「なんとなく呼吸がしにくい」
「胸が詰まるように苦しい」
そんな感覚に、心当たりはありませんか?
風邪や体の病気ではないのに呼吸が浅くなる、特に不安や緊張の場面で強く感じる場合、ストレスが関係している可能性があります。
この記事では、ストレスで息苦しさが起こる仕組みや病気との見分け方、自分でできるセルフケア方法、そして受診の目安について解説します。
息苦しさを感じるけど病気?それともストレス?

息苦しさを覚えると、多くの人が「心臓や肺の病気ではないか」と不安になるのではないでしょうか?
実際に心不全や喘息、肺炎など体の病気が原因で起こる場合もありますが、一方で強いストレスや不安が背景にあるケースも少なくありません。
ストレスがかかると、自律神経のバランスが乱れ、呼吸が浅く速くなり、十分に空気を吸えず息苦しさを感じます。
しかしこの状態を放置していると、過呼吸やパニック発作につながる可能性があるため、注意が必要です。
以上のことから、息苦しさは体の病気だけでなく、心の状態からも生じるものと言えます。
「気のせいかも?」と決めつけず、心身の両面から原因を考えることが大切です。
息苦しさに伴いやすい症状

呼吸が浅くなると、酸素が十分に取り込めないため、体はさまざまな不調を起こします。
代表的な症状は、『胸の圧迫感』や『締め付けられるような苦しさ』です。
また、息苦しさに伴って心臓がドキドキする『動悸』や『脈の乱れ』を感じる方もいます。
さらに過呼吸が加わると、体内の二酸化炭素濃度が下がり、手足のしびれやめまい、ふらつきなどの症状が現れることもあります。
これらの症状は、一時的に改善することもありますが、繰り返したり強まったりするようであれば、一度医師へ相談しましょう。
なぜ?ストレスで息苦しくなる原因

ストレスが強くかかると、自律神経が乱れて呼吸が変化し、さらに不安や緊張が加わることで過呼吸などの症状が現れ、息苦しさを強めてしまいます。
ここでは、そのメカニズムについて解説します。
自律神経の乱れの影響
自律神経は、活動時に優位になる『交感神経』と休息時に働く『副交感神経』の2つから構成されています。
強いストレスを受けると交感神経が過剰に活性化し、心拍数の増加とともに呼吸も浅く速くなってしまいます。
この状態が続くと、十分に息を吸えない感覚や胸の圧迫感が現れるのです。
さらに、ストレス反応により気道周辺の筋肉が緊張すると、気道が狭くなり、息苦しさが長時間持続します。
慢性的なストレス状態だと、自律神経のバランスが乱れ続けるため、日常生活に大きな影響を及ぼすことも珍しくありません。
過呼吸(過換気症候群)の可能性
強い緊張や不安が続くと見られる症状が、『過呼吸(過換気症候群)』です。
呼吸が速くなりすぎると、体内の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れるため、息苦しさだけでなく、手足のしびれやめまい、動悸などが出現します。
本人は「息が吸えないな…」と感じてさらに呼吸を速めてしまうため、症状がより悪化し、負のループに陥りがちです。
過呼吸は、決して珍しい症状ではなく、ストレスに敏感な方や心配性の方に多くみられます。
まずは落ち着ける環境を整え、意識して呼吸をゆっくり整えることが改善への第一歩となります。
パニック発作による息苦しさ
強いストレスや不安が積み重なると『パニック発作』として息苦しさが現れることがあります。
パニック発作では、突然の胸の圧迫感や呼吸困難、激しい動悸が起こり「死んでしまうのではないか」という強烈な恐怖に襲われる人も少なくありません。
発作自体は、数分から30分程度で落ち着くことが多いです。
しかし、再び発作が起こるのではという不安(予期不安)が残り、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
繰り返す場合には自己判断せず、心療内科や精神科を受診しましょう。
精神的要因と身体的要因の違い
息苦しさは、精神的要因と身体的要因が絡み合って起こることが多いです。
強い不安や緊張などの心理的ストレスが呼吸を乱す一方、疲労や睡眠不足などの身体的要因がストレスに対する抵抗力を下げ、症状を悪化させてしまいます。
例えば、体調不良が続くと精神的に不安定になりやすく、その影響で呼吸も浅くなるという相互作用が生じます。
つまり、どちらか一方だけが原因ではなく、心と体の両方の影響が重なって息苦しさが引き起こされているのです。
そのため、息苦しさを解消するには、精神面と身体面の両方に目を向けたアプローチが重要となります。
ストレスによる息苦しさと病気による息苦しさの見分け方

息苦しさはストレスが原因でも起こりますが、時に、心臓や肺の病気など重大な病気が隠されていることもあります。
ここでは、息苦しさの原因がストレス性か病気か、見分け方について解説します。
心臓や肺の病気で息苦しい場合
息苦しさが心臓や肺の病気を原因とする場合、断続的ではなく持続的に現れたり、急に悪化したりする症状が特徴です。
心不全では、横になると息苦しさが増し、夜間の呼吸困難やむくみを伴うことがあります。
気管支喘息では、気道の炎症により呼吸がしづらくなり、咳やゼーゼーという呼吸音を伴います。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙習慣のある人に多い病気で、軽い運動でも強い息切れが見られます。
さらに肺炎や気管支炎では、発熱や痰を伴う咳が特徴的です。
これらの病気では胸の痛みや圧迫感、動悸を伴うことも多いため、放置せず早めに受診しましょう。
うつ病や不安障害などメンタル面が原因の場合
心の不調が背景にあると、息苦しさが突発的に出たり、一時的に強まったりするものです。
例えば、不安障害では過呼吸やパニック発作が起こり、胸の圧迫感や動悸を伴うことがあります。
また、うつ病では気力の低下が体にも影響し、理由のない息苦しさや強い疲労感が見られます。
こうした症状は、繰り返すと生活に支障をきたすため、我慢せずに専門家へ相談しましょう。
▶不安障害の種類別の症状・診断基準┃セルフチェックや治療法も解説
横になると息苦しさが出る場合
横になったときに息苦しさが強まる背景には、心臓や睡眠に関わる病気が考えられます。
心不全では、横になることで肺に血液がたまり、呼吸がしづらくなる「起座呼吸」が起こります。
また睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に気道が塞がり呼吸が浅くなったり止まったりするため、日中の強い眠気や倦怠感につながります。
これらはいずれも病気が原因となる息苦しさであり、放置すると悪化する恐れがあるため、早めに医療機関での検査と治療が必要です。
自分でできるストレス性の息苦しさ対処法

ストレスが原因で息苦しさを感じるときには、呼吸法や生活習慣の見直し、リラックス法を組み合わせることで、心と体の緊張を和らげられます。
ここでは、代表的な改善方法について解説します。
腹式呼吸や瞑想で呼吸を整える
ストレスによる息苦しさの改善には、ゆっくりとした深い呼吸が効果的です。
腹式呼吸は横隔膜をしっかり動かす呼吸法で、鼻から息を吸い込みお腹を膨らませ、口からゆっくり吐きながらお腹をへこませます。
数分間繰り返すと、副交感神経が優位になり、緊張が和らぎ呼吸も安定します。
さらに、1日5〜10分でもいいので、瞑想の時間を取り入れることもおすすめです。
意識が『今の自分自身』に向かい、不安や過去・未来への心配から解放されやすくなるでしょう。
腹式呼吸と瞑想は、どちらも特別な道具を必要とせず、習慣化することで息苦しさの予防効果が期待できます。
不安を和らげる生活習慣(睡眠・運動・食事)
息苦しさを根本的に減らすには、日常生活の基盤を整えることが欠かせません。
まずは十分な睡眠を確保し、寝室を暗く静かに保つことで、ゆっくり体を休めましょう。
ウォーキングやヨガ、ストレッチなど軽めの運動は、ストレスホルモンを減らし、呼吸機能の改善にもつながります。
食事では、オメガ3脂肪酸を含む魚やナッツ、ビタミンB群を多く含む食品を意識的に摂ることで、神経系の安定や気分の改善が期待できます。
緊張を解くリラックス法(ストレッチ・アロマ・音楽)
心身の緊張をほぐすためのリラックス法も、息苦しさ対策として知っておきましょう。
肩や背中を伸ばすストレッチは、呼吸に関わる筋肉をほぐし、自然と呼吸を深めます。
アロマテラピーも効果的で、特にラベンダーやカモミールの香りは心を落ち着かせ、自律神経を整える働きがあります。
さらに、ヒーリングミュージックや自然音など穏やかな音楽を聴くと、副交感神経が優位になり気持ちがリセットされるでしょう。
受診を検討すべき息苦しさとは?

息苦しさの多くは、ストレスや一時的な体調不良によるものですが、中には重大な病気のサインである可能性も考えられます。
ここでは、受診の目安や診察の流れを解説します。
すぐに医療機関に行くべき症状
息苦しさに加えて、胸の痛みや強い圧迫感を伴う場合は、心筋梗塞や肺塞栓症など命に関わる病気の可能性があります。
また、安静時にも呼吸が苦しい、急に息切れが強まるといったケースは、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全などの危険な病気が隠れているかもしれません。
こうした症状が出た場合、自己判断はせずに、迷わず救急外来や医療機関を受診しましょう。
呼吸器内科・心療内科・精神科の受診目安
息苦しさの原因を見極めるには、症状の特徴から適切な診療科を選ぶことが大切です。
呼吸器内科は、咳や痰が長引く、ゼーゼーとした呼吸音がする、体を動かすとすぐに息切れするなど、呼吸器に関する症状が中心の場合に受診しましょう。
喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎などの診断・治療が可能で、胸部X線や呼吸機能検査なども行われます。
心療内科は、不安や緊張が強くなると息苦しさが出る、動悸や過呼吸が繰り返し起こる、といった心と体の両方に関わる症状の場合が対象です。
ストレス性の身体症状を専門的に扱い、薬物療法と併せて心理的なケアや生活指導をします。
精神科は、気分の落ち込み、不安感が2週間以上続く、日常生活に支障が出るほど息苦しさが強い、といった場合に受診が勧められます。
うつ病や不安障害、パニック発作などの診断・治療を専門とし、必要に応じてカウンセリングや薬物療法が行われます。
受診を迷うときに考えてほしいこと
息苦しさを感じても「病院に行くほどではない」と思い、我慢してしまう人は少なくありません。
しかし、不安を抱えたまま過ごすことは、心身への負担を大きくし、症状を長引かせる原因にもなります。
たとえ検査で異常が見つからなかったとしても、「重大な病気ではなかった」と確認できるだけで安心できます。
加えて、ストレスや不安が背景にある場合には、医師から適切なアドバイスや治療を受けることが可能です。
受診は病気の有無を調べるためだけではなく、『安心して生活を続けるための一歩』と考えましょう。
迷ったときこそ専門家に相談してみることが、心と体を守る確かな方法につながります。
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息苦しさは、心臓や肺の病気が背景にある場合だけでなく、ストレス・不安が引き金となって現れることもあります。
「セルフケアで何とかなるかな…」とは考えずに、信頼できる人や専門家に相談するなど、一人で抱え込まない対策を心がけましょう。
また、胸痛や強い呼吸困難を伴うときは、すぐに医療機関を受診し、軽い症状を繰り返す・改善しない場合も、専門家への相談をおすすめします。
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