投稿日 2026年03月31日
最終更新日 2026年10月20日
投稿日 2026年03月31日
最終更新日 2026年10月20日

発達障害(ADHD・ASDなど)のある方のなかには、「人と会うだけで疲れる」「仕事が終わるとぐったりする」「十分に寝ても疲れが取れない」と感じる方がいます。
こうした疲れやすさには、感覚過敏、対人関係での緊張、注意や行動を調整する負担、睡眠の問題など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
特に自閉スペクトラム症(ASD)では、周囲の刺激への敏感さや、社会生活で周囲に合わせようとする努力が、疲労につながる場合があります。
ただし、疲れやすさは発達障害に特有の症状ではなく、うつ病や睡眠障害、身体疾患などが原因となることもあります。
この記事では、発達障害のある方が疲れやすい理由や、ADHD・ASDによる違い、日常生活でできる対処法について解説します。

発達障害のある人は、周囲の人とは異なった特性(脳の個性)があるために、さまざまな苦労によって疲れを感じます。
慢性的な疲労に対策を講じるためには、まず疲れの原因を知る必要があります。
自身がどのように日常を過ごしていかにストレスを受けているかのヒントにもなるでしょう。
発達障害の人が疲れやすい原因を紹介します。
発達障害のある方では、周囲の環境や人間関係に適応しようと努力することが、精神的な疲労につながる場合があります。
特に自閉スペクトラム症(ASD)のある方では、周囲の人の表情や言動を観察して模倣したり、自分の特性が目立たないように振る舞ったりすることがあります。
このような行動は「カモフラージュ」と呼ばれ、社会生活への適応に役立つ一方で、心理的負担や疲労につながる場合もあります。
ASDの特性や、周囲に合わせようとする行動については、軽度の自閉スペクトラム症の特徴でも詳しく解説しています。
また、職場や学校で周囲の期待に応えようと無理を重ねることで、帰宅後に強い疲労を感じたり、休日に長時間の休息が必要になったりするケースもあります。
そのため、本人の努力だけで対処しようとするのではなく、周囲の理解や環境調整によって負担を減らすことが大切です。
ADHDのある方では、不注意や衝動性、実行機能の特徴などによって、日常生活で疲れやすさを感じる場合があります。
例えば、複数の仕事を同時に進める、予定を管理する、注意を維持するなどの場面で、大きな負担を感じることがあります。
また、ミスを防ぐために常に注意を払ったり、衝動的な行動を抑えようと努力したりすることが、精神的な疲労につながる場合もあります。
ADHDによる疲れやすさの詳しい原因や対処法については、ADHDの人が疲れやすい理由と改善方法で解説しています。
ADHDやASDのある方では、不眠や睡眠・覚醒リズムの乱れなど、睡眠に関する問題を伴うことがあります。
例えば、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝起きることが難しいといった症状によって、日中に強い眠気や疲労感が生じる場合があります。
また、睡眠時無呼吸症候群や概日リズム睡眠・覚醒障害など、別の睡眠障害が関係している可能性もあります。
睡眠時間を十分に確保していても疲れが取れない場合には、睡眠の質や生活リズムを確認し、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。
『過集中』は発達障害によく見られる、特定の仕事や作業に過剰に集中してしまう特性です。
好きなこと・興味のあることには特に、疲れを感じない様子で没頭します。
過集中は通常なら時間がかかる作業でも短時間で終わったり、早く記憶したりというメリットがあり、ときに大きな成果を生むこともあります。
しかし睡眠や食事を疎かにして無意識のままに没頭し、集中が切れた途端にどっと疲労感に襲われるため、無理をさせないよう注意が必要です。
発達障害の人は、不器用だったり力加減が苦手だったりして、一般的に何気なく行えるような日常の行動が上手くできないため、疲れやすくなります。
例えば、箸が上手く使えない・靴ひもが上手く結べない・電車のつり革を強く握り続けてしまうなどです。
発達性協調運動障害(DCD)の人は特にその傾向が見られます。
他にも、ADHDの人は単純に活動量が多くて疲れやすい傾向がありますが、その衝動を分かっていてコントロールしようとして疲れてしまう人も多いです。
日常では細かい動きも力加減が必要な動きも至るところで必要とされるため、ストレスで身体が強張り、疲れる原因となります。
発達障害の人は感覚(光・音・匂い・感触など)の中のいずれかまたは複数が過敏になりやすいという特性があり、それが疲れにつながる場合があります。
例えば通勤・通学で利用する電車の中では、騒音や他人の匂いなどを敏感に感じ取るため、そこにいるだけでストレスを感じるでしょう。
香水の匂いや時計の音、蛍光灯の光や服の肌触りなど、自分でシャットアウトできるものはほとんどないため、何をしているわけでもないのに疲れてしまうことになります。
ASDとADHDでは、疲れやすさにつながる背景が異なる場合があります。
例えば、ASDでは感覚刺激や対人関係への対応、ADHDでは注意の維持や切り替え、予定管理などが負担になることがあります。
発達障害 | 疲れやすさにつながる要因の例 |
ASD(自閉スペクトラム症) | 感覚過敏、対人関係での緊張、予定変更への対応、カモフラージュによる心理的負担 |
ADHD(注意欠如・多動症) | 注意の維持や切り替え、予定管理、衝動性のコントロール、睡眠の問題 |
DCD(発達性協調運動症) | 細かな手作業や身体動作に伴う負担、不器用さによる日常生活上の困難 |
ただし、ASDとADHDは併存することもあり、同じ診断でも疲れやすさの原因や程度には個人差があります。
また、疲労は発達障害に特有の症状ではなく、睡眠障害やうつ病、身体疾患などが関係する場合もあります。
そのため、診断名だけで対処法を決めるのではなく、どのような場面で疲れやすいのか、いつから症状が続いているのかを確認することが大切です。
ADHDによる疲れやすさの詳しい原因や対処法については、ADHDの人が疲れやすい理由と改善方法で詳しく解説しています。

発達障害のある方が疲れやすさを感じていても、その原因が必ずしも発達特性にあるとは限りません。
例えば、ASDの感覚過敏やADHDの注意機能の特徴によって疲労を感じる場合もあれば、うつ病や睡眠障害、身体疾患などが重なって疲れやすくなっている場合もあります。
特に、以前は問題なく生活できていたのに急に疲れやすくなった場合や、休息をとっても疲労が改善しない場合には、ほかの病気の可能性も考慮することが重要です。
疲れやすさの原因として、主に以下のような疾患や状態が考えられます。
疾患・状態 | 疲れやすさ以外に見られる症状の例 |
うつ病・不安症 | 気分の落ち込み、意欲の低下、強い不安、不眠、集中力の低下 |
睡眠障害 | 寝つきの悪さ、夜間の中途覚醒、日中の強い眠気、いびき |
貧血 | 息切れ、動悸、めまい、立ちくらみ |
甲状腺機能低下症 | 寒がり、便秘、むくみ、体重増加 |
薬剤の副作用 | 眠気、だるさ、集中力の低下など |
例えば、発達障害のある方が「最近になって急に疲れやすくなった」「以前は楽しめていたことに興味が持てなくなった」と感じる場合には、うつ病などの精神疾患が関係している可能性があります。
また、十分な睡眠時間を確保しているのに日中の眠気が強い場合には、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が隠れていることもあります。
発達障害に併存しやすい精神疾患については、発達障害で併発しやすい病気や症状で詳しく解説しています。また、睡眠障害と発達障害の関係についても、別の記事で紹介しています。
疲れやすさの原因を調べる際には、症状の強さだけでなく、いつから疲れやすくなったのか、どのような場面で悪化するのか、ほかにどのような症状があるのかを確認することが重要です。
例えば、騒がしい場所や対人関係の多い場面で疲れやすくなる場合には、感覚過敏や心理的負担が関係している可能性があります。一方、環境にかかわらず疲労感が続く場合や、以前と比べて明らかに疲れやすくなった場合には、ほかの疾患も考慮する必要があります。
診察では、睡眠時間や生活リズム、気分の変化、服薬状況などを確認し、必要に応じて血液検査などを行うことがあります。例えば、貧血や甲状腺機能の異常が疑われる場合には、血算や甲状腺機能検査などが検討されます。
また、疲れやすさには複数の原因が関係していることもあるため、一つの要因だけで判断しないことが大切です。
疲労が長期間続く場合や、仕事・学校などの日常生活に支障が生じている場合には、発達障害の特性だけで説明せず、医療機関で原因を確認しましょう。

疲れやすい原因が分かれば、適切に対処することで疲労感の軽減も期待できます。
発達障害で疲れやすい場合の対処法を紹介します。
自分に合わない環境で疲れてしまうのであれば、環境に合わせる必要をなくすことで、疲れやすさが軽減できるでしょう。
例えば「休憩時間には交流を深めるべき」「友達は多い方がいい」という一般的な社会常識に自分を無理やり当てはめる必要はなく、1人でいてもいいでしょう。
休憩時間はあえて1人で過ごすと決めるだけでも、疲労の軽減につながります。
また、週に1日は人と関わらない時間を確保するなど、あらかじめルールを決めておくことも有効です。
職場や学校を変えたり行かなかったりするのは難しいですが、発達障害の専門家である医師やカウンセラーに相談して、対処法を見つけるのもおすすめです。
また、人づきあいで無理をするなら、それと同じくらいの時間を一人で居心地よく過ごせるように確保すると、ストレスの溜め過ぎの予防になります。
これから仕事を探す人であれば、フリーランスやリモートワークが可能な職種に就くことも検討するとよいでしょう。
発達障害の人は、環境に左右されない1人の時間を持つことが大切です。
感覚過敏が原因の場合は、便利なアイテムを利用したり、服装の着用を工夫することで刺激を抑えてみましょう。
聴覚過敏にはイヤホンやヘッドホン、光過敏にはサングラスや偏光レンズ、ネクタイやワイシャツなどが苦手な場合は素材やサイズを選ぶなど、工夫次第で刺激は軽減できます。
また、感覚過敏を周りに示すステッカーを身に着けることで、周囲の人に配慮をお願いする方法もあります。
もちろん、そういった場所を避けられる場合は自ら気をつけることも、重要な対策です。
感覚過敏用のグッズは市販品もあるため、自分の特性に合わせたものを探して試してみましょう。
どうしても感覚過敏の対策が功を奏さない場合は、医療機関に相談する方法があることを忘れないでください。
過集中してしまうと寝食も忘れてしまうため、どこかで集中を区切ることで防ぎましょう。
読書やゲームなど集中しやすいことをする際には、15分や30分など時間を決めてタイマーを設定するのがおすすめです。
タイマーによって、時間ごとに教えてもらえれば過集中を防いで休憩をはさめます。
実際に過集中は疲れるため、しっかりと休憩をはさむことでむしろ読書や勉強がすすむなど、効率がよくなる可能性があります。
また、発達障害の人は仕事も過集中によって頑張り過ぎてしまう傾向があるため、スケジュールを組む際に休憩をタスク化するとよいでしょう。
1時間作業したら5分休む・2時間ごとに10分休むなど、数字を設定します。
休憩の際は、人に合わせたり人目を気にしたりして余計なエネルギーを使わずに済むように、1人になるのがおすすめです。
発達障害の人の場合、日常の中で行う苦手な動きをなるべく減らすことで、疲労が軽減できます。
まずは自分が苦手だと感じる動作を探してみます。
以上のような点を見つけたら、例えば靴ひもの要らないローファーにする・ボタンが少なく被って着られる服にするなど、日常の中の苦手な動作を減らします。
動作を苦手なものから得意なものに変えていくことで、生活を少しずつ疲れにくいものに変えていきましょう。
睡眠障害を併発している場合は疲労が回復できないため、質の良い睡眠をとる工夫をしましょう。
これらは一例で、自身がぐっすり眠れるポイントがあればぜひ実行してください。
質の良い睡眠はストレスの緩和にもつながり、逆もまたしかりという良い循環が期待できます。
睡眠障害は発達障害ではなくても悪影響を引き起こします。疲労回復のためにもさまざまな方法を試して、良い睡眠をとりましょう。
日常生活のあらゆる場面でストレスを溜めやすい発達障害の人は、自分にあったリラックス法を見つけて実行してみましょう。
ADHDの人がエネルギーを放出してすっきりした気分を得るには、適度な運動やストレッチが向いています。
ASDの人は神経過敏の傾向があるため、自然の静かな環境を探す、BGMに川の水音や鳥のさえずりなど自然の音を選んで過ごすことなどを心がけるとよいでしょう。
「リラックスタイムは時間があるときに」とはせず、タスクとして前もって時間や曜日を決めておくことをおすすめします。

発達障害の人はさまざまな原因で疲れやすく、疲労が蓄積することで高まるリスクがあります。
発達障害で疲れやすいことを放置するリスクについて紹介します。
発達障害の人は、合わない環境や苦手な人間関係のなかで疲労が回復されないままでいると、二次障害を引き起こす恐れがあります。
二次障害とは、今すでにある障害を原因として、別の新たな障害を生じることです。
発達障害の二次障害には以下のようなものがあります。
発達障害の人はストレスに弱いうえに発散や対処が苦手なため、二次障害を起こしやすいです。
上記の症状で受診したら発達障害を発見したというケースもあるため、1人で我慢せずに専門家に相談してみましょう。
▶発達障害で併発しやすい病気や症状とは?二次障害の治療方法についても解説
発達障害のある方のなかには、疲労やストレスが蓄積すると、感情や行動を調整することが難しくなる方もいます。
特に自閉スペクトラム症(ASD)のある方では、感覚刺激や予定の変更、対人関係などによる負担が重なることで、強い混乱や苦痛が生じる場合があります。
このような状態では、大声を出す、泣く、怒りを表すなど、感情や行動のコントロールが難しくなることがあります。こうした反応は「メルトダウン」と呼ばれることがあります。
一方、強い負担がかかった際に、言葉が出にくくなる、周囲とのやりとりが難しくなる、活動を一時的に停止するといった反応が見られる場合もあり、「シャットダウン」と呼ばれることがあります。
ただし、メルトダウンやシャットダウンは正式な医学的診断名ではなく、すべての発達障害の方に見られるわけではありません。また、一般的なパニック発作とは異なる概念です。
こうした反応を防ぐためには、疲労やストレスが蓄積しやすい状況を把握し、適度な休息や環境調整によって負担を軽減することが大切です。

発達障害と上手く付き合っていくために押さえておきたいポイントは以下です。
自身の発達障害の特性を知って自己理解を深めると、環境や人間関係でどこに工夫が必要かが分かります。
また、例えば医療機関に相談した場合、生活療法の中にソーシャルスキルのトレーニングがあるため、人との関わり方を身に着けることが可能です。
発達障害は症状を完全に取り除いたり完治したりすることは難しいですが、工夫や考え方次第で、疲労を溜めずに上手に付き合っていくことができます。
発達障害の人が疲れやすいのは、特性によって周囲からの刺激に敏感になったり、睡眠障害があったりすることが原因です。
しかしストレスの原因となっている環境や問題を把握し、適切な対策を講じることで、疲れやすさの軽減は可能です。
そのためには、自分が何が苦手で何に困っているのかを知ることが大切です。
『かもみーる心のクリニック仙台院』では、発達障害による疲れやすさについて、対策を一緒に考え改善を目指します。
また、有資格者のみが在籍している、オンラインカウンセリングサービスも提供しています。
発達障害についてや、そのために生じる悩みなどを相談するためのお守りとして、『かもみーる心のクリニック仙台院』にぜひお話をお聞かせください。
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発達障害があるからといって、必ずしも身体的な体力が低いわけではありません。 ASDやADHDのある方では、感覚刺激への敏感さや、注意・行動を調整する負担、周囲に合わせようとする心理的負担などによって、疲れやすさを感じる場合があります。 ただし、疲労感には睡眠障害やうつ病、身体疾患などが関係することもあるため、原因を総合的に確認することが大切です。
ASDのある方では、相手の表情や言葉の意図を理解しようと意識的に努力したり、周囲に合わせて自分の振る舞いを調整したりすることで、疲労を感じる場合があります。 また、会話中の騒音や照明などの感覚刺激が負担になることもあります。 疲れやすい場面を把握し、適度な休憩や環境調整を行うことが役立つ場合があります。
疲れやすさの原因に応じた対処によって、負担を軽減できる場合があります。 例えば、感覚刺激を減らす、仕事や学校での活動量や進め方を調整する、十分な休息を確保するなどの方法が考えられます。 また、うつ病や睡眠障害などを併存している場合には、それぞれの疾患に応じた治療が必要です。疲労が長く続く場合や日常生活に支障がある場合には、医療機関に相談しましょう。
この記事の監修者
医療法人社団弘愛会理事長
赤堀 将太郎こんにちは、赤堀将太郎と申します。 心療内科のクリニックに受診するまでに心理的なハードルが大きいかと思います。 そういった場合、「かもみーる」で病院に行くべきかどうかなど気軽にご相談ください。 オンラインで御対応いたします。 また現在、どうしても仕事がつらくて休職したいと思っているが病院に行くのを迷っている方に対して、場合によっては診断書を発行することも可能です。(オンライン診察となります) そういった場合も遠慮なくお申し付けください。
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