投稿日 2026年08月03日
双極性障害とADHDはそれぞれ異なる特徴を持つ精神疾患・発達障害ですが、一部の症状が似ていることから混同されることも少なくありません。
しかし適切な支援方法がそれぞれ異なるため、正しく診断を受けることが大切です。
この記事では、双極性障害とADHDの違いについて詳しく解説します。
それぞれの違いや共通点、上手な付き合い方などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
双極性障害とADHDのそれぞれの特徴

双極性障害とADHDはそれぞれ異なる特性を持つ精神疾患・発達障害ですが、衝動性や気分の波など一部の症状が似ていることから、混同されることもあります。
双極性障害は気分の激しい変動を特徴とし、躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。
一方でADHD(注意欠如多動症)は、生活の中での集中力の低下や行動のコントロール困難が主な症状です。
ここでは、それぞれの障害の特徴と原因について詳しく解説します。
双極性障害とは
双極性障害とは、気分の高揚(躁)と気分の落ち込み(うつ)を繰り返す精神疾患です。
以前は『躁うつ病』とも呼ばれていました。
特徴的なのは、ただの気分の波ではなく、日常生活や仕事に支障をきたすほどの変動があることです。
ここでは双極性障害の症状と原因についてそれぞれ解説します。
双極性障害の症状
双極性障害の症状は大きく分けて躁状態とうつ状態に分かれます。
それぞれの状態で現れる症状は以下の通りです。
躁状態 | 軽躁状態 | うつ状態 |
|
|
|
双極性障害はこれらの状態が周期的に繰り返されるのが特徴です。
また双極性障害は『双極I型』と『双極II型』に分類されます。
I型は重度の躁状態があり入院が必要なこともあるタイプで、II型は軽躁状態とうつ状態を繰り返すタイプです。
Ⅱ型はⅠ型と比べて症状が軽いため、本人も周囲も気づきにくい特徴があります。
双極性障害の原因
双極性障害の原因には遺伝的要因と脳内の神経伝達物質の異常が関与していると考えられていますが、完全には解明されていません。
家族に双極性障害の人がいる場合、発症リスクが高まるという報告もあります。
またドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の働きの異常が、気分の変動に関与しているとされています。
さらにストレスが引き金になることもあり、仕事や人間関係のトラブル、重大なライフイベントなどが発症や再発のきっかけになるケースも少なくありません。
ADHDとは
ADHD(注意欠如多動症)は、不注意・多動・衝動性を特徴とする発達障害の一つです。
これらの特性により、学業・仕事・人間関係など日常生活においてさまざまな困難を抱えることがあります。
ここではADHDの症状と原因についてそれぞれ解説します。
ADHDの症状
ADHDの症状は、『不注意型』『多動・衝動性型』『混合型』の大きく3つのタイプに分類されます。
それぞれのタイプにみられる症状は以下の通りです。
不注意型 | 多動・衝動性型 | 混合型 |
|
| 不注意型、多動・衝動性型の症状が複合的に現れる |
これらの特性は個人差が大きく、環境によっても影響を受けるため、本人も周囲も気づきにくい場合があります。
特に成長とともに多動性が減り、不注意の症状だけが残るケースもあるため、年齢に応じたサポートを行うことが大切です。
ADHDの原因
ADHDの原因は明確には解明されていませんが、主に脳の機能に起因する先天的な要素が関与しているとされています。
脳の前頭葉における発達の遅れや、神経伝達物質であるドーパミンの働きに異常があることが、ADHDの症状と関連していると考えられているのです。
さらに遺伝的な要素も強く、家族内にADHDの特性を持つ人がいる場合、発症リスクが高まることもわかっています。
参考文献:注意欠如多動性障害の疫学と病態:遺伝要因と環境要因の関係性の視点から
ただし、育て方や家庭環境そのものがADHDの原因になるわけではありません。
ADHDはあくまで生まれつきの脳機能の特性に基づくものであると理解することが大切です。
双極性障害とADHDの違いと共通点

双極性障害とADHDはそれぞれ異なる疾患ですが、似たような行動特性があるため、混同されることがあります。
特に双極性障害の躁状態とADHDの多動・衝動性には共通する症状が見られ、初診ではどちらの疾患かを見分けるのが難しいこともあります。
両者は診断方法や治療方針が異なるため、それぞれの違いや共通点を正しく理解することが重要です。
ここでは具体的な違いと共通点を解説します。
双極性障害とADHDの違い
双極性障害とADHDの大きな違いは、「気分の波があるかどうか」です。
双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す病気であり、その変化が周期的に起こるのが特徴です。
一方、ADHDは気分の高揚や沈み込みではなく、主に注意力の欠如、多動性、衝動性といった特性が常に見られます。
また双極性障害の躁状態には「寝なくても元気に活動できる」「自信過剰」「突飛な行動をとる」といった症状があり、これらはADHDには見られない特徴です。
さらにADHDは生まれつきの発達特性であり、幼少期から症状が確認されることが多いのに対し、双極性障害は思春期以降に発症するケースが多いです。
幼少期から当てはまる症状がある場合は、ADHDの可能性が高いといえるでしょう。
双極性障害とADHDの共通点
双極性障害の躁状態や軽躁状態と、ADHDの特性には似ている点がいくつかあります。
- 落ち着きがない
- 衝動的に行動する
- 集中力が続かない
- 不注意によるミスが多い
上記のような症状はどちらにも見られます。
ADHDの多動・衝動性型の行動は、双極性障害の躁状態に酷似していることもあり、医師でも診断が難しい場合があります。
ただし双極性障害は必ずうつ状態も伴うという点が大きな違いで、ADHDでは気分の浮き沈みが強く出ることはあまりありません。
双極性障害とADHDは併発することがある

双極性障害とADHDは、それぞれ異なる特徴を持つ疾患ですが、併発するケースが少なくありません。
実際に、成人のADHDの方のおよそ20%が双極性障害を併発しているという報告があります。
児童においても併発率は2〜35%と幅があり、いずれの年代でも一定数の併存が見られています。
また双極性障害はADHDだけでなく、以下のような精神疾患と併存することがあるのも特徴です。
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 学習障害(LD)
- うつ病
- 強迫性障害
- パニック障害
- アルコール依存症など
このようにいくつかの精神的困難が重なることで、本人はさらに日常生活に支障をきたすようになり、周囲からの理解も得にくくなるケースがあります。
特に発達障害のある人は社会的な失敗体験や誤解を受けやすいことから、強いストレスを抱える傾向があり、それが引き金となって二次的な精神疾患を併発することがあります。
そのため、自己判断ではなく、医師による診察とカウンセリングを受けることが重要です。
悩んでいる症状が多い場合は、併発の可能性も視野に入れて適切な支援を受けましょう。
双極性障害やADHDと上手く付き合うコツ

双極性障害やADHDと上手く付き合う上で重要なのは、自分の特性を理解し、無理をしすぎないことです。
ここでは、それぞれの障害に応じた具体的な対処法について解説します。
双極性障害の場合
双極性障害と上手に付き合っていくためには、症状の波をなるべく穏やかに保ち、生活や仕事への影響を減らすことが大切です。
日常生活の中で実践しやすい工夫を取り入れることで、安定した日々を送りやすくなります。
具体的なコツは以下の通りです。
生活リズムを整える | 起床・就寝・食事などの生活リズムを整え、体内リズムの乱れを防ぐことで、気分の波を安定させやすくなります。 |
薬をきちんと服用する | 気分安定薬などの服用は再発予防に効果的。調子が良くても自己判断で中断しないことが大切です。 |
無理のない仕事を選ぶ | 自分のペースで取り組める業務や、ストレスの少ない環境を選ぶことで症状悪化を防ぎやすくなります。 |
家族や職場に理解を求める | 信頼できる人に症状を伝え、必要なサポートを受けられる環境を整えておくことが大切です。 |
これらの工夫を取り入れることで、気分の上下がある中でも自分らしく過ごせるようになります。
特に服薬や生活習慣の安定は症状のコントロールに大きく関わるため、意識してみましょう。
ADHDの場合
ADHDの方が日々を快適に過ごすためには、自分の特性を理解したうえで、それに合った対策を講じることが大切です。
小さな工夫を積み重ねることで、ミスや忘れ物などの困りごとを減らしやすくなります。
具体的なコツは以下の通りです。
メモ・チェックリストを活用する | 忘れ物やタスク漏れを防ぐため、見える化して整理する習慣をつけることが大切です。 |
環境を整える | 集中しやすい席への移動や仕切りの設置で、気が散りにくい作業環境を作ることができます。 |
興味のある仕事を選ぶ | 興味を持てる分野であれば集中力を発揮しやすく、能力も生かしやすくなります。 |
周囲に特性を伝える | 信頼できる同僚や上司に特性を伝えることで、理解と協力を得やすくなります。 |
上記のようなコツを意識することで、安定した日々を送ることができるでしょう。
双極性障害やADHDの悩みがあるときの相談先

双極性障害やADHDの悩みがあるときの相談先は以下の通りです。
- 自治体の障害福祉窓口
- 地域保健センター
- 発達障害者支援センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援
- 精神科・心療内科
ここでは上記6つの相談先についてそれぞれ解説します。
自治体の障害福祉窓口
自治体の障害福祉窓口では、双極性障害やADHDに関する悩みについて無料で相談できます。
障害者手帳がなくても対応してくれるため、「診断を受けるべきか迷っている」「日常生活で困っている」といった段階でも気軽に利用できます。
専門の福祉担当者が状況を聞き、必要に応じて医療機関や支援機関の紹介を行ってくれるため、はじめての相談先にもおすすめです。
地域保健センター
地域保健センターは、地域住民の心身の健康をサポートする公的な機関で、精神疾患や発達障害に関する相談も受け付けています。
保健師や精神保健福祉士などが在籍しており、生活上の困りごとや家族の対応方法、医療機関の紹介など幅広い相談に対応しています。
匿名での相談も可能なため、悩みを誰にも話せずに困っている方にも利用しやすい窓口です。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、ADHDを含む発達障害を持つ人やその家族を対象に支援を行う専門機関です。
全国の都道府県や指定都市に設置されており、相談は電話・メール・面談で受け付けています。
診断前の段階でも利用でき、自身の特性や困りごとに合った支援方法の提案、医療機関の紹介などを受けられます。
就労や生活の悩みにも幅広く対応してくれる心強い存在です。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターでは、就労と日常生活の両面から障害のある人をサポートしています。
登録すれば無料で支援を受けることができます。
働きたいけれど何から始めてよいか分からない方や、生活面の課題が仕事に影響している方にも適した相談先です。
ハローワークなど他機関と連携して支援してくれるのも大きな特徴です。
就労移行支援
就労移行支援は、障害のある人が一般企業で働くための訓練や支援を受けられる制度です。
事業所に通いながら、コミュニケーションスキルや業務スキルなどを学びます。
ADHDや双極性障害の特性に合った仕事の選び方や就職活動のサポートもあり、就職後の定着支援も受けられます。
精神科・心療内科
双極性障害やADHDの診断・治療を受けるには、精神科や心療内科を受診する必要があります。
精神科では気分の波や衝動性などの症状について診察を受け、必要に応じて薬物療法や心理療法が行われます。
診断がつけば公的支援を受けやすくなることもあるため、早めの相談がおすすめです。
双極性障害とADHDは正しい診断と適切な支援を受けることが大切
双極性障害とADHDは異なる精神疾患・発達障害ですが、症状が似ている点も多く、診断や対応が難しいことがあります。
そのため自己診断するのではなく、正しい診断と適切な支援を受けることが大切です。
医療機関や公的支援機関を上手に活用しながら、自分に合った方法で安心して暮らせる環境づくりを目指していきましょう。
かもみーるでは、医師監修のオンラインカウンセリングサービスを提供しています。
双極性障害やADHDの症状にお悩みの方は、ぜひ当院まで気軽にご相談ください。
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