うつ病やパニック障害の方が泣くと過呼吸が起こる場合があります。
呼吸が浅くなり、空気を吸っても足りないように思えて苦しい状態のため、「過呼吸になったらどうしよう」と心配な方もいるのではないでしょうか。
過呼吸やうつ病やパニック障害の随伴症状であり、過度に心配する必要はないものですが、起きた時にどうするべきかを知っておくと心配を軽減しやすくなります。
そのためには、泣くと過呼吸になる原因や過呼吸の定義、対策、予防法などを知っておくと役立つでしょう。
この記事では、泣くことで過呼吸が起こる原因や症状の詳細、起きた時の対策、取り入れやすい予防法などについて紹介します。
過呼吸でお悩みの方は参考にしてください。
過呼吸とは?

強い緊張や不安を感じた時、過呼吸が起こることがあります。
呼吸の乱れによって息苦しさやめまいなどの症状が現れ、不安を感じる方も多いかもしれません。
ここでは過呼吸の仕組みや主な症状、診断などについて紹介します。
過呼吸とは
過呼吸とは、必要以上に呼吸の回数や速さが増え、息を吸ったり吐いたりする動きが過剰になった状態です。
この時に身体の中から二酸化炭素が多く出てしまい、血液の性質が一時的にアルカリ性へ傾きます。
血液がアルカリ性に傾くと血管が収縮し、脳や筋肉に酸素が届きにくくなり、その結果、息苦しさ、手足のしびれ、めまいなどが起こる仕組みです。
過呼吸が起こる原因の多くは精神的なストレスや不安ですが、疲労や睡眠不足、発熱、激しい運動などの肉体的な要因が関わることもあります。
しばらくすれば自然に落ち着くことが多く、命に関わるものではないため、対策や予防法を身に付けて適切に対処しましょう。
過呼吸の主な症状
過呼吸が起きた際、呼吸器・循環器・神経の3つの系統に症状が出やすいです。
以下に代表的な症状をまとめました。
系統 | 代表的な症状 |
|---|---|
呼吸器系 | ・呼吸が速くなる、荒くなる ・呼吸困難を覚える |
循環器系 | ・脈が速くなる ・動悸がする ・胸痛を感じる |
神経系 | ・めまいがする ・吐き気がする ・手足の先や口の周囲にしびれを感じる |
このような症状は血液中の二酸化炭素が減り、神経や筋肉が過敏になって刺激に反応しやすくなるために起こります。
重い場合には筋肉が硬直したり、意識を失ったりすることもありますが、多くは時間の経過とともに自然に回復します。
過呼吸の診断基準や検査は?
過呼吸の診断には確立した基準が定められていませんが、医師の診察・検査によって診断されます。
問診で症状の経過やストレスの有無を把握し、必要に応じて動脈血ガス分析を行います。
この検査で血液中の二酸化炭素が低く、血液がアルカリ性に傾いている場合、過呼吸によるものと判断されることが多いです。
発作が落ち着くと数値が正常化することもあるため、検査と経過観察を組み合わせて診断します。
過呼吸になりやすい人は?
過呼吸は、精神的な影響を受けやすい人や緊張しやすい性格の人に多く見られます。
特に以下のような人は過呼吸が出やすい可能性があります。
- 不安や恐怖を感じやすい人
- 責任感が強く完璧を求める傾向のある人
- 感情を抑え込みやすい人
- ストレスを溜め込みやすい人
- 10代~20代の若い世代 など
10代~20代の若い世代で多く見られる症状ですが、30代以上や高齢者、幼児が過呼吸を起こさないというわけではありません。
また、男性よりも女性のほうが発症する確率が約2倍高くなっています。
(参照:過換気症候群)
うつ病やパニック障害で泣くと過呼吸が起こる理由は?

泣いたあとに息苦しさや過呼吸のような症状が出る場合があります。
これは一時的な呼吸の乱れだけでなく、うつ病やパニック障害などの精神的な疾患と関係している場合もあります。
ここでは、うつ病やパニック障害に関連する過呼吸の仕組みと原因、治療や注意点などについて紹介します。
過呼吸はうつ病・パニック障害で見られる症状
過呼吸はうつ病やパニック障害の随伴症状のひとつです。
うつ病では気分の落ち込みや悲しさに加えて、不安感や焦燥感、自律神経の乱れが生じやすくなります。
感情の起伏が激しくなったり、些細なことで涙がこぼれたりする状況に泣く時の呼吸の乱れが重なり、結果として過呼吸が起こることもあるでしょう。
一方、パニック障害では、突然強い不安や恐怖を感じる「パニック発作」が起こり、動悸、息苦しさ、めまい、手足のしびれなどの身体症状を伴うことが多いです。
この時、過呼吸はパニック発作の症状のひとつとして現れます。
つまり、うつ病やパニック障害では心の状態が体の呼吸にも影響し、精神的ストレスが呼吸の乱れとして現れる仕組みということです。
▶パニック障害になりやすい人の特徴│性格・年代・環境や遺伝など徹底解説!セルフチェックも
元の疾患を治療することで改善していく
うつ病やパニック障害に伴う過呼吸は、前述の通り随伴症状で引き起こされる身体的な反応のひとつです。
そのため、過呼吸を改善するためには、原因になっている疾患の治療を進めることが効果的です。
うつ病では、抑うつ気分や不安、焦燥感が和らぐにつれて自律神経の働きが整い、呼吸の乱れが起こりにくくなります。
パニック障害では、発作のきっかけになる強い不安を軽減する治療を続けることで、過呼吸発作の頻度の減少が期待できます。
治療は時間がかかる場合もありますが、根気よくゆっくりと進めていきましょう。
時間が経てば呼吸は落ち着く
過呼吸の発作は時間の経過とともに自然に落ち着く場合がほとんどであり、過呼吸が長時間続くことはほぼありません。
多くの場合で10分~1時間程度で治まります。
焦って呼吸を止めたり、無理に整えようとすると逆効果になる場合があるため、できるだけ落ち着きながら呼吸を整えてみましょう。
泣いた後の発作も同様で、落ち着いた呼吸を続ければやはり時間の経過とともに回復することが多いです。
泣きすぎて吐き気がするほどつらい時に過呼吸が出てさらに苦しくなったり、過呼吸でさらに「涙止まらない!」という状況になったりしても、時間の経過とともに落ち着いていきます。
ただし、ごくまれに激しい過呼吸が続いたり、強すぎる緊張状態になったりした場合には、一時的に失神や痙攣が起こる恐れもあります。
このような場合でも呼吸が正常に戻れば意識が回復し、生命に関わるような事態にはならないことがほとんどですが、どうしても心配な場合には医療機関に相談するのも選択肢です。
精神疾患以外が原因で過呼吸に似た症状が起こることも
過呼吸に似た症状は、精神疾患以外の病気でも起こります。
例えば、心臓や肺の病気、代謝異常、貧血、甲状腺疾患などでは、息苦しさや動悸が生じ、過呼吸のような状態が生じることもあります。
また、感染症や高熱、強い痛みなどの身体的ストレスも呼吸の乱れを引き起こしやすいです。
このような場合は根本的な原因がうつ病やパニック障害などの精神疾患とは異なるため、単なるストレス反応として放置するのは危険です。
症状が長引く、発作が急に増える、胸の痛みや意識の低下を伴うなど異常を感じた際には、ほかの病気が隠れている可能性があります。
内科や循環器内科などほかの診療科の受診も検討するとよいでしょう。
泣いて過呼吸が起きた時の対処法

泣いて過呼吸が起きた際、対処法を知っていれば落ち着いて行動できます。
ここでは、泣いて過呼吸が起きた時の対処法について紹介します。
意識的にゆっくり呼吸をする
過呼吸が起きた時、まずは呼吸をゆっくり整えるように意識しましょう。
口をすぼめて息を吐く時間を長く意識し、吸うよりも吐く方に集中します。
浅い呼吸でも問題はないため、「ゆっくり吐く」動作を続けてください。
落ち着きながら呼吸のリズムを整えていくと、しびれやめまいなどの症状も軽減されていきます。
無理に深い呼吸をしない
過呼吸の時に「吸えていない」と感じても、実際には十分な酸素が取り込まれています。
息苦しさに焦って無理に吸おうとすると、二酸化炭素がさらに減少し、症状が悪化する恐れがあるため、前述のように「息を吸う」よりも「息を吐く」ことを意識してください。
吐く時間を長めに取ると、呼吸のリズムが整いやすくなり、体の緊張も緩和されます。
楽な姿勢になる
立っているときは座る、座っているときは背もたれに身体を預けるなど、楽な姿勢を取り、呼吸に使う筋肉の負担を減らすことも効果が期待できます。
身体の力を抜いて安定した姿勢を保ち、呼吸を整えていきましょう。
周囲に人がいる場合には、静かな環境を作ってもらうとより効果的です。
「一時的な症状だ」と考える
過呼吸の発作は一時的な症状で、生命に関わることはほとんどありません。
過度に不安にならず、「時間が経てば落ち着く」と意識して、安心できるように自分の心を誘導しましょう。
不安や恐怖を感じると自律神経の乱れが強まり、呼吸の乱れが悪化することがあります。
症状のほとんどは時間の経過とともに自然に回復します。
気持ちを鎮めながら呼吸を意識して、落ち着くまで待ちましょう。
身体を締め付けない
発作時に衣服が体を圧迫していると、呼吸しづらさを感じることがあります。
ベルトや襟元、下着の金具、ネクタイなどをできる範囲で緩め、呼吸しやすい状態を作りましょう。
周囲に信用できる人がいる場合は、サポートをお願いするのもよいでしょう。
【注意】紙袋法(ペーパーバッグ法)は避ける
以前は過呼吸の対処法として紙袋を使う方法(ペーパーバッグ法)が知られていましたが、現在は推奨されていません。
この方法では酸素濃度が低下し、逆効果になる恐れがあるためです。
過呼吸は適切に呼吸を整えれば自然に落ち着く症状のため、呼吸を整えることを第一に考えましょう。
過呼吸を予防する方法は?

日常生活で心身を安定させる工夫を取り入れることで、過呼吸を防ぎやすくなります。
ここでは、過呼吸を予防するために意識しておきたいポイントを紹介します。
ストレス対策をする
過呼吸を防ぐために、心身にストレスをかけすぎない生活習慣を意識しましょう。
ストレスが溜まると呼吸が浅くなり、無意識に速くなりやすくなります。
十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、適度な運動を取り入れて生活の質を保ち、自律神経を安定させましょう。
仕事や人間関係などで緊張が続き、ストレスを感じた場合は、短時間でもリラックスできる時間を設け、心の余裕を作ることがおすすめです。
気分転換を意識的に行い、ストレスケアをしていきましょう。
感情のコントロールを意識する
強い不安や怒り、悲しみなどの感情が高ぶると、自律神経が刺激されて呼吸のリズムが乱れ、過呼吸を招きやすくなります。
感情の変化を完全に防ぐことは難しいため、感情を客観的にとらえ、深呼吸や短い休憩を挟み、心の状態を整える工夫をしてみましょう。
例えば、緊張や焦りを感じた時には、呼吸をゆっくり整えながら「落ち着こう」と意識するだけでも効果が期待できます。
過呼吸の前兆を感じたら心身のリラックスを意識する
過呼吸が起こる前に、軽い息苦しさや手足のしびれなどの前兆が現れる場合があります。
そのようなサインを感じた時には深呼吸をしたり休憩を取ったりなど、無理をせずに心身を休めましょう。
口をすぼめてゆっくり息を吐いたり、リラックスした姿勢になったりなど、自分で取り入れやすい方法を試してください。
過呼吸について理解する
「うつ病やパニック障害では過呼吸は起こるもの」「起きても時間が経てば治まる」など、過呼吸について理解しておくと、実際に症状が出た時に「大丈夫!」と自信を持ちやすくなります。
正しい知識は安心感につながりやすいため、ご自身で調べたり、医師に質問したりして、過呼吸についての理解を深めておきましょう。
泣くと過呼吸が出るうつ病・パニック障害は心療内科で治療を
うつ病やパニック障害の方が泣くと出ることのある過呼吸は、病気の随伴症状であり、時間が経てば落ち着くことがほとんどです。
過呼吸が起きている時には苦しくてつらいですが、時間が経過すれば落ち着き、生命に影響はありません。
もしも過呼吸が起きた際には楽な姿勢を取り、呼吸を整える方法を試してください。
また、日常生活の中でのストレスケアも心を安定させ、感情の乱れで泣くことからの過呼吸を予防しやすくなります。
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