投稿日 2026年05月06日
双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患で、気分の波が激しく現れることが特徴です。
普段の本人からは想像できないような振る舞いを見せることもあり、「どう接すればよいのか分からない」と悩む家族や友人も少なくありません。
この記事では、双極性障害の方に対する接し方のポイントについて詳しく解説します。
躁状態・うつ状態別の接し方のポイント、再発の兆候や自殺のサインなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
まずは双極性障害について正しく理解することが大切

双極性障害は、気分が異常に高揚する『躁状態』と、極端に落ち込む『うつ状態』を繰り返す精神疾患です。
気分の波が通常の範囲を超えて強く現れるため、本人の生活や周囲との関係に大きな影響を及ぼします。
躁状態では活動的になり、ほとんど眠らずに動き続けることがあり、本人は「絶好調」と感じがちです。
一方でうつ状態になると何も手につかず、起き上がることすら困難になるケースもあります。
こうした状態の変化は、本人だけでなく家族や友人など周囲にも大きな戸惑いをもたらします。
そのためまずは病気の特性を正しく理解し、感情の起伏が本人の意志だけではコントロールできないことを知ることが重要です。
ここでは躁状態とうつ状態の症状についてそれぞれ解説します。
▶うつ病と双極性障害(躁うつ病)の違いは?症状・原因・治療法とセルフチェックリスト
躁状態とは
躁状態とは、気分が異常に高揚し活動的になる状態のことを指します。
具体的な症状は以下の通りです。
- 普段よりもおしゃべりになる
- 睡眠をとらなくても元気
- 次々にアイデアが浮かんで止まらなくなる
- 自信過剰になる
- 買い物やギャンブルに大金をつぎ込む
- 無計画な約束をしてしまう
周囲から見ると「明るくて元気な時期」と思われがちですが、実際は気分の異常な高まりによる症状であり、決して健全な精神状態ではありません。
さらに躁状態が進むとイライラしやすくなり、怒りっぽくなる傾向も見られます。
本人にとっては調子が良いと感じる反面、トラブルの火種にもなりやすいため、早めに治療を行うことが大切です。
うつ状態とは
うつ状態とは、気分が著しく落ち込みやる気が出ない状態を指します。
具体的な症状は以下の通りです。
- 何事にも興味が持てなくなる
- 無気力になる
- 朝起き上がれない
- 疲れが取れない
- 食欲が落ちる
- 集中力の低下
- 希死念慮
双極性障害のうつ状態は、単なる気分の落ち込みではなく、脳の働きに関係する病的な状態です。
双極性障害におけるうつ状態は長く続く傾向があるため、なるべく早めに受診して適切な治療を受けることが大切です。
双極性障害の方が躁状態のときの接し方のコツ

躁状態の双極性障害の方に対する接し方のコツは以下の3つです。
- 肯定・否定をしない
- 我慢をしない
- あらかじめ本人と対応を決めておく
ここでは上記3つのコツについてそれぞれ解説します。
肯定・否定をしない
躁状態の本人は、非常にテンションが高く、自信過剰な発言や突飛な行動をとることがあります。
その際に無理に肯定してしまうと、本人の勢いを助長し危険な行動に拍車がかかる恐れがあるため注意が必要です。
また頭ごなしに否定してしまうと、本人との信頼関係が損なわれ、感情的な反発を招くことがあります。
そのため肯定も否定も避けつつ、冷静に状況を見守ることが大切です。
例えば「あなたのことを心配しているよ」「無理していないか気になっている」など、感情に寄り添った声かけをすると良いでしょう。
本人の言動に振り回されず、落ち着いた態度で接することが、悪化の防止につながります。
我慢をしない
寄り添う姿勢も必要ですが、我慢をしないことも大切です。
躁状態が続くと、本人の言動がエスカレートして周囲の負担が増していきます。
最初は「病気だから仕方がない」と思っても、攻撃的な言動や長時間の会話、突発的なトラブル対応が重なることで、周囲の人のストレスが限界に達することもあります。
このときに無理をして我慢し続けると、相手に対して怒りや嫌悪感を持ってしまうことになり、長期的なサポートが困難になってしまうでしょう。
そのため、限界を感じたときには距離を置くことも選択肢の一つです。
安全が確保できない場合や暴力・暴言がひどい場合は、医療機関や専門相談窓口にすぐに相談することが大切です。
適切な対応をとることこそが、本人のためにもなります。
あらかじめ本人と対応を決めておく
躁状態のときは、本人に自覚がない場合が多く、指摘をしても受け入れてもらえないことがしばしばあります。
そのため症状が安定している時期に、あらかじめ兆候や対応方法について話し合っておくことが大切です。
例えば「3日連続で睡眠時間が3時間未満だったら、躁の前触れかもしれない」といった具体的な目安を共有しておくと、早めの対応がしやすくなります。
またその際にどう行動するか、誰に連絡するかなど、対応の流れを決めておくと、本人も納得しやすくなるでしょう。
できれば主治医も交えて相談しておくことで、より現実的かつ効果的な対応策になります。
双極性障害の方がうつ状態のときの接し方のコツ

うつ状態の双極性障害の方に対する接し方のコツは、以下の3つです。
- 本人の話に耳を傾けて理解を示す
- 本人のペースを尊重して見守る
- 物事の決断を迫ったり催促したりしない
ここでは上記3つのコツについてそれぞれ解説します。
本人の話に耳を傾けて理解を示す
うつ状態の本人は、自分自身を責めたり「迷惑をかけている」と感じたりすることが多くあります。
そのため、「話すことすら申し訳ない」と感じて口を閉ざしてしまうことも珍しくありません。
このようなときは無理に話を引き出そうとするのではなく、「いつでも話を聞くよ」「つらかったら声をかけてね」といった安心できる声かけをすることが大切です。
本人が気持ちを話してくれたときには、途中で遮ったり否定したりせず、しっかりと耳を傾けましょう。
「話してくれてありがとう」「つらかったね」といった共感の言葉を添えることで、本人は理解されていると感じ、心の負担が軽くなることがあります。
本人のペースを尊重して見守る
うつ状態のときは、焦らせることなく、本人のペースで休養できる環境を整えることが大切です。
うつ状態のときの本人は「動きたいのに動けない」「やりたいのにやれない」と葛藤を抱えています。
周囲から見て症状が落ち着いてきたように見えても、内面的にはまだ回復途中であることが多く、無理をさせると再び悪化する恐れもあります。
サポートする側も、家事や通院の付き添いなどで負担を分け合いながら、本人が安心して治療に専念できるようにしましょう。
また治療の見通しについて話す必要がある場合も、「いま話しても大丈夫?」と確認を取りながら進めると、本人の心への負担を和らげられます。
物事の決断を迫ったり催促したりしない
うつ状態の本人は思考が悲観的になりがちで、物事を冷静に判断する力が低下しています。
このため、大きな決断を必要とする場面で誤った選択をしてしまうリスクが高くなります。
例えば仕事の退職や人間関係の断絶など、後戻りできない選択をしてしまう可能性もあるのです。
こうしたときには、「急いで決めなくていいよ」「調子が戻ってから一緒に考えよう」といった声かけで、決断を先延ばしにする配慮が必要です。
また何かを催促するような言動も、本人のプレッシャーになるため避けましょう。
もしどうしても判断をしなければならない場合には、「一緒に考えていこう」「迷ったら相談してね」と支える姿勢を示すことが大切です。
双極性障害の躁状態・うつ状態に共通する接し方のコツ

双極性障害の躁状態・うつ状態に共通する接し方のコツは以下の通りです。
- 双極性障害について正しく理解する
- 生活リズムを整えるように協力的に接する
- 普段と様子が異なる場合は受診を促す
- 味方であることを示す
- 適度な距離感を保ってサポートする
ここでは上記5つのコツについてそれぞれ解説します。
双極性障害について正しく理解する
まず大前提として、双極性障害は「性格の問題」ではなく「脳の病気」であることを正しく理解しておく必要があります。
気分の波が極端に大きく、本人の意思でコントロールできないという点を周囲が認識していないと、「どうしてそんなことをするのか」「前はできていたのに」といった誤解や責める気持ちにつながりやすくなるためです。
また躁状態やうつ状態にはそれぞれ兆候があり、話し方や生活態度に現れる場合もあります。
その変化に早く気づけるよう、日頃から本人の傾向を共有し、情報を記録しておくことが大切です。
病状や薬、治療法についても主治医に相談するなどして理解を深め、適切な対応ができるよう備えておきましょう。
▶︎ 双極性障害は治る?寛解までの期間の目安や治療方法について解説
生活リズムを整えるように協力的に接する
生活リズムの乱れは、双極性障害の悪化や再発を招く大きな要因の一つです。
特に睡眠不足は躁状態を誘発するリスクが高いため注意が必要です。
本人が夜更かしをしていたり食事の時間が不規則になっていたりする場合は、押し付けにならないよう配慮しつつ、規則正しい生活の大切さを伝えるようにしましょう。
また日常的に一緒に過ごしている人が声をかけたり、生活のリズムを共有したりすることで、自然に整いやすくなることもあります。
健康的な食事や軽い運動習慣も効果的です。
本人の気持ちを尊重しつつ、できる範囲でのサポートを心がけることで、症状の改善につながるでしょう。
普段と様子が異なる場合は受診を促す
普段と様子が異なる場合は、周囲の人が受診を促してあげることが大切です。
双極性障害の兆候は、行動や言動の変化として現れることが多くあります。
例えば普段より口数が急に増えたり減ったり、睡眠時間が極端に短くなったりといった変化は、症状の悪化を示すサインかもしれません。
特に躁状態では「自分は元気だから問題ない」と受診を拒むケースも見られるため、症状が軽いうちに対応することが重要です。
またうつ状態では「死にたい」といった発言が見られることもあり、早急な対応が必要になります。
変化に気づいたら、できるだけ穏やかに「心配している」と伝えたうえで受診を促しましょう。
味方であることを示す
双極性障害の本人は、気分の変動により孤独感や不安を強く感じることがあります。
このときに周囲の人が「あなたの味方だよ」「困ったときはいつでも相談してね」といった言葉をかけることで、本人は安心感を得られるでしょう。
また躁状態では攻撃的になったり、うつ状態では自分を責めたりしがちのため、どちらの状態でも否定や批判は避けて落ち着いた対応をすることが大切です。
必要以上に介入しすぎる必要はありませんが、「いつでもそばにいる」「見捨てない」という気持ちが伝わると、本人は孤独を感じにくくなります。
適度な距離感を保ってサポートする
双極性障害の方と長期間関わる場合、周囲の人も精神的に疲弊することがあります。
そのため、自分の心と体を守る意味でも適度な距離感を意識することが大切です。
必要なときには手を差し伸べ、そうでないときは無理をしないというスタンスが理想です。
例えば「困ったときは言ってね」と伝えておき、本人が助けを求めたタイミングで具体的な対応をするなど、相手の自立を促すとよいでしょう。
またサポートがつらいと感じたときには、無理をせず一時的に距離を置くことも選択肢の一つです。
その際には、信頼を損なわないよう「少し休むね」と一言添えるだけで関係を維持できます。
双極性障害は再発の兆候や自殺のサインを見逃さないことも大切

双極性障害は症状が落ち着いているように見えても、ふとしたきっかけで再発することがあるため、注意深く見守る必要があります。
特に再発の兆候や自殺のサインをあらかじめ把握しておくことで、本人が適切な治療を受けやすくなるでしょう。
ここでは再発の兆候・自殺のサインについてそれぞれ解説します。
双極性障害の再発の兆候
双極性障害は再発率が高い病気のため、治療中や寛解状態でも油断は禁物です。
再発の兆候は人それぞれですが、普段と違う行動や言動が見られる場合は注意が必要です。
本人が自覚していないことも多いため、家族や身近な人が早めに変化に気づけるよう、日頃からコミュニケーションをとっておきましょう。
また過去に再発した経験がある方は、どのようなきっかけや症状で始まったのかを振り返り、周囲と共有しておくと兆候を察知しやすくなります。
違和感を覚えたら、ためらわずに医療機関へ相談しましょう。
双極性障害の自殺のサイン
うつ状態が続くと希死念慮を抱くことがあり、自殺のリスクが高まります。
具体的な自殺のサインや自殺の危険を高める因子は以下の通りです。
自殺のサイン | 自殺の危険を高める因子 |
|
|
少しでも当てはまる様子が見られたら、主治医や医療機関に相談し、必要であれば入院も検討しましょう。
双極性障害の方には優しく寄り添う姿勢が大切
双極性障害の方と向き合ううえで大切なのは、病気による変化であることを理解し、状態に応じた接し方を心がけることです。
躁状態のときには否定も肯定もしすぎず、うつ状態のときには急かさず本人のペースを尊重しましょう。
また周囲の人も無理に我慢して接する必要はありません。
負担にならない適度な距離感を保ちながら、長期的に寄り添っていく姿勢が大切です。
かもみーるでは、臨床心理士・公認心理士を中心とした有資格者のみが在籍するオンラインカウンセリングサービスを提供しています。
双極性障害の方への接し方で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
仙台市で対面診察をご希望の方にも対応しています。
▶︎ かもみーる心のクリニック仙台院はこちら
▶︎ カウンセラー(医師・心理士)一覧はこちら
▶︎ 新規会員登録はこちら
