夜驚症とは?原因・対処・治療法について解説

更新日 2026年01月23日

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夜驚症とは、睡眠中に突然叫び声を上げたり、恐怖に満ちた表情で起き上がったりする睡眠障害の一つです。

特に3歳から8歳の子どもに多く見られ、発作の最中は声をかけても反応せず、翌朝本人に記憶が残らないのが特徴です。

多くの場合は成長とともに自然に改善しますが、発作が頻繁で家族の睡眠に支障をきたす場合や怪我の危険を伴う場合には注意しなくてはいけません。

この記事では、夜驚症の症状や原因について詳しく解説します。

病院での診断・治療方法や家庭での対処方法もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

夜驚症とは

夜驚症とは、睡眠中に突然強い恐怖や混乱を示す発作が起こる睡眠障害の一種です。

睡眠中に大声で叫んだり、急に起き上がって走り出そうとしたりするため、家族から見ると「悪夢にうなされているのではないか」と思われがちですが、実際には夢を見ているわけではありません。

夜驚症は深いノンレム睡眠時に起こることが多く、本人は覚醒していない状態で行動しているため、声をかけても反応が乏しく、発作後には記憶が残っていないのが特徴です。

ここでは夜驚症の主な症状について解説します。

夜驚症の主な症状

夜驚症の症状は、深い眠りに入ってから最初の数時間の間に突然現れるのが特徴です。

典型的な症状としては以下が挙げられます。

  • 突然悲鳴や泣き声を上げる
  • 恐怖に引きつった表情をする
  • 目を見開く
  • 急に起き上がって体を激しく動かす
  • 呼吸が速くなる
  • 多量の汗をかく

このとき本人は完全に覚醒しているわけではなく、混乱状態にあり、親がなだめようとしても反応せず、場合によってはさらにパニックが強まることもあります。

発作の最中には自分のいる場所がわからず、家族の顔を認識できないケースも少なくありません。

通常、発作は数分で治まり再び眠りにつきますが、翌朝になると本人はその出来事を全く覚えていないことがほとんどです。

悪夢との大きな違いは「恐怖の行動はあるが夢の記憶が残らない」点であり、この特徴から夜驚症と診断されます。

夜驚症は3歳~8歳の子どもに多く見られる

夜驚症は小児期に多く見られる睡眠障害で、特に3歳から8歳の間に発症しやすいとされています。

この年齢は深いノンレム睡眠が多い時期であり、脳の発達過程で睡眠の調整機能がまだ未熟であることが関係していると考えられています。

通常は思春期に近づくにつれて自然に消失していくケースが多いです。

ただし、一部の子どもでは症状が長く続き、成長しても夜驚症の発作が見られることもあります。

また、夜驚症の子どもの3分の1には『睡眠時遊行症(夢遊病)』も併発することがあり、夜中にベッドから立ち上がって歩き回ることがあります。

これらは生活に支障がなければ経過観察でよい場合が多いですが、頻度が高かったり怪我のリスクがあったりする場合には、医師に相談するのが望ましいです。

夜驚症は大人でも起こることがある?

夜驚症は子どもに多いとされていますが、大人でも発症することがあります。

大人の夜驚症は比較的まれであり、持続的な強いストレスや睡眠不足、アルコールの影響、薬の副作用などが引き金になることがあります。

大人が夜驚症を発症すると、子どもと同様に大声を出したり急に起き上がったりするほか、攻撃的な行動に出ることもあり、周囲にとって大きな負担となる恐れがあるでしょう。

子どもでは自然に治ることが多いのに対し、大人の場合は背景に別の疾患が隠れていることもあるため注意が必要です。

頻繁に発作が起こる、仕事や生活に影響を及ぼしているといった場合には、睡眠外来や精神科での受診が推奨されます。

夜驚症の主な原因

夜驚症の主な原因は以下の通りです。

  • 覚醒機能の未熟
  • ストレスや不安
  • 睡眠不足
  • 騒音環境
  • 薬の影響や発熱
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • ADHD

ここでは上記の原因についてそれぞれ解説します。

覚醒機能の未熟

子どもの脳は成長段階にあり、睡眠と覚醒を切り替える神経機能がまだ未熟です。

そのため、深い眠りに入っている途中で一部の脳だけが覚醒し、体が激しく動いたり叫んだりする状態になることがあります。

特に3歳から8歳ごろはノンレム睡眠が多く、覚醒との切り替えが不安定なため、夜驚症が起こりやすい時期といわれています。

この場合、成長に伴って脳の調節機能が整うと、自然に症状は軽快していくことが多いです。

ストレスや不安

心理的な負担は夜驚症の発症に大きく関わります。

日中に強い緊張や不安を経験した場合や、家族環境の変化、学校での出来事などが引き金になることがあります。

子どもにとっては些細に思えることでも、大きなストレスとして作用し、睡眠中に脳の覚醒を乱す要因になることがあるのです。

また、発表会や旅行といった楽しい出来事でも、過度の興奮が脳を刺激し夜驚症につながることがあります。

睡眠不足

睡眠不足は夜驚症を悪化させる代表的な要因の一つです。

十分に眠れていないと睡眠の質が低下し、ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスが乱れます。

このバランスが乱れると、深い眠りの最中に中途半端に覚醒が生じやすくなり、発作を引き起こす可能性が高まるのです。

また、子どもは生活リズムの影響を受けやすいため、就寝時間が不規則になったり、昼寝が極端に短かったりすることで夜驚症が現れることもあります。

夜驚症を予防するためには、規則正しい生活リズムにすることが大切です。

騒音環境

睡眠中の騒音も夜驚症のきっかけとなります。

外からの工事音や車の音、家庭内でのテレビの音などが突然聞こえると、深い眠りの最中に脳が部分的に反応してしまい、夜驚症の発作につながることがあるのです。

特に子どもは感覚が敏感であるため、わずかな物音でも影響を受けやすい傾向にあります。

発作を予防するためには、子どもにとって安心できる空間を作ることが大切です。

薬の影響や発熱

鎮静剤や精神安定剤、解熱剤などは夜驚症の発作を誘発する場合があります。

万が一服薬中に症状が強まった場合は、医師に相談が必要です。

また、体調不良による発熱時にも発作が増える傾向があります。

薬や病気による一時的な要因であれば、回復に伴って発作の症状も軽減していくことが多いです。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が何度も止まり、酸素不足によって睡眠が分断される病気です。

この状態は脳に強い覚醒刺激を与えるため、夜驚症の引き金となることがあります。

特に子どもでは、扁桃腺やアデノイドの肥大が原因で発症することが多いです。

いびきや日中の強い眠気が見られる場合には、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられるため、医療機関の受診を検討しましょう。

ADHD

ADHDの子どもは、睡眠リズムが乱れやすく、夜驚症のリスクが高いといわれています。

ADHDでは脳の覚醒や抑制をコントロールする働きが不安定なため、夜間の睡眠にも影響が及びます。

特に多動や不安傾向が強い場合、日中の精神的な興奮が夜間まで持ち越され、発作のきっかけとなることがあるのです。

さらにADHDの治療薬が睡眠に作用するケースもあるため、服薬管理や生活習慣の調整が重要になります。

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夜驚症の診断方法

夜驚症の診断は、主に家族からの詳細な症状の聞き取りをもとに行われます。

夜間に起こる突然の悲鳴や恐怖に満ちた行動、心拍数の上昇や発汗といった自律神経の反応、そして翌朝には本人がその出来事を覚えていないことが診断の手がかりとなります。

診断にはDSM-5(米国精神医学会)やICD-10(WHO)の基準が用いられ、症状が睡眠の前半に多く出現すること、発作が1〜10分程度で収まること、パニック時に声をかけても反応が乏しいことなどが重要な診断要件です。

さらに夜驚症の診断では、他の疾患との鑑別も欠かせません。

特に夢遊病や悪夢障害、夜間てんかん発作などは似た症状を示すため、必要に応じて睡眠専門外来での精査が行われます。

最近では、スマホで撮影した動画や睡眠日誌が診断の参考資料として有効活用されるケースが多いです。

また、判断が難しい場合には『終夜ポリソムノグラフィ検査』が実施されます。

これは脳波や呼吸、筋肉の動きをモニタリングしながら睡眠中の様子を記録するもので、夜驚症と他の睡眠障害を区別するために有効です。

夜驚症の対処方法

夜驚症の家庭での対処方法は以下の通りです。

  • 無理に止めず冷静に見守る
  • パニック時に怪我をさせない環境を作る
  • 日中のストレスを軽減する
  • 睡眠環境を整える
  • 生活リズムを安定させる

ここでは上記5つの対処法についてそれぞれ解説します。

無理に止めず冷静に見守る

発作が始まると、子どもは叫んだり泣いたりして激しく動くことがありますが、このとき強く揺すったり、無理に目を覚まさせようとしたりするのは逆効果です。

本人は完全に覚醒しているわけではなく、周囲の言葉もほとんど届かないため、強制的に介入すると恐怖を増幅させてしまいます。

家族に求められるのは、落ち着いて状況を見守ることです。

発作は通常数分から10分程度で自然に治まり、再び眠りにつくため、安心できる環境を維持してあげることが大切です。

パニック時に怪我をさせない環境を作る

夜驚症の発作中には、ベッドから飛び出したり走ろうとしたりすることがあります。

周囲に家具やガラス製品があると転倒や衝突で大きな怪我につながるため、寝室はできるだけシンプルに整えましょう。

ベッドから落ちやすい子どもは布団を使う、床にマットを敷くなど安全対策をとるのも効果的です。

また、窓やドアに鍵をかけておく、尖ったものを近くに置かないといった工夫も重要です。

安全な空間を作ることで、発作時に怪我をしてしまうリスクを抑えられます。

日中のストレスを軽減する

心理的なストレスや強い興奮は、夜驚症の発症に関わる大きな要因です。

学校や友達との関係、家庭内での不安などが心に負担をかけていないかを確認し、安心して過ごせるようサポートすることが大切です。

また、日中に十分に遊んだりリラックスできる時間を確保することで、心身の緊張を和らげる効果が期待できます。

子どもの気持ちを聞いて受け止めてあげることで、不安を減らし、夜の発作を抑えやすくなるでしょう。

睡眠環境を整える

良質な睡眠を得るためには、寝室の環境づくりが欠かせません。

部屋は暗く静かな環境にして、適切な温度と湿度を維持することが大切です。

寝具も子どもが安心して眠れるものを選びましょう。

また、寝る前にテレビやゲームなど刺激の強い活動はなるべく避け、絵本の読み聞かせや穏やかな音楽などリラックスできる習慣を取り入れると効果的です。

就寝前に心身を落ち着かせることで、深い睡眠が安定し、夜驚症の発作を減らすことにつながります。

生活リズムを安定させる

不規則な睡眠リズムは夜驚症を悪化させる大きな要因となるため、毎日同じ時間に寝て起きる習慣をつけ、十分な睡眠時間を確保することが重要です。

週末に大幅に寝だめをしたり、夜更かしを続けたりすると、体内時計が乱れ、発作が出やすくなります。

また、就寝前の入浴やストレッチなどのルーティンを取り入れると、眠りへの移行がスムーズになり、安定した睡眠が得られるようになるでしょう。

夜驚症を改善するためには、規則正しい生活を送ることが大切です。

夜驚症の医療機関での治療方法

夜驚症は多くの場合、子どもが成長するにつれて自然に軽快するため、必ずしも医療機関で積極的な治療が必要になるわけではありません。

しかし、発作が頻繁で本人や家族の睡眠に支障をきたす場合や、危険な行動を伴って怪我のリスクがある場合には、専門医の診断を受けることが推奨されます。

ここでは夜驚症の受診目安や治療方法について解説します。

夜驚症の受診目安

夜驚症は軽度であれば経過観察で十分ですが、以下のような場合は医療機関への相談が必要です。

  • 毎晩のように発作が起こる
  • 一晩に複数回続く
  • 発作中に飛び出す・物を壊すなど危険な行動を伴う
  • 日中に強い眠気や疲労感が表れ、生活に支障が出ている

また、成人に夜驚症がみられる場合は、背景に精神的ストレスや他の睡眠障害が隠れている可能性があります。

上記に当てはまる場合や本人または家族が強い不安・ストレスを感じている場合には、医療機関の受診を検討しましょう。

夜驚症は何科を受診すべき?

子どもの場合は、まずかかりつけの小児科で相談するのが一般的です。

小児科医が必要に応じて、睡眠外来や小児精神科などの専門医に紹介してくれます。

大人で夜驚症が疑われる場合は、睡眠障害を専門に扱う睡眠外来が適していますが、精神的なストレスが関与しているときは心療内科や精神科、神経症状が疑われる場合は神経内科を受診するとよいでしょう。

最初から大病院の専門外来を受診するのも一つの選択肢ですが、まずは身近な医師に相談してみることをおすすめします。

夜驚症の治療方法

医療機関での夜驚症の治療は、基本的に家庭での対応と並行して行われます。

子どもの場合は成長とともに症状が軽減するケースが多いため、薬の使用は必要ないことが多いです。

環境調整や生活リズムの安定を基本とし、不安が強い場合にはカウンセリングや家族療法などが用いられることもあります。

大人の夜驚症では、背景にストレスや精神疾患が関与することが多いため、認知行動療法などの心理療法や、一時的に抗不安薬・抗うつ薬を使う薬物療法が行われることもあります。

薬は長期的に使用するのではなく、症状が落ち着くにつれて減量・中止していくことが多いです。

夜驚症は必要に応じて医療機関での治療も検討しましょう

夜驚症は、生活環境の調整や成長に伴って自然に治まることが多いです。

そのため、軽度であれば無理に治療を行う必要はありません。

しかし、発作の頻度が高く日常生活に影響が出ている場合や、危険な行動を伴って怪我の恐れがある場合には、医療機関での相談・治療も検討する必要があります。

子どもであればまずは小児科、大人であれば睡眠外来や心療内科などを受診するとよいでしょう。

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