パニック障害とは?主な症状や原因、診断方法・治療法などを紹介

投稿日 2025年04月15日

最終更新日 2026年09月25日

パニック障害
パニック障害とは?主な症状や原因、診断方法・治療法などを紹介

パニック障害(パニック症)は、予期しないパニック発作を繰り返し、その後も「また発作が起こるのではないか」という持続的な心配や、発作を避けるための行動変化が続くことを特徴とする精神疾患です。

パニック発作そのものはパニック障害以外でも起こるため、「パニック発作がある=パニック障害」ではありません。

一度パニック障害が発症すると、次の発作や発症した場所への恐怖心からほかの症状が持続する可能性があるため、早めの対処・治療が大切です。

では具体的に、パニック障害の症状や原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

この記事では、パニック障害の症状・原因や、診断方法・治療法などをわかりやすく紹介します。

原因不明の不安・恐怖心を感じたことがある人や、一定の場所で動悸や呼吸困難などの症状を伴うケースがある人は参考にしてください。

パニック障害はどんな病気?

パニック障害は、突然訪れる恐怖心や強い不安感によって動悸や呼吸困難などのパニック症状が現れる精神疾患で、日常生活に支障をきたす恐れがあります。

パニック障害では、以下のようなパニック症状がみられます。

  • 動悸や息切れ・息苦しさ
  • 冷や汗をかく
  • 身体や手足が震える
  • 胸の痛みや不快感
  • 吐き気や胃の不快感
  • めまい・ふらつき
  • 寒気やほてり
  • 現実味がない、自分が自分ではないような感覚
  • 自分の感情をコントロールできないことへの恐怖
  • このまま死んでしまうかもという恐怖

パニック発作は急激に始まり、通常は数分以内に症状が強まり、比較的短時間でピークを越えます。

ただし、発作後もしばらく動悸、疲労感、不安感などが残ることがあります。

また診断では、症状が身体疾患や物質の影響でより適切に説明されないかを確認します。

症状によって内科や呼吸器科を受診する方もいますが、パニック障害が原因である場合は、検査をしても身体的な疾患が見つからないケースが多いです。

反対に、パニック障害のような症状が高血圧や糖尿病など他の疾患から現れている場合もあるため、その可能性も視野に入れて検査を行います。

パニック発作を経験すると、「逃げにくい場所で発作が起きたらどうしよう」「助けを得られなかったらどうしよう」という不安から、電車、人混み、映画館などを避けるようになることがあります。

回避が強くなると日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

パニック障害でみられる主な症状

パニック障害では、予期しないパニック発作に加え、発作の再発やその結果に対する持続的な心配(予期不安)、発作を避けるための行動変化などがみられます。

また、広場恐怖症を併存することもあります。

現在の診断体系では、広場恐怖症はパニック障害とは別の診断として扱われます。

パニック発作

先ほど紹介したような動悸や呼吸困難、冷や汗、震えなどの症状が突然起こることをパニック発作といい、リラックスした状態の時にも起こる可能性があります。

パニック発作は急激に始まり、数分以内に症状がピークに達することが特徴です。

強い発作そのものは比較的短時間でピークを越えることが多い一方、発作後の不安感や疲労感などが長く残ることがあります。

また、人によって頻度は違えど一日に数回や年に2〜3回などと発作を繰り返すのが特徴です。

パニック発作自体が命に危険を及ぼすわけではありませんが、このまま死んでしまうのではないか、自分が自分でなくなってしまうなどの恐怖を感じることがあります。

パニック発作はパニック障害がない人にもみられるケースがあり、閉所恐怖症の人が狭いところにいたり高所恐怖症の人が高いところにいたりする場合にも引き起こされる発作です。

予期不安

予期不安とは、パニック発作を起こした経験のある人が、再び同じ状態になったらどうしようという恐怖を感じる症状です。

パニック発作がない時も不安感が払拭されず、怯えた状態が持続します。

また同じ発作を起こすことを恐れる以外に、次はさらに酷い発作が起きるかも、今度こそ死んでしまうかもしれない、などの恐怖を感じるケースもあります。

広場恐怖

広場恐怖とは、過去に発作を起こした環境や他人に助けを得られないような場所を恐れる状態です。

ここは発作が起きそうな場所だ、人に助けてもらえなかったらどうしよう、発作が出たら恥をかくかもしれない、などの不安を感じる場所を避けるようになり、症状が強くなると日常生活に影響を及ぼします。

広場恐怖という名称ですが、広場に限らず映画館・飛行機・電車・トンネル・人ごみや行列などさまざまな場面に対して拒否反応を示します。

恐怖を感じる場所や状況が増えると、一人で外出するのが困難になったり引きこもり気味になったりする恐れがあります。

また、パニック障害にはうつ病などが併存することもあるため、気分の落ち込みなどが続く場合はあわせて評価します。

パニック障害の原因

パニック障害の原因は一つに特定されていません。

遺伝的素因、恐怖や不安に関わる神経回路、身体感覚への注意や解釈、ストレスなど複数の要因が相互に関係して発症すると考えられています。

なお、パニック障害を引き起こす原因について詳しく知りたい場合は、こちらの記事も合わせてご覧ください。

▶パニック障害の原因は?ストレスとの関係や発症・発作のきっかけについて解説

遺伝

パニック障害には遺伝性があり、家族にパニック障害やその他の不安障害をもつ方がいる場合は発症のリスクが高い傾向があるとされています。

親にパニック障害があると、その子どもも同じくパニック障害になるリスクが高まるとされていますが、詳しいメカニズムは明確にはわかっていません。

現時点では正確な遺伝子は特定されていないものの、複数の遺伝的要因がパニック障害の遺伝に関与していると考えられています。

心的外傷(トラウマ)

強いストレスを伴う出来事や生活上の変化が、パニック障害の発症前にみられることがあります。

ただし、特定のトラウマがパニック障害の直接的な原因になるとは限りません。

トラウマ体験の再体験やフラッシュバックが中心の場合には、PTSDなど他の疾患との鑑別も重要です。

心理的な要因

パニック障害では、動悸や息苦しさなどの身体感覚を「心臓発作かもしれない」「このまま死ぬかもしれない」と危険なものとして捉えることが、発作への恐怖を強める場合があります。

身体感覚への注意が強まることで、不安がさらに高まる悪循環が生じることがあります。

ただし、特定の性格だからパニック障害になるわけではありません。

パニック障害になりやすい人の特徴については、こちらの記事でも具体的に紹介しているため参考にして下さい。

▶パニック障害になりやすい人の特徴|性格・年代・環境や遺伝など徹底解説!セルフチェックも

パニック障害の診断方法

動悸やめまいといった症状は、パニック障害以外の病気でも見られることのある症状です。

パニック障害の診断の中心は、発作の症状、起こり方、頻度、発作後の不安や回避行動などについて詳しく確認する問診です。

身体症状や年齢、既往歴などに応じて、必要な場合には血液検査や心電図などを行い、身体疾患の可能性を評価します。

すべての患者さんに同じ検査を行うわけではありません。

問診

問診では、パニック障害の代表的な症状にいくつ当てはまるかや、それが繰り返されていたかなどを確認します。

パニック発作では、強い恐怖または強い不快感が急激に高まり、数分以内にピークに達する間に、動悸、発汗、震え、息苦しさ、窒息感、胸部不快感、吐き気、めまい、悪寒・熱感、しびれ、現実感消失・離人感、コントロールを失う恐怖、死への恐怖などのうち4項目以上が出現します。

さらにパニック障害では、予期しない発作を繰り返し、その後少なくとも1か月以上、発作の再発や結果への持続的な心配、または発作に関連した不適応な行動変化が続いているかを確認します。

また精神的・肉体的な自覚症状に加えて、症状の激しさや出現頻度、日常生活にどれほどのレベルで支障をきたしているかなどを評価します。

血液検査・尿検査

症状がパニック障害によるものなのか、そうではないのかを判断するために、血液検査や尿検査が必要になるケースがあります。

例えば、糖尿病やバセドウ病、甲状腺機能低下症などの疾患があると、動悸や不安感などのパニック障害と似た症状を伴う可能性があります。

血液検査や尿検査は、症状や診察所見から身体疾患が疑われる場合などに検討されます。

検査で異常がないことだけでパニック障害と診断するのではなく、発作の特徴や経過を含めて総合的に判断します。

心電図

心電図は、胸の痛みや動悸などの症状がパニック障害によるものなのかを判断するために行います。

唐突な胸の痛みは、パニック障害ではなく心臓や肺に異常が現れていることが原因である恐れがあります。

そのため血液検査や尿検査と同様に、症状の原因となる疾患があるかの確認のために重要な検査です。

胸痛や呼吸困難などがある場合には、症状や診察所見に応じて心電図、血液検査、画像検査などを検討します。

初めての強い胸痛、失神、持続する強い呼吸困難などがある場合には、パニック発作と自己判断せず、緊急性のある身体疾患も含めて評価することが重要です。

パニック障害の治療法

パニック障害の治療法には、以下の種類があります。

薬物療法

パニック障害の薬物療法では、SSRIなどの抗うつ薬が主要な選択肢です。

抗うつ薬はパニック発作や予期不安を軽減する目的で使用されます。

開始直後に一時的に不安や焦燥感が強まることがあるため、状態に応じて少量から開始し、副作用を確認しながら調整します。

ベンゾジアゼピン系薬は速やかに不安を軽減することがありますが、依存・耐性や離脱症状などの問題があり、長期治療の中心には位置づけません。

即効性があるため突発的な発作に対する頓服として効果的ですが、副作用として眠気・ふらつき・依存性があるため、長期間の使用は避けるのが望ましいです。

SSRIなどの抗うつ薬は、脳内のセロトニン神経系などに作用し、パニック発作や予期不安を軽減します。

ただし、効果を単純に「セロトニン不足を補う」と説明することはできません。効果が現れるまでには一定の期間が必要です。

神経伝達物質のバランスを整えることで不安感やうつ症状を緩和する働きがありますが、悪心・めまい・眠気などの副作用を伴う可能性があるため、医師とよく相談して使用することが大切です。

パニック障害は経過に個人差がありますが、発作への恐怖や回避行動が広がると生活への支障が大きくなることがあります。

症状が繰り返す場合や、外出・仕事・学業などに影響している場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。

認知行動療法

認知行動療法は、認知療法と行動療法を合わせた治療法を指します。

認知行動療法(CBT)は、パニック障害に対して有効性が確立している心理療法の一つです。

心理教育、身体感覚を危険だと解釈する認知への働きかけ、身体感覚への曝露(内受容感覚曝露)、避けている場所や状況への段階的な曝露などを組み合わせます。

治療は、パニック症に対するCBTの訓練を受けた専門家と相談しながら進めます。

TMS

TMS(経頭蓋磁気刺激)は、パニック障害への応用も研究されています。

右背外側前頭前野への低頻度rTMSなどで症状改善を示した小規模研究があり、2026年のランダム化比較試験では、CBTに低頻度rTMSを追加した群で、偽刺激+CBT群より早期のパニック・不安症状の改善が大きかったと報告されました。

一方、研究数・対象者数はまだ限られており、パニック障害に対する標準治療として有効性が確立した段階ではありません。

現時点ではCBTや薬物療法などの標準治療を基本とし、TMSはエビデンスが限定的な補助的選択肢として検討されます。

参考:Yang et al. 2026:CBT+低頻度rTMSのランダム化比較試験

Cochrane:Repetitive transcranial magnetic stimulation for panic disorder

パニック障害と間違えやすい疾患

パニック障害は、症状の特徴から以下のような身体疾患や精神疾患と間違われやすいとされています。

身体疾患

  • 甲状腺機能障害
  • インスリノーマ
  • 褐色細胞腫
  • 不整脈
  • 慢性呼吸器疾患

精神疾患

  • 社交不安障害
  • 強迫性障害
  • 分離不安障害
  • PTSD
  • うつ病

パニック障害には、動悸や息切れなどの症状を伴う身体疾患や、強い不安感や恐怖を感じる精神疾患と似た症状があります。

適切な治療を受けるためには、詳しい検査や医師による診断が必要です。

パニック障害ではなく他の疾患が原因で症状が現れている可能性も懸念されるため、不安な点は医師に直接相談しましょう。

パニック障害かも?と思ったら相談してみよう

パニック障害の症状や原因、治療法について紹介しました。

パニック障害の治療には自身の積極性が必要ですが、周囲の理解やサポートを得ながら一人で抱え込まずに対処することも大切です。

家族や友人だけではなく、医師や臨床心理士、公認心理師などの専門家の力も借りながら回復を目指しましょう。

医師監修の『かもみーる』は、外出に不安や恐怖を感じるパニック障害の人でも安心して相談できるオンライン診療・オンラインカウンセリングサービスです。

宮城県でパニック障害についてお悩みの方は、かもみーる心のクリニック仙台院でも相談が可能です。

オンラインでの相談をご希望の方は、下記から相談が可能です。

この記事のテーマを相談できる医師

よくあるご質問

パニック発作が起きたら、何科を受診すればよいですか?

初めて強い動悸や胸痛、息苦しさなどが起きた場合は、パニック発作と自己判断せず、まず身体疾患の可能性を確認することが大切です。特に強い胸痛、失神、持続する呼吸困難などがある場合は、救急受診も検討してください。身体的な問題が否定されても発作を繰り返す場合や、「また発作が起きるのではないか」という不安、外出や電車を避けるなどの行動が続く場合は、精神科・心療内科への相談が適しています。

パニック障害は治りますか?

適切な治療によって、パニック発作や予期不安が軽減し、日常生活への支障が改善することが期待できます。代表的な治療には認知行動療法(CBT)やSSRIなどを用いた薬物療法があります。ただし、改善までの期間や再発のしやすさには個人差があるため、症状がなくなった直後に自己判断で治療を中断せず、主治医と相談しながら治療を続けることが大切です。

パニック発作が起きたときはどうすればよいですか?

すでにパニック障害と診断されており、いつもの発作と考えられる場合は、安全な場所で休み、呼吸を無理に深くしすぎず、発作の症状が次第に弱まるのを待ちます。「発作を絶対に起こさないようにする」ために場所や行動を過度に避け続けると、生活範囲が狭くなることがあります。発作を繰り返す場合には、その場の対処だけでなく、CBTなどを含めた治療について医療機関で相談することが重要です。

この記事の監修者

赤堀 将太郎

医療法人社団弘愛会理事長

赤堀 将太郎

こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。

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