不安障害がつらい時の対処法は?自宅でできる不安の和らげ方や治療法を紹介

更新日 2025年07月29日

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「起こっていないことにとても不安を感じる」「不安すぎてどうすればいいかわからない」という方は少なくありません。

不安を感じることは誰にでもありますが、それが危険ではない出来事やものに対しても極度に不安になる場合は不安障害かもしれません。

不安障害は誰にでも起こり得る心の病気で、日常生活に大きな支障をきたす場合があります。

この記事では、不安障害の対処法を中心に、不安障害との向き合い方や寄り添い方についても解説しています。

不安障害とどう向き合えばいいのかと考えている方の参考になれば幸いです。

不安障害とは?

不安は、自分自身の危険や危機に備えたり、回避をするために誰にでも備わっている機能のひとつです。

しかし、不安障害では、危険や危機でないものに不安や恐怖を感じ、心身に不快な変化が起こるため日常生活に支障が出ます。

代表的な不安障害には、以下のようなものがあります。

種 類

主な症状や特徴

全般性不安障害

学校・家族・友人など生活上のさまざまなことが気になり、極度に不安や心配になる

パニック障害

突然理由もなく激しい不安に襲われ、心身に異常な反応をきたす発作を繰り返す

社会不安障害

人に注目されることや人前に出ることが怖くなり、他人との関わりや人混みなどに強い苦痛を感じる

強迫性障害

つまらないことだとわかっていても特定の行為をやめられず、繰り返し同じことをしていないと不安になる

不安障害については以下の記事でも詳しく解説しています。

不安障害とは?種類ごとの特徴や症状、治療法について詳しく解説

症状は個人差があり、周期や時間などもさまざまですが、精神的な疲労を伴うため、蓄積によって他の精神疾患や依存症を引き起こす可能性もあります。

単なる心配性と考えず、心身に苦痛を感じるほどの症状が起こっている場合は、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。

不安障害でつらい時に自宅でできる対処法

不安障害は、適切な治療やサポートで改善・または完治する可能性のある病気です。

医療機関の受診をするとともに、自宅でも以下のような対処法を行うことで不安を軽減できる場合があります。

不安障害でどうすればいいかわからないと感じる方は、まず自宅でできる方法を試してみましょう。

  • 生活習慣の改善
  • 腹式呼吸をする
  • リラクゼーション法を取り入れる
  • 音楽を楽しむ
  • 小さな目標を立てる
  • 気持ちを書いて整理する
  • 笑うことで不安を軽減する
  • SNSやニュースと距離をとる

不安障害は人との関わりに対しても不安や恐怖を感じるため、病院に行くのが怖いと感じてしまうかもしれません。

まずは、自宅でのセルフケアで不安を少しずつ軽くすることから始めてみましょう。

生活習慣の改善

睡眠不足や暴飲暴食などを行っていると、精神的に不安定になりやすく、不安障害を治りにくくさせる可能性があります。

生活習慣を以下のように改善することで、セロトニンが活性化し、精神を安定させる働きが期待できます。

  • 早寝早起きなど規則正しい生活リズム
  • 1日3食決められた時間に食事をする
  • 適度な運動
  • カフェインを摂取しすぎない

カフェインは、脳を刺激するためストレス反応を活性化するおそれがあります。

感情の起伏が激しくなる場合もあるため、不安になりやすい方はコーヒーやエナジードリンクなどカフェインを多く含むものは控えましょう。

腹式呼吸をする

不安な時は呼吸が浅くなりやすいです。 お腹に手を当ててゆっくりと呼吸する腹式呼吸には、自律神経を安定させる効果があるため、ぜひやり方を覚えておきましょう。

腹式呼吸は以下の手順で行います。

  1. 背筋を伸ばして、目を閉じお腹に手を当てる
  2. 鼻からゆっくり息を吸ってお腹をふくらませる
  3. 息を数秒止めて、口から細く長く吐き出す
  4. 自然なリズムで繰り返し、1~2分続ける

呼吸に意識を向けることで、心が落ち着き、不安を和らげる効果が期待できます。

リラクゼーション法を取り入れる

不安を感じると、無意識のうちに身体が緊張しこわばったり、頭の中が不安でいっぱいになり何も考えられなくなることもあります。

そんな時には、以下のようなリラクゼーション法を用いて、症状の軽減を図りましょう

リラクゼーション法の種類

やり方

漸進性筋弛緩法

筋肉を意図的に10秒ほど緊張させてからパッと力を抜く

イメージトレーニング

頭の中で心地よい映像を思い浮かべる。音や臭い、温度や肌ざわりなども具体的に想像し、深呼吸と組合せてイメージを膨らませるとリラックス効果が高まる

深呼吸法

自分の呼吸に意識を向け、息を深く吸い込み、数秒止めてゆっくりと吐くことを繰り返す

ストレッチ

首や肩甲骨、太ももの裏などのストレッチを行い、筋肉の緊張緩和と血流改善を促す

マインドフルネス

落ち着いた場所で姿勢を整え、意識に呼吸を向ける。雑念が浮かんだら深呼吸に意識をもどすのを1~5分程度行う

リラクゼーション法は多くの種類があるため、自分に合った方法を探してみましょう。

音楽を楽しむ

気分が落ち込む時や緊張が強い時は、お気に入りの音楽を聞くこともおすすめです。

テンポのゆったりした曲や、自然の音を取り入れたヒーリングミュージックなどが向いています。

また、歌ったり軽く体を動かしてリズムをとったりすると、心と身体のバランスが整いやすくなります。

小さな目標を立てる

不安障害になると、自分ができなかったことに目を向けやすくなります。

そのような時は、5分だけ散歩をする、朝ごはんをきちんと食べるなどの、達成しやすい小さな目標を立ててみましょう。

少しずつでも、できたことを積み重ねると自分を認める気持ちが育ち、不安と向き合う力を養う効果が期待できます。

気持ちを書いて整理する

不安が強い時には頭の中が混乱していることが少なくありません。

自分の気持ちを整理するために、紙に思いついたことを自由に書き出してみましょう

何が不安なのか、自分がどう感じているのかを言葉にすることで、気持ちが客観的に見えます。

誰かに見せるものではないので、丁寧に書く必要はなく、手書きでもスマホのメモでもかまいません。

笑うことで不安を軽減する

緊張や不安でいっぱいの時、笑ってみるのもおすすめです。また、失敗した時にも笑うことは有効です。

不安障害の方は、失敗すると必要以上に自分を責めてしまう傾向にありますが、あえて笑うことで心を軽くし、困難を乗り越える力が生まれます

お気に入りのコメディ映画を見たり、昔の楽しかったエピソードを思い出すことで、脳がリラックスし、落ち込んだ気分を軽減する効果が期待できます。

SNSやニュースと距離をとる

SNSやネガティブなニュースから距離をおくことも、不安症状の改善に役立ちます。

SNSは楽しいものである反面、見えない比較や過剰な演出、こうしなければという義務感や同調圧力などで心が疲れやすくなります

また、長時間見続けることで脳が興奮状態を維持し続け、反動で無気力や疲れを引き起こすだけでなく、寝不足などの生活習慣にも支障が出ます。

不安な気持ちになった際には、一度SNSやネガティブなニュースは見ずに自分の心と向き合いながらゆったりと過ごしましょう。

不安障害の医療機関での治療法

不安障害は、医療機関で治療を受けることで、根本的な改善が期待できます。

治療法には薬物療法とカウンセリング(認知行動療法や暴露療法)などがあり、症状に応じて医師がどのような治療法を行うか判断します。

薬物療法

不安障害に対する薬物療法は、抗うつ薬や抗不安薬が用いられ、不安障害の症状を軽減するのに効果的です。

抗不安薬は即効性がある一方で、抗うつ薬は一定の期間服用を継続することで効果が表れるため、医師の処方した用法用量を守り、正しく服用しましょう。

カウンセリング

不安障害の治療では、医師やカウンセラーなどの医療従事者によるカウンセリングが効果的で、なかでも、認知行動療法と暴露療法が多く用いられる方法です。

認知行動療法とは、ある出来事が起こった時に頭に浮かんだ考えやイメージを見つめ直し、修正していく治療です。

不安や恐怖への対処法を身に着けることでストレスの軽減や、自己肯定感につながる効果が期待できます。

暴露療法は、不安な場面を回避せずにあえて触れることで、慣れる練習をしていく治療法です。

不安の原因となる場所や状況に対して、触れても大丈夫だという安心感を育みます。

不安障害の対処法に関するよくある疑問

不安障害を抱えている方や身近に不安障害の方がいる場合によく聞く疑問への対処法について紹介します。

なぜ起こってもいないことに不安になるの?対処法は?

起こっていない未来のことに不安を感じることは誰にでもあることです。

しかし、未来への不安によって、日常生活に支障をきたすほどに心身に影響が出てしまう場合は、不安障害の可能性があります。

不安障害の原因は家族歴などの遺伝的な原因のほかに、以下のようなものが挙げられます。

  • 過去のトラウマや失敗経験
  • 失敗を極端に恐れる完璧主義な思考
  • 悪いシナリオを予測しやすい脳の防衛本能が強すぎる

不安を避けるために未来を過剰にコントロールしようとすることが共通点ですが、未来の出来事は誰にも予測できないため、それを柔軟に考える力を養うことが大切です。

まずは、この記事にある自宅でできる対処法を試し、それでも不安が取り除けない場合には、医療機関を受診することで、症状が改善する可能性があります。

不安障害の方は、外に出ることが怖かったり、他人に接することでも不安を抱えやすくなります。

その場合は、オンラインのカウンセリングで医師やカウンセラーなどの医療従事者に悩みを相談できる機関を検討しましょう。

不安障害の友人や家族への接し方は?

身近に不安障害の方がいて、どう接していいかわからないという方もいるかもしれません。

まず、不安障害を持つ人に言ってはいけない言葉を紹介します。

  • 否定:「心配しすぎ」「病は気から」など
  • 安直な励ましや共感:「辛いのわかる」「すぐ良くなるよ」など
  • 決めつけ:「演技じゃないの?」「頑張れば大丈夫」など

励ましているつもりでも、障害を抱えた方を追い込んでしまう場合もあるため、上記のような言葉は避けましょう。

不安障害を持つ方に接する時は、深堀りしすぎず、本人の話をただ聞いてあげることが大切です。

つじつまが合わない、思い込みが強すぎる発言が出てくる場合もありますが、否定したり考え方を直そうと意見したりすることは逆効果になる可能性もあります。

病状や状態に関しても、「不安になっているか」などの直接的な聞き方ではなく、「睡眠はとれているか」「ご飯は食べられているか」など間接的に聞くようにしましょう。

1人が怖いときはどうすればいい?

不安障害の中で1人でいるのが怖いと感じるのは、パニック障害や分離不安障害が挙げられます。

パニック障害では、発作が繰り返し起こることで、発作が起きたらどうしようという予期不安を抱くようになります。

予期不安が強くなると、 1人での外出や留守番を拒むようになってしまうのです。

また、分離不安障害では、自宅や保護者などの愛着を持っている人から離れることに対して強い不安や恐怖を抱きます。

子どもによく見られる症状ですが、大人でもこの障害を持つ方は少なくありません。

1人の時に不安が強くなった場合には、前述した不安を軽減できる対処法を試してみることをおすすめします。

ただし、無理に1人で克服しようとすると症状が悪化してしまう場合もあります。

1人が怖く、日常生活に支障をきたしていると感じたら、早めに医療機関を受診することも検討しましょう。

自分だけで対処できない不安がある時はオンラインカウンセリングも

不安障害には、自宅でできる生活習慣や腹式呼吸など8つの対処法が効果的です。

しかし、自分で対処できない不安や不安でしかたない場合には、医療機関の受診を検討しましょう。

早めに受診することで適切な治療が受けられ、不安障害の症状軽減や不安にとらわれた考え方から抜け出せる可能性もあります。

かもみーる』では、医師・臨床心理士・公認心理師を中心とした有資格者のみのオンラインカウンセリングサービスを提供しています。

1人で外に出るのが怖いという場合も、自宅でカウンセリングを受けられます。

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