強迫性障害と摂食障害は併発することがある!診断・治療方法について解説

投稿日 2025年03月10日

最終更新日 2026年10月05日

強迫性障害
強迫性障害と摂食障害は併発することがある!診断・治療方法について解説

強迫性障害は自分の意思とは関係なく、不安や恐怖を感じ、何度も同じ行動を繰り返してしまう精神疾患です。

併発しやすい精神疾患はいくつかありますが、その中で摂食障害が挙げられます。

この記事では強迫性障害と摂食障害の関係性について解説します。

それぞれの疾患の症状や診断・治療方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

強迫性障害とは

強迫性障害は、自分の意思とは関係なく不安や恐怖を感じたり、その不安から意味のない繰り返し行動をしてしまう精神疾患です。

自分の意思に反して考えが浮かんで離れなくなるのを『強迫観念』、その考えから何度も同じ行動を繰り返してしまうのを『強迫行為』といいます。

具体的には手を何度も洗ってしまう、ドアノブや手すりが不潔に感じて触れなくなる、家の鍵を閉めたか不安になり何度も確認してしまうなどの行動がみられます。

この行動に意味がないと患者さん自身が頭では理解していても、不安や恐怖からどうしてもやめられなくなってしまうのが特徴です。

これら2つが強迫性障害の主な症状となり、悪化してくると身体的・精神的ストレスが大きくなるだけでなく、周りの人も巻き込み対人関係を悪化させてしまうこともあります。

強迫性障害の症状

強迫性障害の主な症状として、以下のようなものが挙げられます。

  • 不潔恐怖
  • 加害恐怖
  • 確認行為
  • その他の症状

ここでは上記の症状についてそれぞれ解説します。

不潔恐怖

不潔恐怖は汚れや細菌に対する過度な恐怖心を持ち、頻繁に手洗いや入浴、洗濯を繰り返してしまう症状です。

洗っても洗っても「まだ汚れているのではないか」という不安や恐怖心が拭えず、何度も洗浄行為を繰り返します。

汚れや細菌に対して過敏になるため、洗濯後のタオルに自分以外の人が触れると、汚れてしまったと感じて、また洗濯をしてしまうということもあります。

ほかの人にアルコール消毒を強要する場合もあり、対人関係にも影響する症状の一つです。

加害恐怖

加害恐怖は、自分が誰かを傷つけていないかと不安に感じてしまう症状です。

実際に自分が誰かを傷つけるような行動をしていなくても、新聞やテレビで事件・事故に自分が関わっていないかチェックしたり、実際に警察に確認したりすることがあります。

さらに道を歩いているときにも、人とすれ違うたびに「ぶつかっていないか」「怪我をさせていないか」と心配し、わざわざ来た道を戻る場合もあるのです。

日常的に加害恐怖を抱くようになると、起きてもいない出来事を過度に心配してしまうため、精神的な疲労につながります。

確認行為

確認行為は、戸締りやガス栓、電気器具のスイッチなどを何度も確認してしまう症状です。

例えば外出する際に鍵を閉めたか不安になり、何度も引き返してしまうことがあります。

2度3度と同じ確認を繰り返してしまうのは、自分がミスをしているのではないかと過度に不安に感じてしまうためです。

精神的・身体的な疲労につながるのはもちろんのこと、その確認行為によって約束の時間に遅れてしまうこともあり、人間関係にも悪影響を及ぼします。

その他の症状

強迫性障害のその他の症状として、以下のようなものが挙げられます。

  • 数字へのこだわり
  • 物の配置へのこだわり
  • 儀式行為

儀式行為は自分で決めた手順で物事を進行しないと不安や不快感が生じてしまうもので、どんなときにも同じ手順で仕事や家事を行うことにこだわる症状です。

数字や物の配置へのこだわりも含め、行き過ぎなくらいに強いこだわりがみられるのが強迫性障害の特徴といえます。

強迫性障害と摂食障害は併発することがある

強迫性障害と摂食障害は併発することがあります。

ここでは摂食障害の特徴や強迫性障害との関係性について解説します。

摂食障害とは

摂食障害は急激な体型・体重の変化、食生活の変化、心理的・身体的変化によって心と体の両方に悪影響が及ぶ障害です。

患者さんは女性の割合が多く、10〜20代の若者に比較的多くみられます。

症状によって以下の3つのうちのいずれかに分類されます。

  • 神経性やせ症(拒食症)
  • 神経性過食症(過食症)
  • 過食性障害

ここでは上記3つの分類についてそれぞれ解説します。

神経性やせ症(拒食症)

神経性やせ症は一般的には『拒食症』と呼ばれ、太ることに対する不安や恐怖が強まることで食事量が極端に少なくなり、低体重となっている状態です。

必ずしも食欲がなく食事が食べられないというわけではなく、食べ過ぎることに対する恐怖心から、食事後に喉に指を突っ込んで無理やり吐く『自発性嘔吐』という行動をする場合もあります。

さらに全く食事をとらなくなったり、一日に何時間も運動したりなど、太ることに対する不安から過激な行動を繰り返し、結果として極端に痩せてしまうのがこの状態の特徴です。

神経性やせ症の主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 低体温
  • 低血圧
  • 脈拍数の減少
  • 貧血
  • 低血糖
  • 肝機能障害
  • 運動障害
  • 意識障害
  • 無月経

身体的症状のほかにも飢餓による抑うつ(憂うつな気分が続くこと)や不安、強迫性の増強などが起こることがあり、人間関係にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

また神経性やせ症は深刻な合併症のリスクがあり、適切な治療が重要です。

神経性過食症(過食症)

神経性過食症は、自分で止められない感覚を伴うむちゃ食いと、体重増加を防ごうとする不適切な代償行動を繰り返す病気です。

代償行動には、自分で吐く、下剤を不適切に使用する、食事を抜く、過度に運動するなどがあります。

体重や体型が自己評価に強く影響することも特徴です。

標準体重の人にもみられるため、外見からは気づかれにくい場合があります。

嘔吐などに伴って低カリウム血症や不整脈、歯の酸蝕、唾液腺の腫れなどが起こることがあり、体重にかかわらず心身の状態を確認する必要があります。

過食性障害

過食性障害は過食を何度も繰り返す障害です。

過食症と異なるのは、過食した後に自発性嘔吐や下剤乱用といった代償行動がみられないことです。

何度も過食を繰り返すため、過体重または肥満傾向の人によくみられます。

双極性障害や抑うつ障害、不安症などの精神障害を併発している場合が多く、ギャンブル依存や買い物依存などの依存症の併発も少なくありません。

摂食障害のこだわりと強迫性障害の違い

摂食障害では、体重や体型への強いとらわれや、食事に関する厳しいルールがみられることがあります。

こうした症状がある場合、まず摂食障害の一部として評価します。


一方、汚染への恐怖から食品に触れられない、確認や儀式に長時間かかって食事が進まないなど、強迫性障害が食行動に影響する場合もあります。

診察では、何を恐れているのか、行動にどのような目的があるのか、食事以外にも症状があるかを確認し、両者の関係を整理します。

摂食障害の種類や身体への影響、治療の全体像は、摂食障害の種類・症状・治療法をご覧ください。

強迫性障害の診断・治療方法

強迫性障害の診断・治療方法について解説します。

強迫性障害の診断方法

強迫性障害の診断に使われる診断基準は、WHO(世界保健機関)が定める『ICD-10』と、アメリカ精神医学会が定める『DSM-5』の2種類があります。

ICD-10は、『強迫症状や強迫行為が少なくとも2週間続き、ほぼ毎日生活で苦痛を感じたり支障をきたしたりしているか』という判断基準です。

具体的な診断項目は以下の通りです。

  • 強迫症状は患者自身の思考あるいは衝動として認識されなければならない。
  • もはや抵抗しなくなったものがほかにあるとしても、患者が依然として抵抗する思考あるいは行為が少なくとも1つなければならない。
  • 思考あるいは行為の遂行は、それ自体が楽しいものであってはならない(緊張や不安の単なる低減は、この意味で楽しいとはみなされない)。
  • 思考、表象あるいは衝動は、不快で反復性でなければならない。

引用:『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

アメリカ精神医学会が定めているDSM-5では、以下の4つの基準が記載されています。

  • 強迫観念、強迫行為、またはその両方がある。
  • 症状に多くの時間を費やす、または著しい苦痛や生活上の支障がある。
  • 症状が薬物・医薬品の作用や、ほかの身体疾患によるものではない。
  • ほかの精神疾患の症状では、より適切に説明できない。

それぞれの診断基準に基づいて診察を行い、当てはまる場合は強迫性障害と診断されます。

強迫性障害の治療方法

強迫性障害の主な治療方法として、薬物療法、認知行動療法、TMS治療の3つが挙げられます。

薬物療法

強迫性障害の薬物療法では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが用いられます。

SSRIはセロトニンの働きに作用する薬です。

効果の評価には時間がかかり、8〜12週間程度を要することがあります。

医師は症状の改善度や副作用を確認し、必要に応じて用量を調整します。

効果が得られた後も再発予防のために治療を継続し、減量や中止は経過を見ながら相談して進めます。

強迫性障害の薬物療法については、「強迫性障害とは?症状・原因・治療法を解説」にて詳しく解説をしております。

認知行動療法

強迫性障害の治療では、認知行動療法が有効です。

その中でも特に代表的なものが、曝露反応妨害法という認知行動療法です。

曝露反応妨害法(ERP)は、患者さんと治療者が相談して課題を決め、不安や不快感が生じる状況に段階的に取り組みながら、確認や洗浄などの強迫行為を控える練習をする治療です。

不安があっても強迫行為に頼らずに過ごせる経験を重ね、症状による生活への影響を減らしていきます。

曝露反応妨害法については、「曝露反応妨害法(ERP)とは?やり方・効果・注意点をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

TMS治療

TMS治療は脳に繰り返し磁気による刺激を与えることで、脳の働きを正常化していく治療方法です。

強迫性障害に対しても研究が進められており、米国では特定の装置が治療用としてFDAの販売許可を受けています。

効果や適応は、装置、刺激部位、治療条件などによって異なるため、すべてのTMSに同じ効果があるとはいえません。

▶︎ 強迫性障害にTMS治療は効果がある?FDA承認プロトコル・治療回数・副作用を解説

摂食障害の診断・治療方法

摂食障害の診断・治療方法について解説します。

摂食障害の診断方法

摂食障害の診断では、食事量、むちゃ食い、嘔吐などの行動、体重の経過、体重や体型への考え方、生活への影響を確認し、診断基準を参考に総合的に判断します。

身体状態の評価では、体重・脈拍・血圧の測定や、必要に応じた血液検査・心電図検査などを行います。

CT・MRIは、ほかの病気が疑われる場合などに検討します。

入院の必要性は、BMIだけでなく、体重減少の速さ、脱水、電解質異常、循環状態、食事摂取の状況などを踏まえて判断します。

摂食障害の治療方法

摂食障害の主な治療方法は、栄養指導と認知行動療法の2つです。

栄養指導

摂食障害の患者さんは栄養バランスの崩れた食生活になってしまっているため、栄養士による栄養指導や医療サポートが不可欠になります。

具体的には食事回数や量、栄養バランスといった食生活の見直しを行います。

バランスの良い食事計画に従い、毎日適切な栄養を摂取することが大切です。

また貧血や骨密度低下などの症状が現れている場合は、必要に応じてサプリメントや薬が処方される場合もあります。

認知行動療法

認知行動療法は、患者さんの食生活に対する行動や考え方を改善するための治療方法です。

摂食障害の患者さんは「太りたくないから食事は避けなければいけない」と考えてしまうことがありますが、これを「栄養バランスの整った食事は健康に良い」といった考えに修正するのが認知行動療法です。

認知行動療法にはいくつもの種類があり、患者さんの症状に合わせて選択されます。

精神疾患は早めの治療が大事

強迫性障害と摂食障害は併存することがあります。

診察では、食事や体重へのとらわれが摂食障害の症状なのか、強迫性障害による不安や儀式が食行動に影響しているのかを整理します。

食事が十分にとれない、過食や嘔吐を繰り返す、確認や儀式に時間がかかって生活に支障が出る場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

宮城県で受診を検討されている方は、かもみーる心のクリニック仙台院の診療案内をご確認ください。

この記事のテーマを相談できる医師

この記事の監修者

赤堀 将太郎

医療法人社団弘愛会理事長

赤堀 将太郎

こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。

診察・カウンセリングのご案内

診察やカウンセリングの利用を検討されている方は、各サービスのご案内をご覧いただけます。

強迫性障害に関する他の記事も読んでみる

最新コラム

コラム一覧を見る