最近「なんとなく気分が上がらない」「やる気が出ない」と感じていませんか?
気分が上がらない、気分が落ち込む理由は人それぞれです。
多くの場合は一時的なもので、休息をとったり気分転換したりすると回復しますが、長引くと心や体に不調をもたらすこともあります。
この記事では、気分が上がらない理由や気分が上がらないときに効果的なセルフケア、医療機関に相談すべきタイミングや選ぶべき治療内容まで詳しく解説します。
自分に合った方法を見つけ、前向きな気持ちを取り戻すためのヒントにしてください。
気分が上がらない理由

「気分が上がらないのは、自分のやる気の問題なのでは」と考える人もいるかもしれません。
ですが、気分が上がらない背景には、複数の要因が重なっていることがあります。
心理的なストレスや体調不良に加え、環境要因や精神的疾患が絡むこともあるため、まずは理由を理解し、それぞれに応じた対処方法を知ることが、気分を上げる第一歩になります。
心理的要因
ネガティブな自己概念、自己否定的思考、同じ考えをぐるぐるしてしまうことなどは、気分が上がらない状態から抜け出せない、心理的要因として挙げられます。
研究では、こうした心理的パターンが気分障害の発生に関与していることが確認されています。
また、過去のトラウマや失敗、ストレスは精神的な耐性を弱め、感情の浮き沈みに影響を及ぼします。
心理的ケアで気持ちを落ち着け、自分のネガティブな思考パターンに気づき、少しずつ変えていくことが重要です。
身体的要因
ホルモンバランスの乱れや月経に伴うPMS、睡眠不足、栄養の偏りは、脳内の神経伝達物質に影響し、気分低下の要因になります。
中でも睡眠不足は、数日間でストレス耐性が低下し、感情が不安定になると言われています。
また、栄養面では葉酸やトリプトファンといった成分が不足すると、うつ症状と関係します。
日常生活で栄養・睡眠・ホルモンバランスを整えることが気分の安定に直結します。
(参考:うつ病における栄養・運動の役割)
環境要因
住んでいる環境や、自然環境が心理状態に与える影響も大きく、騒音・照明不足・大気汚染などはストレスを増幅させ、気分の落ち込みにつながります。
また、自然に触れることで、落ち込んでいた気分が改善するという研究もあり、森林浴や緑の多い場所での散歩は、気持ちのリセットに効果があるとされています。
特に、季節性変動型のうつ(SAD)は、日照時間の少ない時期に症状が悪化することが知られており、照明を有効活用した光療法も治療に活用されます。
(参考:環境要因と精神的健康)
病気の可能性
気分の落ち込みが長期間にわたり、普段の生活にも支障をきたす場合、うつ病や双極性障害、適応障害など精神的な疾患の可能性があります。
「一時的なものだろう」と症状を軽視し放置すると、生活の質が低下し、症状の改善にも時間がかかるため、早期の専門家による診断が重要です。
特に、自己判断で頑張ろうとして、自己流の改善方法を行うと、回復が遅れるケースもあります。
適切なタイミングで心療内科や精神科の受診、あるいはカウンセリングを利用することで、適切な支援を受ける道が開けます。
気分が上がらないときに注意する点

気分の落ち込みは誰にでも起こりうる自然な現象ですが、その際、無理に明るく振る舞ったり、他人と自分を比較して落ち込んだりする習慣は避けることが大切です。
気分を無理に引き上げようと、感情を押し殺してしまうと、逆に抑うつや不安といった症状を悪化させてしまうこともあります。
「今の自分は少し元気が出ない状態なんだ」と今の症状を受け入れ、否定せずに休むことが回復への第一歩です。
十分な休養を取り、信頼できる人に今の自分の気持ちを話すだけでも心が軽くなることがあります。
頑張りすぎず、自分を責めず、心と体に優しい対応を心がけ、自分を労わることが、気分の改善につながります。
気分が上がらないときに試したいセルフケア

気分が上がらないと感じたときは、短時間で簡単にできるセルフケアを試しましょう。
心身をリフレッシュする深呼吸や栄養、睡眠の改善やリラックス法など、小さな習慣を積み重ねることで気分を少しずつ上げるサポートになります。
深呼吸やマインドフルネスでリセット
マインドフルネスは、今この瞬間に意識を集中させ、感情や思考を客観視する方法です。
研究では、「瞑想・マインドフルネスの練習が主観的幸福感の向上、心理的症状の軽減に効果がある」ことが示されています。
さらに、コロナ禍を対象にした研究においては、マインドフルネス瞑想による抑うつ症状の軽減が統計的に確認されています。
日常生活のなかで、数分でも深呼吸や瞑想をする時間を取り入れてみましょう。ゆっくりと時間を過ごすことで、気持ちの切り替えに大きな違いが生まれます。
(参考:マインドフルネスの精神的健康への影響)
食事で心と体をサポート
食生活は、身体の健康以外にも気分に直結する大事な要素です。
野菜や果物、魚、全粒穀物を中心とした伝統的な食事スタイルは、加工食品中心の食事よりも、抑うつや不安のリスクが低いといわれています。
また、ビタミンB群や鉄分、マグネシウムといった栄養素は、神経やホルモンの働きを支えるため、意識して取るとよいでしょう。
アルコールやエナジードリンクは一時的に気分を変えられますが、脳に負担を与えるためかえって気分の乱れを長引かせる可能性があります。
睡眠リズムを整える
良質な睡眠は、気分の安定に不可欠です。
睡眠不足によるイライラや気力低下の関係は広く知られており、大学の研究でも1週間4.5時間の睡眠不足でストレス・感情の乱れが拡大することが報告されています。
うつ病では睡眠構造が変化し、レム睡眠が早く訪れ長くなる傾向があり、こうした変化は気分障害に関与しています。
さらに、スマホやPCを寝る前に見ると、ブルーライトの効果で覚醒してしまうことがあるため、就寝前にはなるべく使用を控えましょう。
就寝リズムの安定をはかり、寝る前の刺激を回避して自律神経を整えるナイトルーティンを作ることが大切です。
(参考:睡眠不足で情動不安定や抑うつに)
五感を使ったリラックス法
香りや音楽、照明を使用した五感へのアプローチは、心身をリラックスさせる効果があります。
アロマや自然音などは、副交感神経を優位に促して緊張をほぐすとされており、音楽療法は抑うつ症状の改善に効果があるとされています。
自分にとって癒される香りや音、照明などを日常生活に取り入れ、リラックスタイムに使用すると、気分の立て直しに効果的です。
香りと音を組み合わせ、複数繰り返すことでより高い効果が期待できるでしょう。
気分が上がらない状態を予防する生活習慣
気分が上がらない状態を未然に防ぐには、日常生活全体を整えることが重要です。
まず、朝起きたら朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、感情をコントロールする神経伝達物質のセロトニンの分泌が促されます。
また、適度な運動はストレスホルモンを減少させ、脳の働きを活性化します。
ストレッチをしたり、近場を散歩したりすることで気分の落ち込みを未然に防ぐことにつながります。
小さな成功体験を積むことで気分向上を促し、自信や自己肯定感を育む習慣になります。
医療機関の受診を検討すべきタイミング

セルフケアを試しても改善がみられず、日常生活に支障をきたすような場合は、ためらわず医療相談を検討しましょう。
特に、2週間以上気分が落ち込んだり、感情がコントロールできなかったりする場合は早めの受診が安心への近道です。
2週間以上気分の落ち込みが続くとき
「気分が上がらない」「気分が落ち込む」そんな症状が2週間以上にわたって続く場合、単なる気分の不調ではなく、うつ病や不安障害などの可能性があります。
「少し疲れてるだけ」と自己判断で日常を過ごすのではなく、医療機関で専門医によるカウンセリングを受けることが大切です。
精神科や心療内科では、症状の評価だけでなく、生活背景やストレス要因も考慮した総合的な治療が可能です。
「自分の症状は病気なのか」と不安を抱えたまま過ごしていると、さらに気分の落ち込みを誘発する感応性もあります。
ストレスそのものを軽減する意味でも、医療機関の受診は有効な選択肢です。
▶不安障害の種類別の症状・診断基準┃セルフチェックや治療法も解説
感情コントロールが難しく生活に支障が出ているとき
気持ちをうまくコントロールできず、日常生活に支障が出ているときは注意が必要です。
例えば、人間関係で衝動的にきつい言葉をぶつけてしまったり、仕事や勉強に集中できずミスが増えたりする状態が続くと、自分だけでなく周囲にも影響を及ぼします。
感情がコントロールできず爆発したり、逆に何も感じられないような無気力に陥ったりすることもあり、自力で対処を続けるのは大きな負担になります。
そのような場合は、早めに医療機関で相談、カウンセリングを受けることが大切です。
カウンセリングや認知行動療法などの心理的支援を通じて、感情の仕組みを理解し、考え方や行動のパターンを少しずつ調整することで、安定した生活を取り戻すサポートになります。
強い不安や落ち込みを伴うとき
「常に不安で眠れない」「未来のことを全く考えられない」といった強い落ち込みや不安は、単なる気分の浮き沈みだけではありません。
うつ病や不安障害など、心の病気の典型的なサインである可能性もあります。
このような状態を一人で抱え込み続けることは非常に危険であり、心身ともに大きな負担となります。
カウンセリングや薬物療法など、一人一人に合った対処法を講じてもらえるため、早めに医療機関へ相談し、専門家のサポートを受けることが大切です。
受診できる医療機関と治療の選択肢

気分の不調による受診は、心療内科や精神科が代表的です。
カウンセリングや認知行動療法、薬物療法など、さまざまな選択肢があります。
「実際に出向くのが難しい」「プライバシーが気になる」という方には、オンライン診療もおすすめです。
無理をせず、自分に合った方法で専門的なサポートを取り入れることが、心の回復につながります。
心療内科と精神科の違い
心療内科は、頭痛や不眠などの身体症状を起点としており、心身双方のバランスを整える診療を提供します。
一方、精神科はうつ病や不安障害、双極性障害など具体的な精神疾患に対する専門治療が中心です。
どちらが適切か迷ったときは、まず心療内科を受診して相談するとよいでしょう。
カウンセリングと薬物療法
気分の不調に対しては、大きく分けて「心理的アプローチ」と「医学的アプローチ」があります。
心理的アプローチは、カウンセリングを行い、心理士との対話を通して感情を整理し、思考のクセやストレスとの向き合い方を見直すことができます。
特に、認知行動療法は、科学的根拠のある治療法として広く用いられており、考え方や行動のパターンを少しずつ修正することで、気分の安定に役立ちます。
医学的アプローチでは、抗うつ薬や抗不安薬といった薬物療法を行います。薬物療法を行うことで、脳内の神経伝達物質の働きを整え、強い落ち込みや不安を軽減する効果が期待できます。
症状の重さや生活への影響度によって、両方を組み合わせることで、回復へのスピードが高まりやすくなります。
自分に合った方法を主治医と相談しながら、無理のないペースで進めることが大切です。
オンライン診療サービスという選択肢
忙しい方や通院が難しい方には、オンライン診療という選択肢もあります。
最近ではオンライン診療のプラットフォームも増えており、自宅から心理士・医師にアクセスできるようになりました。
移動の負担なくメンタルケアができるため、幅広い方におすすめのサービスです。
『かもみーる』でも、オンライン診療・オンラインカウンセリングを提供しています。
セルフケアと専門相談で心を少しずつ整える
「気分が上がらない」状態は、多くの人が経験するものですが、長引くと心身に負担を及ぼしてしまうこともあります。
心理的・身体的・環境的な原因を理解し、呼吸や食事・睡眠・適度な運動といったセルフケアで少しずつ改善を目指しましょう。
セルフケアを行っても変化がない場合は、早めに専門家への相談を検討することが改善につながります。
オンライン診療の『かもみーる』では、経験豊富な医師やカウンセラーによる診察やカウンセリングを行っています。
オンライン診療ですので、周りを気にすることなく相談が可能です。また、24時まで診療可能ですので、夜遅くのカウンセリングも受けられます。
経験豊富な医師や心理士が、一人ひとりに合わせたカウンセリングを行い、心の回復を丁寧に支援します。初めての方でもお気軽にご相談ください。
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