心療内科を受診して「診断書が必要なのにもらえなかった」と戸惑う方は少なくありません。
仕事や学校、各種手続きのために診断書を求めている場合、断られると不安や焦りを感じやすいでしょう。
しかし、心療内科で診断書がもらえないのには、医師の判断や制度上の理由がある場合がほとんどです。
この記事では、心療内科で診断書をもらえない理由について解説します。
診断書作成を断られたときの対処法や依頼時に伝えるべき情報などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
医師は診断書の作成を正当な理由なく拒否できない

医師は患者さんから診断書の作成を求められた場合、正当な理由がなければ拒否できません。
これは、医師法第19条2項により『診断書交付義務』が定められているためです。
診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
引用元:医師法 | e-Gov 法令検索
診断書は会社や学校、保険会社、役所などに提出されることが多く、社会的な必要性が高い書類とされています。
そのため、医師の一方的な判断で作成を断ることは認められていません。
ただし、患者さんの求めに医学的根拠がない場合、正当な理由があるとして診断書の交付を拒否できます。
診断書の交付を拒否できる正当な理由としては、次のような例があります。
- 詐欺や脅しなど、不正な目的で使われる可能性が高い場合
- 患者本人ではない第三者から請求され、守秘義務に反する場合
- 病名を知られることで、治療に大きな支障が出る恐れがある場合
診断書は基本的に発行されますが、内容や状況によっては例外もあることを理解しておきましょう。
心療内科ですぐに診断書がもらえないケース

心療内科ですぐに診断書がもらえないケースとして、以下が挙げられます。
- 医学的根拠が不足している場合
- 経過観察が必要な場合
- 医師の専門外で医学的判断ができない場合
- 診断書の利用目的が不適切な場合
- 患者に病名を知らせるのが好ましくない場合
- 患者本人以外からの同意のない請求の場合
- 必要な情報が不足している場合
- クリニックの体制や方針によるもの
ここでは上記のケースについてそれぞれ解説します。
医学的根拠が不足している場合
医学的な根拠が足りないと判断された場合、診断書はすぐに作成されません。
例えば「仕事がつらい」「なんとなく気分が落ち込む」といった訴えだけでは、病名をはっきりと決めるのが難しいことがあります。
診断書には、症状や状態を医学的に説明できる根拠が必要です。
そのため、医師が診察を行っても、客観的な所見や症状の整理が不十分な段階では、診断書の作成を見送ることがあります。
また、診断書は会社や学校、保険などに提出される重要な書類です。
事実と異なる内容や、根拠のない病名を記載することはできません。
医師が「現時点では判断材料が足りない」と考えた場合は、無理に診断書を出さないのが一般的です。
この場合、追加の診察や問診を重ねることで、後日作成されることもあります。
経過観察が必要な場合
心の症状は一度の診察だけでは判断できないことが多く、経過観察が必要になる場合があります。
うつ病や適応障害などは、症状がどのくらい続いているか、日常生活にどの程度影響しているかを見極めることが重要です。
初診の時点では、緊張や一時的なストレス反応なのか、治療が必要な状態なのかを判断しきれないこともあります。
そのため医師が「少し様子を見ましょう」と判断し、数週間から一定期間の通院を経てから診断書を作成するケースも珍しくありません。
医師の専門外で医学的判断ができない場合
診断書の作成依頼内容が医師の専門外の場合、診断書をすぐに作成できないことがあります。
心療内科の医師は心と体の不調を幅広く診ますが、すべての分野を専門としているわけではありません。
例えば精神的な不調については判断できても、内科疾患の数値や整形外科のけがの状態まで証明することはできません。
このような場合、医師は無理に診断書を書くのではなく、適切な診療科を紹介するといった対応をとることが多いです。
結果として、その場で診断書がもらえず、別の医療機関を受診する必要が出てくることもあります。
診断書の利用目的が不適切な場合
診断書の使い道に問題があると判断された場合、作成が拒否されることがあります。
例えば実際の状態よりも重い内容を書かせようとしたり、保険金や手当の不正受給が疑われたりするケースです。
医師は患者さんの話し方や依頼の内容から、診断書が正当な目的で使われるかを総合的に判断します。
虚偽の内容の診断書の作成は許されないため、不自然な点が多い場合は断られることがあります。
患者に病名を知らせるのが好ましくない場合
患者さんに病名をはっきり伝えない方が良いと判断される場合、医師は診断書の作成を拒否することがあります。
具体的には以下のようなケースです。
- 患者さんが病名告知を受けられる精神状態にない場合
- 病名告知により妄想や不安が膨らむ可能性がある場合
- パニック障害や不安障害などで症状悪化につながる恐れがある場合
このような場合、医師は患者さんの心身への影響を考え、診断書への記載内容を限定したり、発行自体を見送ったりすることがあります。
治療が進み、状態が落ち着いた段階で、改めて診断書の作成が行われることもあります。
患者本人以外からの同意のない請求の場合
患者さん本人の同意がないまま第三者が診断書を請求した場合は、原則として発行されません。
例えば家族や職場の上司が「代わりに診断書を受け取りたい」と申し出ても、本人の明確な同意がなければ医師は対応できません。
診断書には病名や症状などの個人情報が含まれるため、プライバシー保護の観点から厳しく管理されています。
本人が同席していない場合や委任状などの書類がない場合は、善意であっても発行は見送られます。
成年後見人など正式な代理権があるケースでは対応できることもありますが、その場合でも利用目的や内容を確認したうえで慎重に判断されます。
必要な情報が不足している場合
診断書の作成に必要な情報が揃っていないと、その場で発行できないことがあります。
診断書を書くためには、「提出先はどこか」「何の目的で使うのか」「指定の書式があるか」といった具体的な情報が必要です。
これらが曖昧なままだと、医師は正確な内容を記載できません。
また、通院回数が少ない場合や、久しぶりの受診で症状の経過が十分に把握できていない場合も判断が難しくなります。
その結果、追加の診察や情報整理が必要となり、診断書の発行が後日になることがあります。
診断書の作成をスムーズに進めるためには、事前に必要書類や提出条件を確認しておくことが大切です。
クリニックの体制や方針によるもの
クリニックの運営体制や方針によっては、診断書の即日発行が難しい場合もあります。
心療内科の中には、医師が一人で診察と事務作業を行っているところもあります。
そのような場合、診療が立て込んでいると、診断書作成にすぐに時間を割けないことがあるのです。
急ぎで診断書が必要な場合は、事前に発行までの流れや日数を確認しておくと安心でしょう。
心療内科で診断書をもらえない場合の対処法

心療内科で診断書をもらえない場合は、以下の対処法を試してみましょう。
- 診断書を出せない理由を聞く
- セカンドオピニオンを検討する
- 公的な相談窓口を利用する
- 意見書・経過報告書の作成を検討する
ここでは上記4つの対処法についてそれぞれ解説します。
診断書を出せない理由を聞く
まず初めに行うべきなのは、医師に理由を確認することです。
『正当な理由がある場合』と『正当な理由に該当しない場合』で対処法が異なるため、以下を参考にしてみてください。
正当な理由がある場合の対処法
医師の説明が医学的・制度的に納得できる内容であれば、その理由に沿った対応を考えます。
例えば「経過観察が必要」と言われた場合は、一定期間通院を続けて症状の経過を診てもらいましょう。
不正利用を疑われた場合は、提出先や用途を整理して改めて相談してみてください。
正当な理由に該当しない場合の対処法
説明に納得できない、理由が曖昧だと感じる場合は、冷静に再確認することが大切です。
感情的に反論するのではなく、「どの条件が満たされれば作成可能か」を具体的に聞いてみましょう。
それでも解消しない場合は、別の医師に相談する準備を進めるのも一つの選択肢です。
これまでの経過ややり取りをメモしておくと、次の相談がスムーズになります。
セカンドオピニオンを検討する
医師との認識のズレが大きいと感じた場合は、セカンドオピニオンを検討しましょう。
他の医療機関で改めて診察を受け、別の視点から意見をもらうことで、状況が整理されやすくなります。
ただし、「どこかなら出してくれるだろう」と医療機関を渡り歩くのはおすすめできません。
これまでの通院歴や断られた理由を正確に伝え、信頼できる医師に丁寧に相談することが大切です。
公的な相談窓口を利用する
医療機関とのやり取りだけで解決が難しい場合は、公的な相談窓口の利用も検討しましょう。
地域の医師会や医療相談窓口では、診断書の手続きについて情報提供を受けられます。
また、障害年金や労災などが関係する場合は、社労士や弁護士などの専門家への相談もおすすめです。
制度のサポートや必要な手続きの代行・アドバイスを受けられます。
意見書・経過報告書の作成を検討する
診断書の作成が難しい場合でも、代わりになる書類を発行できることがあります。
例えば意見書や経過報告書は、診断が確定していない段階でも、現在の状態や医師の所見を伝えられる文書です。
職場や学校によっては、診断書の代わりとして受け入れてもらえることもあります。
医師に相談する際は、「診断書が難しい場合、現状を示す書類は作成できますか」と聞いてみるとよいでしょう。
心療内科で診断書をもらうために伝えるべきこと

診断書をスムーズにもらうためには、必要な情報を正確に伝えることが大切です。
具体的には以下の5つを整理しておくとよいでしょう。
- 具体的な症状と生活・仕事への影響
- 診断書が必要な理由と提出先
- 診断書の種類
- 診断書の指定様式の有無
- 診断書の提出期限
ここでは上記5つについてそれぞれ解説します。
具体的な症状と生活・仕事への影響
現在の症状と、それが生活や仕事にどう影響しているかを具体的に伝えましょう。
「眠れない」「気分が落ち込む」といった症状だけでなく「朝起きられず出勤できない」「人と会うのが怖く外出できない」など、実際の困りごとを説明すると、医師が状態を把握しやすくなります。
また、いつ頃から症状が出たのか、きっかけになった出来事があればあわせて伝えると、診断の参考になります。
診断書が必要な理由と提出先
診断書を何のために使うのか、どこに提出するのかをはっきり伝えましょう。
例えば「会社に提出して休職の手続きをしたい」「学校に提出して欠席の配慮をお願いしたい」など、目的を具体的に伝えることが大切です。
提出先が会社なのか、学校なのか、役所なのかによって、診断書に記載すべき内容が変わるためです。
目的が曖昧だと、医師もどのような内容を書くべきか判断しにくくなるため、正直にかつ具体的に伝えることが大切です。
診断書の種類
診断書には用途に応じていくつかの種類があります。
休職や復職のための診断書、傷病手当金の申請に使うもの、学校提出用など、提出先ごとに求められる内容が異なります。
どの手続きに使うのかを伝えることで、医師はそれに適した診断書を作成しやすくなるでしょう。
種類が分からない場合でも、「会社の休職手続き用」といった形で説明すれば問題ありません。
診断書の指定様式の有無
提出先から決められた様式があるかどうかも必ず伝えましょう。
指定様式があるのに持参しなかった場合、再度書き直しになることもあります。
事前に提出先に確認し、指定様式があれば受診時に持っていくようにしましょう。
様式がない場合は、医療機関所定の様式での作成となります。
診断書の提出期限
診断書の提出期限も重要な情報です。
診断書そのものに決まった有効期限はありませんが、提出先が「発行から〇日以内」などの条件を設けている場合があります。
この場合は期限を伝えておくことで、医師や受付が発行時期を調整しやすくなります。
急ぎの場合は早めに相談し、余裕をもって依頼することが大切です。
心療内科での診断書のもらい方

心療内科で診断書をもらうときの流れは以下の通りです。
- 心療内科で医師の診断を受ける
- 診断書の発行を依頼する
- 診断書をもらう
医師による診察時に、診断書が必要であることをはっきり伝えましょう。
このとき、「会社に提出する」「学校に提出する」など、利用目的と提出先を具体的に伝えることが大切です。
医療機関によっては、診察後に受付や専用窓口で正式な申請が必要になる場合もあります。
必要書類や手続き方法は医療機関ごとに異なるため、ホームページや受付で確認しておくとよいでしょう。
心療内科で診断書をもらうときは必要な情報をきちんと伝えることが大切
心療内科で診断書がもらえない場合、医学的な判断や手続き上の理由によるものが多いです。
医学的根拠が不足している、経過観察が必要、本人以外からの同意のない請求など、さまざまな理由が考えられます。
診断書の作成を断られてしまった場合には、まずは医師に理由を確認し、「何が足りないのか」「どうすれば作成してもらえるのか」を把握することが大切です。
診断書をもらえない理由に納得できない場合は、セカンドオピニオンや公的な相談窓口の利用なども検討してみてください。
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