ストレスで「心臓痛い!」となるのはなぜ?原因や隠れた疾患などを紹介

更新日 2025年07月24日

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ストレスがたまっている状態で心臓に痛みを感じると、何か大きな疾患にかかっているのではと不安になる人は多いでしょう。

実は人間の身体には、ストレスの増減が心臓を含め全ての内臓に影響を及ぼすしくみがあります。

この記事では、ストレスで胸が痛い原因や痛みの種類、ストレスが原因で発症する胸の疾患について紹介します。

ストレスが原因で胸に違和感を覚えやすい人の特徴も紹介するため、心当たりのある人はぜひ参考にしてください。

心臓に痛みを感じた場合の応急処置

最初に、心臓に痛みを感じた場合に必要な対応について紹介します。

胃の痛みも腸の痛みも『腹痛』というように、心臓の痛みや胸付近の痛みのことを『胸痛』といいます。

胸痛は、特に疾患が隠れていない場合でも、ストレスによる自律神経の乱れが心臓の働きに影響し、発症することがあります。

胸痛だけでなく、動悸や不整脈が同時に見られる場合もあります。

胸痛や動悸が現れた場合は、まず楽な姿勢をとって安静にし、深呼吸をしてみてください。

原因がストレスのみであれば、これで治まる場合もあります。

10分を目安に休んでみても治まらない場合は、狭心症や心筋梗塞などの疾患が隠れていることがあるため、速やかに医療機関を受診しましょう。

以下は緊急性が高く救急車を呼んでも構わない痛みです。

  • 突然の締め付けられるような痛み
  • 石を乗せたような胸の圧迫感を伴う痛み
  • 胸が焼けるような痛み
  • 前胸部と背中の間を裂きながら移動する痛み
  • 呼吸困難・吐き気・嘔吐・冷や汗・意識低下・失神を伴う痛み

胸痛で特に気をつけたいのは、中高年から高齢者です。高齢者では心疾患のリスクが高まるため、早期受診が推奨されます。

また、前触れがなく胸や背中に激痛が起こった場合、ためらわず救急車を呼んでください。

突然胸や背中に激痛が走る場合は、重大な疾患(大動脈解離や心筋梗塞など)の可能性があるため、症状が治まっても早急な受診が必要です。

ストレスで胸が痛い原因

ストレスによって胸痛が起こる原因やしくみ、ストレスによる胸痛の特徴、胸痛が起こりやすい人や応急処置方法を紹介します。

ストレスで胸が痛い原因の1つは自律神経の乱れ

ストレスによって胸痛が起こるときのしくみに深く関連しているのは、自律神経です。

自律神経は、身体を活動的な状態にする交感神経と、リラックスさせる副交感神経を、バランスよく働かせて体温や代謝・臓器などの動きをコントロールするのが仕事です。

ところがこのバランスは、強いストレスや生活習慣の乱れによって崩れることがあります。

ストレスを強く受けると交感神経が優位になり、心拍数や脈拍が高い状態を維持したままになります。

通常は副交感神経の働きによって徐々に正常な状態へと戻りますが、バランスが崩れていると交感神経が優位のまま戻りません。

そのため交感神経が働き過ぎてしまい、心臓に負担がかかり、胸が苦しい・胸が痛いなどの症状として現れます。

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胸の痛み・違和感の特徴

ストレスが原因で心臓に痛みや違和感が生じる場合は、次のような症状があります。

  • 動悸・息切れ・めまいなどを伴う
  • 安静時に痛む
  • ズキズキ・チクチクする
  • 長く持続する痛み
  • 痛いときに不安感や不眠などの症状を伴う

心臓に痛みや違和感がある場合、ストレスが関与していることが多いですが、必ずしも全てがストレスによるものではありません。

基礎疾患の有無を医療機関で確認することが重要です。

また、胸痛は以下の3つのパターンに分けられ、痛みの特徴によってどのような問題が起こっているのか分かる場合があります。

  • 胸の表面が痛い……チクチクする。胸壁の神経や筋肉の炎症・外傷・帯状疱疹など
  • 胸の深いところが痛い……内臓の痛み。心筋梗塞・大動脈解離・肺塞栓症など
  • 胸以外が原因で痛い……消化器系や呼吸器系の疾患・骨や筋肉の障害など

胸痛を感じたときにこれらをよく観察しておくと、受診の際に適切な検査への案内がスムーズになります。

緊急性がない程度の胸痛でも、1週間以上続くようなら医療機関を受診してください。

ストレスで心臓に痛み・違和感を覚えやすい人

ストレスで心臓に違和感を覚えやすい人には、以下のような特徴があります。

  • 完璧主義
  • 責任感が強い
  • 過度な飲酒・喫煙習慣
  • 食べ過ぎが多い
  • 慢性的な睡眠不足

ストレスを溜めやすい真面目な印象の人と、生活習慣が乱れやすい人が、心臓に負担をかけやすいということが分かります。

心当たりがある人は、症状が軽いうち、症状が見られない今のうちにストレス解消をしたり生活習慣を見直したりすることをおすすめします。

胸に痛みや違和感がある疾患

胸に痛みや違和感がある疾患は、その多くがストレスと関係があります。

ストレスは、ストレスがあるということだけで免疫力が低下し、間接的に疾病の悪化や進行を招いたり、治療が長引く場合があるためです。

ここでは、胸に痛みや違和感がある疾患について紹介します。

たこつぼ型心筋症

たこつぼ型心筋症は中高年女性に多く、左心室がたこつぼ型に変形するため、心臓の働きが著しく低下する疾患です。

たこつぼ型心筋症は、感情的・肉体的ストレスが発症のきっかけとなることが知られています。

症状は突然の胸痛や圧迫感・動悸や息苦しさ、吐き気などで、前触れもなく失神するケースもあります。

急性心筋梗塞と症状が似ているため、検査しないと区別が難しいです。

特別な治療法は確立されていないため、安静とストレスの軽減が治療の中心となります。

経過を見ながら自然治癒を待ちますが、心不全や不整脈などの合併症や基礎疾患との関連で死亡例も多く報告されているため、軽視はできない疾患です。

気胸

肺に穴が開いて空気が漏れしぼむという症状が突然現れ、治っても再発率が高かったり治療に時間がかかったりする疾患です。

気胸の原因が明らかでない自然気胸と、外傷による気胸、生理による気胸があります。

睡眠不足や疲れがたまっているときなどの、肉体的・精神的にストレスが溜まっているときに発症しやすいといわれています。

症状としては突然の胸痛や息苦しさ・乾いた咳・呼吸困難などが見られます。

治療法は、軽度の場合は安静にし、重度になると入院して肺に溜まった空気を抜く処置が行われます。

心筋梗塞

心筋梗塞はプラークや血栓などで詰まって血流が止まり、心筋に栄養や酸素がいかなくなって心筋が壊死を起こす状態です。

発症の原因は高血圧のようなさまざまな要因で血管が厚みを増し柔軟性を失う『動脈硬化』です。

また他にも肥満・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症・ストレス・喫煙・遺伝などがあります。

心筋梗塞は発症前に、胸痛や締め付けられるような圧迫感などの前兆症状がみられることがあります。

また不整脈や動悸・脈が跳ねる感じ・締め付け感・胸やけ・数分で止まる胸痛などがあり、階段や坂道でこれらの症状を繰り返す場合、注意が必要です。

心筋梗塞はできるだけ早く治療を開始するのが重要です。詰まった冠動脈を再開通させますが、治療が遅れて心筋が壊死すると元には戻せません。

狭心症

狭心症は、心臓の冠動脈が動脈硬化などで狭くなり、酸素や栄養分が十分に届かなくなる疾患です。心筋梗塞と比べると、いくらか血流が通るところが違います。

原因や前兆は上述した心筋梗塞と同じですが、狭心症の時点で適切な治療を行えば、心筋梗塞への進行を防ぐことが可能です。

治療法は発作が起きたときの応急処置ができる薬剤や、血を固まりにくくする薬、冠動脈を拡張する薬など、血管が詰まるのを予防する薬物治療が行われます。

胸膜炎

胸膜炎は肺の表面を覆う2枚の胸膜に炎症が起こり、胸膜の間に胸水という液体が溜まってしまう疾患です。

胸膜炎は発症する原因によって、細菌性胸膜炎・結核性胸膜炎・がん性胸膜炎などに分類されます。

発症の原因にストレスは直接関与しませんが、ストレスが重なると免疫力が低下するため、間接的に発症や悪化のリスクを高める可能性があります。

症状は、呼吸困難・発熱・咳などがあり、胸痛はピリピリとした痛みが大きく息を吸ったときに悪化します。

原因が感染症の場合はおおむね良好な治療となりますが、がん性胸膜炎に関しては抗がん剤投与と外科手術を行うこともあります。

膿胸

膿胸は、肺周囲の胸腔内に細菌感染が起こり、強い炎症によって膿がたまる疾患です。

原因はほとんどが細菌ですが、治療に時間がかかるためストレスで免疫力が低下すると治療がより長引く可能性があります。

主な症状は胸痛を初めとして発熱・食欲不振・倦怠感や体重減少・咳などです。水や膿が多く溜まると呼吸困難も生じ、放置すると重症化します。

感染症のため抗菌薬を点滴しますが、これだけではほとんど治癒に至らないため、ドレーン(管)を留置するか外科手術で掻き出すなどして膿を排出します。

抗菌薬は少なくとも4週間の投与、ドレーンは長くなると2週間以上の留置が必要です。

大動脈解離

大動脈解離とは、大動脈の壁の内側に壁を2枚の薄い膜に分離するような亀裂ができ、本来とは別の血流の道ができてしまう状態です。

壁が薄くなり、血圧に耐えられず破れたり、近辺の臓器の血流を阻害したりするため、脳梗塞や消化管壊死・下肢血流障害を招く、急性期の死亡率が高い疾患です。

大動脈解離の発症要因には高血圧や動脈硬化などがあり、ストレスも間接的なリスク因子とされています。

しかし大動脈解離には前兆らしい症状がなく予測が難しいため、前触れなく胸や背中に激痛が起こったら躊躇せずに救急車を呼びましょう。

大動脈解離の治療法は、急性期には緊急手術が必要ですが、その他には血圧を下げる治療が行われます。

心筋炎

心筋炎は、心臓の筋肉に炎症が起こる疾患の総称で、心臓の機能が低下します。急性や慢性・劇症型などさまざまなケースの心筋炎があります。

原因にはウイルスや細菌の感染・薬物・アレルギーや膠原病などの全身の疾患に伴うものなどがあります。

また、心筋炎は発症後に再発することがあり、再発リスク因子としてウイルス感染や過労、ストレスなどが挙げられています。

心筋炎の症状としては、発熱や咳・のどの痛みや鼻水などの風邪症状を前触れに、胸痛・息切れ・動悸など心臓に関する症状が現れ、進行すると消化器系の症状も引き起こします。

治療法は入院して原因除去と対症療法・安静を基本として、急性期を乗り越えることを第一に治療します。

エコノミークラス症候群

エコノミークラス症候群は、正式には『静脈血栓塞栓症』または『肺塞栓症』と呼ばれ、下肢などの静脈にできた血栓が肺動脈を塞ぐ疾患です。

原因は長時間の座位姿勢で、特に飛行機内の乾燥や低気圧による体内の水分蒸散などがリスクを高めていますが、他の交通機関の長距離移動や、日常生活でも起こります。

また、東日本大震災の際にも頻発し、同疾患と災害ストレスとの関係が指摘されています。

他の症状として見られるのは、胸痛・息苦しさ・ふくらはぎのむくみや痛み・皮膚の赤みや紫色への変色などです。

治療としては抗凝固剤や血栓溶解剤を使用した薬物治療・カテーテルによる血栓除去・外科手術などが行われます。

心房細動

心房細動は、心房が十分に収縮せずに細かく震える不整脈であり、心臓内に血液が停滞し血栓ができやすくなるため、放置すると脳梗塞のリスクが高まります。

高齢者に多く、心臓病や甲状腺疾患、感染症などが関係しており、ストレスや飲酒などの生活習慣や過労・脱水・睡眠不足が異常電気信号に関与しているとされています。

症状として、突然動悸や不整脈・息苦しさ・胸痛・倦怠感・めまいなどが起こりますが、少しすると治まってしまうため軽視されがちです。

他疾患が関与している場合はその治療を、そうでない場合は脳梗塞予防としての抗凝固薬や発作予防の薬の服用や生活習慣の改善・食事療法を行います。

根本治療としてカテーテル手術も検討できます。

ストレスを解消することは胸の疾患予防

ストレスは胸痛を引き起こす疾患のリスク因子となるため、過剰に溜め込む前に適切なストレス解消を心がけることが重要です。

ストレス解消のポイントは以下です。

  • まず自分がストレスの原因に気付いて対策する
  • 睡眠の質・量を改善する
  • バランスの良い食事で身体を整える
  • 健康を害さない程度に、好きなものを食べる
  • 適度な運動はストレスホルモンを抑制する
  • 心臓疾患を早期発見するために健診を受ける
  • 人に相談すると安心感が得られ、ストレスの原因にも気付きやすい

ストレスは心も身体も少しずつ弱らせて、気付かないうちに回復が難しくなる可能性があるリスクです。

仙台でストレスによる胸の痛みにお悩みの人は、『かもみーる心のクリニック仙台院』にどうぞご相談ください。

受診が不安な人には、有資格者のみが在籍しているオンラインカウンセリングサービスも提供しています。

胸痛を自覚している場合は、ストレス解消も重要ですが、まずは医療機関で原因を確認し、適切な治療を受けてください。

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