「少し言われただけで、涙が出てしまう」
「泣きたくないのに、涙が止まらない」
仕事や家事、育児で忙しい日々の中、ちょっとした一言で感情が揺れ動き、涙が出てしまった経験はありませんか?
すぐに泣いてしまう状況は、一時的な疲れやストレスによる場合もあれば、心や体の不調が隠れている可能性も考えられます。
そこでこの記事では、少し言われただけで泣く原因や考えられる病気、年代別の背景、具体的な対処法、医療機関への相談の目安について詳しく解説します。
「泣いてしまう自分」を責めるのではなく、適切な理解と対処で心の健康を守りましょう。
すぐに泣いてしまうのは病気のサイン?

少し言われただけで泣く状態が続くときは、限界を迎えた心が悲鳴を上げ、何らかのサインを送っている状況かもしれません。
ここでは、その背景や注意すべきポイントについて解説します。
「少し言われただけで泣く」「すぐに涙が出る」状態とは
人から何気なく言われた一言やちょっとした出来事で涙が出るのは、感情の自然な反応の一つです。
感受性が豊かな人やHSPと呼ばれる特性を持つ人は、他人の感情や場面に敏感に反応しやすく、涙もろさが日常的に見られます。
また、強いストレスや疲労の蓄積によっても、感情のコントロールが難しくなり、普段なら涙を流さないような場面でも、泣いてしまうことがあります。
さらに、過去のつらい経験やトラウマの影響で、特定の状況において感情が過剰に揺れ動くケースも少なくありません。
一時的な反応であれば心配はいりませんが、頻繁に繰り返される場合は、その背後に病気が隠れている可能性があるため、見過ごさないようにしましょう。
少し言われただけで泣く状態が続くときに注意すべきポイント
少し言われただけで泣く状態が長引く場合は、その背景に心や体の不調が潜んでいることがあります。
それを考える上で、まず注目したい点は『頻度と持続期間』です。
ほぼ毎日のように涙が出たり、理由もなく泣く状態が2週間以上続く場合は、うつ病や適応障害などの可能性があります。
加えて、食欲の変化や眠れない、集中力が落ちるといった身体的な変化が伴う場合も要注意です。
また、自分を責めやすく他人の言葉に過剰反応する傾向があるなら、自己肯定感の低さが影響しているかもしれません。
こうした状態が続く場合、早めに心療内科の受診やカウンセリングのサポートを視野に入れましょう。
少し言われただけで涙が出る原因

「少し言われただけで涙が出る」背景には、心や体の不安定さが大きく関わっています。
ここでは、病気以外で起こる原因を、心理的・身体的な側面から解説します。
ストレスや不安による心理的要因
仕事や人間関係、将来への不安などが積み重なると、心の余裕がなくなり、感情をうまくコントロールできません。
特に強いストレスや不安が続くと脳は常に緊張状態になり、些細な刺激にも過敏に反応して、普段なら涙を流さないような場面でも、泣いてしまいます。
また、不安感が強まると「怒られるのでは」「嫌われるのでは」といったネガティブな想像が膨らみ、人からの指摘や注意が大きな心の負担となります。
このような心理状態が続くと、涙もろさはさらに強まるでしょう。
自己肯定感の低下や過去の経験(トラウマ)
自己肯定感が低いと、自分の価値を認められず、他人の評価や言葉に過剰に反応してしまうため、ちょっとした指摘でも「自分はダメだ」と感じてしまいます。
また、過去に受けたつらい経験、例えば、いじめやハラスメント、失敗の繰り返しなどが心に残っていると、似た状況に直面したときに感情が大きく揺れ動きます。
これは「心の傷」に触れたときの自然な反応ですが、頻繁に起こる場合は、日常生活に支障をきたすため、適切な対処や専門家への相談がおすすめです。
過去の経験を整理し、自分の価値を見直すことで、涙もろさの改善につながるでしょう。
ホルモンバランスの変化(PMS・更年期など)
女性はライフステージごとにホルモンバランスが変化し、それが感情にも影響します。
特に月経前症候群(PMS)や更年期では、エストロゲンなど女性ホルモンの変動が大きく、情緒不安定や涙もろさが強まる場合が見られます。
さらにホルモンの変化は、脳内の神経伝達物質や自律神経にも影響を及ぼし、気分の落ち込みやイライラ、不眠などを伴うことも珍しくありません。
こうした場合、自己管理だけで心身を安定させることが難しいため、婦人科や心療内科への受診も検討しましょう。
▶PMSとは?症状・原因・治療方法などについてわかりやすく解説
▶【精神科医監修】更年期障害は何歳から始まる?具体的な期間や主な症状について解説 | かもみーる
自律神経の乱れや睡眠不足
自律神経が乱れると、気分が不安定になる、感情の起伏が激しくなるなど、ちょっとした刺激でも涙があふれてしまいます。
これは、自律神経が心身のバランスを整え、脳の働きや感情にも関与しているためです。
自律神経は、ストレスや生活リズムの崩れ、長時間のスマホ使用などで容易に乱れます。
また、睡眠不足も、脳の疲労回復を妨げ、感情のコントロール力を低下させます。
特に深い眠り(ノンレム睡眠)が不足すると、翌日以降も気分が落ち込みやすいです。
十分な睡眠を確保し、規則正しい生活を心がけることは、涙もろさの改善につながります。
すぐ泣く・すぐ涙が出るときに考えられる病気や特性

涙もろさは一時的な心身の反応でもありますが、背景に病気や特性が関わっていることもあります。
- うつ病
- 適応障害
- 不安障害
- PTSD
- ASD・ADHD
- HSP
ここでは、6つの代表的な病気や特性の特徴を紹介します。
うつ病
うつ病では、気分の落ち込みや無気力感に加え、感情のコントロールが難しくなり、些細な出来事でも涙が出やすくなります。
これは、脳内の神経伝達物質、特に『セロトニン』分泌の低下が関係していると考えられています。
「最近よく泣くようになった」などの軽い変化も、うつ病の初期段階ではよくある話です。
食欲の低下、睡眠の乱れ、集中力の低下などの症状が併発する場合は、ためらわずに受診を検討しましょう。
適応障害
適応障害は、特定のストレス要因に対して心の反応が過剰になり、気分や行動面が不安定となり、日常生活に影響が出やすくなる状態です。
例えば、職場の異動や人間関係の変化など、環境の変化が引き金になるケースが多く見られます。
これらの変化によるストレスが、脳の感情を司る部分に影響を与え、情緒の不安定さや涙もろさを引き起こします。
特定の状況で急に涙があふれる、強い不安や焦燥感に襲われるなどの症状が見られる場合は、環境調整やカウンセリングによる支援が不可欠です。
▶適応障害になりやすい人の特徴│性格や環境、顔つきなどを解説!予防法&治療法も
不安障害
不安障害は、過剰な不安や恐怖感が続く精神症状であり、涙もろさはその症状の一つです。
全般性不安障害では、日常的な出来事にも強い不安を感じ、涙が出る場面があります。
社交不安障害では、人前で話す、評価されるといった場面で不安や緊張感が増し、涙が出ます。
これらの過剰な不安は、交感神経を刺激し、感情のコントロールを困難にするため、症状が長引く場合は、心理療法や薬物療法による治療が効果的です。
▶不安障害の種類別の症状・診断基準┃セルフチェックや治療法も解説
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSDは、事故や災害、暴力被害など強い心的外傷体験の後に発症する障害です。
トラウマを思い出すきっかけ(音、匂い、言葉など)に触れると、フラッシュバックや強い恐怖感、不安感とともに涙があふれることがあります。
感情のコントロールが難しくなり、日常生活にも大きな支障をきたしてしまうことも少なくありません。
PTSDでは、安全な環境での心理療法や必要に応じた薬物療法が重要です。
発達特性(ASD・ADHD)
自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達特性を持つ人は、感情の起伏が激しかったり、刺激に敏感に反応したりする傾向があります。
予定外の出来事や予想外の言葉に過剰に反応してしまうため、すぐに泣いてしまいがちです。
また、感情を言葉で表現することが難しい場合、泣くことで不快感やストレスを示すケースもあります。
周囲が特性を理解し、安心できる環境や適切な声かけを行うことで、本人の精神的な負担を減らせます。
▶ADHD(注意欠如・多動症)とは?発達障害との関係や特徴、対応法を解説
HSP(Highly Sensitive Person)
HSPは、生まれつき感受性が高く、環境や人の感情に敏感に反応する特性を持つ人を指します。
周囲の雰囲気や他人の表情・声色に影響されやすく、ちょっとした言葉や出来事で涙が出やすいです。
これは、神経系が刺激を強く受け取りやすい性質によるもので、共感力の高さや繊細さの表れとも言えます。
一方で、刺激過多になると心身が疲れやすいため、自分に合った環境づくりやセルフケアが欠かせません。
【年代別】少し言われただけで泣く理由と背景

涙もろさの背景は、年代によって異なります。
ここでは、中高生と大人、それぞれに見られる特有の要因や心理的背景を解説します。
中学生・高校生の情緒不安定と涙(思春期・学校生活・友人関係)
中学生・高校生は、思春期特有の心身の変化により、自立心が芽生える一方で、感情が不安定になりやすい時期です。
学校生活では、定期テストや部活動、進路への不安などのプレッシャーが積み重なります。
また、友人関係はこの年代における心理的な支えではありますが、その中で生じたトラブルや孤独感は、強いストレス要因になりかねません。
さらに、自分と他人を比較する機会が増え、自己評価が揺れ動くことで、些細な言葉や出来事にも反応してしまい、涙が出やすくなります。
この時期の涙もろさは、一過性の反応であることも多いですが、長期間続く場合は「そんな時期だから…」と片付けず、しっかりと向き合う時間を作りましょう。
大人のすぐ泣いてしまう背景(職場ストレス・家庭・人間関係)
大人になると、業務上のプレッシャーや人間関係の摩擦により感情のコントロールが難しくなり、日々のストレスが蓄積しやすいです。
特に自己肯定感が低下していると、ストレス耐性がさらに弱まり、ちょっとしたことで涙があふれてしまいます。
加えて家庭においても、パートナーとの関係や育児の負担、介護などが精神的負荷となり、ストレス発散できる場所がないと感じる人も多いです。
また、社会的期待や職場での「言えない雰囲気」により感情を抑え込み続けると、ストレスが増大し、涙もろさにつながるでしょう。
少し言われただけで泣いてしまうときのセルフケア

日常生活の中で涙もろさを感じたとき、ちょっとした工夫や意識の変化で心を落ち着けることができます。
ここでは、自宅でできるセルフケアの方法を紹介します。
生活習慣を整えストレスを発散する
感情の安定には、規則正しい生活リズムやバランスの取れた食事、適度な運動が欠かせません。
慢性的な睡眠不足や不規則な生活は、自律神経やホルモンバランスを崩し、涙もろさを悪化させます。
ストレスを和らげるためには、趣味や好きなことに時間を使い、日常の中で意識的にリラックスの時間を作りましょう。
物事の受け止め方を変える思考トレーニングをする
同じ出来事でも、受け止め方によって感じ方は大きく変わります。
自分の感情に気づき、名前をつける『感情ラベリング』や、ネガティブな思考に気づいて別の視点から考える『認知行動療法』が効果的です。
例えば「注意された=否定された」ではなく「改善のチャンスをもらった」と捉えるなど、意味づけを変える習慣をつけましょう。
感情は、波のように変化するため、客観的に観察する意識も、涙もろさを和らげる近道となります。
深呼吸・瞑想・趣味で心を落ち着ける
深呼吸や瞑想は、交感神経の緊張をやわらげ、心拍数や呼吸を整えます。
1日数分でも構わないので、朝や就寝前など落ち着いた時間に取り入れてみましょう。
また、趣味や好きなことに没頭する時間は、ストレスの軽減と感情の安定に役立ちます。
音楽を聴く、絵を描く、軽く体を動かすなど、自分が「心地よい」と感じる時間を日常に組み込む工夫をしましょう。
質の良い睡眠と適度な休養で感情を安定させる
質の良い睡眠は、脳と心を回復させ、感情を安定させます。
就寝前のスマホ利用を控え、照明を暗くするなど睡眠環境を整えることが大切です。
日中もこまめに休憩を取り、心身の負担を減らしましょう。
そして休日には、十分に休養を取り、オンとオフの切り替えを意識することが、ストレスの蓄積を防ぎます。
自分を責めるクセを手放す
「泣いてしまった自分」を責めることは、自己否定感を強め、さらに涙もろさを悪化させます。
まずは、泣く自分を否定せず「今は心が敏感になっているんだ」と受け止めましょう。
無理に感情を抑え込もうとせず、泣きたいときは泣いてもいいと自分に許可を与えると、心が軽くなります。
自分に優しい声をかける習慣が、自己肯定感の回復につながります。
セルフケアで改善しない場合は専門家に相談する
セルフケアを続けても改善が見られない、あるいは仕事や生活に支障が出ている場合は、専門家への相談が必要です。
精神科医やカウンセラーは、症状の背景を分析し、薬物療法や心理療法、生活改善のアドバイスを組み合わせてサポートします。
専門家に相談することは決して弱さではなく、自分の心を守るための積極的な行動であると理解しておきましょう。
クリニックで受けられる診療・カウンセリングのメリット

涙もろさが長引くときは、自己判断だけで対処するよりも、専門家に相談する方が早期の解決につながります。
主に、以下のメリットがあります。
- 自己判断では見落としやすい病気・特性の早期発見
- 薬物療法・カウンセリング・生活改善を組み合わせたサポート
うつ病や適応障害、発達特性などの初期段階は、症状が曖昧なため「最近よく泣く」「気分が落ち込みやすい」といった変化を、単なる気分の波だと思い込みがちです。
しかし、その状態が2週間以上続く、日常生活や仕事・学業に支障が出る、睡眠や食欲の変化が伴うといった場合は、受診を検討すべきサインです。
専門家による診察やカウンセリングを受けることで、こうした病気や特性を早期に発見できます。
また、クリニックでは、薬物療法と併せてカウンセリングや生活習慣の改善指導を行い、総合的なサポートが可能です。
近年はオンライン診療やオンラインカウンセリングも普及しており、スマホやパソコンを通じて自宅から相談できる環境も整ってきました。
通院が難しい場合でも、継続的なケアを受けやすく、症状の改善と再発予防に役立つでしょう。
少し言われただけで泣く場合は病気を疑い専門家に相談を
少し言われただけで泣く状態は、一時的な疲れやストレスによることもあれば、うつ病や適応障害、HSPなど心や体の特性が影響している場合があります。
原因には心理的・身体的要因が絡み合っているため、セルフケアで改善できるケースと専門的なサポートが必要なケースの両方を念頭に置かなければなりません。
涙もろさが長引く、生活に支障が出る場合は、自己判断せずに専門家へ相談しましょう。
『かもみーる』では、ご自宅から受けられるオンライン診療やカウンセリングを行っており、安心できる環境で医師やカウンセラーに相談できます。
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