大切です。
そうすることで、いざというときに適切なサポートを受けやすくなります。
特に躁状態は本人が自覚できない場合が多いため、周囲が早めに変化に気づくことが重要です。
双極性障害は、発症後も適切な治療と自己管理を継続することで、症状を安定させて日常生活を送れるようになる病気です。
大切なのは、病気を受け入れ、医師の指示に従って服薬を続け、生活リズムを整えることです。
加えて、再発の兆候を把握し、家族や周囲と情報を共有することで、症状悪化を未然に防ぐ可能性が高まります。
完全に症状がなくなることをゴールとするのではなく、症状をコントロールしながら自分らしい生活を送ることを目指しましょう。
『かもみーる』では、いつでもどこでも悩みを相談できるオンライン診療・オンラインカウンセリングサービスを提供しています。
心療内科の受診を迷っているという相談にも対応しているため、悩んでいることがある方はお気軽に当院までご相談ください。
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精神科医
はじめまして。医師の平本真之です。 現在はメンタルヘルス領域のサポートにも力を入れております。 不安や抑うつ、不眠、人間関係のお悩みなど、お一人で抱えずに、ぜひお気軽にご相談ください。 丁寧な傾聴とわかりやすい説明を大切に、安心して受診いた
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精神科医
はじめまして、小金丸と申します。 これまで大学病院やクリニックなど様々な医療機関で積み上げてきた臨床経験を活かし、少しでもみなさまが生きやすくなるお手伝いができればと願っています。 みなさまひとりひとりの悩みに向き合い、お力になれるよう一生
明日相談可能
特定の出来事によって一度に治るというより、適切な治療や生活上の調整が重なり、症状の安定につながることがあります。過去の躁状態・軽躁状態を含めて治療方針を見直すこと、薬の効果や副作用を相談すること、睡眠や活動のリズムを整えることなどが大切です。ただし、急に元気になり、睡眠が少なくても活動できる状態は、軽躁・躁状態の可能性もあります。気分の良さだけで回復を判断せず、睡眠や行動の変化も主治医に伝えましょう。
寛解までの期間には個人差があり、一律に何か月とはいえません。現在の症状の種類や重さ、治療への反応、これまでの経過などによって異なります。また、症状が落ち着く時期と、仕事や日常生活を無理なく送れるようになる時期は、必ずしも同じではありません。睡眠、気分、活動量などの変化を主治医と確認しながら、段階的に回復を目指します。症状が落ち着いた後も、再発を予防する治療を続けることが重要です。
寛解は、薬をやめてよいことを意味しません。薬を服用しながら症状が落ち着いている状態も寛解に含まれます。双極性障害では、安定した状態を保ち、再発を予防するために長期的な治療が必要になることが多くあります。薬の種類や量、継続期間は、過去の再発や症状の重さ、副作用などを踏まえて検討します。薬を減らしたい場合や副作用がつらい場合は、自己判断で変更せず、主治医に相談してください。
この記事の監修者
医療法人社団弘愛会理事長
赤堀 将太郎こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。
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