うつ病でつらい・苦しいときの過ごし方や対処法│原因や段階別の症状も解説
更新日 2025年02月05日
うつ病
うつ病の症状は「気分の落ち込み」「意欲低下」「無気力」「不安」「イライラ」「食欲低下」「不眠」など多くの方が経験する症状であり、珍しいものではありません。
しかし、その程度は非常につらく、仕事や日常生活に支障が出たり、「生きているのがつらい」と追い詰められることもあるほど、とても苦しいものです。
この記事では、うつ病でつらい・苦しいと感じる原因や、つらいときの過ごし方や対処法について詳しく解説します。
うつ病でつらい時期はいつまでも続くわけではありません。一緒に、うつ病と上手に付き合っていく方法を探っていきましょう。
うつ病と向き合いながら生活している方々に少しでも希望を持っていただき、回復への道筋を見つけるヒントになれば幸いです。
うつ病のつらい時期はずっと続くわけではない

うつ病で「つらい、苦しい」と感じているときは、そのつらさがずっと続くのではないかと不安になってしまうものです。
しかし、うつ病のつらい時期はずっと続くわけではありません。時間はかかるかもしれませんが、回復し症状が良くなる時期がやってきます。
いずれは回復することを信じ、焦らずに治療を続けることが大切です。
うつ病では朝につらい気持ちが強くなることも

朝に症状が強く出て、夕方・夜になるにつれて和らいでいくこともうつ病の特徴の一つです。
この現象を「日内変動」といい、症状がつらく会社や学校へ行けなかったり遅刻してしまったりすることもあります。
ただし個人差もあり、夕方が最もつらいと感じる方もいます。また、従来のうつ病とは異なる非定型うつ病でも、夕方にかけて不調が強く出ることがあります。
▶うつ病を9種類に分けて症状・原因別に解説!重症度や間違われやすい病気も
うつ病の回復過程の段階と症状のつらさ

個人差もありますが、うつ病は大きく分けると以下の3つの段階で徐々に改善していきます。
- 急性期(最もつらい時期)……診断から1〜3ヶ月ごろ
- 回復期(症状は落ち着くが波があり油断できない時期)……診断から4〜6ヶ月ごろ
- 再発予防期(治療を継続し再発を予防する時期)……診断から1年以降〜
ここからは、それぞれの段階について詳しく見てみましょう。
急性期(最もつらい時期)
急性期は、うつ病と診断されてから約1〜3ヶ月の期間です。
うつ病で最もつらいといわれるのがこの時期で、抑うつ気分や不安感、極度の疲労感、食欲不振、不眠などの症状が特に強く現れます。
焦燥感や意欲低下を感じることも多く、本人も周囲もつらさを感じるでしょう。
急性期では、十分な休養が必要です。また、症状に応じて抗うつ薬や睡眠導入薬といった薬を使って治療することもあります。
我慢や無理をすると悪化してしまうリスクがあるため、医師の指示に従い、焦らず治療に専念することが大切です。
回復期(症状は落ち着くが波があり油断できない時期)
回復期に入ると、急性期の強い症状は徐々に和らいでいきます。
しかし、この時期は症状に波があり、良くなったり悪くなったりを繰り返すため、つらいと感じることもあるでしょう。
特に症状が悪いときは「もう治らないかもしれない」「治療しても意味がない」と悲観的になり諦めてしまいそうになる方も少なくありません。 しかし、回復の過程だと割り切って考えて、やり過ごすことが大切です。
回復期には強い眠気や疲労感が起こることがありますが、回復に必要な休息であると考えてゆっくり身体を休ませてあげましょう。
再発予防期(治療を継続し再発を予防する時期)
再発予防期になると症状やつらさもかなり改善し、日常生活への支障も少なくなってきます。しかし、うつ病は再発のリスクが高い病気であるため油断は禁物です。
この時期には症状の再発を防ぐため、治療を継続しながら、ストレス管理や生活習慣の改善に取り組みます。認知行動療法などの心理療法を取り入れることも効果的です。
この時期になると徐々に仕事や学業に復帰する方も多いですが、焦らず、医師と相談しながら着実に社会復帰を進めて行く必要があります。
うつ病でつらい・苦しいと感じる原因

うつ病でつらい・苦しいと感じる原因はさまざまです。その中でも多く見られるのが、以下のようなものです。
- 抗うつ薬が合っていない・効いていない
- 抗うつ薬の効き目がまだ出ていない
- 抗うつ薬の副作用
- 強いストレスがある
- うつ病による症状
それぞれ詳しく見ていきましょう。
抗うつ薬が合っていない・効いていない
うつ病の程度にもよりますが、中等度から重度のうつ病では抗うつ薬による薬物療法が有効です。
しかし、抗うつ薬には合う・合わないがあり、患者さんによって適した薬は異なります。抗うつ薬が合っていない場合、十分な効果が感じられずつらさを感じることがあるでしょう。
薬が効いていないと判断された場合は、薬の種類の変更や用量の調整などが行われますが、自己判断で薬の服用を中止するのはNGです。必ず医師に相談しましょう。
抗うつ薬の効き目がまだ出ていない
抗うつ薬は、飲んですぐに効果が現れるわけではありません。効果が現れ始めるまでには一般的に2〜4週間程度かかるといわれています。
そのため、効果が出るまでの期間は「薬を飲んでいるのに不調が改善されない」「良くなっていると感じられない」とつらく感じることがあるかもしれません。
抗うつ薬の副作用
抗うつ薬では、吐き気、下痢、便秘、眠気やだるさなどの副作用が起こることがあります。
抗うつ薬の効果が現れるまでには2〜4週間ほどかかる一方、副作用は服用開始後すぐに現れるため、つらいと感じることがあるかもしれません。
ただし、1〜2週間ほど飲み続け身体が慣れてくると抗うつ薬の副作用は改善することがほとんどです。
また、近年主流の3種類の新規抗うつ薬(SSRI・SNRI・NaSSA)は従来の三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬に比べて副作用が抑えられています。
副作用が気になるときは無理せず、医師に相談してみましょう。
強いストレスがある
うつ病の症状を悪化させる大きな要因の一つが、強いストレスです。
ストレスが強い状態が続くと、抗うつ薬の効果が現れにくくなったり、症状が改善しにくくなったりすることがあります。
ストレス要因を完全に取り除くことは難しいかもしれませんが、ストレスを軽減するための工夫や、ストレス対処法を身につけて対策しましょう。
ストレスに対する耐性を高めるには、認知行動療法も効果的です。
うつ病による症状
うつ病では心や身体にさまざまな症状が起こります。うつ病そのものの症状がつらいと感じることも多いでしょう。主な症状について紹介します。
身体がだるくて動けない
強い疲労感や身体のだるさも、うつ病でよく見られる症状です。
これにより、朝起きるのがつらい、日常的な家事や仕事をこなすのが困難な状況に陥ることもあります。
今までは何も考えずにできていたことができなくなることで、「何もできなくなってしまった」「自分が情けない」とつらく感じてしまいます。
薬の副作用でだるさが起こることもあるため、気になることがあれば医師に相談してみましょう。
感情をコントロールできない
うつ病では脳内の神経伝達物質のアンバランスによって感情のコントロールが難しくなり、 些細なことで泣いてしまったり、イライラしたり、逆に何も感じなくなったりすることがあります。
激しい感情の起伏に自分でも自分の感情を理解できず、仕事や日常生活に支障が起こることもあります。
イライラするときはストレスの原因から離れるようにすることが大切ですが、難しい場合はゆっくり深呼吸をするだけでも効果的です。
集中力が低下する
うつ病になり、仕事や勉強に集中できない、簡単な作業でもミスが増えるといった症状に悩む方も多いです。
思うように仕事や家事を進められなかったり、集中できなかったりと、もどかしさやつらさを感じてしまいます。
これは、うつ病による脳の機能低下により、集中力や記憶力が落ちることが原因です。 無理に集中しようとせず、休憩を多めに取ることを意識しましょう。
自分に価値がないように感じる
うつ病になると、「自分には価値がない」「生きている意味がない」といった否定的な考えが浮かびやすくなります。
これはうつ病の症状であり、決して現実を反映したものではありませんが、ネガティブな考えに支配されてしまっているときは非常に苦しいものです。
このような考えを感じるときは我慢せず、早めに医師やカウンセラーに相談しましょう。
うつ病でつらい・苦しいときの過ごし方

うつ病でつらい・苦しいときは、無理をしないことが大切です。
ここからは、うつ病でつらい・苦しいときの過ごし方をいくつか紹介します。
- 焦らずゆっくり休む
- ストレスを減らす
- リラックスする
- 好きなことをする
- 無理せずできることに取り組んでみる
- 病気のせいだと理解し、自分を責めない
- 医師やカウンセラーに相談する
自分に合った方法があればぜひ試してみてください。
焦らずゆっくり休む
うつ病の回復には時間が必要であるため、焦らずにゆっくりと休養を取ることが、最も重要な対処法です。十分な睡眠を取り、無理のない範囲で過ごすようにしましょう。
休養の取り方は人それぞれです。横になって休む、軽い読書をする、音楽を聴くなど、自分に合った方法を見つけてください。
「休むことも治療の一つなんだ」と自分に許可を与えることも大切です。
ストレスを減らす
ストレスはうつ病の悪化につながるため、可能な限りストレスを減らす環境を整えることが大切です。
- 仕事や家事の負担を減らす
- ストレスの原因となる人との接触を控える
- SNSの使用時間を制限する
- 静かな環境で過ごす時間を作る
全てのストレスを取り除くことは難しいかもしれませんが、上記の方法を試してみて、少しずつでもストレスを軽減することを意識しましょう。
リラックスする
焦燥感やストレスに対処するために、リラックスできる時間を持ちましょう。
「◯◯しなければならない」と考える必要はありません。好きな音楽を聞いたり、アロマの香りを楽しんだり、 自分に合ったリラックス方法を見つけてみてください。
いいリラックス方法が思いつかないときは、深呼吸をするだけでもリラックスにつながります。
好きなことをする
「うつ病の症状はつらいけど、◯◯ならできる」ということがあればやってみるのもおすすめです。
マンガを読む、軽い散歩をする、ペットと触れ合う、YouTubeで動画を見るなど、無理をせず、できる範囲で行ってみましょう。
小さな楽しみを見つけることで、少しずつ気分が上を向く可能性があります。
無理せずできることに取り組んでみる
うつ病の症状がつらいときに無理に何かをする必要はありませんが、何かしたいと思ったら、無理をせずにできることに取り組んでみましょう。
例えば、「10分散歩する」「ベッドメイキングをする」「簡単な掃除をする」「日記を書く」などです。
しんどいときは無理せず「カーテンを開ける」「うがいをする」などだけでもOKです。小さな達成感が自信の回復につながります。
病気のせいだと理解し、自分を責めない
うつ病になると、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまいます。しかし、これは病気のせいであり、決して弱さや怠慢ではありません。
うつ病になると自分を責めてしまうことがよくありますが、「これは病気の症状だ」と客観的に捉え、自分を責めすぎないようにしましょう。
医師やカウンセラーに相談する
うつ病でつらいとき、気持ちを誰かに打ち明けるだけで心が軽くなることがあります。
医師やカウンセラーはあなたの理解者であり、つらさや不安にしっかりと寄り添い、サポートしてくれます。
症状や悩みに合わせて、精神療法やカウンセリング、薬物療法、TMS治療(磁気刺激法/経頭蓋磁気刺激法)などの治療を受けることも可能です。
うつ病でつらいと感じたら、無理せず専門家に相談しよう
うつ病の症状が強いときや浮き沈みがあるときは、出口がないように感じてつらさや苦しさを抱えてしまいがちです。 しかし、つらい時期はずっと続くわけではありません。
十分な休養と適切な治療によって、うつ病は完治を目指すことができます。この記事で紹介した対処法を参考に、 自分なりのやり過ごし方を見つけてみてください。
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