投稿日 2025年12月30日
最終更新日 2026年10月20日
投稿日 2025年12月30日
最終更新日 2026年10月20日

不安や心配を感じることは、誰にでもある自然な反応です。しかし、不安が過度に強くなったり、長期間続いたりすると、仕事や日常生活に支障をきたす場合があります。
「不安神経症」は、以前の精神医学で使用されていた名称で、現在の正式な診断分類では独立した診断名として用いられていません。
不安神経症は、現在の全般性不安症(全般性不安障害)に近い意味で使われることがありますが、より広く不安症全般を指す場合もあり、厳密には同じ意味とは限りません。
この記事では、不安神経症と不安障害の違いを整理したうえで、主な症状や原因、診断方法、治療法について詳しく解説します。

不安神経症は、心配性というにはあまりに不安感が強い状態です。どのような特徴がある病気なのかを紹介します。
不安神経症という言葉は、日常生活のさまざまな出来事に対して、強い不安や心配が続く状態を指して使われることがあります。
例えば、仕事での失敗、家族の健康、将来の生活などについて過度に心配し、一つの心配事が解消しても、別のことが気になってしまう場合があります。
こうした特徴は、現在の全般性不安症(全般性不安障害)でも見られます。
通常の心配との違いは、不安の強さや持続期間、自分でコントロールすることの難しさ、日常生活への影響などにあります。
不安神経症と呼ばれてきた状態では、不安や心配が長期間続くため、うつ病と似た症状が見られることがあります。
ただし、全般性不安症では、さまざまな出来事に対する過度な不安や心配が中心となる一方、うつ病では、抑うつ気分や興味・喜びの低下などが主な特徴となります。
また、うつ病でも不安が強く現れる場合があり、全般性不安症とうつ病が併存することもあります。
そのため、症状だけで判断せず、経過や日常生活への影響などを総合的に評価することが重要です。
「不安神経症」と「不安障害」は、どちらも強い不安や心配に関連する言葉ですが、医学的には使われてきた時代や意味が異なります。
不安神経症は、以前の精神医学で使用されていた名称であり、現在のDSM-5-TRでは独立した正式な診断名として用いられていません。
一方、不安障害(不安症群)は、全般性不安症、パニック症、社交不安症など、複数の疾患を含む診断分類です。
それぞれの違いは以下のとおりです。
用語 | 医学的な位置づけ |
|---|---|
不安神経症 | 旧来の診断用語。現在の全般性不安症に近い意味で使われることがあるが、より広く不安症全般を指す場合もある |
不安障害(不安症群) | 強い不安や恐怖を主な特徴とする複数の疾患を含む診断分類 |
全般性不安症(全般性不安障害) | 仕事、健康、家族など、さまざまな事柄について過度な不安や心配が続く疾患 |
例えば、仕事や家族、健康など、日常生活のさまざまなことが心配で、不安を自分でコントロールすることが難しい場合には、全般性不安症が考えられます。
一方、突然のパニック発作を繰り返す場合にはパニック症、人前で否定的に評価されることへの恐怖が中心となる場合には社交不安症など、症状の特徴によって診断が異なります。
そのため、不安神経症という言葉だけで特定の病気を判断するのではなく、不安の対象や症状の経過、日常生活への影響などを確認することが重要です。
参考:厚生労働省「不安障害」

不安神経症は、持続する強い不安や心配に晒されることで、日常生活に支障をきたす症状が現れます。
不安神経症に見られる症状について紹介します。
不安神経症の症状には、不安の強い精神症状の他に身体症状が同時に見られることが多いです。
不安神経症の精神症状である過剰な不安や恐怖心は、自律神経に影響を及ぼして交感神経を優位にするため、自律神経が乱れたような身体症状を引き起こします。
強い不安や緊張が続くと、自律神経系の働きが変化し、動悸や発汗、筋肉の緊張、胃の不快感など、さまざまな身体症状が現れる場合があります。
▶ストレスで動悸がするのはなぜ?突然のドキドキ・息苦しさの原因と対処法を解説
不安神経症の初期症状は以下の通りです。
精神症状と身体症状の両方があるため、セルフチェックを行ってみましょう。
精神症状 | 身体症状 |
|
|
このような初期症状が続いたのち、以下のようにして日常生活に支障が出るようになります。
その通りにはならないという自覚があっても、不安を制御することは困難であるため、些細な出来事から始まる強い不安状態が長く続くことになります。

不安神経症の原因はまだはっきりと解明されていない段階ですが、さまざまな要因が複雑な形で関わっていると考えられています。
不安神経症を引き起こす原因として考えられている4つを紹介します。
不安障害において遺伝要因が影響しているということについては研究報告がなされている通り、親兄弟に不安神経症の人がいる場合、発症リスクが高まると考えられています。
参考:不安障害の遺伝研究
これについては、他の不安症や気分障害(うつ病など)についても共通の認識があります。
『神経症傾向』の高い人は、環境からの刺激やストレスに対して敏感であり、不安や緊張が強いとされているため、不安神経症になりやすいとされています。
人の性格を判断する方法として提唱されている『ビッグ・ファイブ』と呼ばれる理論では、神経症傾向の他に以下の4つを合わせた5つの特性で人の性格を判断します。
参考:「記述形式による性格構造の分析」
神経症傾向の人は他にも、心配性・動揺しやすい・イライラしやすいなど、不安神経症の発症リスクが高い傾向がある特徴を持っています。
また、成長の著しい時期にストレスの多い環境に晒されることで、脳の構造や機能に変化が生じるのも、不安症を引き起こす原因が形成される要因と考えられています。
不安神経症は、ストレスがかかることが発症リスクを高めるとされています。
ストレスには仕事や学業に関するストレスから、人間関係・経済的・環境的なストレス、またそれらを原因として引き起こされる睡眠不足や体調不良などがあります。
大人になってから体験する社会生活における慢性的なものから、幼少期のトラウマ、重要な人間関係の破綻につながる事故・災害など、発症リスクとなるストレスはさまざまです。

不安神経症において適切な治療を行うためには正しい診断が必要です。
不安神経症の診断における基準や必要な検査などを紹介します。
不安神経症は現在の正式な診断名ではないため、診察では症状の特徴に応じて具体的な不安症などを評価します。
例えば、仕事や家族、健康など複数の事柄について過度な心配が続く場合には、全般性不安症(全般性不安障害)が考えられます。
一方、突然の強い恐怖や身体症状を伴う発作が中心となる場合には、パニック症などの可能性も検討します。
このように、不安神経症と呼ばれてきた状態が、必ずしも全般性不安症だけに該当するわけではありません。
全般性不安症は、DSM-5-TRにおいて、仕事や健康、家族など複数の出来事や活動について、過度な不安や心配が6か月以上続くことなどを特徴とする疾患です。
また、不安や心配を自分でコントロールすることが難しく、落ち着きのなさ、疲れやすさ、集中困難、易刺激性、筋肉の緊張、睡眠障害などを伴う場合があります。
成人では、これらの随伴症状のうち3つ以上が認められることなどが診断基準に含まれます。子どもでは1つ以上とされています。
ただし、診断には日常生活への影響や、身体疾患、薬剤、ほかの精神疾患などによる症状ではないことも確認する必要があります。
不安神経症と診断するためには、原因となるような身体疾患がないことが診断の条件のため、身体疾患の可能性を除外するために内科的な検査を行います。
甲状腺機能亢進症や低血糖などの疾患を除外するため、血液検査を行うこともあります。
不安神経症を含む不安障害は、うつ病を併発するリスクが高いとされているため、診断の際は他の精神疾患との併発も確認する必要があります。
併発している精神疾患がある場合、治療方針が変わったり、症状が長引いた場合に治療が難しくなったりするため、適切な治療を行うためにも早めの受診と診断が必要です。

「不安神経症は治りますか?」との質問をよく耳にしますが、正しい診断と適切な治療法・ケアによって軽減や安定・寛解を目指すことが可能であるとされています。
不安神経症の治し方について紹介します。
認知行動療法は、不安神経症において広く用いられている精神療法です。
ストレスを感じた具体的な出来事を取り上げ、その出来事が起こった時の『頭に浮かぶ考え(認知)』と『振る舞い(行動)』について見直し、ポジティブな考え方に修正します。
学んだ内容を自宅などで実践する『宿題』も出るため、本人の努力も重要になります。
暴露療法は、怖いと感じるような状況に慣れていく精神療法で、徐々に恐怖心を感じやすい状況に身を置き、慣れていきます。
不安障害の治療では、適切な時点で不安に立ち向かい、克服して自信をつけることが必要です。
専門家のサポートの元で行われるため、調整しながら進められます。
不安神経症の薬物治療では、精神療法で思うような効果が得られなかった場合や、症状の程度が重い場合などに、抗不安薬や抗うつ薬を使用します。
抗不安薬や不安感を和らげ、抗うつ剤は不安や抑うつ症状を改善する効果が期待できます。
脳内の化学物質のバランスを調整するため、症状の緩和が期待できる療法です。
不安神経症にはライフスタイルの改善や実践しやすい対処法など、セルフケア(自力)によって改善の手助けが見込める方法がいくつかあります。
以下のようなことが不安神経症の発症予防や経過安定につながると考えられています。
▶心を落ち着かせる方法|そわそわする不安の原因とすぐできる対処法
不安を抱えることは人が身を守る普通の反応ですが、心配性を過剰に通り越す不安や心配は、心身の疲弊や別の精神疾患を併発させる可能性があるため注意が必要です。
オンライン診療・オンラインカウンセリングの『かもみーる』では、不安神経症を懸念する人が相談しやすいオンラインでの利用が可能です。
なかなか周囲に理解されない不安神経症ですが、一人で抱え込む必要はありません。
早めの受診で適切な治療を始めるために、オンラインでのご予約をぜひ一度お試しください。
不安神経症と不安障害は完全に同じ意味ではありません。 不安神経症は以前の精神医学で使われていた名称で、現在の診断分類では独立した正式な診断名としては用いられていません。 一方、不安障害(不安症群)は、全般性不安症やパニック症、社交不安症などを含む疾患群です。不安神経症は歴史的に全般性不安症に近い意味で使われることが多かったものの、不安症全般を指す場合もありました。
不安神経症は旧来の診断用語であり、全般性不安障害(全般性不安症)は現在の診断基準で定義されている疾患です。 全般性不安障害では、仕事や健康、家族など、さまざまな事柄について過度な不安や心配が続き、自分でコントロールすることが難しくなります。 両者は歴史的に近い概念ですが、不安神経症という名称だけで、現在の全般性不安障害に該当すると判断することはできません。
不安を感じやすい気質や、心配事を繰り返し考える傾向がある方では、不安症状が強く現れる場合があります。 また、遺伝的要因やストレスの多い生活環境、過去のつらい経験など、さまざまな要因が関係すると考えられています。 ただし、特定の性格だから必ず不安症になるわけではありません。不安が長期間続き、日常生活に支障が生じている場合には、精神科や心療内科などで相談することが大切です。
この記事の監修者
医療法人社団弘愛会理事長
赤堀 将太郎こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。
診察やカウンセリングの利用を検討されている方は、各サービスのご案内をご覧いただけます。
当サービスをご安心して使っていただくために、お客様の個人情報は厳重に扱い、守秘義務を徹底しております。
また当サイトのコンテンツに関しましても、医師の監修のもと、正しい情報を提供いたします。
当サービスでは、万が一弊社のサービスの内、
臨床心理士もしくは公認心理師によるカウンセリングサービスにご満足いただけなかった場合は、一定金額を限度に、お客様のご利用された料金を返還いたしております。
当サービスでは、専門資格である医師免許もしくは公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士の資格を持った人のみ、厳正な審査の元、採用いたしております。
専門資格のない方は、一切診察業務及びカウンセリング業務に従事いたしません。