日常生活の中で、思い通りに物事が進まないと強いイライラを感じることは、誰にでもあるでしょう。
しかし、その感情が頻繁に起こり、生活に支障をきたす場合、性格の問題だけでなく、心理的要因や疾患が関わっているケースがあります。
この記事では、イライラしてしまう心理や疾患の可能性、対処法について詳しく解説します。
イライラする感情にお悩みの方、工夫や対処法を取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
思い通りに行かないとイライラする3つの要因

思い通りに行かないとき、なぜ強い苛立ちを感じるのでしょうか。
その理由には、性格的な要因だけでなく、身体的な要因や外部の影響も関わっています。
性格的な要因
イライラしやすさには、性格的な傾向が大きく関わります。
完璧を求めたり、柔軟に考えることが難しかったりする性質をもっていると、強いイライラを覚えやすくなります。
完璧主義 | 少しの誤差や失敗も許せず強いストレスになる |
自己肯定感の低さ | 小さな失敗を課題に受け止め自己否定に直結しやすい |
頑固さ | 自分の考え方ややり方に強くこだわり柔軟性が低い |
衝動性 | 感情を抑えるより先に行動に出やすい |
コントロール欲求の深さ | 全てを管理したい欲求が強く、予定外の変更や他人の行動に対応が難しい |
このような性格的な特徴はすぐに変えるのは難しいかもしれませんが、自覚することでイライラを和らげる助けになります。
身体的な要因
体調や身体のコンディションも、感情の揺れに影響します。
イライラする身体的な要因には、以下のようなものが挙げられます。
睡眠不足 | 脳の回復が不十分で感情を抑えにくくなる |
疲労 | 体力が落ちると気持ちの余裕がなくなる |
ホルモンバランスの乱れ | 特に女性は、月経周期や更年期の影響を受けやすい |
血糖値の変動・栄養不足 | 脳内物質の働きが低下し、情緒が不安定になりやすい |
身体的な要因は、生活習慣の見直しで軽減する場合もあります。
外部・環境的な要因
日々の生活環境や人間関係も、イライラの原因になる可能性があります。
特に、責任の増える大人では、家庭や職場の状況が心理的負担となるケースが多いです。
職場のストレス | 業務量や人間関係が負担になりやすい |
家庭での役割 | 育児や家事の責任で心身の余裕をなくしやすい |
人間関係 | 相手との意見の食い違いで苛立ちを感じる |
環境の変化 | 引っ越しや転職などで慣れない状況に不安を抱える |
環境は自分だけでコントロールできない部分も多いため、1人で抱えこまず、工夫や周囲の理解、専門機関のサポートを受けることも重要です。
大人に多いイライラとは

大人になると、社会的な役割や責任が増えることに加え、予定が思い通りに進まない場面も発生します。
そのため、子どもの頃には感じにくかった種類のイライラを経験する方も少なくありません。
予定通りに行かないことへの耐性不足
大人の生活は、仕事や家庭、地域での役割など、多くのタスクで構成されています。
限られた時間の中で効率的に物事を進めようとするほど、計画が崩れたときのストレスが強まりやすくなります。
特に、完璧主義の傾向がある方は、自分のスケジュールが狂うことに強い不快感を覚えがちです。
電車の遅延や仕事の想定外の依頼など、自分ではコントロールできない外的要因に直面すると、イライラにつながります。
大人のイライラは、気分の問題だけでなく、生活全体のストレス管理とも関係していると言えます。
社会的役割・責任の増加
社会人になると、家庭や職場での責任が大きくなり、他人の期待に応える必要性が出てきます。
仕事では成果を求められ、家庭では家族を支える役割を担うことも負担になりがちです。
また、失敗してはいけない、人に迷惑をかけたくないといったプレッシャーが日常的に続き、感情を上手く処理できない場合もあります。
緊張感や焦燥感が高まり、怒りやイライラとして現れるケースもあるでしょう。
大人特有のイライラは、責任感や周囲の目を意識しすぎて引き起こされる側面があります。
対人関係
対人関係は、大人のイライラの代表的な要因のひとつです。
職場での人間関係、友人関係、家族間の摩擦など、関わる人が増えるほどストレスの要素も複雑になります。
意見が合わない上司や同僚とのやり取り、家庭内の価値観の違いなど、避けられない人間関係によって、ストレスが蓄積されるため、注意が必要です。
さらに、大人になると気持ちを抑え込んで周囲に合わせる場面も多く、余計にイライラが強くなる悪循環につながります。
障害や病気の可能性

思い通りに行かないとイライラする状態は、単なる性格や生活習慣の問題に留まらず、医療的な要因が隠れている場合もあります。
ここでは、代表的な障害や病気の可能性について解説します。
怒りやイライラに関連する病気については、こちらの記事も参考にしてください。
▶怒りをコントロールできないのは病気?診断のポイントと対処法
発達障害
発達障害であるADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)は、予期せぬ出来事への対応が難しく、イライラしやすい傾向があります。
ADHDの特性をもつ方は、計画性を保つことが難しく、予定が崩れると強いストレスを感じて、衝動的に怒りが現れることがあります。
ASDの特性がある方は、環境の変化や想定外の出来事に不安を抱えやすく、不安がイライラとして現れることも少なくありません。
大人になってから気付くケースもあり、些細なことでイライラしてしまうと悩んでいる背景には、発達障害の特性が関係している可能性もあるのです。
▶ADHD(注意欠如・多動症)とは?発達障害との関係や特徴、対応法を解説
適応障害
環境の変化やストレスに上手く適応できない場合に生じる適応障害も、イライラの一因となることがあります。
新しい職場や人間関係の変化、家庭内の出来事などに強いストレスを受けると、感情のコントロールが難しくなり、イライラにつながります。
しかし、ストレスの要因が取り除かれると症状が改善することも多く、短期的な感情の乱れとして現れる点が特徴です。
適応障害はうつ病や不安障害と似た症状も見られ、見分けが難しい場合もあるため、専門医の診断が必要です。
▶適応障害とは?再発率や兆候・繰り返さないための対策・復職時の注意点を解説
不安障害
不安障害のある方は常に緊張感や心配を抱えていて、想定外の出来事に対して過敏に反応しやすい傾向があります。
小さな予定変更や人間関係の摩擦で強い不安を感じ、その結果イライラとして現れることがあります。
- 全般性不安障害(GAD)
- パニック障害
- 社交不安障害(SAD)
- 特定の恐怖症(高所、閉所、注射など)
- 強迫症(OCD)
- 外傷後ストレス障害(PTSD)など
不安障害は身体症状(動悸、発汗、胃腸の不調など)を伴うことも多く、体調の悪化がさらなるストレスになる可能性も考えられます。
▶不安障害の種類別の症状・診断基準┃セルフチェックや治療法も解説
▶パニック障害になりやすい人の特徴│性格・年代・環境や遺伝など徹底解説!セルフチェックも
うつ病・双極性障害
うつ病は気分の落ち込みや無気力感が中心ですが、怒りっぽさやイライラが症状の一部として現れる場合があります。
自分の思うように行動できないことや、集中力が続かないことがストレスとなり、感情が不安定になりやすい傾向が見られます。
また、双極性障害では、躁状態と抑うつ状態が繰り返される中で、感情の起伏が激しくなるケースもあり、自分でコントロールするのが困難です。
うつ病や双極性障害は気分の病と考えられがちですが、イライラも症状のひとつのため、専門的な診断が必要です。
▶うつ病と双極性障害(躁うつ病)の違いは?症状・原因・治療法とセルフチェックリスト
女性特有の要因
女性の場合、個人差はありますが、ホルモンバランスの変化が感情に大きな影響を与えます。
月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)では、排卵から月経までの期間にイライラや怒りが強くなることがあります。
更年期に入るとエストロゲンの減少により、自律神経の乱れや感情の起伏が激しくなるケースも多いです。
こうした変化は一時的なものとはいえ、日常生活や人間関係に影響を及ぼすことがあるため、症状が強い場合は医療機関へ相談しましょう。
▶PMSとは?症状・原因・治療方法などについてわかりやすく解説
▶PMSがひどいとPMDDに進行する?症状や原因、対処法や治療法を紹介
その他の疾病
イライラは精神的な疾患だけでなく、身体的な疾病によっても引き起こされることがあります。
例えば、甲状腺機能亢進症では代謝が過剰に活発になるため、落ち着きがなくなり感情が昂りやすくなる傾向があります。
また、慢性的な睡眠障害や脳の疾患、アルコールや服薬の影響なども、怒りや不安定な気分を引き起こす要因です。
特に、睡眠不足は大人によく見られる問題であり、脳の休息が不十分になると感情のコントロール機能が低下しやすくなります。
イライラが生活に与える影響

思い通りに行かないと強いイライラを感じてしまうと、日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼします。
仕事や家庭、人間関係だけでなく、精神的な自己評価にも関わってくる可能性があるため、主な影響について知っておきましょう。
職場や家庭での人間関係トラブル
イライラは周囲の人への態度に現れやすく、誤解や衝突を起こす原因になります。
職場では同僚や部下に対して厳しい言葉をかけてしまい、協力関係が築きにくくなることがあります。
また、家庭内ではパートナーや子どもに感情的に接してしまい、関係性が悪くなることが少なくありません。
これらが積み重なると信頼関係にも影響し、孤立感を深める要因にもなります。
自己嫌悪やストレスの悪循環
イライラして周囲にあたってしまった後で、「なぜあんな態度をとってしまったのか」と自己嫌悪に陥るケースも多いです。
後悔の気持ちがさらにストレスになり、次のイライラを引き起こす悪循環に陥りやすくなります。
心身の疲労感が強まり、睡眠の質が低下したり、食欲不振や過食などの不調につながったりすることもあります。
こうした負の連鎖が続くと、自らに対して否定的な思考が強まり、抑うつ傾向を引き起こすリスクもあるため、早めに対処することが重要です。
二次的な問題
イライラを放置した結果、二次的な問題に発展する可能性もあるため注意が必要です。
例えば、慢性的なストレスが心身に負担を与え、高血圧や胃腸の不調などの身体症状を招くことがあります。
対人関係が悪化し、仕事での評価が下がったり、昇進やキャリア形成の機会を逃すことにもなりかねません。
また、家庭内での不和が続けば、夫婦関係や親子関係にダメージが残る場合もあります。
イライラを和らげる対処法

イライラを放置しないためにも、セルフケアや生活習慣の見直し、専門的なサポートを取り入れることが大切です。
ここでは、日常で実践できる方法から医療機関への相談についてまでを解説します。
イライラの対処法については、こちらの記事も参考にしてください。
リラックス法を取り入れる
リラックス法を取り入れると、自律神経が整いイライラを鎮めやすくなります。
深呼吸や軽いストレッチ、音楽を聴くなど、どのような方法でも構いません。
特に呼吸法は、イライラを自覚したときにすぐ実践でき、心拍数の落ち着きや感情の高ぶりを和らげる効果が期待できます。
アロマテラピーに挑戦する、入浴法にこだわってみるなど、自分に合った方法を複数持っておくと、状況に応じて切り替えしやすいでしょう。
マインドフルネス
マインドフルネスは、「今この瞬間に意識を集中する」方法で、イライラを引きずらずに気持ちを整えるのに役立ちます。
例えば、目を閉じて呼吸の感覚や身体の状態に意識を向けるだけでも、感情が落ち着きやすくなります。
過去の失敗や未来の不安を抱えやすい方にとって、感情を一歩引いて眺める習慣を取り入れることは有効です。
短時間からでも実践でき、継続することで怒りが出そうなときに立ち止まれる力が育つことにもつながります。
生活習慣の見直し
十分な睡眠や栄養バランスの取れた食事、適度な運動は、感情の安定に影響します。
睡眠不足は脳の前頭前野の働きを低下させ、怒りを抑制しにくくなります。
また、カフェインやアルコールの摂りすぎは神経を刺激し、イライラを強めることもあるため、摂取量に気をつけなければなりません。
規則正しい生活を意識することは、感情の暴走を防ぐ基盤にもなります。
今すぐ全てを変えることは難しくても、ひとつずつ小さな習慣改善を積み重ね、イライラを軽減していくことは可能です。
感情を客観視するトレーニング
イライラを抑えるには、自分の感情を冷静に観察するトレーニングが役立ちます。
「今、自分は怒りを感じている」と言葉にするだけでも、感情に飲み込まれにくくなります。
日記やメモに怒りのきっかけや状況を書き留め、振り返るのも効果的です。
自分がどんなときにイライラしやすいのかを客観的に整理することで、前もって対応策を考え、衝動的な反応を減らすことにもつながります。
医療機関への相談を検討する
セルフケアで対応しきれないイライラが続き、生活に支障をきたしている場合は、医療機関に相談することも重要です。
必要に応じて、認知行動療法を含む心理療法や、薬物療法が提案されることもあります。
早い段階で専門機関に相談することで、自分の問題は自分で解決するしかないといった思い込みが和らぎ、心身の負担を軽減できます。
専門家に相談しながらイライラをコントロールしよう
思い通りに行かないとイライラする背景には、性格傾向や身体的な要因、環境の影響などが複雑に絡み合っている場合があります。
大人になると、さまざまなストレスが重なり、イライラへの耐性が弱まることも少なくありません。
また、発達障害や不安障害、うつ病など、医療的な支援が必要なケースも考えられます。
単なる性格の問題だけに留まらず、生活の中でどのような影響が出ているかを客観的に捉えることが大切です。
日常生活に支障が出ている、自己嫌悪やストレスの悪循環が続いている場合は、セルフケアや生活習慣の改善、医療機関への相談も検討してください。
感情を上手くコントロールできるようになると、人間関係や仕事に関するお悩みが軽減し、心身ともに過ごしやすくなるでしょう。
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