ストレスが引き起こす症状・病気┃限界に達したときに出る異変や受診の目安
更新日 2025年01月01日
ストレス
ストレスは現代社会を生きる私たちにとって、避けることが難しいものです。日々の仕事や人間関係、経済的な問題など、 小さなものから大きなものまで、さまざまなストレスがあります。
しかし、ストレスが溜まりすぎると心や身体、行動面の問題や症状となって現れることがあります。
この記事では、ストレスによって起こる症状や病気、対処法、病院を受診する目安やセルフチェックについて詳しく解説します。
ストレスについて詳しく知り、自分の状況と照らし合わせて、治療法やストレスと上手く付き合う方法を見つけましょう。
ストレスが溜まりすぎると心や身体に異変を引き起こす

ストレスは私たちの日常生活に深く関わっており、適度なストレスはエネルギーになることもあります。
しかし、ストレスが長期間続いたり強すぎたりすると、心身に多くの悪影響を及ぼしてしまうため、注意が必要です。
ストレスで症状が起こる仕組み:ストレッサーとストレス反応
ストレスの原因となる刺激を「ストレッサー」といいます。
仕事の締め切り、人間関係のトラブル、家庭の問題など、ストレッサーは多岐にわたります。満員電車での通勤や通学、 上司や取引先の態度、子育てなど日々の些細な出来事も、ストレッサーです。
これらのストレッサーに対して、私たちの身体には「ストレス反応」が起こります。
ストレス反応は、身体を守るための自然な防御機制です。集中力を高めたり、パフォーマンスを向上させたりする効果もあり、 ストレスに対処できているうちは大きな問題になることはありません。
しかし、対処し切れないほどの大きなストレッサーを経験したり、ストレッサーが長くかかり続けたりすると、ストレス反応が慢性化し、心身にさまざまな悪影響を及ぼすようになります。
ストレスに無自覚でも症状は起こる
注意が必要なのは、自分ではストレスを自覚していなくても、心や身体はストレス反応を起こしている可能性があるということです。
慢性的なストレスに晒されていると、その状態が「普通」になってしまい、ストレスを自覚しにくくなります。
自分のストレスに気づくことが、ストレス管理の第一歩です。
ストレスによって起こる症状

ストレスが溜まると、心や身体にさまざまな症状が起こります。これらの症状は大きく、以下の3つに分類できます。
- 身体に起こる症状
- 精神に起こる症状
- 行動に起こる症状
ここからは、それぞれの症状について見ていきましょう。
身体に起こる症状
ストレスによる身体症状は、多岐にわたります。ストレスによって身体に起こることのある症状は以下の通りです。
- 頭痛
- めまい
- 肩こり、関節痛
- 胃腸の不調(胃痛、下痢、便秘)
- 動悸や息切れ
- 身体がだるい、疲れやすい
- 睡眠障害(不眠や過眠、寝つきが悪くなる、眠りが浅くなるなど)
- 食欲の変化(食欲不振や過食)
- 皮膚疾患(蕁麻疹、アトピー、円形脱毛など)
- 風邪をひきやすくなる(免疫力の低下)
- 喉がつかえる、閉塞感があるなど喉の違和感(咽喉頭異常感症/ストレスボール/ヒステリー球)
身体に起こる不調はそれ自体がストレスになるため、早めに原因を突き止めて対処することが大切です。
▶ストレスと頭痛の関係│原因と対策・こころの病気(精神疾患)との関係
精神に起こる症状
ストレスによる影響が感情や考え方など精神的な症状となって起こることもあります。
- 気分の落ち込み、絶望感
- 不安や焦燥感
- 孤独感や疎外感
- イライラ、落ち着きのなさ
- 怒りっぽさ
- やる気が出ない
- 集中力や思考力の低下
- 感情表現が乏しくなる(感情鈍麻)
- 自分なんて役に立たないと考える(自己評価の低下)
- 自分を責める
これらの症状が長期化すればうつ病など精神疾患のリスクが高まることもあるため、注意が必要です。
行動に起こる症状
ストレスの影響が、行動の変化として現れるケースもあります。
ストレスによる行動の変化は、自分よりも先に周囲の人が最初に気づくことも多いです。主な行動的症状には以下があります。
- 生活リズムや睡眠リズムの乱れ
- 引きこもり、人に会うのを避けるようになる
- アルコール量や喫煙量の増加
- 過食や拒食
- 衝動的な買い物やギャンブル
- 攻撃的な言動
- 仕事や勉強のパフォーマンス低下
- 遅刻や欠勤の増加
- 運転が乱暴になる
中には、ストレスを一時的に紛らわせるために行われる行動もありますが、長期的な目で見れば、健康を損ない、 社会的な信用を低下させてしまいかねない行動です。
ストレスが限界に達した時に出る症状やサイン

以下のような症状が出ている場合、ストレスが限界に達しているかもしれません。
- 疲れているのに眠れない
- 休息を取っても回復しない
- 好きなことや興味のあることも楽しめなくなった
- わけもなく涙が止まらない
- 身だしなみが気にならなくなった
- 悲しみや落ち込み、怒りといったネガティブな感情しか感じられない
- 「生きている意味がわからない」「いなくなってしまいたい」と感じる
また、ストレスによる症状は個人差が大きく、同じストレスでも人によって感じ方や現れ方は異なるものです。
これらの症状が見られなくても(または自分で気づいていなくても)ストレスが限界に達している可能性があります。
上記に当てはまらない場合でも、ストレスや心身の不調で悩んでいる場合は、早めに医師やカウンセラーなど専門家に相談してみましょう。
ストレスが引き起こす病気

ストレスが改善されない状態が続くと、ストレス障害をはじめとしたさまざまな障害や病気に進行してしまうことがあります。
- ストレス障害(適応障害・急性ストレス障害・心的外傷後ストレス障害)
- 不安障害
- 気分障害(うつ病・双極性障害)
- 燃え尽き症候群
- 心身症(ストレス関連疾患)
- その他の病気
ここからは、上記の障害や病気について詳しく解説します。
ストレス障害(適応障害・急性ストレス障害・心的外傷後ストレス障害)
ストレス障害は、さまざまなストレスや心的外傷(トラウマ)が原因で引き起こされる病気の総称です。
ストレス障害は大きく適応障害、急性ストレス障害(ASD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の3つに分類されます。
発症時期 | 発症のきっかけとなるストレス | 主な症状 | |
---|---|---|---|
適応障害 | ストレス体験から3ヶ月以内 | あらゆるストレス (日常生活での出来事など) | ・気分の落ち込みや憂鬱 ・不眠やめまい、頭痛 ・問題行動(無断欠勤や遅刻など)など |
急性ストレス障害(ASD) | ストレス体験直後〜1ヶ月以内 | 大事故・犯罪・災害など 極度のストレス | ・トラウマ体験のフラッシュバックや悪夢 ・トラウマ体験に関する状況などの回避 ・過覚醒(神経が張り詰めた状態になり、イライラや不眠)など |
心的外傷後ストレス障害(PTSD) | ストレス体験から1ヶ月以降〜3ヶ月以内 (※何年も経過後に発症するケースもある) |
ASDとPTSDは、日常生活で受けるストレスとは異なり、大きな事故や犯罪に巻き込まれるなど深刻な出来事による強いストレスが原因で引き起こされる病気です。
急性ストレス障害(ASD)が1ヶ月以上続く場合は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されます。
一方、適応障害は仕事や学校、家事や子育てなど、日常生活のあらゆるストレスが原因となって引き起こされる病気です。
近年、適応障害と診断される人の数は増加傾向にあります。ストレスや心身の不調で悩んでいる場合は、適応障害の可能性も考えて一度病院で相談してみるといいかもしれません。
▶適応障害の原因となる主なストレス│母親や家族の影響は?症状や治し方も解説
▶適応障害になりやすい人の特徴│性格や環境、顔つきなどを解説!予防法&治療法も
▶適応障害とは?再発率や兆候・繰り返さないための対策・復職時の注意点を解説
不安障害
不安障害は、過度の不安や恐怖によって日常生活に支障が出てしまう病気です。
パニック障害、社交不安障害、全般性不安障害などが不安障害に含まれます。ストレスが引き金となって発症したり、症状を悪化させたりすることがあります。
気分障害(うつ病・双極性障害)
気分障害とは気分の落ち込みや高揚が起こる病気で、うつ病と双極性障害(躁うつ病)の2つに分けられます。
うつ病は憂鬱な気分や興味・喜びの喪失など気分の落ち込みが主な症状です。
双極性障害は、うつ状態(気分の落ち込みが強い状態)と躁状態(常にハイテンションな状態)を繰り返す病気です。
はっきりとした原因は分かっていませんが、どちらもストレスが発症や悪化、再発のきっかけとなることがあります。
心身症(ストレス関連疾患)
心身症(ストレス関連疾患)とは、発症や経過にストレスが大きく関わっている病気です。代表的な病気としては、以下があります。
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 過敏性腸症候群
- 機能性ディスペプシア
- 本態性高血圧
- 冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)
- アトピー性皮膚炎
- 慢性蕁麻疹
- 円形脱毛症
- 頭痛(緊張型頭痛、片頭痛)
- 気管支ぜんそく
- 慢性関節リウマチ
- メニエール病
- 心因性難聴
- 肥満
- 糖尿病など
ただし、これらの病気の原因がすべてストレスによるものとは限りません。ストレスが主な原因なのか、 それとも他に身体的な原因があるのかを確かめるためにも、病院での詳しい検査が必要です。
その他の病気
他にも、ストレスは以下のようなさまざまな病気のリスクを高めます。
- 燃え尽き症候群
- 不眠症
- アルコール依存症
- 自律神経失調症など
あなたのストレスレベルをセルフチェック

ストレスのチェック方法にはさまざまな方法がありますが、簡単にできるのが「余力チェック」と呼ばれる方法です。
やり方は簡単で、1日の終わりに「一言コメント」と「自分の余力(0〜100%)」を書くだけでOKです。
例えば「今日は残業したから余力0%」「ジムも行ったし、帰ってきてから映画を観れたから余力70%」など、 ノートやスマホのメモなどに記録しておきます。
あとで振り返りもできるので、ストレス管理にも役立てられます。
ストレス解消法や対処法

ストレスと上手く付き合うためには、効果的な解消法や対処法を身につけることが大切です。
- 規則正しい生活と栄養バランスの整った食事
- 適度な運動
- ストレスコーピング
- 病院を受診する(カウンセリングや薬物療法)
それぞれの方法について解説します。
規則正しい生活と栄養バランスの整った食事
ストレスへの抵抗力は、体調の変化にも左右されます。ストレスへの耐性を高めるためにも、規則正しい就寝・起床時間を心がけ、十分な睡眠と栄養をとるようにしましょう。
適度な運動
運動もストレス解消に効果的です。疲れすぎない程度の適度な運動を取り入れてみましょう。
ウォーキングや散歩、ヨガやサイクリングなど種類はなんでもOKなので、 自分が無理なく楽しみながら続けられる運動がおすすめです。
ストレスコーピング
ストレスコーピングとは、ストレスに対処するためのストレス解消法や対処法のことです。 ストレスコーピングにはさまざまな方法がありますが、簡単にできるのが「ストレス解消型コーピング」です。
ストレス解消型コーピングでは、 自分の好きなこと(音楽や映画、食事、旅行など)をしたり、マッサージやアロマでリラックスすることで、ストレスを解消します。
「コーピングリスト」として、ストレスを感じたときに行うストレス解消法を書き出しておくのもおすすめです。
【コーピングリストの例】
- おしゃれをして出かける
- 良い香りの入浴剤を入れてゆっくり入浴する
- 洋服の整理や処分をする
- 早起きして公園に散歩に行く
- アロマキャンドルをつけてリラックスするなど
コーピングリストを作成するときは、飲み過ぎや食べ過ぎなど後々デメリットが生じることは避け、 「やることで自分のためになること」を選ぶのがポイントです。
病院を受診する(カウンセリングや薬物療法)
すでに生じている症状を放置すると、悪化や病気に発展してしまう可能性もあります。
ストレスによって心や身体に不調が起きている場合は、早めに医師やカウンセラーなど専門家に相談しましょう。
心療内科やメンタルクリニックでは、カウンセリング(認知行動療法など)を中心に治療を行います。
また、症状によっては睡眠導入薬や抗不安薬など、薬を使った薬物療法で不快な症状を落ち着かせることも可能です。
患者さんの抱えているストレスや悩み、治療法についての希望などをじっくり聞いたうえで相談しながら治療方針を決めていくので、安心して相談してみましょう。
不調はストレスのせい?病院を受診する目安

以下に該当する場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。
- 症状が長期間続く
- 日常生活に支障が出ている
- 症状が急激に悪化した
- 周囲の人から心配される
- 疲れているのに眠れない
- 希死念慮があるなど
ストレスによる症状と他の病気の症状は似ていることがあり、判断が難しい場合があります。他の病気が隠れている可能性もゼロではありません。
上記に当てはまらない場合でも、「まだ大丈夫」「ストレスには慣れている」と我慢せず、できるだけ早めに医師やカウンセラーに相談しましょう。
ストレスや不調は放置NG!限界に達してしまう前に対処しよう
ストレスは私たちにとって身近なものですが、強いストレスや慢性的なストレスは心や身体、行動面にさまざまな症状を引き起こすことがあります。
長期化すれば悪化を招き、適応障害、不安障害、うつ病などの病気を引き起こすリスクが高くなるため、注意が必要です。
自分のストレスに目を向け、自分に合った解消法を実践して、ストレスと上手く付き合っていきましょう。
また、自分のストレスや症状、不安や心配事などについて誰かに相談するのも効果的です。
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