「なんだか気分が晴れない」「鬱っぽい感じがして、やる気が出ない」と感じる日が続いていませんか?
うつ病とまではいかないものの、心や身体にじわじわと不調を感じるこの状態は、多くの人が一度は経験する可能性があります。
日常生活は何とか送れていても、身体的・精神的な違和感に悩むこともあるでしょう。
この記事では、鬱っぽいときに表れる症状について詳しく解説します。
鬱っぽいときのチェックリストや対処法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
鬱っぽい状態とは

鬱っぽい状態とは、うつ病とまでは診断されないものの、気分が沈んだり、意欲がわかなくなったりといった心身の不調を感じている状態を指します。
具体的には「なんとなく気分が晴れない」「仕事や家事に身が入らない」「疲れやすい」などの症状が見られることが多く、日常生活は何とかこなせていても、以前のような元気が出なかったり、楽しさや喜びを感じにくくなったりする状態です。
このような状態は、本人にとっても「気のせいかもしれない」と思ってしまいがちで、深刻な不調として捉えにくい傾向があります。
例えば仕事には行ける、食事も取れているといった表面的な生活が維持できているため、周囲にも気づかれにくく、自分自身も「まだ大丈夫」と無理を続けてしまうことがあります。
しかしこのような我慢が続くと、心身の疲れが蓄積され、気づかないうちに本格的なうつ病に移行するリスクもあるため注意が必要です。
「いつもと違う」と感じたときは、その変化を軽視せず、早めに対処して、悪化を防ぎましょう。
鬱っぽいときに見られる精神的な症状

鬱っぽいときに見られる精神的な症状として、以下の5つが挙げられます。
- 気分が落ち込む
- 集中力が低下する
- 不安が強くなる
- やる気が起きなくなる
- 好きだったことにも関心がなくなる
ここでは上記5つの症状についてそれぞれ解説します。
気分が落ち込む
鬱っぽさのなかで多く見られる症状が、理由もなく続く気分の落ち込みです。
朝起きたときから憂うつな気持ちが続いたり、何をしても心が晴れず、漠然とした不安や悲しみに包まれるように感じることがあります。
ときには涙が出てしまったり、人と話すことすら億劫になったりすることもあるでしょう。
気分の浮き沈みは日内変動を伴うこともあり、特に午前中につらさを感じる人が多い傾向があります。
集中力が低下する
物事に集中できなくなるのも、鬱っぽい状態の代表的な症状です。
例えば本を読んでも内容が頭に入ってこなかったり、仕事のミスが増えたりします。
会話中も相手の話がうまく理解できず、ぼんやりしてしまうことがあります。
集中力が続かないことで「自分はダメだ」と自己否定の感情が強まり、ますます意欲を失うという悪循環に陥ってしまうケースも少なくありません。
不安が強くなる
ちょっとしたことでも不安になりやすくなるのも、鬱っぽい状態の特徴です。
例えば「鍵を閉めたか」「誰かを怒らせてしまったのでは」など、普段なら気にしないようなことが頭から離れなくなり、何度も確認したり、悩み続けたりすることがあります。
対人関係についても敏感になり、「あの言葉で傷つけてしまったかも」と自分を責めてしまうこともあります。
このような不安感が強くなると、心が休まる時間が少なくなり、心身ともに疲弊してしまうため注意が必要です。
やる気が起きなくなる
「何もしたくない」「頑張れない」といった無気力感も、鬱っぽいときによく見られます。
やらなければいけないことがあっても、身体が動かない、手につかないという状態に陥ることがあるのです。
朝が特につらい場合も多く、低血圧や自律神経の働きが鈍くなっていることが関係しているケースもあります。
やる気が出ない自分を責めてしまい、さらに気分が落ち込むという悪循環につながることも少なくありません。
好きだったことにも関心がなくなる
以前は夢中になっていた趣味や活動にも興味が持てなくなるのも、鬱っぽい症状の一つです。
例えば音楽を聴いたり映画を観たりすることが楽しく感じられなくなり、何をしても心が動かないという感覚に襲われることがあります。
こうした興味・関心の喪失は、うつ状態の初期に見られることが多いため、早期に気づくことが大切です。
鬱っぽいときに見られる身体的な症状

鬱っぽいときに見られる身体的な症状として、以下が挙げられます。
- 眠れなくなる
- 食欲の低下または増加
- 動悸を感じる
- めまいを感じる
- 疲れやすくなる
- 頭痛や腹痛がある
ここでは上記6つの症状についてそれぞれ解説します。
眠れなくなる
鬱っぽい状態になると、睡眠に大きな影響が出ることがあります。
特に多いのは、『入眠困難(寝つきが悪い)』『中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)』『早朝覚醒(朝早く目が覚めてそのまま眠れない)』といった不眠の症状です。
寝ても疲れが取れなかったり、眠った気がしないといった感覚も特徴の一つです。
また、逆に過眠になる人もおり、長時間眠っても眠気がとれないこともあります。
睡眠の質が落ちることで、日中の活動に支障が出ることも少なくありません。
食欲の低下または増加
鬱っぽさは食欲にも影響を与えます。
「食欲がわかない」「食べ物の味がしない」「無理に食べると気持ち悪くなる」など、食欲不振の形で表れるケースが多いです。
しかし逆に過食になるケースもあり、特に甘いものや高カロリーな食品を衝動的に食べてしまうこともあります。
いずれの場合も、急激な体重の増減や栄養バランスの乱れを引き起こすリスクがあるため注意が必要です。
動悸を感じる
心拍が突然早くなったり、ドキドキが止まらなかったりする動悸も、鬱っぽい状態でよく見られる身体症状の一つです。
病気が原因ではない場合でも、ストレスや不安によって交感神経が活発になり、心臓の鼓動が速くなることがあります。
特に緊張しているときや考えごとをしているときに突然動悸が始まり、不安をさらに強める要因にもなり得ます。
めまいを感じる
鬱っぽいときに見られる身体的な症状の一つとして、めまいが挙げられます。
耳や脳の異常を疑ってしまうような症状ですが、検査で異常がないにも関わらず続く場合は、自律神経の乱れが原因と考えられます。
特に立ち上がったときや緊張した場面で感じやすく、日常生活に不安をもたらす要因にもなるため注意が必要です。
疲れやすくなる
明らかな理由がないのに常に疲れている、少し動いただけでひどく消耗するといった疲れやすさも鬱っぽいときに見られる症状です。
起きているだけで身体が重く感じたり、家事や仕事をする気力が湧かなかったりします。
こうした慢性的な倦怠感は、心身のエネルギーが枯渇しているサインともいえるでしょう。
身体を動かすのがつらくなると、今までよりも動作がゆっくりになることがあります。
頭痛や腹痛がある
鬱っぽい状態では、頭痛・腹痛といった痛みの症状も現れやすくなります。
検査で明確な原因が見つからないにも関わらず、慢性的な痛みや違和感がある場合は、心のストレスや緊張による影響が疑われるでしょう。
頭痛や腹痛のほかにも肩こりや腰痛、息苦しさ、便秘、下痢といった症状が表れることがあります。
鬱っぽいときのチェックリスト

「なんとなく気分が晴れない」「疲れがとれない」など、心や身体に違和感を覚えたとき、鬱っぽい状態に気づく手がかりになるのがチェックリストです。
うつ病は、初期の段階では軽度な心身の不調として表れることが多く、本人も「大げさに考えすぎかも」と受け止めてしまいがちです。
しかし、症状が長引くことで日常生活に支障をきたす可能性もあるため、早期に気づくことがとても大切になります。
以下のチェックリストに該当する項目が複数ある場合は、無理をせず、医療機関への相談を検討してみましょう。
- 憂うつな気分が続いている
- 何に対しても興味が持てない
- 疲れやすく、やる気が出ない
- 集中力が続かない
- イライラや不安感が強くなることがある
- 何をするにも面倒に感じる
- 自分に自信がなくなった
- 自分を責める気持ちが強くなった
- 将来が不安で仕方がない
- 寝付けない、途中で起きる、早朝に目が覚める
- 食欲がない、もしくは過食が続いている
- 体の痛み(肩こり、頭痛、腹痛など)がある
「大したことない」と思って放置してしまうと、徐々に症状が深刻化し、うつ病に移行するリスクもあります。
症状が悪化する前に速やかに医療機関を受診することが大切です。
鬱っぽいときの対処法

鬱っぽいときの対処法として、以下が挙げられます。
- 十分な休養をとる
- 規則正しい生活習慣を身につける
- 適度に運動する
- 栄養バランスの整った食事を心がける
- 飲酒や喫煙を減らす
- 好きなことを楽しむ
- 時間の使い方を見直す
- 仕事との向き合い方を工夫する
- 心身の状態を記録する
- 身近な人に相談する
ここでは上記の対処法についてそれぞれ解説します。
十分な休養をとる
まず何よりも大切なのは休むことです。
鬱っぽいときは心のエネルギーが消耗している状態のため、無理に頑張ろうとせず、意識的に休養をとることが回復への第一歩となります。
仕事や家事で忙しい日々を送っている方も、意識して休む時間を確保しましょう。
早めに布団に入る、昼寝をする、可能であれば有給休暇をとってリラックスするのも良い方法です。
規則正しい生活習慣を身につける
鬱っぽいときの対処法として、規則正しい生活習慣を身につけることが挙げられます。
生活リズムの乱れは、心の不調を悪化させる要因になりかねません。
起床時間や食事の時間を毎日できるだけ一定に保つことで、体内時計が整い、精神面にもよい影響を与えます。
朝にカーテンを開けて日光を浴びることで、セロトニンが分泌され、気分を安定させる効果が期待できます。
夜型生活の人も、まずは1日のスケジュールを見直し、可能な範囲で早寝・早起きに近づける工夫をしましょう。
適度に運動する
身体を動かすことは、心の不調を和らげるのにも効果的です。
ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動を無理のない範囲で行うだけでも、気分がすっきりしたり、気持ちが前向きになったりします。
特に朝の散歩は日光を浴びながら体を動かせるため、セロトニンの分泌を促す意味でもおすすめです。
最初は5分程度から始め、適度な運動を習慣にしていきましょう。
栄養バランスの整った食事を心がける
鬱っぽいときは栄養バランスの整った食事を心がけることが大切です。
また、鬱状態にはセロトニンの減少が関係しているため、その材料となる以下の栄養素を含む食材を積極的に摂ることが効果的です。
- トリプトファン(卵・魚・乳製品など)
- ビタミンB群(納豆・レバー・ナッツ類)
- ビタミンD(きのこ類・魚)
毎回完璧な献立を作る必要はありませんが、できるだけ栄養バランスを意識し、さまざまな食材を取り入れるよう心がけましょう。
忙しくて自炊する時間がないという場合には、サラダや味噌汁、おにぎりを選ぶだけでも栄養バランスが整いやすくなります。
飲酒や喫煙を減らす
アルコールやタバコは気分転換として頼りたくなることもありますが、長期的に見れば心身に悪影響を及ぼすリスクがあります。
アルコールは脳の働きを一時的に鈍らせるため気がまぎれるように思えますが、翌日には落ち込みが強くなることもあります。
また喫煙も、交感神経を刺激することで不安感やイライラを増幅させてしまうことがあるため注意が必要です。
依存を防ぐためにも、飲酒や喫煙は少しずつ減らすことを意識してみましょう。
好きなことを楽しむ
気分が落ち込んでいるときは、何をしても楽しく感じられないことが多いかもしれませんが、そんなときこそ『好きなこと』に目を向けてみるのが大切です。
映画や音楽、読書、散歩、お菓子作りなど、自分にとって心地よい時間を過ごすことで、気分転換になります。
無理なく心を休める時間を作りましょう。
時間の使い方を見直す
鬱っぽさを感じる原因として、無意識のうちに忙しすぎる生活を送っているケースが挙げられます。
仕事や家事に追われ、自分の時間が確保できていない場合、心は次第に疲弊してしまいます。
時間を予定で埋めるのではなく、空けることを意識してみましょう。
例えば仕事とプライベートの時間をきちんと区切る、1日30分は何もしない時間を作るなどの工夫をすることで、気持ちに余裕が生まれます。
仕事との向き合い方を工夫する
仕事が負担になっていると感じるときは、「すべてを完璧にこなさなくては」という思いを一度手放してみましょう。
可能な範囲で目標を低く設定し、少しでも達成できたら自分を認めてあげることが大切です。
また、タスクを細かく分けて一つずつ取り組むと、達成感を得やすくなります。
業務の優先順位をつけたり、信頼できる上司や同僚に相談したりして、仕事量の調整を図るのも一つの手段です。
場合によっては、休暇の取得や休職も視野に入れましょう。
心身の状態を記録する
自分の気分や体調の変化を視覚化するために、日記やメモに記録してみましょう。
例えば朝の気分や睡眠時間、食事内容、気になる出来事などを簡単に書き留めておくことで、気分が落ち込むタイミングや原因の傾向が見えてくることがあります。
鬱っぽくなるタイミングや原因が見えてくれば、対策もとりやすくなります。
身近な人に相談する
つらいと感じる場合には一人で抱え込まず、信頼できる相手に気持ちを打ち明けることも大切です。
「こんなことで相談していいのかな」と思ってしまうかもしれませんが、話すことで心が軽くなることがあります。
家族や友人、同僚など話しやすい相手がいない場合は、職場の産業医や自治体の相談窓口、カウンセリングなど、専門機関の力を借りるのも良いでしょう。
第三者からのアドバイスを受けることで、自分一人では見つけられなかった解決策が見えてくることもあります。
鬱っぽい状態が続く場合は医療機関に相談しましょう
鬱っぽい状態を放置しておくと、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
十分な休養や生活習慣の見直し、心をリフレッシュできる時間の確保などにより改善がみられる場合もありますが、それでも症状が改善しない場合は無理をせずに早めに医療機関を受診しましょう。
かもみーるでは、いつでもどこでも相談できるオンラインカウンセリングサービスを提供しています。
鬱っぽい症状にお悩みの方や心療内科の受診を検討している方は、ぜひ当院までご相談ください。
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