「仕事にどうしても行きたくない……」
「学校に行けない。行こうとすると体調が悪くなる……」
無気力になってしまってどうしても会社や学校に行けない人は、自分が甘えている、弱いからだと思いがちですが、それは自身が発しているSOSかもしれません。
この記事では、仕事に行けないときにまずすること、仕事に行けない原因や考えられる病気、仕事に行けない場合の対処法などを紹介します。
心身をしっかり休ませるためのポイントとして、仕事に行けない人だけでなく学校に行けない人も、ぜひ参考にしてください。
仕事に行けないときにすること

仕事に行こうとしても、吐き気や頭痛、身体が鉛をまとったように重いなどの症状がみられて動けない場合は、脳が強いストレスを受けて自己防衛反応を示しています。
ここでは「今日は仕事に行けない……」と思った日を乗り切るためにすることを2つ紹介します。
何もやる気が起こらない場合でも、この2つのポイントだけは押さえておきましょう。
無断欠勤を避ける
会社にどうしても(「行きたくない」ではなく)行けないときや、連絡もしたくない場合もあるでしょう。
しかし、無断欠勤は後の対応に影響が出る場合があるため、連絡だけはしておきましょう。
仕事の引き継ぎや連絡事項が疎かになる他に、何よりも職場の人に心配や迷惑をかけることになります。
また、有給や健康保険による傷病手当金、会社によっては休業補償などの利用が考えられます。
これらの制度を利用する場合には、所定の手続きや会社との連絡が必要です。
無断欠勤をすると職場に戻りづらくなったり、会社との関係性に影響が及んだりする場合があります。
会社にとっての大きなデメリットは、休まれることではなく連絡がないことです。
体調が悪いことを伝え、当日の業務に必要な連絡を忘れずにするようにしましょう。
とにかく休む
勇気を出して欠勤する申し出を済ませたら、あとはしっかり休みましょう。
時間があったらやらなければいけないと思っていたことがある場合でも一旦忘れ、何もしない時間を作ることが、本当の「休み」です。
他の人に迷惑をかけたり仕事が遅れたりすることを気にして自分を責めるかもしれません。
しかし、休みを取った日は自分を甘やかし、心と体をしっかり休ませることに専念しましょう。
「休み方が分からない」という人は、以下を参考にしてみてください。
- カーテンを閉めて眠る……光の刺激を遮断するとリラックス効果が得られる
- 温かい飲み物を飲む……カフェインを含まないものを選ぶ
- 好きな音楽を流す……自然の音やヒーリングミュージックなどもおすすめ
- スマートフォンを傍に置かない……仕事の連絡やSNSの通知から物理的に離れる
- 食事は無理に摂らなくていい……食べたいときに消化のよい物を摂る
外側からの刺激は思った以上に負担がかかるため意識して遠ざけ、自身の回復に集中しましょう。
仕事に行けない原因

仕事に行けない状態を引き起こしている理由は人によってそれぞれで、自分では気付かないかもしれませんが、何らかの原因が必ず隠れています。
ここでは、仕事に行けない原因の一例を紹介します。
人間関係がうまくいっていない
仕事に行けなくなる原因としてよく挙げられるのは、人間関係の悩みです。
仕事上の人間関係はプライベートとは異なるため、ストレスが溜まりやすい特徴があります。
以下のような人間関係が、悩みにつながる可能性があります。
- 上司や先輩によく怒られる
- 同僚から孤立している・なじめない
- 部下とうまくコミュニケーションがとれない
- パワーハラスメントやセクシャルハラスメントをうけている
このような悩みが続くような場合、仕事に行けない、行きたくないと感じる原因になります。
仕事内容が自分に合っていない
自分の能力や性格・興味などに合わない仕事をしていると、やりがいや達成感が得られず、ストレスを感じることが多くなります。
例えば、人と話すのが苦手なのに営業職に配属された場合や、キャリアが活かされない単純作業が延々と続く場合などです。
自分のスキルや性格に合っていない仕事を長く続けているとミスの可能性も高くなります。
そうなると上司に怒られる毎日が繰り返され、プレッシャーも高まるため必要以上に疲労します。
社会人としてはよくあることですが、適性に合っていない仕事を続ける苦痛は心身の問題につながる可能性があるため注意が必要です。
仕事に関わる時間が長すぎる
勤務時間や通勤時間などが長すぎるなど、自分の時間を確保できないうえ体力も奪われるため、心身ともに追い詰められます。
ただし、時間外労働が当たり前のように連日続いたり、休日出勤が頻繁にあったりするケースは、個人では改善が難しい問題です。
また、通勤中にみられる長時間の渋滞や満員状態などは、同じ体勢で長時間過ごす必要があるため、仕事よりもストレスがたまると訴える人もいます。
深刻な影響を受けたとしても、仕事環境の問題は自分ではどうしようもできないため、仕事に行きたくない事態が発生するといえます。
身体の不調が続いている
心が不調に陥ると、睡眠不足や倦怠感など身体にも変調をきたします。
特に睡眠不足は心身の健康に不可欠であるにもかかわらず、ストレスや仕事のプレッシャー、長時間労働などが理由で引き起こされることが少なくありません。
他にも、消化器系の不調や疲労感、身体が金縛りにあったように動かないなど、心の不調からさまざまな形で身体の不調が現れ、仕事に行けない状態を引き起こします。
仕事に行けないときに考えられる病気

仕事に行けないと感じているときは、単なる気分ややる気の問題ではなく、専門的な治療が必要な精神疾患にかかっている可能性があります。
以下は、仕事に行けない状態になっているときに考えられる病気です。
- うつ病
- 適応障害
- 不安障害
これらの病気は、情報を得ることがあっても症状によって自己判断することは非常に困難であり危険です。
また、放置することもおすすめできないため、専門の診療科である精神科や心療内科を受診しましょう。
ここでは、客観視するきっかけとして、仕事に行けないときに考えられる病気について紹介します。
うつ病で仕事に行けないときの症状や特徴
うつ病は、気分が落ち込んで、どのようなことにも興味や喜びを感じにくくなり、ひどく疲れやすくなる病気です。
精神的・身体的に以下のような症状が現れることで、生活に支障が出ている状態です。
- 精神症状
- 抑うつ状態
- 興味や喜びの喪失
- 気力・意欲・集中力などの低下
- 罪悪感
- 希死念慮・自殺企図
- 身体症状
- 睡眠不足・過眠
- 食欲低下・過食
- 呼吸がしづらい・動悸
- 下痢・便秘
- 体重の増減
このような状態がほぼ毎日、2週間以上続いている場合は注意する必要があります。
うつ病が発症する原因は精神的・身体的ストレスがきっかけと言われていますが、未だ明確にはなっていません。
悪影響を受けるようなストレス以外に、結婚や出産などのライフイベント、昇進したりプロジェクトを任されたりするなど、ポジティブな出来事がきっかけになる場合もあります。
発症の原因の一つとして考えられているのは、神経伝達物質であるセロトニンの分泌量の低下によって感情がコントロールしづらくなり、精神状態が不安定になることです。
また、セロトニンは脳のエネルギーの合成活動を促進させる機能があるため、濃度が薄くなることで精神疾患の背景になりうるという研究結果が発表されています(※)。
気の持ちようや弱さなどから引き起こされるものではなく、脳のエネルギーが欠乏している状態が一因としてあると考えられ、仕事に行けなくなってしまいます。
特に食事と睡眠については気付きやすいサインが見られるため、周囲の人は気をつけて見守りましょう。
※参考:東京都医学総合研究所「覚醒神経であるセロトニン神経が脳のエネルギー代謝調節機能を持つことを発見」
▶「うつ病かも……何科を受診すればいいの?初めての病院選びと治療の流れをわかりやすく解説」
適応障害で仕事に行けないときの症状や特徴
適応障害は、特定の原因によるストレスで、社会生活に支障をきたすような落ち込み・行動の問題がみられる状態です。
うつ病に症状が似ていますが、原因がはっきりしているという特徴があります。
適応障害の症状は以下のとおりです。
- 情緒面の症状
- 抑うつ
- 涙もろくなる
- 不安・焦り・過度に心配する
- 怒りっぽい・攻撃的
- 行動面の症状
- 無断欠勤・遅刻が増える
- 仕事上のミスが増え能率が下がる
- 暴飲暴食
- 破壊衝動
職場での人間関係やプレッシャー・配置転換などがきっかけになり、原因となる出来事から3ヶ月以内に症状が現れてきます。
適応障害は、原因となるストレスから離れることで速やかな改善がみられる傾向があるため、特定したストレスを改善する環境調整を行うことが効果的です。
▶「適応障害の治療方法は?クリニックでの治し方と自分でできる対処法を解説」
不安障害で仕事に行けないときの症状や特徴
不安障害は、強い不安や恐怖を感じて日常生活に支障が出てしまう病気の総称です。
いくつか種類がある中で、仕事に行けない場合に関連が深い病気として、パニック障害や社交不安障害があります。
- パニック障害
- 「死んでしまうかも」という強い恐怖
- 発作への予期不安
- 突然の動悸や息苦しさ・めまいや吐き気などを伴う発作を起こす
- 社交不安障害
- 人前で恥をかくのが怖い・緊張する
- 人と話す際に赤面する・発汗する・声が震える
- 人前での発表や発言を極端に避ける
特定の状況や対象に過剰に恐怖や不安を覚えるため、通勤時の前触れのない発作を恐れたり、会議中の発言や発表などに強い苦痛を感じたりします。
この2つの病気は特に仕事に行くことがつらく感じてしまいますが、適切な治療によって症状のコントロールが可能です。
▶「不安障害とは?種類ごとの特徴や症状、治療法について詳しく解説」
仕事に行けないときの対処法4つ

仕事に行けないときにおすすめの対処法を紹介します。
今日は休みがとれたとしても、明日になって時間が経ってもなかなか出勤できない場合があるかもしれません。
考えを整理する際や、不調が続く場合に参考にしてください。
信頼できる人に相談する
まずは上司や同僚、家族や友人など、信頼できる人に相談してみましょう。
『カタルシス効果』と呼ばれる作用で、抑えていた感情を言葉にして表面化することで解放、浄化され、精神的に気持ちが楽になる効果が期待できます。
話すだけではなく、改善できる所があれば相談する必要もあるため、相談相手に合った内容や話し方が必要です。
例えば上司に相談する場合は、業務調整や環境の改善に具体的につながりやすいメリットがあるため、希望を上手く伝えましょう。
また、家族や友人も心強い味方です。
仕事についてのアドバイスではなく、話を聞いて共感をして貰えることは、ストレスに晒されてきた心を癒してくれるでしょう。
一人で抱え込まず誰かに聞いてもらい、日常生活に支障をきたすほどの悩みによって張りつめていた糸を緩めることが大切です。
仕事環境を調整する
勤務時間や業務内容など、仕事の環境が調整によって変わることで、会社に行きたくないと思っていた気持ちが軽減するかもしれません。
働く時間を減らして時短勤務や時差出勤に切り替えたり、残業が苦痛だった場合は見直したりして調整してもらいましょう。
仕事が合わない・人間関係で悩んでいるなどの場合は、部署移動や配置転換などの方法もあります。
会社によってどこまで対応できるかは異なるため、働き続けるために必要な対策として上司に相談し、調整できる範囲を確認しましょう。
休職する
紹介した対処法を行ってもやはり仕事に行けない場合は、無理をせずに一旦休職し、必要な期間をしっかり休みましょう。
休職期間中は、健康保険の傷病手当金を一定期間受給できます。
ただし、会社の規定によっては休業補償や有給休暇の利用が可能なケースもあります。
手続きも含め慣れない制度ですが、休養中の生活を支えるため担当者と話をしておきましょう。
休職したら身体を休めることはもちろん、なかなかできなかった趣味や外出など、したいことをするのも心の休息としておすすめです。
回復に専念する時間として仕事から完全に離れ、焦りや罪悪感を手放して休息に努めましょう。
心療内科を受診する
改善が見られない場合は、うつ病や適応障害などの精神疾患の可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
会社に行けない場合の受診科は、精神科や心療内科です。
医師の診断に基づき、治療や復職支援等のサポートを受けることができます。
傷病手当金を申請する場合、医療機関は初診日以降の証明のみが可能であるため、早めの受診がおすすめです。
精神疾患を発症している状態で社会生活を送ることは、心身ともに大きな負担となり、悪化するケースもあるため受診を検討しましょう。
我慢しないで相談することが解決につながります
仕事に行けないことは甘えではなく、精神的な疾患が隠れている恐れがあります。
自分で努力してどうにかなるものではなく、専門家の診断が必要なこともあるため、我慢せずに相談することが重要です。
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