疲れてるのに眠れないのはうつ病?不眠の種類や原因、対処法などを紹介

更新日 2025年09月10日

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「寝たいのに寝れない」「夜眠れない」など、睡眠についての悩みがある人は、うつ病なのではないかと心配していませんか?

疲れているのに眠れないという症状は、うつ病による不眠症の可能性があります。

この記事では、うつ病と睡眠の関係や不眠を引き起こす原因、眠れない時の対処法やうつ病にみられる他の症状などを紹介します。

睡眠の問題を放置することはさまざまなリスクにつながるため、夜寝れない人も鬱で眠れない人もぐっすり眠れるように理解を深めましょう。

うつ病と睡眠の関係

うつ病と睡眠は、片方が悪化するともう片方も悪化してしまい悪循環に陥るという、密接な関係があります。

互いに影響し合ううつ病と睡眠の関係性を紹介します。

疲れているのに眠れないのはうつ病の症状

疲れているのに眠れないというのは、うつ病を疑う重要なサインの一つです。

うつ病になると、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなどストレスに関係するホルモンのバランスが崩れると考えられています。

これらのホルモンは、精神安定のための働きだけでなく、睡眠や覚醒にも深い関わりがあり、バランスが崩れると体内時計が乱れたり脳が休息に入れなくなったりします。

そのために生じるのが、「疲れているのに眠れない」「夜になっても眠れない」という症状です。

うつ病の多くは不眠に悩まされる

うつ病にかかる人にみられる睡眠障害の多くは不眠です。

うつ病にかかっている人の約90%が睡眠障害を併発しているとの報告があります。

逆に睡眠障害の20%はうつ病が原因によるなど、うつ病の多くは不眠に悩まされていることが分かっています。

うつ病にかかっている人が必ずしも不眠を併発しているわけではなく、不眠症の人の全てがうつ病にかかっているわけでもありません。

しかし、うつ病との併発率が統計においても高確率であることや、逆に不眠による不調がうつ病発症のリスクとなるため、うつ病と不眠(睡眠)が深い関係にあることが分かります。

▶参考:厚生労働科学研究成果データベース「睡眠問題とうつ病に関する研究

不眠症とは

多くのうつ病の人を悩ませている睡眠障害には4つの種類があります。

厳密にいうと不眠症は睡眠障害の一種で、熟眠障害以外の3種類のことを指します。

ここでは、4種類の睡眠障害について、それぞれ紹介します。

入眠障害

入眠障害は、ベッドに入っても不安や焦りを感じたり考え事をしたりして何時間も寝つけない、寝つきが悪い状態のことです。

眠れないことで落ち込んでしまい、悪循環に陥る場合もあります。

誰にでもありがちなことですが、うつ病でこの状況が続く場合は病状が悪化している可能性があるため注意しましょう。

中途覚醒

中途覚醒とは、夜中に何度も目を覚まし、その後なかなか寝つけない状態です。

目が覚めるたびに、嫌な考えが浮かんだり孤独感を感じたりしてネガティブな感情になることもあります。

中途覚醒は、続くことで睡眠時間を確保できず、熟睡にもつながらないため疲れが取れず、翌日の日中に眠くなるなどの影響が出ます。

早朝覚醒

早朝覚醒は、3時や4時など早朝に目が覚めて、その後二度寝ができない状態のことです。

うつ病の併発として特徴的とされており、起床予定時間まで寝ていられなかったことで「まだ休まっていない」「今日も一日がつらい」などネガティブに受け取りがちになります。

また、うつ病は朝方に気分が落ち込みやすい特徴があるとされているため、時間帯が重なることもデメリットです。

熟眠障害

熟眠障害は、一定時間の睡眠はとれていても深い眠りや質の良い眠りが得られず、熟睡できていない状態です。

日中に疲れや集中力の低下などがみられ、日常生活に影響を及ぼす場合があります。

うつ病にかかっている人には一般的にあまり見られない睡眠障害です。

不眠とうつ病は影響し合う

うつ病と不眠は相互に影響し合う関係性があります。

不眠が続くと、以下のような症状に悩まされます。

  • 疲労感が蓄積する:心身ともに休息・休養が十分に得られない
  • 情緒が不安定になる:感情のバランスを崩し、些細なことでイラついたり落ち込んだりするようになる
  • 認知機能が低下する:集中力や記憶力などが低下し、仕事や日常生活に支障が出る

以上のような不眠の症状を放置することは、うつ病の発症と悪化の両方のリスクがあり、悪循環を招くことも少なくありません。

うつ病をすでに発症している場合は特に、回復を遅らせる原因にもなるため、適切な対処が必要です。

うつ病でずっと眠い・強い眠気の原因は?過眠との関係や対処法も解説

うつ病に見られる不眠以外の症状

うつ病は、不眠の他にも複数の症状が2週間以上続く場合にうつ病の診断が下されます。

うつ病のセルフチェックを紹介するため、不眠に悩んでいる人は、以下の質問で確認してみましょう。

  • 気分が沈んで、元気が出ない
  • 以前は楽しめていたことに興味や喜びが湧かなくなった
  • 人に会いたいと思えず、家から出たくなくなった
  • 億劫に感じて何もしたくない
  • 仕事や勉強が手につかず、ミスが増える
  • 物事を決められない
  • 疲れが取れず、朝起きるのがつらい
  • 食欲がない、または食べ過ぎる(太った、痩せた)
  • 胃の不快感がある
  • 頭痛や肩こりなどあちこち痛いが、病院で異常が見つからない
  • 性欲がなくなった
  • 自分に自信がなくなった
  • 将来のことを考えると怖い
  • 生きていたくない、消えてしまいたい
  • イライラしたりソワソワしたりする
  • 常に不安や焦りがある

うつ病とは?症状・原因・治療法と自己診断チェックリスト

うつ病以外で不眠を引き起こす原因

不眠症だからといって必ずしもうつ病であるとは限らず、うつ病以外の疾患や不調である場合があります。

うつ病以外で不眠を引き起こす原因を紹介します。

ストレスや精神的な問題

不眠の原因で一般的な原因のひとつとしてストレスが挙げられます。以下のようなさまざまな問題が私たちの心にストレスとして負担をかけます。

  • 日常生活で生じる悩み
  • 仕事や勉強のプレッシャー
  • 人間関係でのトラブル
  • 将来の不安
  • 経済的な問題

ストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経を優位にするため、脳が覚醒したままになります。

リラックスできない状態のため、寝つけなかったり熟睡できなかったりして、不眠の原因となります。

生活習慣が乱れている

生活習慣の乱れは体内時計のリズムが乱れるため、不眠の大きな原因となります。

以下は、不眠を引き起こしたり睡眠の質を低下させる原因の一例です。

  • 睡眠時間が決まっていない
  • 寝る前のカフェインやアルコール、ニコチン、食事
  • 寝る前のスマホやPCの使用
  • 日中の極端な運動不足や、逆に寝る前の激しい運動
  • 長時間や夕方以降の昼寝

カフェインやニコチン、ブルーライトは脳を覚醒させる作用があるため、寝つきが悪くなったり、夜中に覚醒しやすくなります。

生活習慣の乱れはセルフケアで積極的に改善してみましょう。

病気や痛みなどの不調や薬の副作用

身体の不調や薬の副作用などは心の疾患同様、疲れていても眠れない原因となります。

  • 心の病気:うつ病、強迫性障害などの精神疾患
  • 睡眠に関する疾患:睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など
  • 痛みのある不調:腰痛、関節痛、頭痛、神経痛など
  • 痒みのある疾患:アトピー性皮膚炎や、腎臓病や肝臓病などの内臓疾患
  • 呼吸器疾患:喘息や慢性閉塞性肺疾患など
  • 頻尿
  • 薬の副作用:ステロイド、一部の抗うつ薬や降圧剤、気管支拡張剤、覚醒作用のある風邪薬など

治療中の疾患や服用中の薬が原因での不眠の場合、担当医師に相談してみましょう。

特に薬については、副作用が疑われる場合も、必ず医師に相談してください。

眠れないときの対処法

眠れないときに自分でできる対処法を紹介します。

即効性が望めるものも、続けることで効果が出てくるものもあるため、自身の環境や状況に合わせて選んでみてください。

寝る時間と起きる時間を決める

寝る時間と起きる時間を規則正しく整えて意識することは、体内時計の調整につながるため、自然な眠気を誘えるようになります。

夜の決まった時間に寝るのが難しい場合は、起きる時間を意識することから始めるといいでしょう。

起床したらカーテンを開けて朝の太陽の光を浴びると、体内時計がリセットします。

休日やその前の日は夜更かしや朝寝坊で乱れがちになるため、平日と休日の時間設定は2時間以上開かないように心がけることが大切です。

「朝になったら目が覚めて、昼は活動的になり、夜になったら眠くなる」という、正しいリズムを保てるようにしましょう。

睡眠環境を見直す

そもそも質の良い睡眠を手に入れるためには、快適に眠れる環境を用意することが重要です。

寝室の温度管理や照明の明るさ、騒音のない静かな環境、身体に合った寝具など、普段眠れない場合ほどこれらを用意した方がいいでしょう。

寝室は仕事をしたりスマートフォンを操作したりせず、脳に「寝室=眠る場所」としっかり認識させ、眠るためだけに使用するようにしましょう。

生活習慣を見直す

上述した、寝る時間と起きる時間を意識するのと同様に、生活習慣の見直しも不眠症の改善に効果的です。

以下のことに気をつけて生活習慣の見直しを試みてみましょう

  • 夕方以降のカフェイン摂取、寝る前のアルコールやニコチンは避ける
  • ぬるめ(38~40℃)のお風呂にゆっくり浸かる
  • 寝る前に軽い読書や静かな音楽の鑑賞、ストレッチなどのリラックスする習慣を取り入れる
  • 消化活動中に寝る時間にならないよう、夕食は寝る3時間前までに済ませる
  • ブルーライトを避けるため、寝る前のスマホ、PC操作はしない
  • 15~20分経っても眠れない場合は一度ベッドから出る

アルコールは寝つきが良くなるようであっても、眠りが浅くなるためおすすめできません。

また、眠れないままベッドにいると、ベッドを眠れない場所として脳が認識する可能性があるため、一度出て静かに過ごしてみましょう。

これらはすぐには効果が現れないかもしれませんが、生活習慣として身に着くまで続けることが大切です。

適度に運動をする

運動の習慣は寝つきが良くなったり、眠りが深くなったりする可能性があります。

運動を行うのに効果的な時間帯は、夕方から夜寝る時間の3時間前程度までで、散歩や軽いランニングなどがおすすめです。

ただし、激しい運動は交感神経が刺激されて体温が上がるため、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が悪くなったりと、かえって妨げになる可能性があります。

自分の体調を考えながら、時間も強度も適度に行いましょう。

ストレスを解消する

ストレスは不眠とうつ病、両方の大きな原因のため、適切に管理する方法を身に着けて、上手に解消しましょう。

以下は、ストレスの解消法の一例です。

  • 趣味や好きなことをする時間を持つ
  • リラクゼーション法を試してみる:深呼吸、瞑想、漸進的筋弛緩法など
  • 相談する:信頼できる家族、友人、職場の同僚などに話を聞いてもらうだけでもOK
  • ジャーナリング:ぐるぐる思考してしまうことを紙に書き出し、考えを整理してみる
  • 休息をとる:短くてもいいので、適度に休憩をはさむ
  • 完璧主義をやめる:時には妥協して「まあいいか」と自分を許してみる

ストレスをゼロにすることは現実的には不可能ですが、さまざまな方法を試してみて、自分に合ったストレス解消法を知っておくことをおすすめします。

専門家へ相談してみる

紹介した方法を試してみても、疲れているのに眠れないような状態が続くのであれば、医療機関の専門家に早いうちに相談しましょう。

以下は、医療機関に相談する際の目安です。

  • 不眠が2週間以上継続している
  • 日中の活動に支障が出ている
  • 不眠であることに不安・恐怖を強く感じている
  • セルフケアを試みても改善がみられない

不眠症が疑われる場合は、以下を受診しましょう。

  • 原因がストレスや不安:心療内科、精神科(うつ病の場合も)
  • 原因が生活習慣:内科、かかりつけ医
  • 原因が疾患:疾患を治療している受診科
  • 睡眠外来:睡眠障害の専門

うつ病は発見が遅くなると、治療自体も長引きます。

早期発見・早期治療は回復の見込みが高まるため、うつ症状がみられたらなるべく早く受診して、治療を早めに始めましょう。

疲れているのに眠れないときは医療機関に相談しましょう

お互いに影響を与え合ううつ病と不眠症について紹介しました。

疲れているのに眠れないのはうつ病かもしれませんが、逆にまだうつ病を発症していない可能性もあります。

心療内科や精神科を早めに受けることは、発症や悪化を予防したり、診断を受けて早めに治療を開始し、改善できる可能性もあります。

オンライン診療・オンラインカウンセリングの『かもみーる』では、睡眠不足で出かけることなく不眠の相談が可能です。

今困っている不眠症にどう対処するか、今眠れないのはうつ病のせいなのかなど、ぜひお気軽にご相談ください。

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