うつ病の初期症状?12のサイン丨受診目安・対処法・顔つきの変化も解説
更新日 2024年12月02日
うつ病
うつ病は日本人の約15人に1人は経験するといわれ、現代人にとって、とても身近な病気の一つです。
しかしその一方で、うつ病は見逃されやすい病気でもあります。
「気分の落ち込みが続く…もしかしてうつ病?」「最近、家族の様子がおかしい」など、自分や周囲の人の変化に気づいたら、早めに対処することが大切です。
この記事では、うつ病の初期症状の12のサイン、受診の目安、対処法などについて詳しく解説します。
うつ病は早い段階で対策するほど回復も早くなります。心や身体が発するサインを見逃さないよう注意し、適切に対処して悪化を防ぎましょう。
うつ病とは?

うつ病は、日常生活が困難になるほどの気分の落ち込みや意欲低下が起こる病気です。症状は朝方にもっとも落ち込みが強くなり、夕方にかけて軽快することが多い傾向にあります。
うつ病の原因は、ストレス・経験・生活習慣・性格や考え方などさまざまです。どれか一つの原因で発症するというより、複数の原因が複雑に絡み合うことで発症します。
「うつ病はなぜ起こるのか?」というメカニズムはまだはっきりわかっていませんが、意欲や気分を調整する脳内の神経伝達物質が十分に機能しないことで、うつ状態になると考えられています。
うつ病については以下の記事でも詳しく解説しています。
うつ病の初期症状・前兆丨12のサイン

うつ病では心に起こる症状が注目されがちですが、それよりも早く身体の不調として症状が現れることもあります。最初はほんの小さなサインから始まり、徐々に悪化していくため注意しましょう。
1. 今まで楽しめていたことを楽しめない・興味がわかない
2. 気分が落ち込み・悲観的な考えが続く
3. 食欲の変化・体重の増減
4. 睡眠障害(寝付けない・途中で起きてしまう・不眠・過眠)
5. 倦怠感・疲れが取れない
6. 集中力が低下する・ミスが増える
7. 話し方や行動がいつもより遅くなる・言葉がなかなか出てこない
8. イライラする・落ち着きがなくなる
9. 泣くことが増える・涙が止まらない
10. 不定愁訴(原因がわからない不調や痛み)
11. 自分には価値がないと感じる・自分を責めてしまう
12. 希死念慮(自殺念慮)
1:今まで楽しめていたことを楽しめない・興味がわかない
うつ病の基本症状の一つが、興味や喜びの喪失です。
- 趣味や好きなことに対して興味が持てなくなった
- 何をしても楽しいと感じられない
- 人と会ったり出かけたりするのが億劫になる
- 性欲が失われる
などといった状態が続く場合は、うつ病の初期症状かもしれません。
2:気分が落ち込み・悲観的な考えが続く
気分が落ち込む、憂鬱な気持ちになるといった抑うつ気分が続くのもうつ病の特徴的な症状です。何をしても気分が晴れず、悲観的な考えが頭から離れなくなります。
ショックな出来事や失敗があったときは誰しも落ち込んでしまうものですが、うつ病の場合は通常の落ち込みとは異なり、2週間以上続くことが特徴です。
理由もわからず、ただ悲しい気持ちや虚しい気持ちが続くことも少なくありません。
3:食欲の変化・体重の増減
食欲の変化は身体的な症状の一つとして現れやすい初期症状で、食欲がなくなり体重が減少することがあります。反対に、過食になり体重が増加する人もいます。
また、「お酒の量が増えた」も、うつ病を疑うサインです。「アルコール・うつ病・自殺」には深い関連があるため、注意しましょう。
4:睡眠障害(寝付けない・途中で起きてしまう・不眠・過眠)
睡眠障害はうつ病に多く見られる症状で、うつ病患者の8割以上に睡眠障害がみられるともいわれています。(参考:公益社団法人 愛知県医師会『うつ病・うつ状態の睡眠障害』)
症状の起こり方は人によって異なり、眠れなくなる人もいれば反対に寝すぎてしまう人もいます。
- 早朝覚醒(起きたい時間より早く目が覚めてしまう)
- 中途覚醒(何度も目が覚めしまい、その後も眠れない)
- 熟眠障害(寝ているのに熟睡感がない )
- 入眠障害(なかなか寝付けない)
- 過眠症(十分な睡眠時間をとっているのに日中に強い眠気が起こる)
睡眠障害は他の不調にもつながり、うつ病悪化を招くこともあるため、注意したい症状です。
5:倦怠感・疲れが取れない
週末にゆっくり休んでも疲れが取れない、全身のだるさが続くなどの症状も要注意です。
うつ病では身体的な疲労感が強く現れることがあり、いつもは何も考えずにこなせていた歯磨きやトイレ、入力などちょっとした動作でもつらく感じたり、気力がわかなくなったりします。
6:集中力が低下する・ミスが増える
集中力や思考力の低下も、うつ病の症状の一つです。仕事や家事の効率が落ちたり、ミスが増えたりすることがあります。
このような症状は本人よりも先に、周囲が気づくことが多いです。
7:話し方や行動がいつもより遅くなる・言葉がなかなか出てこない
うつ病になると、話し方がゆっくりになる、口数が少なくなる、動きが鈍くなる、言葉がなかなか出てこないといった症状が起こることがあります。
これらは「精神運動制止」と呼ばれ、周囲の人が「いつもと様子が違う」と感じるサインの一つです。
8:イライラする・落ち着きがなくなる
イライラや焦燥感も、うつ病の症状の一つです。
若い人や男性に見られることが多く、些細なことで怒りっぽくなる、落ち着きがなくじっと座っていられない、早口になるなどの行動として現れることがあります。
攻撃的になることもあり、対人関係にも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
9:泣くことが増える・涙が止まらない
うつ病になると「些細なことで泣いてしまう」「理由もなく涙が出る」といった症状が起こることがあります。
これは、脳の神経伝達物質であるセロトニンの機能が低下することでうまく感情がコントロールできなくなるためだといわれています。
10:不定愁訴(原因がわからない不調や痛み)
不定愁訴とは、明らかな原因がわからないのにさまざまな不調や痛みが起こる状態のことです。
うつ病では、頭痛、肩こり、胃の不快感、めまい、消化器症状(下痢や便秘)、腰痛、背部痛など、原因不明の身体症状が現れることがあります。女性の場合、月経不順の症状が起こることもあります。
不定愁訴だけでうつ病と判断することは難しいものの、原因のわからない不調に悩んでいる場合は一度クリニックで相談してみましょう。
11:自分には価値がないと感じる・自分を責めてしまう
うつ病では、「自分には価値がない」「何をしても駄目だ」など、自分を責めたり、自分に価値がないと感じたりする傾向が強くなります。
例えば、仕事でのミスを必要以上に深刻に受け止め、自分の能力全体を否定してしまったり、過去の失敗を繰り返し思い出して自分を責め続けたりするなどです。
「自分はダメな人間だ」という間違った思い込みにより自分を責め、それによってさらに気分が落ち込むなど、うつ病悪化の悪循環につながってしまいかねません。
12:希死念慮(自殺念慮)
うつ病の中でも危険なサインとして、希死念慮(自殺念慮/死や自殺について繰り返し考えること)があります。
「死にたい」「消えてしまいたい」といった考えが浮かんだり、直接死について口にすることもあれば、以下のように一見気づきにくいサインもあります。
- 身辺整理をする(物を捨て始めるなど)
- 「今までありがとう」など周囲の人に感謝を伝え始める
- 身なりに気を使わなくなる
このようなケースでは、できるだけ早めにクリニックを受診することが大切です。
周囲に気づかれず自分でも気づきにくい「微笑みうつ病」に注意

一見うつ病に見えにくいのが、「微笑みうつ病」と呼ばれるタイプのうつ病です。正式な医学用語ではありませんが、典型的なうつ病と区別してこのような俗称で呼ばれることがあります。
微笑みうつ病の人は、人前では明るいため周囲に理解されにくく、発見も遅れがちです。
しかし、本人はつらい気持ちを我慢して元気に振る舞っているため、気づいたときには悪化してしまっていることがあります。
無意識に明るく振る舞っている場合もあり、自分でも気づきにくく、注意が必要です。
うつ病の初期症状の期間と受診目安

「最近気分が落ち込んでいる」「夜なかなか寝つけない」といったことは、多少であれば誰しも経験するものです。
しかし、ここまでで紹介した症状が2週間以上続く場合は、うつ病の可能性が考えられるため、早めにクリニックを受診しましょう。
なお、2週間はあくまで目安です。
症状の現れ方や進行速度は人によって異なり、先延ばしにするうちに悪化してしまう可能性もあるため、つらい症状があれば自分で対処しようとせず、専門家に相談することが大切です。
うつ病の初期症状の対処法・治し方

「うつ病になりかけているかもしれない」と思ったら、早めに対処することが大切です。ここからは、うつ病かもしれないと思ったときの対処法や治療法について紹介します。
休息する
うつ病では、休息が非常に重要です。
十分な休養時間を確保して、心身を休めましょう。あれこれ考えすぎないよう、頭を休ませることがポイントです。
すぐにしっかり休むことが難しければ、残業を減らして仕事後にゆっくり休めるようにしていきましょう。
休職期間の過ごし方については、以下の記事で詳しく解説しています。
生活リズム・栄養バランスを整える
規則正しい生活や整った栄養バランスは、健康の基本です。
不規則な生活や寝不足、偏った食生活を見直すことはうつ病の悪化を防ぐだけでなく、予防にもなります。
ストレス管理をする
ストレスをゼロにすることは難しいですが、溜めすぎないようにしたり、こまめに発散したりといった工夫は可能です。
できる限りストレスの原因から距離を取り、読書や音楽鑑賞、映画鑑賞、趣味に熱中するなどしてストレスを解消しましょう。
特に、運動はうつ病の予防や改善に効果的といわれているため、定期的に運動するのがおすすめです。
クリニックを受診する
うつ病の初期症状に当てはまっているときや、憂鬱な気持ちが続くときなどは、クリニックを受診することが大切です。
「自分に限ってうつ病になることはない」「うつ病じゃなくてただ落ち込んでいるだけかもしれない」と考えている方も、少しでも気になるのであれば、医師に相談してみましょう。
もしもうつ病だった場合、うつ病治療の3本柱といわれる「十分な休養」「薬物療法」「カウンセリング・精神療法」を基本に治療を進めていきます。
オンラインカウンセリングを受けてみる
「クリニックを受診しようとしても、数ヶ月先まで予約が取れない」「精神科を受診するほどではない気がする」「初めての受診で不安」そんな方は、オンラインカウンセリングがおすすめです。
例えば、医師監修オンラインカウンセリングの『かもみーる』では、いつでもどこでも医師やカウンセラーに悩みや気になることを相談できます。医師によるオンライン診療も可能です。
つらい気持ちを誰かに伝えるだけでも、気持ちが楽になることもあります。一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

うつ病の初期症状についてのよくある疑問

ここでは、うつ病の初期症状に関連する疑問について紹介します。
Q:うつ病の人がとる行動は?
うつ病の人に見られがちな行動は、以下のとおりです。
- 遅刻・欠勤・早退が増える
- 仕事や家事の効率低下・ミスが増える
- 身だしなみに気を使わなくなる、清潔感がなくなる
- 人とのコミュニケーションを避けるようになる
- 外出をしなくなる
- 体重や体型が変化する
- 感情の起伏が激しくなる
- アルコールやギャンブルなどに依存する
うつ病は本人ではなく、周囲の人が先に気づくケースもあります。
身近な人の行動に変化が見られたときは、まず本人の話にじっくりと耳を傾け、必要があればクリニックの受診を促してみましょう。本人の受診が難しければ、ご家族が相談してみるのも一つの方法です。
Q:うつ病で顔つきが変わることはある?
うつ病では、気分の落ち込みや集中力・意欲低下などにより、顔つきにも変化が見られることがあります。
- 無表情になる
- 視線が下がる
- ぼんやりしている
- 目がうつろになる
- 緊張してこわばっている
- 表情が暗く悲しげ
- 顔色が悪い など
顔つきや表情だけでうつ病と判断することはできませんが、その他にも気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、睡眠障害といった症状がある場合、うつ病の可能性が考えられます。
初期症状のうちに対処して悪化を防ぐことが大切
うつ病では、気分の落ち込み、興味や喜びの喪失といった症状の他にもさまざまな症状が起こることがあります。
自分では気づいていないケースも多いため、症状を軽視して「気のせいだ」「自分に限ってうつ病になるはずがない」などと片付けず、一度医師やカウンセラーに相談してみましょう。
うつ病は適切な治療を受ければ、十分に回復可能な病気です。早期発見・早期治療が、発症回避やより早い回復につながります。
医師監修オンラインカウンセリングの『かもみーる』では、経験豊富な医師や有資格のカウンセラーによるオンライン診療・オンラインカウンセリングを行っています。
「うつ病かもしれない」という心配事を抱えているのは、それだけでもつらいことです。難しく考えすぎず、話を聞いてもらうくらいの気持ちで、まずは『かもみーる』にご相談ください。
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