うつ病でめまいやふらつきが起こる?原因と効果的な対処法を解説
更新日 2025年06月17日
うつ病
ふわふわとした浮遊感やふらつきに悩まされ、「このめまいはうつ病と関係があるのだろうか」と心配になったことはありませんか。
実は、うつ病とめまいには密接な関係があり、多くの患者さんが両方の症状を経験しています。
この記事では、うつ病によるめまいのメカニズムから対処法まで、医学的な視点を交え分かりやすくお伝えします。
一人で悩まず、適切な理解と対応方法を見つけましょう。
うつ病とめまいの関係

うつ病にともなうめまいには、耳の病気によるものとは異なる特徴や症状があります。
うつ病によるめまいの特徴
うつ病によるめまいは、ぐるぐると回転するような激しいめまいではなく、『ふわふわ感』や『浮遊感』として現れることが多いといわれています。
まるで雲の上を歩いているような感覚や、地面が不安定に感じられるような症状が代表的です。
また、このようなめまいには時間帯による変動がみられる場合があります。
朝方に症状が強く現れ、午後から夕方にかけて徐々に軽減していく傾向があり、これはうつ病特有の『日内変動』と呼ばれる現象と関連している可能性があります。
同時に現れやすい症状
うつ病によるめまいは、次のような症状を同時にともなうことがあります。
症状の種類 | 具体的な症状 |
---|---|
疲労感・倦怠感 | 体が重い、だるい、鉛のような感覚 |
集中力の低下 | 頭がぼんやりする、物事に集中できない |
不安感・焦燥感 | 心配や恐怖を感じやすい、落ち着かない |
睡眠の問題 | 寝つきが悪い、早朝に目が覚める |
食欲の変化 | 食べ物がおいしく感じられない |
現れる症状のなかでも注意したいのは、立ち上がったときや急に振り返ったときに強いふらつきを感じ、倒れるのではないかという不安を覚える場合です。
このような症状は日常生活に支障をきたすだけでなく、外出や活動への意欲をさらに低下させる要因となる恐れがあります。
うつ病による疲れやすさ・だるさについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶うつ病になると疲れやすい?主な症状や疲れを軽減する方法について解説
うつ病でめまいが起こる3つのメカニズム

うつ病でめまいが生じるのには、脳と体の複雑なつながりが関係しています。
自律神経系の乱れによる影響
うつ病では、心拍数や血圧、呼吸などの生命維持に必要な機能を調整する自律神経のバランスが崩れることが知られています。
神経のバランスが乱れると血圧の変動や心拍数の不安定さが生じ、脳への血流も同時に不安定になり、ふわふわとした感覚やふらつきが現れる可能性があります。
自律神経の乱れによる症状 | 具体的な現れ方 |
---|---|
血圧の変動 | 立ちくらみ、ふらつき |
心拍数の変化 | 動悸、息苦しさ |
体温調節の異常 | 冷え、のぼせ |
脳内神経伝達物質の変化
うつ病の方の脳内では、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質の働きに変化が生じます。
これらの物質は気分の調整だけでなく、体のバランス感覚や平衡機能にも深く関わっていて、セロトニンの機能低下によってめまいや吐き気といった症状が引き起こされることがあります。
また、ノルアドレナリンの変動は集中力の低下や注意力の散漫を招く恐れがあり、その結果として体のバランス感覚にまで影響が及ぶ可能性も否定できません。
ストレスホルモンの過剰分泌
慢性的なストレス状態では、コルチゾールというストレスホルモンが過剰に分泌される傾向があり、内耳の機能や脳の平衡感覚を司る部分に影響を与える場合があります。
さらに、この状態が続くと耳鳴りや聞こえにくさといった症状も現れることがあります。
これらの3つのメカニズムが相互に関連し合い、複合的にめまい症状を引き起こしている可能性が考えられるでしょう。
うつ病について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶︎うつ病はどんな病気?特徴や重さごとの症状、なりやすい人の特性を紹介
めまい以外にも要注意!うつ病にともなう身体症状

うつ病では、めまい以外にもさまざまな身体症状が現れる場合があります。
ふらつきや立ちくらみ
めまいと密接に関連する症状として、ふらつきや立ちくらみがあります。
朝起きたときや長時間座ってから立ち上がったときに、体が不安定になったり、目の前が暗くなったりする感覚です。
なかには、倒れるのではないかという恐怖感を覚える方もいます。
耳鳴りや聞こえの問題
耳鳴りは、うつ病でよくみられる症状の一つです。
『キーン』という高い音や、『ザー』という雑音のような音が聞こえる場合があります。
また、周囲の音が聞こえにくくなったり、音に対して過敏になったりすることもあります。
頭痛や首・肩のこり
頭が重い感じや締め付けられるような頭痛も、うつ病にともなう身体症状として知られています。
なかでも、朝方に症状が強く現れる傾向があります。
また、首や肩の筋肉が緊張した結果、こりや痛みを感じることも少なくありません。
その他の身体症状
他にも次のような症状が現れる場合があります。
- 吐き気、食欲不振、胃の不快感
- 動悸、息苦しさ、胸の圧迫感
- 体の痛み、関節の違和感
- 原因不明の湿疹、かゆみ
これらの身体症状は検査を受けても明確な異常が見つからないことが多く、患者さんが『気のせい』と思いこんでしまいがちです。
しかし、これらは決して気のせいではなく、うつ病という病気による実際の症状です。
複数の症状が組み合わさって現れるケースも多く、日常生活への影響が大きくなる恐れがあります。
うつ病のその他の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【セルフチェック】あなたのめまいはうつ病が原因?

次のチェックリストで、あなたの症状がうつ病と関連している可能性があるかを確認してみましょう。
めまいの特徴チェック | □ ふわふわとした浮遊感がある □ 朝方にめまいが強く、夕方に軽くなる □ 立ち上がったときにふらつきを感じる □ 倒れるのではないかという不安がある □ 回転するようなめまいではない |
---|---|
併発する身体症状 | □ 耳鳴りや聞こえにくさがある □ 頭が重い、頭痛がする □ 疲れやすく、体がだるい □ 食欲がない、または食べ過ぎてしまう □ 寝つきが悪い、早朝に目が覚める |
心の状態チェック | □ 気分が沈みがちで、やる気が出ない □ 不安や心配事が頭から離れない □ 集中力が続かない □ 楽しいと感じることが少なくなった □ イライラしやすくなった |
生活環境の変化 | □ 仕事や人間関係でストレスを感じている □ 睡眠時間が不規則になっている □ 運動不足が続いている □ 薬を服用している(血圧の薬など) |
【チェック結果の目安】
- 5個以上該当……うつ病に関連しためまいの可能性があります
- 10個以上該当……早めの専門医への相談をおすすめします
このセルフチェックは症状の傾向を把握する参考にはなりますが、医師による診断に代わるものではありません。
該当する項目が多い場合や、日常生活に支障をきたしている場合には、心療内科や精神科での相談を検討してみてください。
うつ病によるめまいの対処法と治療アプローチ

うつ病にともなうめまいは、適切な治療と日常生活の工夫により改善が期待できます。
医療機関での治療
専門家による診断と治療は、症状改善の重要な第一歩となります。
薬物療法の選択肢
うつ病によるめまいの治療では、根本的な原因であるうつ病に対する薬物療法が中心となります。
薬の種類 | 期待される効果 | 注意点 |
---|---|---|
抗うつ薬(SSRI) | うつ症状とめまいの改善 | 効果が現れるまで数週間かかる場合がある |
抗不安薬 | 不安感やめまいの軽減 | 依存性に注意が必要 |
自律神経調整薬 | 自律神経のバランス改善 | 個人差により効果が異なる |
薬の効果は個人差があり、症状の改善には時間がかかることもありますが、医師と相談しながら適切な薬を見つけるのが重要です。
カウンセリングの効果
薬物療法と並行して、カウンセリングや心理療法も重要な治療の選択肢です。
認知行動療法では、ストレスや不安に対する考え方のパターンを見直し、症状の軽減をはかります。
また、リラクゼーション技法を学び実践すると、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
日常生活でできる対処法
治療と並行して普段の生活習慣の見直しを行うと、症状の軽減をはかれる場合があります。
生活リズムの調整
規則正しい生活リズムは、自律神経のバランスを整えるうえで欠かせません。
毎日同じ時間に起床・就寝し、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
とりわけ、朝の光を浴びると体内時計が調整され、めまい症状の改善につながる可能性があります。
また、急激な血糖値の変動はめまいやふらつきの原因となる場合があるため、食事を規則正しく摂り、栄養バランスを意識しましょう。
ストレス軽減法
日常的なストレス管理は、症状の改善において重要な要素です。
深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラクゼーション技法を取り入れると、心身の緊張をほぐし、自律神経の働きを整える効果が期待できます。
また、趣味や楽しめる活動を見つけ、リフレッシュする時間を作ることも大切です。
そして完璧を求めすぎず、『今日はこれだけできれば十分』という気持ちで過ごすのもストレス軽減につながります。
軽度な運動の取り入れ方
適度な運動はうつ症状とめまいの両方によい影響をもたらす可能性があります。
激しい運動は避け、散歩やストレッチ、軽いヨガから始めてみましょう。
運動により血行が改善され、自律神経のバランスが整う効果が期待できます。
室内でできる軽いストレッチから始め、徐々に活動量を増やしていく方法がおすすめです。
専門家に相談するタイミングと診療科の選び方

めまいとうつ症状が続く場合は、適切なタイミングで専門家に相談することが重要です。
心療内科・精神科への受診目安
以下のような状況では、心療内科や精神科への受診を検討するのがおすすめです。
- めまいや気分の落ち込みが2週間以上続く
- 仕事や家事に集中できない
- めまい、耳鳴り、疲労感が同時に現れる
- 『倒れる』のではないかという恐怖が強い
また、食欲がない、楽しいと感じることが少なくなったといった心の症状とめまいが組み合わさっている場合は、うつ病に関連している可能性があるため早めの相談が大切です。
耳鼻科との使い分け
めまいの原因を特定するため、まず耳鼻科で検査を受けるのも一つの方法です。
しかし、耳鼻科での検査で明確な異常が見つからないときや、ストレスや心の症状をともなうときには、心療内科や精神科での相談が適しているかもしれません。
両方の診療科を受診し総合的な判断を仰ぐのも、よい選択肢となる可能性があります。
オンラインカウンセリングという選択肢
近年、オンラインカウンセリングサービスが注目されています。
自宅から相談でき、通院の負担を軽減できるのが大きな利点です。
オンラインカウンセリングでは、専門のカウンセラーがあなたの症状や悩みを丁寧に聞き取り、適切なアドバイスや対処法を提案します。
対面での受診に抵抗がある方や、忙しくて通院が困難な方にとって、有効な選択肢となるでしょう。
初診時に伝えるとよいポイント
専門家へ相談する際には、以下の情報を整理して伝えることでより適切な診断と治療につながります。
- めまいの種類(ふわふわ感、ふらつきなど)
- 症状が現れる時間帯や状況
- 併発している身体症状(耳鳴り、頭痛など)
- 現在服用中の薬があれば薬名
- 最近の生活環境やストレスの変化
一人で悩まず、専門家のサポートを受けながら症状の改善を目指しましょう。
うつ病によるめまいは一人で抱え込まないで!
うつ病によるめまいは、決して『気のせい』ではなく、適切な治療により改善が期待できる症状です。
ふわふわ感やふらつき、耳鳴りといった身体症状は、脳内神経伝達物質の変化や自律神経の乱れによって引き起こされる可能性があります。
これらの症状は相互に関連し合い、日常生活に大きな影響を与える場合がありますが、薬物療法やカウンセリング、生活習慣の改善により軽減をはかれます。
なかでも重要なのは、早期に専門家に相談することです。症状が長期間続いているときや、倒れるのではないかという不安が強いときには、心療内科や精神科での診療を検討してみてください。
オンラインカウンセリングサービス『かもみーる』では、経験豊富な医師や専門スタッフがあなたの症状や悩みに寄り添い、適切なサポートを提供いたします。
また、『かもみーる心のクリニック(東京院)(仙台院)』では、対面診療もお受けいただけます。
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