ADHDでも障害者手帳は取得できる?何級になる?条件や申請方法を解説

投稿日 2026年10月12日

ADHDでも障害者手帳は取得できる?何級になる?条件や申請方法を解説

ADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた方のなかには、「障害者手帳を取得できるのか」「何級に認定されるのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。

ADHDは精神障害者保健福祉手帳の対象となり得ます。

ただし、診断名だけで交付が決まるわけではありません。

この記事では、日常生活の困りごとと制度の関係、申請方法、取得後の活用について解説します。

ADHDでも障害者手帳は取得できる?

ADHDは神経発達症の一つで、不注意、多動性、衝動性などの特性によって、仕事、学校、家庭生活で困難が生じることがあります。

精神障害者保健福祉手帳は、精神障害によって長期にわたり日常生活または社会生活に制約がある方を対象とする制度で、ADHDもその対象となり得ます。

重要なのは、ADHDと診断された事実だけではなく、日常生活能力や社会生活への影響です。

症状の強さや支援の必要性は一人ひとり異なり、同じ診断でも認定結果が異なる場合があります。

ADHDの症状や診断基準、治療方法について詳しく知りたい方は、ADHDとは?症状・原因・治療についてもご覧ください。

ADHDで取得できる障害者手帳の種類と条件

ADHDのある方が主に申請を検討するのは精神障害者保健福祉手帳です。

知的発達症を併存している場合には療育手帳が関係することもあります。

療育手帳は自治体ごとに判定基準や運用が異なります。

身体障害者手帳は身体機能などについての別制度で、ADHDの診断そのものによって交付されるものではありません。

取得条件は「初診から6か月以上」と「生活機能への影響」

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患の症状によって日常生活または社会生活に制約が生じている方が対象です。

診断書で申請する場合は、対象となる精神疾患の初診日から6か月以上経過している必要があります。

ADHDの診断名だけで交付が決まるわけではなく、支援の必要性や生活能力を含めて審査されます。

初診から6か月以上が必要|転院前の通院期間も含められる?

精神障害者保健福祉手帳を医師の診断書で申請する場合、対象となる精神疾患について初めて医師の診療を受けた日(初診日)から6か月を経過した日以後に作成された診断書が必要です。

これは「現在のクリニックに6か月以上通院していること」という意味ではありません。

当院での通院期間が6か月未満でも、同じ対象疾患について他院で診療を受けていた期間を含め、初診日から6か月以上経過していれば、期間の要件を満たします。

例えば、他院でADHDの診療を5か月受け、当院へ転院して2か月経過した場合、前医での初診日を基準として判断できます。

前医の初診年月日や治療経過は、診療情報提供書やお薬手帳などで確認できるとスムーズです。

厚生労働省の記載要領では、前医の初診日が確認しにくい場合、本人や家族への問診に基づいて記載することも想定されています。

なお、診断書の作成には、現在の病状や日常生活能力を医師が適切に評価できることが必要であり、6か月経過しただけで交付が確約されるものではありません。

参考:厚生労働省・診断書記載要領/千葉県・精神障害者保健福祉手帳

審査では、症状に加えて、食事・清潔保持・金銭管理・通院や服薬・対人関係・社会的手続きなど、生活能力への影響が考慮されます。

家族の援助や職場での配慮があることで生活できている場合、その支援状況も正確に説明することが大切です。

働いていることだけで対象外になるわけではありません。

一方、ADHDの診断があっても生活や社会生活への制約が認定基準に該当しなければ、手帳が交付されない場合があります。

ADHDの障害者手帳は何級?

等級は日常生活・社会生活にどの程度の制限があるかによって判断されます。

次の表は各等級の生活状態の目安です。

等級

生活状態の目安(具体例)

1級

食事、清潔保持、金銭管理、通院、対人関係など複数の生活場面で自力の対応が非常に難しく、広範囲に継続的な援助を要する状態。

2級

食事・身支度・金銭管理・服薬や通院などの複数の場面で、家族や支援者の助言・介助がなければ適切に行うことが難しく、日常生活が著しく制限される状態。

3級

身の回りのことはおおむね自分でできても、金銭管理、服薬、対人関係、行政手続きなどで繰り返し助言や支援を要し、日常生活または社会生活に制限がある状態。

非該当となる場合

ADHDの症状はあっても、日常生活・社会生活の制限が手帳の認定基準に達していない状態。

家族が毎日服薬を促したり、金銭管理を代わりに行ったりしている場合、援助があることで生活が成り立っている状況も重要です。

診断書では、食事、清潔保持、金銭管理、通院・服薬、対人関係、安全保持、社会的手続き、社会活動への参加などを確認します。

「ADHDなら3級」「働いているなら3級」といった一律の決まりはありません。

個々の症状と生活上の制約、併存疾患などを踏まえて判断されます。

精神障害者保健福祉手帳の等級は、ADHDの症状の程度だけでなく、日常生活や社会生活にどの程度の制限があるかを踏まえて総合的に判定されます。

詳しくは、厚生労働省の精神障害者保健福祉手帳の障害等級判定基準をご参照ください。

ADHDにうつ病を併存している場合、手帳の審査はどうなる?

ADHDのある方では、仕事や対人関係での困難が長期化するなかで、うつ病などの精神疾患を併存することがあります。

実際の診療では、ADHDのみで申請する場合に比べ、うつ病を併存し、意欲低下・抑うつ気分・集中困難などによって日常生活上の制限がより明確になっている方が、手帳の認定につながる場面があります。

ただし、これは診療実務上の傾向に関する説明であり、ADHDとうつ病の併存による認定率の差を示す公的な統計に基づくものではありません。

重要なのは、うつ病という診断名が加わるだけで認定されやすくなるという意味ではないことです。

国の判定基準では、精神疾患の症状と、食事・清潔保持・金銭管理・通院・対人関係・社会的手続などの日常生活能力を総合的に評価します。

ADHD単独でも生活機能への影響が大きければ認定対象となり、うつ病を併存していても生活上の制限が軽ければ認定されないことがあります。

例えば、ADHDによる予定管理の困難に加え、うつ病による強い意欲低下で入浴や食事の準備が難しくなり、家族による声かけや具体的な援助を継続して必要としている場合、両方の疾患が生活能力に及ぼす影響を診断書に具体的に記載することが重要です。

一方、診断名を増やすことを目的に病名を付けることは適切ではありません。

うつ病の診断は医学的評価に基づいて行います。

ADHDの症状とうつ病の症状が重なっている場合も、日常生活にどのような支障が生じているかを具体的に整理することが重要です。

オンライン診療でも精神障害者保健福祉手帳の診断書は作成できる?

オンライン診療で継続的にADHDの診察を受けている場合でも、担当医が診断、治療経過、日常生活能力の制限などを十分に把握し、医学的に適切と判断できれば、精神障害者保健福祉手帳の申請に用いる診断書を作成できる場合があります。

ただし、オンライン診療だけで十分な評価が難しい場合には、対面診療や追加の情報確認が必要になります。

診断書の作成を希望する際は、これまでの受診歴、前医の診療情報提供書、仕事・家事・対人関係などでの具体的な困りごとを担当医に伝えてください。

診断書の作成可否は診察内容や医師の判断によって異なり、作成できても手帳の交付が保証されるわけではありません。

なお、「オンライン診療で診断書を作成すること」と「手帳の交付申請をオンラインで完結すること」は別の手続きです。

申請先の自治体が指定する様式・提出方法を確認してください。

初診から6か月以上という期間要件は、オンライン診療の場合も同じです。

かもみーるではオンラインで精神科医の診察を受けられます。

診断書についてのご相談は、かもみーるのオンライン診療のご案内をご覧ください。

診断書の作成可否は診察のうえ医師が判断します。

申請方法と必要書類

まず住民票のある市区町村の障害福祉担当窓口などで、申請書類と提出先を確認します。

一般的には申請書、所定の診断書または障害年金に関する書類、写真、本人確認書類などが必要です。

詳細は自治体の案内に従ってください。

診断書で申請する場合は主治医に相談し、症状だけでなく日常生活や就労上の困難、家族や支援者から受けている援助について具体的に伝えます。

提出後に審査が行われ、認定されると手帳が交付されます。

交付までの期間は自治体や申請状況により異なります。

精神障害者保健福祉手帳の有効期間は原則2年間です。

継続利用する場合は更新手続きが必要で、障害の状態に応じて等級が変わる場合もあります。

主治医に伝えたい生活上の困りごと

診察時には「忘れっぽい」「集中できない」という表現に加えて、実際にどのような問題が何回程度起き、どのような援助を受けているかを説明すると役立ちます。

例として、公共料金の支払い忘れや衝動買いによる金銭管理の困難、期限や予定の失念による勤務上の支障、物の紛失や片づけの難しさ、対人関係での衝突、服薬・通院を維持するための声かけなどが挙げられます。

症状を大きく見せる必要はありません。

調子のよい日と悪い日の差、支援があるときとないときの違いを含め、日頃の状況を事実に即して伝えましょう。

手帳を取得するメリット

障害者雇用枠での応募を検討しやすくなることは、代表的なメリットです。

業務指示を文章でもらう、静かな環境を整える、優先順位を明確にするなど、特性に応じた合理的配慮を相談するきっかけになります。

要件を満たす場合、所得税・住民税の障害者控除などを利用できることがあります。

また自治体や事業者によって交通機関、施設利用料などの割引・減免制度があります。

対象となるサービスや等級要件には地域差があります。

手帳が福祉・就労支援につながる場合もあります。

一方、手帳がなくても利用できる支援制度もあるため、困りごとが大きい場合は早めに相談することが大切です。

デメリット・注意点

申請・更新には書類準備の手間や診断書費用がかかることがあります。

利用できる割引や支援は一律ではなく、等級や居住地などで異なります。

手帳を取得したことが勤務先や知人に自動的に通知されるわけではありません。

ただし、障害者雇用枠の利用や勤務先での配慮を希望する場合、必要な範囲で情報を開示することになります。

開示先や内容を事前に検討しましょう。

手帳を取得しても一般雇用で働くことは可能です。

本人の希望や働き方に応じて活用方法を選べます。

障害者手帳をもらえない場合

初診からの期間が不足している、書類が不十分である、生活や社会生活の制約が認定基準に該当しないなどの理由で交付に至らない場合があります。

診断を受けていることと、手帳の認定を受けることは別の判断です。

不交付となった場合は、自治体からの通知や理由を確認し、必要に応じて主治医と生活状況を整理します。

不服申立ての手続きについては通知書や自治体の案内を確認してください。

子どものADHDと障害者手帳

子どものADHDも精神障害者保健福祉手帳の対象になり得ます。

学校での学習や集団生活、家庭での生活管理、保護者による援助の程度などが重要になります。

知的発達症を併存している場合は療育手帳が関係することもあります。

学校で合理的配慮を受けるために手帳の取得が必須というわけではありません。

学校、主治医、自治体の相談窓口と連携して必要な支援を検討しましょう。

障害年金・自立支援医療との違い

精神障害者保健福祉手帳は障害の状態を認定する制度、障害年金は保険料納付要件や障害の状態などの条件を満たす場合に支給される年金制度、自立支援医療(精神通院医療)は対象となる通院医療の自己負担を軽減する制度です。

手帳を取得しても障害年金を自動的に受給できるわけではありません。

また、手帳がなくても自立支援医療を利用できる場合があります。

それぞれ申請窓口と認定基準が異なるため、目的に応じて確認しましょう。

まとめ

ADHDでも、生活や社会生活に一定の制約があり認定基準を満たせば、精神障害者保健福祉手帳を取得できます。

等級は診断名ではなく障害の状態や生活能力を踏まえて判断されます。

申請を考えている場合は、日常生活の具体的な困りごとと必要な支援を整理し、主治医と自治体窓口に相談してください。

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