うつ病を9種類に分けて症状・原因別に解説!重症度や間違われやすい病気も

更新日 2024年12月06日

うつ病
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「うつ病」と一言でいっても、実はさまざまな種類や分類があることをご存知でしょうか?

うつ病は誰もがかかる可能性のある心の病気ですが、その症状や原因は人それぞれ異なります。

この記事では、うつ病の基本的な概念から、メランコリー型うつ病や非定型うつ病、季節うつ病、産後うつ病などうつ病の種類について詳しく解説します。

自分や身近な人がうつ病かもしれないと感じている方、うつ病の種類による症状の違いを知りたい方は、ぜひ記事をチェックしてみてください。

正しい知識を得ることで、適切な対処や治療につながる第一歩にできるはずです。

うつ病とは

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うつ病(大うつ病性障害)とは、気分が落ち込んで憂鬱な気分が続いたり、何かに興味や楽しいといった気持ちを感じられなくなってしまっている状態のことです。

精神的な症状だけでなく、眠れない、だるい、疲れが取れないといった身体的な症状も現れます。

うつ病は別名「気分障害(感情障害)」と呼ばれていましたが、『DSM-5(アメリカ精神医学会が作成している診断・統計マニュアルで国際的な診断基準の一つ)』では、気分障害という項目はなくなりました。

現在は、もともと同じ気分障害に含まれていたうつ病と双極性障害(躁うつ病)はそれぞれ、「抑うつ障害群」と「双極性障害および関連障害群」という別々のカテゴリーになっています。

ただし、現在でも必要に応じて気分障害という言葉が使われることもあります。

▶うつ病とは?症状・原因・治療法と自己診断チェックリスト

▶うつ病の初期症状?12のサイン丨受診目安・対処法・顔つきの変化も解説

抑うつ障害群とは

うつ病は「抑うつ障害群」のうちの一つです。抑うつ障害群は状況・現れる症状によって、以下のような種類があります。

参考:うつ病の新しい考え方

  • うつ病(大うつ病性障害)
  • 重篤気分調節症
  • 持続性抑うつ障害(気分変調症)
  • 月経前不快気分障害
  • 物質・医薬品誘発性抑うつ障害
  • 他の医学的疾患による抑うつ障害
  • 他の特定される抑うつ障害
  • 特定不能の抑うつ障害

うつ病の種類

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うつ病は「抑うつ気分」や「興味または喜びの喪失」といった特徴的な症状の他にも、人によってさまざまな症状が現れます。

うつ病の種類はさまざまな方法で分類されますが、ここでは症状や原因別に主な種類を9つに分けて紹介します。

  • メランコリアの特徴を伴ううつ病(メランコリー型うつ病)
  • 非定型の特徴を伴ううつ病(非定型うつ病・新型うつ病・現代型うつ病)
  • 周産期発症のうつ病(産後うつ病)
  • 季節型うつ病(季節性感情障害)
  • 不安性の苦痛を伴ううつ病
  • 精神病性の特徴を伴ううつ病
  • 緊張病を伴ううつ病
  • 混合性の特徴を伴ううつ病
  • その他のうつ病(医学的な正式名称ではないもの)

メランコリアの特徴を伴ううつ病(メランコリー型うつ病)

メランコリー型うつ病は、一般的にイメージされる典型的なうつ病で、以下のような症状が特徴です。

  • ほとんどすべてのことに喜びを感じない
  • 今までなら嬉しかったことでも良い気分にならない
  • 朝に気分が悪化する傾向にある
  • 早朝に目が覚める(通常の2時間以上前)
  • 著しい食欲不振や体重減少
  • 強い罪悪感
  • 精神運動制止(話し方や動作が普段より遅くなる)または精神運動焦燥(落ち着きがなく、無駄に動き回る)

このタイプのうつ病は、真面目で几帳面、責任感が強い性格の人に多く見られる傾向にあります。仕事の量や責任、人間関係になんとか対応しようと頑張るうちに脳のエネルギーが枯渇してしまいます。

非定型の特徴を伴ううつ病(非定型うつ病・新型うつ病・現代型うつ病)

非定型うつ病は、従来のうつ病とは異なる特徴を持つタイプです。メディアでは「新型うつ病」と呼ばれることもありますが、これは俗称で医学的な用語ではありません。

非定型うつ病は、対人関係の拒絶に敏感になる、過眠や過食、手足が重く感じるといった症状が見られます。また、気分の落ち込みが見られるものの、良いことがあると一時的に気分が良くなることも特徴です。

非定型うつ病は20代〜30代の若年層に多く見られ、本人の性格や能力の問題として誤解されやすく、慎重な診断が必要です。

周産期発症のうつ病(産後うつ病)

妊娠中や出産後4週間以内に見られるのが、周産期発症のうつ病(産後うつ病)です。

原因ははっきりわかっていないものの、妊娠・出産によるホルモンバランスの乱れやストレス、疲労、睡眠不足が関連していると考えられています。

強い不安や悲しみ、自分の赤ちゃんに愛情を感じないといった症状が特徴で、早期発見と早期治療、そしてパートナーや周囲のサポートが非常に重要です。

季節型うつ病(季節性感情障害)

季節型うつ病(季節性感情障害)は、特定の季節に起こるうつ病です。日照時間が短くなる冬季に発症が多くなります。(冬季うつ病)

冬季うつ病は主に、夜と昼のリズムを調節するホルモン「メラトニン」不足が影響していると考えられています。日照時間が短いため太陽の光が不足し、正常な分泌がされなくなって発症につながるという仕組みです。

季節型うつ病では不眠や不安、気分の落ち込みが見られ、春先になると自然に回復していくことが多いです。

症状が出る季節が夏の場合は「夏季うつ病」と呼ばれ、夏バテと似た症状であることから自分で気付けないことも少なくありません。

不安性の苦痛を伴ううつ病

うつ症状に加えて、とても強い不安が起こるのがこのタイプです。

「もし悪いことが起きたらどうしよう」「自分をコントロールできなくなるかもしれない」と未来のことに強い不安を感じ、落ち着きのなさや緊張感、集中できない、恐怖感などが見られます。

精神病性の特徴を伴ううつ病

うつ病の症状に加えて、以下のような妄想や幻覚といった症状がある場合は、精神病性の特徴を伴ううつ病とされます。

  • 罪業妄想(自分が重大な罪を犯したと信じ込む)
  • 貧困妄想(実際はお金があるが必要以上にお金がないと思い込む)
  • 心気妄想(自分が重い病にかかっている信じ込む)
  • 聴覚性や視覚性の幻覚(自分を非難する声が聞こえる)

緊張病を伴ううつ病

緊張病を伴ううつ病は、うつ症状に加えて緊張病(カタトニア)の症状が現れるタイプです。

緊張病は精神疾患の一つで、重度のうつ病や双極性障害、統合失調症などと関連して起こることが多いといわれ、主に以下のような症状が見られます。

  • ほとんど動かず、外的刺激にも反応が鈍い
  • カタレプシー(他人に取らされた不自然な姿勢を保持し続ける)
  • ごくわずかしか言葉を発さない、言葉を全く発せない
  • 理由なく指示に従わず拒絶する
  • わざとらしい振る舞い

混合性の特徴を伴ううつ病

混合性の特徴を伴ううつ病は、うつ症状と躁・軽躁症状が同時に現れるタイプで、双極性障害に移行しやすいことが特徴です。

  • 気分が高揚する
  • 開放的な気分になる
  • 普段よりもよく喋る
  • 活力や活動の増加
  • 悪い結果につながる可能性がある行動に夢中になる(ギャンブルや買い物での浪費など)
  • 眠らなくなる(眠れないではなく睡眠欲求の減少)

病的なほどに気分が高揚して活動的になり、本来のその人の性格からは想像できない振る舞いをすることから、周囲も異変に気づきます。

その他のうつ病(医学的な正式名称ではないもの)

その他、正式な診断名ではないものの、典型的なうつ病と区別して以下のような俗称で呼ばれるうつ病もあります。

  • 仮面うつ病
  • 微笑みうつ病
  • 受験うつ

仮面うつ病

仮面うつ病は、精神的な症状が全面に出ず、身体的な症状を主に自覚することが特徴です。

頭痛や腰痛、疲れやだるさといった身体に起こる症状の「仮面」によって精神的な症状が隠れてしまっている状態ということで、この名前で呼ばれています。

うつ病では精神的な症状より先に身体的な症状が先に現れることも多く、「仮面うつ病はうつ病の初期段階ではないか?」とする考えもあります。

身体の不調で内科を受診しても問題ない場合は、一度メンタルクリニックで相談してみるのがおすすめです。

微笑みうつ病

微笑みうつ病は、表面上は明るく振る舞えるが、内面では強い抑うつ感や苦痛を抱えているタイプです。周囲に気づかれにくく、本人の苦しみが見過ごされやすいという特徴があります。

周囲はもちろん、自分でもうつ病であることに気付かないケースもあり、注意が必要です。

受験うつ

受験うつは受験勉強のストレスが引き金となって発症するうつ病で、イライラや集中力散漫、焦り、無気力といった症状が特徴です。

若年層に多く見られ、勉強へのやる気や自信を失ってしまったり、学業成績の低下や不登校につながることがあります。

受験は日時が決まっていることもあり、悪化を防ぐためにも早めの治療が大切です。

うつ病の重症度・段階

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うつ病の重症度は3段階あり、仕事や対人関係への影響、症状の深刻さなどによって、「軽症」「中等症」「重症」に分けられます。

重症度診断基準や状態
軽症診断基準9項目のうち5項目を超えない程度に満たしている状態。苦痛はあるものの仕事勉強、や人とのコミュニケーションに大きな影響はない
中等症軽症と重症の中間にあたる状態。仕事や勉強などに影響が出て、周囲の人も異変に気付き始める
重症診断基準9項目のうち5項目を遥かに超えて満たしている状態。症状も非常に苦痛

軽症のうちは本人も周囲も気付かず、中等症まで進行すると異変に気付き始めることが多いです。

重症にまで進行すると生活に大きな支障が出て、入院による治療が必要になるケースもあります。

うつ病は放っておくと悪化してしまう

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うつ病は目に見える形で症状は現れませんが、治療せずに放っておくと悪化していく病気です。

重症になればなるほど心や身体がつらくなるだけでなく、治療に必要な期間も長くなってしまいます。

他の病気と同じように、早く発見できればその分治りも早くなるため、「おかしいな」と思ったら放置せず、早めにクリニックを受診しましょう。

「メンタルクリニックに行きたいがなかなか予約が取れない」「対面で話すのは不安がある」とお悩みでしたら、オンラインカウンセリングやオンライン診療がおすすめです。

医師監修オンラインカウンセリングの『かもみーる』なら、「相談したい」と思ったときにいつでもどこでも相談可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

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うつ病と間違われやすい病気

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うつ病と間違われやすい病気には、双極性障害や不安障害、適応障害、統合失調症といった精神疾患のほか、脳梗塞や認知症、甲状腺機能低下症などの身体疾患があります。

適切な治療を受けるためにも、一度クリニックで詳しい検査を受けましょう。

うつ病の種類についてのよくある疑問

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Q:うつ病と双極性障害(躁うつ病)の違いは?

双極性障害は「躁うつ病」とも呼ばれるため混同されがちですが、うつ病と双極性障害は全く別の病気で、治療法も異なります

うつ病ではうつ症状(気分の落ち込みや意欲低下など)のみが見られますが、双極性障害はうつ状態と躁状態または軽躁状態(気分が高揚し活動的になる)を繰り返すことが特徴です。

うつ病で処方される薬の中には、双極性障害の症状を悪化させてしまうものもあるため、正しい診断が非常に重要です。

Q:うつ病の種類を診断する方法は?

うつ病は何か一つのことが原因で起こるのではなく、複数の原因が複雑に絡み合って生じる病気です。

発症に影響していると考えられる出来事や要因、本人の性格、症状などを考慮し、DSM-5などの診断基準に基づいて、総合的に診断する必要があります。

セルフチェックで詳細な種類までを診断することは難しいため、気になる場合はクリニックで医師に相談してみましょう。

適切な治療を受けるためにもクリニックを受診しよう

うつ病にはさまざまな種類があり、症状や原因によって治療法は異なります。また、双極性障害や不安障害、適応障害、統合失調症といったうつ病と間違えられやすい病気にも注意が必要です。

一人ひとりの症状や状況に合った適切な治療を受け、早期回復を目指すためにも、自分や身近な人の症状がうつ病かもしれないと感じたら、まずは専門家に相談することが大切です。

少しでも気になる症状がある方や、「心療内科を受診すべきかわからない」と不安を感じている方は、医師監修オンラインカウンセリング・オンライン診療の『かもみーる』にご相談ください。

経験豊富な医師が丁寧に診断し、あなたに合った治療法や対処法をご提案します。発達障害や適応障害といった医療分野のカウンセリングにも対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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