うつ病の原因やきっかけが分からないことはある?理由や対処法・放置するリスクを解説

更新日 2025年01月01日

うつ病
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「ある日突然、気分が沈むようになり、人に会いたくなくなった」
「思い当たる原因がないのにうつ病と診断された」
「どうして落ち込むのか理由が見つからない」

うつ病やうつ状態に悩む方の中には、発症の原因がはっきりしないケースがあり、上記のような悩みを抱える方も多いです。

しかし、原因が分からないからといって、うつ病ではないとは言い切れません。また、自分では気づけなくても、 医師やカウンセラーとじっくり話すうちに「あれが原因だったのかも」と気づくケースもあります。

この記事では、うつ病の原因が分からない理由や考えられる要因、そして対処法について詳しく解説します。

自分や身近な人のうつ病・うつ状態の原因を探り、適切な治療や対処法を見つけるためのヒントになれば幸いです。 ぜひ最後までチェックしてみてください。

うつ病では原因やきっかけがはっきり分からない場合がある

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うつ病は、脳内の神経伝達物質のバランス異常が関与していると考えられている病気です。

発症のきっかけとして多いのは「ストレス」や「過労」ですが、はっきりした原因が分からないケースも少なくありません

中には「思い当たることがないのに、いきなり気分の落ち込みや電車に乗るのが怖いなどの症状が起こった」 「ある日突然、ベッドから起きられなくなった」など突然症状を経験する方もいます。

はっきりとした原因が見当たらないケースでもうつ病である可能性があるため、 一度病院で相談してみることをおすすめします。

うつ病とは?症状・原因・治療法と自己診断チェックリスト

うつ病の原因が分からないのはなぜ?考えられる理由

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うつ病の原因が分からないと感じるのには、いくつかの理由が考えられます。以下に主な理由を挙げてみましょう。

  • 日常的なことがきっかけで本人が気づいていない
  • 本人がストレスと認識していない
  • 全く思い当たることがなく突然発症した

ここからは、それぞれの項目について詳しく解説します。

日常的なことがきっかけで本人が気づいていない

うつ病のきっかけが、必ずしも大きな出来事や明確なストレスとは限りません。日常生活の中の小さな変化や出来事が積み重なり、うつ病を引き起こすこともあります。

例えば、仕事の内容や人間関係の微妙な変化、生活リズムの乱れ、些細な失敗の積み重なりなどです。 これらが知らず知らずのうちにストレスとなり、うつ病の引き金になることがあります。

また、DVやモラハラのような一見明らかな原因がある場合でも、それが日常的に行われていると 本人は「当たり前のことである」と感じてしまい、うつ病の原因として認識されにくくなります。

本人がストレスと認識していない

実際にはストレスがかかっているものの、本人が「ストレスだ」と認識していない可能性もあります。

ストレスになる出来事と聞くと、ネガティブな出来事を想像する方が多いでしょう。

しかし、昇進や結婚、出産といった一般的には喜ばしい出来事でも大きな環境の変化を伴うため、ストレスになることがあるのです。

また、長期間続く軽度のストレス、慢性的な疲労や睡眠不足なども、本人が意識しないうちにうつ病のリスクを高める原因になります。

ストレスに無自覚になるケース

「仕事は忙しいがストレスには感じていなかった」 「パートナーへの不満はあるが、そんなことは誰にでもあるもの」 「自分はストレスとは無縁だ」のように考えている方がらすると、 自分がうつ病と診断されるのはおかしいと思えるかもしれません。

ですが、本人も気づかないうちにストレスが溜まっていることもあります。

  • もともとストレス耐性が高い
  • ストレスに慣れて感覚が鈍くなってしまっている
  • アレキシサイミア(失感情症)

上記のようなケースでは、ストレスに対して無自覚になってしまうことがあります。

アレキシサイミア(失感情症)とは自分の感情に気づきにくい傾向のことで、 ストレスをうまく認識できないことで溜め込んでしまい、うつ病などの疾患にかかりやすいとされています。

アレキシサイミアは一般の人の10.1〜16.3%にも見られ、珍しい症状ではありません。 (参照:日本保健医療行動科学会 『臨床群におけるアレキシサイミア特性と想像の特徴についての研究』)

全く思い当たることがなく突然発症した

中には、思い当たる原因がなく突然発症するケースもあります。 このようなケースでは、何らかの原因で脳内の神経伝達物質に異常が起きている可能性があるでしょう。

うつ病は、脳内の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミン)のバランスが乱れることが原因と考えられています。

何らかの原因によって、本来バランスよく存在するこれらの神経伝達物質が過剰もしくは不足になり、さまざまな不調が引き起こされます。

原因が分からない場合でもうつ病の初期症状や前兆が起こる

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原因が分からない場合や、本人がきっかけを自覚していない場合でも、うつ病の初期症状や前兆が起こります。

これらの症状に早めに気づくことが、早期発見・早期治療のために大切です。

以下は、うつ病の初期症状や前兆として見られる症状です。

  1. 今まで楽しめていたことに興味が持てなくなる、何をしても楽しくないと感じる
  2. 理由は分からないが、気分が沈んだり憂うつになったりする状態が続く
  3. 食欲が落ちる、または過食になる(それに伴う体重の増減)
  4. 睡眠の問題がある(寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目覚めてしまう、過眠)
  5. 休んでも疲れが取れない、体がだるく感じる
  6. 仕事や勉強に集中できない、決断力が落ちる、ミスが増える
  7. 話し方がゆっくりになる、言葉がなかなか出てこない
  8. 落ち着きがなくなる、イライラや焦燥感を感じる
  9. 急に泣くことが増える、涙が止まらなくなる
  10. 原因の分からない不調がある(頭痛、胃腸の不調、めまい、動悸、肩こりなど)
  11. 自分には価値がないと感じる、自分を責めてしまう否定的な思考が増える
  12. 「生きていても仕方がない」「消えてしまいたい」という考えが浮かぶ

上記のような症状が見られる場合、うつ病もしくはうつ病の前段階の可能性があります。

うつ病の初期症状やサインについては以下の記事で詳しく解説しているので、よろしければ合わせてご覧ください。

うつ病の初期症状?12のサイン丨受診目安・対処法・顔つきの変化も解説

うつ病の発症のきっかけになる要因

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うつ病の発症メカニズムは複雑で、単一の原因ではなく、以下のような複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。

  • 環境要因(仕事上のストレス、人間関係の問題、大切な人との死別など)
  • 性格傾向(几帳面で責任感が強い、完璧主義など)
  • 遺伝的要因
  • 身体疾患の影響
  • 季節の影響
  • 妊娠出産や更年期障害などホルモンバランスの変化

原因が分からない場合でもうつ病・うつ状態の対処法

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原因が分からないうつ病やうつ状態(気分の落ち込みや憂鬱さが続く状態)に悩んでいる場合でも、適切な対処法を実践することで症状の改善が期待できます。

  • ストレスを減らす工夫をする
  • 健康的な生活を意識する
  • クリニックで検査を受ける

ここからは、それぞれの対処法について詳しく解説します。

ストレス要因を見つけて対策する

ストレスはうつ病の発症や悪化に大きく影響しているため、うまく付き合うことが大切です。

しかし、原因が分からないケースでは自分がストレスを自覚していない可能性もあるため、思い当たるストレス源をいくつか書き出してみるといいでしょう。

また、十分な睡眠と休息を取り、趣味や運動など、ストレス解消につながる活動を取り入れることも効果的です。

健康的な生活を意識する

不規則な生活や偏った食事、寝不足は自律神経の乱れを引き起こし、脳内神経伝達物質のバランスを乱してしまいます。

できる限り毎日同じ時間に起床・就寝し、十分な睡眠時間を確保することが大切です。 また、栄養バランスの良い食事を心がけ、規則正しく食事を摂るようにしましょう。

運動も効果的です。中でも、一定のリズムに合わせて体を動かす「リズム運動」はセロトニンを活性化させるといわれています。(参照:有田秀穂『セロトニン欠乏脳 -キレる脳・鬱の脳を鍛え直す-』)

ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳などリズム運動にはさまざまな種類があるため、 自分が好きなもの、無理なく続けられるものを10〜30分ほど(疲れすぎない程度)実践してみるのがおすすめです。

クリニックで検査を受ける

思い当たることが無くても、何らかの不調を抱えているのであれば放置せず、クリニックを受診しましょう。

「原因が分からないのに心や体の調子が悪い」というのは、それだけでも不安やストレスになるものです。

クリニックで詳しい検査を受ければ原因が分かるだけでなく、適切な治療を受けることでつらい症状を緩和できます。

また、クリニックで医師やカウンセラーがじっくり患者さんの話を聞く中で、原因が見つかるケースも多いです。

症状が軽いうちに受診することで早期改善につながる可能性が高まるため、早めの受診がおすすめです。

原因が分からないうつ病やうつ状態を放置するのは危険

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原因が分からないからといって、うつ病やうつ状態を放置することは危険です。適切な治療を受けずに症状が長引くと、 以下のようなリスクが高まる可能性があります。

うつの症状が悪化する可能性がある

うつ病やうつ状態を放置すると、症状が悪化してしまう可能性があります。

初期段階では軽度だった症状が時間の経過とともに悪化し、仕事や学業になど日常生活に支障をきたすレベルまで 進行してしまうかもしれません。

うつの症状により、アルコール依存症や薬物依存症といった依存症を招くケースもあります。

原因が分からないからといって放置せず、症状が軽いうちに医師やカウンセラーに相談しましょう。

他の病気の合併・悪化の可能性がある

うつ病は他の身体疾患・精神疾患と合併することがあります。例えば、 不安障害やパニック障害などの精神疾患を併発するケースは少なくありません。

また、身体疾患が原因でうつ状態が引き起こされている可能性もあります。以下のような疾患がうつ病と関連していることが知られています。

  • 甲状腺機能低下症
  • パーキンソン病
  • 慢性疼痛
  • 心筋梗塞
  • がん
  • 脳卒中の後遺症など

医師による検査や診断をしなければ、どのような原因によって症状が引き起こされているかは分かりません。 他の病気の合併や悪化を防ぐためにも、早めにクリニックを受診しましょう。

原因が分からずに落ち込むのはうつ病?病院を受診する目安

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原因が分からない場合でも、心や体の不調が続くようであれば病気である可能性を考えて、病院を受診しましょう。

目安としては、症状が2週間以上続く場合は、早めにクリニックを受診するのがおすすめです。

以下の記事では、うつ状態で受診した方がいいケースやセルフチェックなどについて紹介しているので、 合わせてチェックしてみてください。

うつ病とうつ状態(抑うつ状態)の違いとは?症状や治療法、受診した方がいいケース

受診を迷っているなら気軽に相談できるオンライン診療がおすすめ

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原因不明の気分の落ち込み・不安は放置せず早めの相談を

うつ病はさまざまな要因が複雑に絡み合って起こると考えられており、 はっきりした原因が分からないことは珍しくありません。

気分の落ち込みや不安といった精神症状よりも先に体の不調が起こることもあり、 うつ病の初期段階であることに気づかないケースもあります。

うつ病は日本人の約15人に1人が経験すると言われ、誰もがかかる可能性のある身近な病気です。

原因が分からなくても適切な対処と治療を行うことで症状の改善が期待できるため、 「自分は大丈夫」「どうってことない」と軽く考えて放置せず、医師に相談してみましょう。

オンライン診療・オンラインカウンセリングの『かもみーる』では「自分がうつ病なのか、それとも他の病気なのか知りたい」「原因を確かめて治療を始めたい」など、 どんなことでもお気軽にご相談いただけます。

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