気分障害(うつ病・双極性障害)とは?原因・治療法・セルフチェック

投稿日 2026年02月10日

うつ病双極性障害
気分障害(うつ病・双極性障害)とは?原因・治療法・セルフチェック

落ち込む、やる気が出ない、些細なことでイライラする、怒りっぽい……日々さまざまな出来事がある中で、こんなふうに気分が移り変わるのは、ごく自然なことです。

しかし、ずっと気分が落ち込んだままであったり、感情の波が激しく日常生活に支障が出ている場合は、「気分障害(感情障害)」の可能性があるかもしれません。

この記事では、気分障害とはどんな病気か、原因や症状、治療法、日常的な対処法やセルフチェックなどをわかりやすく解説します。

気分障害(感情障害)とは?

気分障害(感情障害)とは、気分が過度に落ち込んだり高揚したりする状態がある程度持続して現れ、日常生活に支障をきたす精神疾患の総称です。

気分障害は、DSM-4(※)では「うつ病」と「双極性障害」の2つに分けられていました。

しかし、DSM-5では気分障害の項目はなくなり、「双極性障害および関連障害群」と「抑うつ障害群」という2つの独立したカテゴリーに変更となっています。

例えば、「気分が沈んだまま何週間も戻らない」または反対に「理由もないのにすごくハイになってしまう」ような状態が一定期間続く場合、ただのストレスや落ち込みではなく、気分障害の可能性があるでしょう。

(※DSM[精神疾患の診断・統計マニュアル]とは、世界中で広く使われている国際的な診断基準。定期的に改定が行われる。最新版はDSM-5-TR)

(参考:日本うつ病学会『双極性障害および関連障害群,抑うつ障害群』)

うつ病と双極性障害の診断は見分けが難しい

うつ病と双極性障害は、うつ状態の症状が中心に現れる期間が長いため、見分けることが難しいといわれています。

実際に、最初は「うつ病」と診断され、後に「双極性障害」と診断が変わるケースも少なくありません。 

うつ病だと思って受診した人の約16%が双極性障害だったという海外の報告もあります。

特に、双極性障害のタイプの一つである「双極I型障害(双極症Ⅰ型)」は、症状が激しくないため、うつ病と勘違いされてしまうことがあります。

(参考:Angst J, et al. Prevalence and characteristics of undiagnosed bipolar disorders in patients with a major depressive episode: the BRIDGE study. Arch Gen Psychiatry 2011 ; 68(8) : 791-798)

▶うつ病と双極性障害(躁うつ病)の違いは?症状・原因・治療法とセルフチェックリスト

うつ病とは?

うつ病とは、気分の落ち込みや意欲低下、倦怠感、不眠などの症状が見られる疾患です。

日常的に感じる「気分の落ち込み」だけではなく、思考・行動・身体面にまで影響が及ぶこともあります。

日本人の約15人に1人がかかる病気ともいわれ、うつ病は決して珍しい病気ではありません。

▶うつ病とは?症状・原因・治療法と自己診断チェックリスト

原因

うつ病の原因は、まだ明確にはわかっていません。しかし、複数の要因が複雑に絡み合って生じると考えられています。

代表的な要因としては以下のとおりです。

  • 環境要因(職場・学校・家庭など)
  • 生活習慣や季節変動などの要因
  • 年齢や性別による違い
  • ストレスとなる出来事や心の傷
  • 生まれ持った体質や遺伝の影響
  • 身体の病気や薬の作用による影響

うつ病発症のきっかけとして最も多いとされるのが、環境の変化や人間関係などの「環境要因」です。

たとえば、大切な人との死別・離別、大切なものを失う経験、人間関係のトラブルや家庭内の問題、職場や家庭での役割の変化(昇進、降格、結婚、妊娠など)が、心のバランスを崩すきっかけになることがあります。

症状

うつ病の症状は多岐にわたり、大きく「精神症状」と「身体症状」に分類できます。

精神症状

・気分の落ち込み
・興味・喜びの喪失
・自己評価の低下
・罪悪感・無力感
・集中力低下
・思考の鈍化
・希死念慮(自殺念慮) など

身体症状

・不眠(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒)
・倦怠感
・食欲低下または過食、体重変化
・疲労感・易疲労性
・頭痛・肩こり
・消化器症状
・動悸・息苦しさ など

うつ病が悪化すると、思考に歪みが起こり「自分には価値がない」「希望がない」「消えてしまいたい」といった極端な考えが浮かぶこともあります。

一方で、身体症状が中心の場合や、本人がつらい気持ちに蓋をして無理をしていると、周囲も本人もうつ病であることに気づかないことがあります。

うつ病で共通してみられる初期症状があるため、「おかしいな?」と思ったら早めに専門家に相談してみましょう。

うつ病の初期症状については、以下の記事で詳しく解説しています。

▶うつ病の初期症状?12のサイン丨受診目安・対処法・顔つきの変化も解説

治療法

うつ病の治療は「休養」「環境調整」「精神療法」「薬物治療」の4本柱が基本です。

これらはそれぞれ独立したものではなく、患者さんの症状や状況、希望を考慮しながら組み合わせて進めていきます。

休養

十分な睡眠や休息を確保する。仕事や学校、家庭などでの負担を一時的に軽減し、ストレスから距離を取る。

環境調整

職場・家庭・人間関係など、生活環境のストレス要因を見直し、支援体制を整える。必要に応じて休職や勤務時間の調整を行う。

精神療法

医師や心理士との対話を通して、自分の思考・感情・行動のパターンを理解し、より適切な対処法を学ぶ。(認知行動療法、対人関係療法など)

薬物治療

抗うつ薬(SSRI、SNRIなど)を中心に、症状に合わせて抗不安薬、気分安定薬、睡眠導入薬などが使われる。効果や副作用を確認しながら、医師の指導のもとで継続的に服用する。

また、薬を使用しない副作用の少ない治療法として「TMS治療(反復経頭蓋磁気刺激療法)」も注目されています。

TMS治療とは、磁気を利用して脳に繰り返し電気刺激を与えることで、うつ病の症状を緩和させる治療法です。

2019年6月には日本でも基準を満たすうつ病での保険適応が認められました。

▶TMS治療はうつ病に有効!効果が期待できる症状の特徴やメカニズムについて解説

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害とは、気分の大きな変動が起こる精神疾患です。

気分が落ち込み意欲が低下する「うつ状態」と気分が高揚し活動的になる「躁状態(もしくは軽躁状態)」を交互に繰り返します。

双極性障害は「双極I型障害(双極症Ⅰ型)」「双極II型障害(双極症Ⅱ型)」の2つに分けられます。

双極I型障害(双極症Ⅰ型)

双極II型障害(双極症Ⅱ型)

躁状態の期間

1週間以上

4日以上

躁の程度

重度の躁状態(妄想・幻聴が起こることもあり、社会生活に支障をきたす)

軽度の躁状態(気分が高揚するが行動はある程度コントロール可能)

うつの程度

現れることもあるが、躁が中心

うつ状態がより強く長引く傾向

治療

入院が必要な場合も多い

通院で治療可能な場合が多い

また、双極性障害と似た疾患に「気分循環性障害」があります。

気分循環性障害では、軽い躁状態と軽いうつ状態を繰り返すことが特徴で、症状が軽いため見過ごしてしまう可能性があり、注意が必要です。

気分循環性障害から、双極I型障害や双極II型障害に移行するケースも少なくありません。

▶双極性障害は治る?寛解までの期間の目安や治療方法について解説

原因

双極性障害の発症も原因は明確には解明されていませんが、以下の要素が関与すると考えられています。

  • 脳内の変化(神経伝達物質・ホルモンなど脳の働きをコントロールしている物質の異常な増減)
  • 遺伝
  • 環境要因(ストレスの多い生活、経済危機)
  • 性格傾向①(メランコリー親和性性格:完璧主義、几帳面、責任感が強い、人に気を使う、自分を責める)
  • 性格傾向②(循環気質:明るく社交的、ユーモアがある、世話好き、活発)

中でも、遺伝的要因が大きいと考えられています。

症状

双極性障害では、うつ状態と躁状態(もしくは軽躁状態)が見られることが特徴です。

うつ状態

うつ病と同様の症状(気分の落ち込み、意欲低下、絶望感、集中力低下、不眠、希死念慮など)

躁状態

・異常な高揚感
・過剰な自信、なれなれしさ
・睡眠欲の減少
・衝動性・過活動
・多弁
・判断力低下
・浪費
・妄想・幻聴・幻覚 など

軽躁状態

躁症状の強さが軽度で、日常生活に大きな支障は与えないものの、異常なテンション・活動性の亢進が見られる状態。周囲から「元気すぎる」と思われることもある

躁状態は症状が激しく、人間関係のトラブルを引き起こす、職を失うといった取り返しのつかない出来事を招いてしまうケースもあります。

一方、軽躁状態の場合は、躁症状の強さが軽度です。

双極性障害の方本人からすれば、軽躁状態が「自分の本調子(本来の状態)」と思っているケースも多く、このことがより双極性障害の診断を難しくしています。

治療法

双極性障害の治療は、「躁とうつの振れ幅を小さくする」ことを目標として行います。

主な治療法は、「薬物療法」と「精神療法」です。双極性障害は再発が多く見られるため、生涯を通して予防療法を続けていきます。

薬物療法

気分安定薬や抗精神病薬を使い、症状を安定させてコントロールする。長期間にわたって継続していくことが大切。

精神療法

患者さん本人が疾患について正しく理解し、病気をコントロールできるように導く。(家族療法、対人関係・社会リズム療法、認知行動療法など)

双極性障害では、早期治療が非常に重要です。

悪化する前に適切な治療を始めれば、症状をコントロールすることで普通の生活を送ることができます。

気分障害のセルフチェック・自己診断

自分や身近な人が「もしかして、気分障害?」と思ったら、セルフチェック・自己診断を試してみましょう。

ここでは、うつ病と双極性障害(躁うつ病)のセルフチェックリストをそれぞれ紹介します。

なお、ここで紹介する内容はあくまで目安であり、正確な診断のためには専門の医師への相談が必要です。症状が続く場合や気分障害が疑われる場合は、放置せず早めに心療内科・精神科に相談しましょう。

うつ病のセルフチェックリスト

以下に2つ以上当てはまり、症状が2週間以上続いている場合は、うつ病のサインの可能性があります。

  1. 以前は楽しいと感じていたことに興味がわかず、楽しめない
  2. 日々の生活に満足感がなく、どこか物足りなさを感じる
  3. 特に理由がないのに、疲れやすく感じる
  4. これまで普通にこなせていたことも、やる気が出ず面倒に思う
  5. 自分には価値がないように感じることがある

より詳しくチェックしたい方は、下記で10項目でのテストも可能です。

▶うつ自己診断チェックリスト

双極性障害(躁うつ病)セルフチェックリスト

続いて、双極性障害(躁うつ病)セルフチェックリストを紹介します。

  1. 感情の起伏が激しく、興奮しやすく、怒りっぽくなり周囲から指摘されることがある
  2. あまり眠らなくても元気に過ごせる時期がある
  3. 自分に強い自信を持ち、特別な存在になったように感じることがある
  4. いつもより話す量が増え、饒舌になる
  5. 次々とアイデアや考えが湧き出てくる
  6. 注意が散りやすく、集中するのが難しくなることがある
  7. 落ち着かず、体を動かしていたくなる
  8. 衝動的な買い物や無謀な投資などをしてしまい、後で後悔することがある

上記に当てはまる項目が多いほど、双極性障害のリスクが高いです。

気分障害以外の気分のムラ・落ち込みが見られる病気・状態

気分障害と似たような「落ち込みやすさ」が見られる病気や状態もあります。以下で、代表的なものを紹介します。

  • 適応障害
  • 不安障害
  • 月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)
  • 自律神経失調症

一時的な症状なのか、それともなんらかの病気が原因になっているのかの判断は患者さん自身ではできず、医師の診察が必要です。

落ち込みが続く、気分が変わりやすいといった症状が続く場合は、一度専門家に相談してみましょう。

▶適応障害とは?再発率や兆候・繰り返さないための対策・復職時の注意点を解説

▶不安障害の種類別の症状・診断基準┃セルフチェックや治療法も解説

▶PMSがひどいとPMDDに進行する?症状や原因、対処法や治療法を紹介

気分障害の人に対する接し方・対応は?

身近な人が「うつ病や双極性障害かもしれない」と思ったら、まず、いつもと違う様子に目を向けることが重要です。

食欲・睡眠・行動・会話などの変化を見逃さないようにしましょう。

また、本人の話に耳を傾け、否定せずにまず理解しようとする態度が信頼につながります。無理に聞き出そうとせず、「話したくなったら聞くよ」と伝えておくことも有効です。

励ましすぎるのは逆効果になることがあるため避け、安心して休息できる環境づくりを意識しましょう。

改善が見られない場合や悪化している場合は、必要に応じて受診を勧めることも大切です。本人だけでなくご家族も相談できるため、心療内科や精神科で相談してみるといいでしょう。

▶うつ病の人への接し方 │ やってはいけないこと&避けるべき言葉や心構えを解説

少しでも不安や支障を感じたら早めに専門家に相談しよう

うつ病や双極性障害は、進行すると日常生活や人間関係、仕事などに大きな影響を及ぼすこともあります。

気分の落ち込み、感情の波の激しい変動などが見られる場合や、周囲から変化を指摘された場合は、軽視せず一度心療内科や精神科で相談してみることが大切です。

「気になる症状があり、相談してみたい」「気分障害かもしれない」などお悩みでしたら、オンライン診療・カウンセリングサービス『かもみーる』をご利用ください。

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