「夜なかなか眠れない」「途中で何度も目が覚めてしまう」といった不眠の症状が続くと、心や体にさまざまな影響が出てきます。
不眠症の原因はストレスや生活習慣、心や体の病気など幅広く、一人ひとり異なるため、症状や原因に適した診療科を選ぶことが大切です。
この記事では、不眠症の疑いがある場合に受診すべき診療科について詳しく解説します。
不眠症の種類や原因、治療方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
不眠症とは

不眠症とは、十分な睡眠時間と環境があるにもかかわらず、眠りに関する不調が続く状態です。
具体的には、以下の4つのタイプに分類されます。
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早朝覚醒
- 熟眠障害
これらの症状が週に3日以上あり、3か月以上続いている場合、不眠症と診断されます。
ここでは上記4つのタイプについてそれぞれ解説します。
入眠障害
入眠障害とは、布団に入ってから寝付くまでに時間がかかる状態です。
寝床についてから30分以上、場合によっては1時間以上眠れない状態が頻繁に起こる場合に該当します。
ただし、寝つくまでの時間には個人差があるため、少し時間がかかるからといって必ずしも入眠障害とは限りません。
入眠障害が続くと、「今日も眠れないのではないか」という不安が強くなり、さらに眠りにくくなる悪循環に陥ることがあります。
ストレスや生活リズムの乱れ、寝る前のスマートフォン使用などが影響することも多いため、日頃の習慣を見直すことが大切です。
中途覚醒
中途覚醒は、眠りについても夜中に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか再び眠れない状態です。
トイレに行くために一度目が覚める程度であれば問題ありませんが、何度も目が覚めたり、覚醒後に長時間眠れなかったりする場合は注意が必要です。
このタイプの不眠は日本人の成人に多く見られ、特に中高年以降で増える傾向があります。
加齢によって眠りが浅くなることも一因ですが、ストレスや持病、服用している薬が影響することもあります。
中途覚醒が続くと睡眠時間が分断され、朝起きたときに疲れが残りやすくなるため、日中の眠気や集中力の低下を感じる場合は早めに対策を考えることが重要です。
早朝覚醒
早朝覚醒とは、起きる予定の時間よりも2時間以上早く目が覚めてしまい、その後眠れなくなる状態です。
例えば、朝7時に起床予定なのに、4時や5時に目が覚め、そのまま朝まで眠れないケースが該当します。
本人は十分に眠りたいと思っているのに、体が早く目覚めてしまうのが特徴です。
睡眠時間が短くなることで日中の活動に支障が出ることもあるため、症状が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
熟眠障害
熟眠障害は、睡眠時間自体は確保できているにもかかわらず、朝起きたときに熟睡した感覚が得られない状態です。
長時間寝ているはずなのに、疲れが残っていたり、頭が重く感じたりすることがあります。
「寝た気がしない」「朝からだるい」と感じる人が多いのが特徴です。
このタイプの不眠は、睡眠の質が低下していることが原因と考えられます。
夜中に細かく目が覚めている場合や、深い眠りが十分に取れていない場合に起こりやすくなります。
熟眠障害が続くと疲労が回復しにくくなり、日常生活に影響が出ることもあるため、原因に応じた対策が必要です。
不眠症の疑いがある場合は何科を受診すればいい?

不眠症の発症にはさまざまな要因が関係しているため、症状や考えられる原因に適した診療科を選ぶことが大切です。
具体的には以下のように選ぶと良いでしょう。
- ストレスや不安が原因の場合:心療内科・精神科
- 身体的な原因が疑われる場合:内科
- 他の診療科で改善しなかった場合:睡眠外来
ここではそれぞれの診療科の不眠症治療の特徴について解説します。
ストレスや不安が原因の場合は心療内科・精神科
強いストレスや不安を感じている場合は、心療内科や精神科の受診が適しています。
仕事や人間関係の悩み、将来への不安などが続くと、心が緊張した状態になり、夜になっても頭が休まらず眠れなくなることがあります。
特に「布団に入ると考え事が止まらない」「眠れないこと自体が不安で余計に目が冴える」といった状態は、心理的な影響が大きいと考えられるでしょう。
心療内科は、心が原因で現れる身体症状を中心に診療を行います。
治療方法は、カウンセリングや症状緩和のための薬物療法が中心になる場合が多いです。
一方、精神科では、うつ病や不安障害など、より幅広い心の不調にも対応しています。
心の病に対する治療が中心で、抗うつ薬や抗不安薬、心理療法による治療が行われます。
どちらもストレスや不安が原因の場合に受診する診療科ですが、どちらが良いか迷う場合は、まずは心療内科を受診してみましょう。
身体的な原因が疑われる場合は内科
不眠に加えて動悸や息切れ、めまい、体のだるさなどの身体的な不調がある場合は、内科を受診すると良いでしょう。
不眠症は高血圧や糖尿病、甲状腺の病気、更年期障害などの別の病気が影響しているケースもあります。
内科では問診や診察、血液検査などを通して体の状態を総合的に確認するため、持病の有無やその影響について把握することが可能です。
そのうえで生活習慣の見直しについてのアドバイスや、必要に応じた治療が行われます。
不眠の原因が体にある場合は、その原因を治療することで睡眠も改善しやすくなります。
身近で受診しやすい診療科でもあるため、初めて医療機関に相談する場合の選択肢としても考えやすいでしょう。
他の診療科で改善しなかった場合は睡眠外来
内科や心療内科を受診しても不眠が改善しない場合や、自分の症状の原因がはっきりしない場合は、睡眠外来の受診を検討しましょう。
睡眠外来は睡眠に関する症状を専門に扱う診療科で、不眠症だけでなく、いびきや睡眠時無呼吸症候群、足のむずむず感など、さまざまな睡眠障害に対応しています。
睡眠外来では詳しい問診に加えて、睡眠の状態を客観的に調べる検査が行われることもあり、その結果をもとに症状に合った治療方法が提案されます。
原因が複雑で専門性の高い治療が必要と考えられる場合には、睡眠外来も一つの選択肢となるでしょう。
不眠症の主な原因

不眠症の主な原因として、以下の6つが挙げられます。
- 環境の変化によるストレス
- 不規則な生活習慣
- ストレス・不安などの精神的ストレス
- うつ病や不安障害
- 喘息や慢性疼痛などの身体疾患
- 薬物
ここでは上記6つの原因についてそれぞれ解説します。
環境の変化によるストレス
引っ越しや転職、結婚、出産、家族との別れなど、生活環境の変化は大きなストレスになります。
新しい環境に慣れようとすることがストレスにつながり、その影響で寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
また、室温が合わない、騒音が気になる、光が入りやすいといった寝室環境の変化も、睡眠の質を下げる原因になるため注意が必要です。
こうした環境の変化による不眠は、一時的なものにとどまる場合もありますが、ストレスが続くと慢性化することもあります。
生活が落ち着くまで無理をせず、できる範囲で睡眠環境を整えることが大切です。
不規則な生活習慣
不規則な生活習慣は体内時計を乱し、不眠症の原因になる可能性があります。
夜更かしが続いたり、昼夜逆転の生活を送ったりすると、夜になっても眠気が訪れにくくなります。
特にシフト制や夜勤のある仕事をしている方は、睡眠時間が一定にならず、生活リズムを保つのが難しいこともあるため注意が必要です。
また寝る前にスマートフォンやパソコンを長時間使う習慣も、眠りを妨げる要因になります。
運動不足や就寝前のカフェイン・アルコールの摂取も睡眠に影響しやすいため、日々の生活習慣を見直すことが大切です。
ストレス・不安などの精神的ストレス
仕事や人間関係、将来への不安などの精神的なストレスは、不眠症と深く関係しています。
強い緊張や心配事があると、脳が興奮した状態になり、布団に入っても気持ちが落ち着かず眠れなくなることがあります。
「眠らなければ」と思うほど焦りが強くなり、さらに眠れなくなる悪循環に陥ってしまうケースも珍しくありません。
また、日常的なストレスが積み重なると、睡眠の質の低下や中途覚醒につながることもあります。
不眠症を予防するためには、気分転換の時間を意識的に作ったり、リラックスできる習慣を取り入れたりすることが大切です。
うつ病や不安障害
うつ病や不安障害などの心の病気が不眠の原因になっていることもあります。
うつ病は気分の落ち込みや意欲の低下だけでなく、寝つけない、早く目が覚めるといった睡眠障害が現れやすい傾向があるのです。
不安障害の場合も、強い不安や緊張が続き、眠りにくくなることがあります。
不眠の症状が長期間続き、日常生活への影響を感じる場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
▶疲れてるのに眠れないのはうつ病?不眠の種類や原因、対処法などを紹介
喘息や慢性疼痛などの身体疾患
喘息や慢性疼痛などの身体疾患も、不眠症の原因の一つです。
例えば喘息では、夜間から明け方にかけて咳や息苦しさが強まり、睡眠が妨げられることがあります。
また、腰痛や関節痛などの慢性的な痛みがあると、痛みで目が覚めたり、眠りが浅くなったりしやすくなります。
このようなケースでは不眠そのものよりも、原因となっている病気への対応が重要です。
治療が進むことで睡眠の改善が期待できます。
薬物
服用している薬の影響で不眠症が起こることもあります。
例えば、ステロイド薬や一部の血圧の薬では、眠れなくなったり、気分が高ぶったりする副作用が見られることがあります。
また、カフェインを多く含む飲み物やエナジードリンクの摂りすぎも、不眠の原因になりやすいでしょう。
新しく薬を飲み始めてから眠れなくなったと感じる場合は、自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談することが大切です。
不眠症の治療方法

不眠症の主な治療方法は以下の通りです。
- 薬物療法
- 行動療法
- 心理療法・認知行動療法
- 生活習慣や生活環境の改善
どれか一つだけで改善を目指すというより、状況に応じて複数の治療方法を組み合わせて行うことが多いです。
ここでは上記4つの治療方法についてそれぞれ解説します。
薬物療法
薬物療法は、不眠症の症状が強いときに用いられる治療方法です。
睡眠薬が処方されることが多く、寝つきを良くしたり、夜中に目が覚めにくくしたりする目的があります。
睡眠薬は効果の持続期間が短いものから長いものまでいくつか種類があり、不眠症の症状に合わせて選ばれます。
「薬は怖い」「依存が心配」と感じる方もいますが、医師の指示どおりに量と回数を守って服用すれば過度の心配は不要です。
行動療法
行動療法は、眠りを妨げている行動パターンを見直し、眠りやすい習慣を身につける治療方法です。
体は体内時計に合わせて眠気が出るため、起きる時間や寝床に入るタイミングがバラバラだと、睡眠のリズムが崩れやすくなります。
具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
睡眠時間管理 | 睡眠時間を決めてその時間以外はベッドに入らないようにする方法 |
刺激制御法 | 寝床に入ってから15分以上経っても眠れない場合は、一度ベッドから出てリラックスできる環境で過ごす方法 |
睡眠衛生指導 | 睡眠の質を向上させるための生活習慣の改善を行う方法 |
上記のような方法で寝る前後の行動パターンを改善することで、より質の高い睡眠を目指します。
心理療法・認知行動療法
心理療法や認知行動療法は、ストレスや不安、緊張など心の影響が大きい不眠に向いている治療方法です。
不眠が続くと「今日も眠れなかったらどうしよう」と考えやすくなり、その不安がさらに眠りを妨げる悪循環が起こることがあります。
こうした状態では、眠りそのものだけでなく、眠りに対する捉え方や心の緊張を和らげることが重要になります。
心理療法・認知行動療法でよく用いられる具体的な方法は以下の通りです。
認知行動療法 | 睡眠に関する極端な思考を現実的な考え方に変えていく方法 |
リラックス法 | 呼吸法・ヨガ・瞑想・アロマテラピーなどを通して、心身の緊張をほぐしてリラックスさせる方法 |
マインドフルネス | 今この瞬間に意識を集中させることで、心をリラックスさせる方法 |
上記のような方法によって、睡眠に対する考え方や行動パターンを修正することで、不眠症の改善を目指します。
生活習慣や生活環境の改善
生活習慣や生活環境の改善は、不眠症治療の土台になります。
薬物療法を行う場合でも、生活が乱れたままだと睡眠が安定しにくいため、できるところから整えることが大切です。
生活習慣・生活環境の具体的な改善のポイントは以下の通りです。
- 朝起きたら日光を浴びて体内時計をリセットする
- 寝る前のカフェインやアルコールを控える
- 寝る直前にスマートフォンを見るのは控える
- 適度に運動する
- バランスのとれた食事を心がける
- 室温を適温(夏は26~28℃、冬は18~22℃)に保つ
- 寝る1時間前には部屋の照明を落とす
- 自分の体に合った寝具を選ぶ
可能な範囲で少しずつ生活習慣や生活環境を見直すことで、不眠症の改善につながります。
不眠症の受診目安

不眠の症状があっても、「様子を見よう」と受診を後回しにしてしまう方は少なくありません。
しかし、眠れない状態が続くと、日中の集中力低下や強い疲労感、気分の落ち込みなどにつながることがあります。
受診を考える目安としては、「不眠の症状が1か月以上続いている場合」や「仕事・家事・学校など日常生活に支障が出ている場合」が挙げられます。
また、「眠れないこと自体が大きな不安になっている」「市販薬を使っても改善しない」と感じたときも相談のタイミングです。
不眠症の治療は早めに始めるほど負担が軽くなりやすいため、我慢せず医療機関を受診しましょう。
不眠症の疑いがある場合は心療内科または内科を受診しましょう
不眠症は単なる寝不足ではなく、心や体の不調が関係していることも多い症状です。
ストレスや不安が強い場合は心療内科・精神科、体の病気や生活習慣が関係していそうな場合は内科を受診すると良いでしょう。
不眠が続いて日常生活に支障が出ている場合は、我慢せず早めに医療機関へ相談することが大切です。
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